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(2002.12.15 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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こんなバカでも私の愛馬なんです…(笑)
モンちゃん
5日前、東京には雪が降りました。都心よりも寒いあきる野では、かなりの大雪が振った模様。馬場がどうなっているか不安だったのですが、とりあえず倶楽部へ。今日の天気は良いのですが、放射冷却というやつで、けっこう寒い。武蔵増戸駅から倶楽部への道も雪が残り、凍てついています。おもしろがって霜柱を踏み崩そうとしてみたら、霜柱がさらに凍結していて固いのなんの、踏んでも崩れません。
倶楽部についてみると、なんだか馬場の砂が白いような…うわ、表面凍ってるかも。馬場に設置されている鏡も、表面が凍って真っ白です。日差しは暖かいので、すぐ溶けるだろうとは思うのですが。まだ誰も騎乗していなくて、K野さんがジープに馬場ならし用の大きな鍬を付けて引き回し、凍った砂を砕いています。
ホワイトボードで騎乗馬を確認すると、私はモンブランです。クラブハウスに入ってみると、先日の運動会で招待審査員をして下さったY先生がいて、I野先生と話し込んでいました。
更衣室に行って着替えをしましたが、あまりの寒さにもう一度クラブハウスに暖をとりに入りました。直射日光の当たらないところはまだ凍っているようで、馬場の真ん中は危険だからあまり使わないようにレッスンしよう、というような話をしているうちに、馬装の時間。モンブランの馬房に向かいます。

モンブランの馬房を覗くと、モンブランはもう馬着を着ていなかったので、下乗りはしてもらっているらしい。扉を開け、無口を持って馬房の中に踏み込むと、モンちゃんは寝わらに入れてもらった干し草を食べるのに一生懸命でした。「モンちゃん、お外出るよ」と言って無口を付けようとしても、足下から口を上げようとしないから、無口がかけられないじゃないの。無理矢理かけようとしたら、無口の端がモンブランのおでこに当たってしまい、びっくりしてやっと首を上げたモンちゃん。叱られたと思ったかもしれないけど、結果的にはそんなようなもんだ。まぁいいでしょう。
無口をつけると、自分から扉の外に出る運動好きのモンブランです。

馬繋場にモンブランをつなぎ、裏掘りをしようと鉄爪を取りに行くと、じょろじょろじょろじょろ…「うわ、ツメ汚さないでぇぇ」威勢のいいおしっこでした。とりあえず床を水で流し、あらためて裏掘り、ブラシかけ。Mちゃんが鞍や毛布を準備してくれて、鞍を着けます。うー、手が冷たくて腹帯が思うように締められない。でもなんとか時間前に終わったので、レッスンの前にトイレに行っておこうかな、と馬繋場すぐそばのトイレに行って帰ってくると、Mちゃんが「たかしなさぁん、こいつ寝てたー」あ、目が開いてない…
馬場のほうではK野さんのジープの音が止まったので、そろそろ出てもいいかな。無口を外し、頭絡の手綱を頭にかけると、自分から首を下げて手綱をかけさせてくれるモンちゃん。ですが、ハミを口に入れようとしたら、唇は開くのだけど歯を閉じて、なかなか開けてくれません。アルフォンスほど反抗されるわけでないけど、この子にしては珍しいな。口角から指を入れて押し開けると、そこから先は楽でした。
ハミをかけている間にK野さんのジープが馬場から出てきたので、入れ替わりに馬場に出ます。

今日の部班は4頭、Y先生のご友人であるDさん(ビジターさんだけど、よく来ている方です)のハイセイコーJR、Kさんのアルフォンス、相方のダンスと私のモンブラン。
自分の馬装チェックができて、馬上で待機しているとI野先生が出て見えて、「蹄跡ゆっくり歩いていなさい、凍ってるから無理はするなよ」ということで、一番蹄跡に近いところにいる私から馬を出します。ぼすっ。あっごめんモンちゃん、JRと同じつもりで強い脚入れちゃった。でも特に意に介しない様子のモンちゃん、素直に左手前で蹄跡に出ます。

K野さんがならしてくれたので、蹄跡のついていないまっさらの馬場を歩かせようとすると、モンブランはどこを歩いていいか分からないらしい。というか、やっぱりこいつ、普段は蹄跡を見て歩いてるんだな。内へ内へと入りたがるモンブランですが、「モンちゃん、中危ないから、外歩こうよ」と外方の手綱を開き、内方を壁にして、内方脚だけを使うようにしますが、なかなか外へ出ようとしない。
そこへY先生が近寄ってきて、「外へ出そうとするときは、手綱を開くんじゃなくて、内方脚で外へ押し出すほうがいいですよ」とアドバイス。以前から同じことをI野先生にさんざん言われていて、頭では分かっているつもりだったんだけど、先生から見たら全然内方脚が効いていないってことだな。うーん。

