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(2008.10.4 八王子・八王子乗馬倶楽部)
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ぐーちゃん
先方の馬繋場で、暴れた直後。
目がヤバい感じ(笑)。

ぐーちゃん
出番直前。
緊張しすぎて目がまん丸になってます。

土曜日は、おとなりの八王子乗馬倶楽部にて市民大会があり、わたしは半自馬グレイトを連れて3課目Bに出場します。
ラッキーなことに八王子さんが馬運車で迎えに来てくれるのですが、輸送は当日の朝6時半ということなので、金曜日の夜から日の出乗馬倶楽部近くの宿に泊まって、翌朝6時前に日の出へ。
前日のうちにたてがみを編んでおいたグレイトを馬繋場に出し、肢巻としっぽを巻いて準備。Nくん先生が手伝ってくれたおかげで、馬運車がくるまで時間ができたので、ぐーちゃんの筋肉をほぐすために引き馬することにしました。筋肉が温まらないまま馬運車で足を踏ん張るのは、高齢のこの馬には良くなさそうなので。
小さい馬場を引いて歩いていると、馬場の出口にかけてあるプラ鎖を外す音がしました。その瞬間、ぐーちゃんが[ひゃああ]と暴れ、横っ飛びしようとしました。音がしたのは一瞬なのですぐにおとなしくなりましたが、ぐーちゃんは心臓バクバクしているらしい。ふだんならどうということはない音ですが、今日はいつもと雰囲気が違うのでちょっとしたことでも過剰に反応しちゃうんだろうなぁ。

しばらくして、八王子さんの馬運車が到着。そのまま引いて馬場を出て、倶楽部出口の坂道を歩かせます。
馬場を出るのさえめったにないことなのでビクビクしていたぐーちゃん、馬運車の姿が見えるなり[何あれっ!?]と引きつって頭を上げ、後ずさりしました。さすがにすごい力で、引き手を持つわたしが1〜2歩引きずられたほど。
それでも相方が後ろからお尻を押すと少し歩き出しました。数歩歩いてまた後ずさり、お尻を押してまた歩き出し、の繰り返しでなんとか馬運車にたどり着き、お尻を押してもらいながら馬運車に入るまでに5分程度。前回の輸送では20分ほどかかったので、今回はちょっと進歩しました。馬運車を運転する先生も「この間と同じ子ですか?」と言ったくらいで(つまり、前回の物見っぷりがすごかったってことよね…)。

グレイトを送り出してから、わたしたちもすぐに車で出発。馬運車よりも身軽なので、先に八王子さんに着きました。聞いてみると、今回ぐーちゃんに貸してもらえるのは外厩とのことで、そちらに近い駐車場で待機。
到着した馬運車のハッチが開き、「ぐーちゃん」と声をかけると「ぶふふ」と聞きなれた鳴き声が。気の小さいぐーちゃん、不安で仕方なかったんでしょうね。
ぐーちゃんを馬運車から下ろしてもらい(乗せるほうはできるが、下ろすほうはわたしが慣れていない)、先生から手綱を受け取って、外厩のほうへ。ところがまだ馬房掃除ができていないということで、しばらくそのまま待機することになりました。
すぐそばに馬繋柱があったので、とりあえず引き手をそこに結びます。つながれたまま目を白黒させてビクついているぐーちゃん、10mくらい先で学生さんが大八車を動かしたとき、ついにパニックになり、立ち上がって暴れ出しました。
つながれているのに、なおも立ち上がろうとするものだから、馬繋柱にどこかぶつけやしないかとヒヤヒヤもの。下はコンクリートだし、転んだら確実にケガをする。
声をかけ、肩に手を当てて(足を踏まれそうでしたが)、どうにか落ち着いてきたとき、先方のスタッフが「寝張りでつなげば」と言ってきました。そうか、引き手を2本使って両側からつないだほうが安全か。
後から見たら、この騒ぎで革無口につけたプレートが破損していました。あーあ。ここまで来て、ケガして棄権しなくて済んだからいいけど…。

馬房の準備ができるまでにもう少し時間がありそうだし、競技開始前に馬場に出す許可をもらえたので、馬装して少し運動させることにしました。
外厩から馬場に入るときでも物見をしておたおたしていましたが、とにかく馬場に入れて騎乗。近くに踏み台が見あたらないので、鐙を伸ばして踏み台なしで騎乗。相方に腹帯を締めてもらい、常歩から始めます。うわ、昨日に比べてガチガチだよ!
昨日は乗ってすぐに速歩してもいいかな、と思うくらいほぐれていたのに、今は1週間乗ってなかったっけ、というくらいのガチガチぶり。仕方がないので馬場の隅っこに行き、常歩で巻き乗りと横運動でほぐすことにしました。

そうは言っても下運動ができるのは競技開始の15分前までで、30分弱しかなかったので、7〜8分常歩をしたところで速歩に移行。
ところがこれが、トモがちまちまとしか動かないヘンな速歩。緊張のあまり筋肉がこわばっているらしく、トモがいつもの3分の1くらいしか踏み込まないので、前に出すどころじゃない。左右の乱れはないので、どこか傷めたわけではなさそうですが、昨日のリズムの良い速歩に比べると同じ馬とは思えない。
とにかく緊張しきっているようで、背中を使おうとしてくれず、ハミ受けどころじゃない。自分ひとりで乗っているなら巻き乗りや半巻きをしつこくやるところですが、さすがに7〜8頭がめいめいの運動をやっているところで巻き乗りばっかりやっていても邪魔だろうしな(周りはインストラクター級ばっかりだから、避けてはくれるだろうけど)。

この状態なら、駈歩のほうが馬にとっては楽かも、と思って駈歩に移行。出ることは出るけど、こりゃねえなぁ、という感じ。駈歩にまるで伸びがないし、伸ばそうとするとトモが慌てる感じ。これでホントに経路が踏めるのか、かなり不安になってきたぞ。
駈歩で少しほぐれたかと思い、速歩に落としてみますが、やっぱり速歩に伸びがない。右手前は少しマシになってきましたが、左手前では相変わらずトモがちまちましていて、伸ばそうとするとピッチが上がるだけ。アンタねぇ、そんなに緊張してもなあんにもいいことないよ。
一度は本馬場に入れようと思っていたのですが、そうこうしているうちに競技開始時間になり、馬場にハローが入るので本馬場に入れずに下運動を終えてしまいました。

この時点でまだ8時前で、わたしたちの出番まではあと2時間ほどあるので、一度グレイトの馬装を解いて馬房に入れ、おあずけにしていた朝飼いをつけます。緊張して食べないかと思い、ダブ飼いにしてやったら、これがしっかり食べてるじゃないの(笑)。
そこへぼちぼち、日の出の友達が手伝いに来てくれました。それから2時間近く待機しているうちに日の出からO先生も来てくれました。出番の30分前、再び馬場へ。今度はわたしも燕尾服とハットを身につけ、馬の肢巻も外して、少しでも馬を動かせる時間をムダにしないようにして出ます。
しかし燕尾を着てしまうと、困るのが騎乗時。肩が伸びないので、わたしは踏み台なしでの騎乗ができません(そりゃできる人はできるんだろうけど)。かといって手伝いに来てくれたメンバーは、ふだん足上げでの騎乗補助なんかやったことがない。さてどうするかな、と周りを見回すと、ちょうど八王子さんで使役をしているらしい学生さんが寄ってきてくれたので、「キミ、足上げ得意だよね?」と聞いてみると「ハイ」というので、足上げしてもらいました。やっぱり慣れてるだけあって上手でした。

朝、運動して少し休ませたので、ほぐれていることを期待したのですが、いやはや全然ほぐれていない。それでも朝またがった瞬間よりはマシかなぁ、という程度。仕方ないので、また常歩で地味に横運動から始めます。
速歩にしてみると、やっぱりまだ全然ほぐれていない。ひぇ〜、あと20分弱で、ホントに本番を迎えられるのかよ。とにかくこのトモをほぐさなければ前に出せなさそうなので、馬場の隅っこで地味に輪乗りをし、軽速歩の手前を逆にしたり(これはヨソの先生の前ではあんまりやるなと言われているので、見えなさそうなところのみ)、駈歩をしてみたりします。

残り10分くらいになってもまだガチガチしているので、これはいつもの長さで手綱を持っても前に出ない。思い切って(というほどでもないが)、手綱を譲ってラクに動かしてみることにしました。
すると少し馬がトモというか背中を使い出したような感じがしたので、外方手綱を少し持ち直してみると、あれれハミ受けてきた。それでもベストの歩様にはほど遠いけど、なんとか間に合うかも。

出番まであと1人になったので、ヘタな小細工はやめて駈歩で輪乗り。駈歩を始めたら少しつまったかな、と思ったら、本番を終えたばかりの相方が「ボロだよ」といいます。それはトモをある程度使い出した証拠(普段の練習なら駈歩を始めたらすぐにやるんですけどね)。
入場ベルが鳴ったところで速歩に落とし、A点ラチが開くのを見計らって鞭を捨て入場。Xまで直進し、停止・敬礼して速歩発進すると、さっそくぐーちゃんがC点審判席を見たらしく前進気勢をガクッと失ってくれました。ハハハ、こんなんでC点までたどり着けるんかね。

やっとこさ速歩パートを終えて、斜めに手前を換え、手綱を伸ばした常歩。あーあ、緊張のあまり馬の首が固まってて、ハミを追っていかないよ。それどころか、経路上にいるハト軍団を見て、首が少しずつ上がっていく始末。
もう少しでH点に着いて手綱を持ち直せる、というとき、ぐーちゃんの全身がさらに緊張しました。あーあ、隅角の外に散水車がある(停車してるけど水がまだ出てる)のに気がついちゃったか。
あたしがいるでしょうよ、大丈夫だよ、と無言で語りかけたのですが、ぐーちゃんときたらついにビタッと止まってしまいました。しかもそのまま、1歩、また1歩と後退…。あーあ、また経路違反だよ(後で冷静に考えると、ただの反抗で点数が下がるだけだけど)。
練習なら後退するまえに鞭で前に出すのですが、本番なので鞭はなし。こんなときに手綱をしっかり持つと余計後退するだけなので、手綱は譲って、後退したがる気配がにぶったかな、と思った瞬間にすかさず脚で圧迫すると、どうにか後退をやめて前に歩き出してくれました。この間、実に12歩。また新経路作っちゃったよ…。とはいうものの、数年前には違う馬に同じように後退され、リカバーできずに棄権したこともあるわたしなので、このくらいで立ち直れたのはずいぶん成長したってことなのですよ、これでもね。

経路に戻り、C点から駈歩発進。右手前はなんとかなったのですが、左手前の動きがとことん悪く、審判から見えないほうの脚で蹴りまくり。グレイトは外方脚をぱすんとはたけば駈歩が続く馬なのですが、今日はそれをやっても前進気勢がつかず、後肢だけ速歩になってるんじゃないか、と思えるような駈歩です。
シンプルチェンジも反対駈歩も相当アヤシかったものの、ギリギリで不実施にはならない程度。最後の中間駈歩、長蹄跡に入ったところで駈歩を伸ばそうとしたのですが、伸びるどころではありません。ままよ、と両脚で馬をバスンと蹴って気合いをつけてみたら、これが全く逆効果で、1歩イレギュラーが入ってしまいました。普段の練習だったらこれで(跳ねてでも)前に出るくせに…。もう開き直って、思わず笑ってしまいました。

でも短蹄跡に入る前に、審判に見られないように顔を引き締めて、最後の力を振り絞って中央線へ。グレイトのほうももう終わりだとわかっていて止まりたがるのを必死に前に出し、どうにかX点まで駈歩を維持し、停止。いやはや、この馬は停止が天才的なのだけが救いだけど。
敬礼して常歩で退場し、そのまま外厩方面に向かって歩いていき、待機馬場の出口で下馬。厩舎に入れてから馬装を解くと、ぐーちゃんはおなかからぽたぽた落ちるほど汗をかいていました。それも首と鞍の下だけで、こういうのは運動の内容ではなく、緊張でかく汗。筋肉がうまく使えなかった証拠なのだ。
急いでタオルで汗を拭き、汗で冷えないようにネット馬着を着せます。ついでにたてがみをほどいてやると、ぐーちゃんはようやくホッとした顔になりました。

帰りの馬運車もちょっと物見しましたが、行きよりはすんなり乗ってくれました。帰りも車で先回りし、日の出に馬運車が着いたところで出迎えてあげました。
結果は、反抗や前進気勢の不足、イレギュラーなどで点数は伸びず、49.8%。前日の調子を100%発揮させてあげれば、この馬はこんなもんじゃないはず…とは思いますが、試合で100%なんて今のわたしの技術では無理だし。むしろ、今までは先生の下乗り頼りだったのを、今回初めて調整、下乗り、本番と自分でやったので、満足感は大きかったのです。
N子先生には「ぐーちゃんはウィスパー(北京五輪での法華津さんの乗馬)の真似したかったんでしょ」と言われました。ホントだ、あれも斜め手前変換の常歩で物見したんだよね(笑)。…って、そんな真似は3課目程度でやるこっちゃないですっ!

ぐーちゃん
出番が終わって、安心して昼飼いを食べているところ。
たてがみをほどくとおばちゃんパーマ。


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