自然発生的に、モンブラン、ダンス、アルフォンス、ハイセイコーJRの順になり、常歩で周回。馬場状態が悪いからか、今日はなかなか速歩の指示が出ません。
ようやく速歩の指示が出て、速歩発進。さすがにすぐ速歩が出るモンブランですが、まだ眠いのか、体があったまってないのか、ともすれば止まりそうな速歩。スピードがない分、反動はいつもより取りやすくて楽なのですが、止まられそうなのでかかとで刺激しながら走らせます。
ゆっくり走っていて、モンブランはやっぱり蹄跡がどこか分からないらしく、内へ内へと入っていこうとします。そうじゃないでしょう、と誘導しようと思うのですが、なかなか成功しません。押しているつもりの内方脚も、ぜんぜん効いていないんだなぁ。うーん、どうしたら効くんだろう。一生懸命押しているつもりなんだけど、上体がヘンに傾いているような気がして、バランスがとりづらい。しかもずっと左手前で走っているので、いいかげん左足の付け根がしんどくなってきた…早く手前変わらないかなぁ。
そうは思っても、さっき「馬場の中央は凍って固くなっているから、斜めに手前を換えはできないね」という話をしたばかり。もしかして今日のレッスンは、ずっと左手前かなぁ…と思っていると、クラブハウス前の日当たりのいいところ(つまり馬場が凍結していないところ)で、半巻きを指示されました。「半巻きはもっと大きく回らないと」と注意を受けつつ、右手前に換えます。

モンブランがだらだらなので、相方はダンスを大きく外に回らせているらしい。「モンブラン巻き乗りして、ダンスの後ろ」と言われ、2番騎に変更。ダンスの後ろで軽速歩していると、モンブランは内側を回りたがるし、ダンスくんだって重めの馬だし、しかもモンブランったらやっと体があたたまってきたのか、ダンスくんに近づきそうになって困る。抑えきれずにだいぶ近づいてしまったとき、ダンスくんがちょっと跳ねそうになりました。そのとき、ダンスくんが耳を伏せ気味にして後ろをにらむのをはっきり見てしまった。それでもなおダンスのお尻をつっつきそうなモンブランに、「モンちゃん、ダンスくんがイヤだって言ってるよ、若いのを脅かすんじゃありません」と必死で押さえます。ほんと、馬が元気になってきたな。本来こいつら、寒いのは好きなはずなんだよね。

鏡の前が特に日当たりが悪いのか凍結していて、前でダンスくんが脚を軽く滑らすのが見えます。と、モンちゃんも軽く脚をとられたりする。こわいよー。
右手前で走っているとき、クラブハウスの前でモンブランが立ち上がろうとしました。「モンちゃんどうしたの、何もないよ、落ち着いて、ほーら何にもない」となだめ、すぐにモンちゃんは落ち着いたのですが、本当に回りには馬が驚くようなものは何もなさそうだったのです。一体なんだろう?(あとでスタッフのK村さんがハルカゼに乗っていたとき、まったく同じ場所で2度横っぱねしていたから、やっぱり何かあったのかもしれません)
次の周で同じ所に差しかかったときは、「ほーほー」と馬を落ち着かせながら行きます。常歩に落とし、クラブハウスの手前で「全員停止。そこで馬を愛撫」の指示、馬をとめて首をたたきます。これってもしかして、馬をほめるというよりは馴致じゃないのかしら?ここには驚くようなモノはなにもないんだよ、ということを馬に見せる時間をとってくださったのじゃないかと思います。

軽速歩で走っていて、どうしても東南の隅角(左図で右下)がきっちり回れないモンブラン、先生に「内側は危ないから入ってくるなって言ってるじゃないか」と怒られる始末。あたしだって入りたくて入ってるわけじゃないんですぅ〜(泣)。馬場の内側に入ってみえたY先生が、よっぽど見かねてか「手綱を外に開くんじゃなくて、内方脚で押し出すんですよ」と、さっきと同じアドバイスを根気よくしてくださる。内方脚で押し出す…やってるつもりなんだけど、効いてない。人間、ふつう足の内側で何かを押すことなんてないよなぁ。あ、床に置いてある荷物を足で動かすときがあるな。あの気持ちでやったらどうだろう?
ちょうど右手前に換わったところだったのですが、荷物を足で挟んで持ち上げるくらいの勢いで、右の脚全体を使ってモンブランを外に押し出すと、内側に入ろうとしていたモンちゃんは「おっとっと」という感じで蹄跡に出ました。できたじゃん!先週、JRに脚を入れるときにやったこと、下から上に向かってお腹を持ち上げる要領と同じ。脚って、こうやれば効くんだ。
次の周でも、同じように内側に切れ込もうとするモンブランのお腹を脚で持ち上げ、するとまた蹄跡へ出ていきます。成功。
しかし何周かしていて分かったのですが、私の脚は右だと効きやすいんだけど、左は効きにくいみたい。効きにくいというか、力が入りにくいというか。自分の体のバランスとか、昔左足の靱帯損傷したことがあるとかが関係してるのかな。

常歩に落とし、沈静化。前のダンスがゆっくり歩いているのに、モンちゃんは沈静化でもどんどん歩いちゃう(あるいはハミがかかってないからどんどん歩きたくなってるのか)ので、また前に突っかかりそうになります。ダンスくんが耳を伏せているので、ときどき立ち止まらせたりして追いつかないようにします。ふだんなら巻き乗りするところだけど、馬場が危険そうなので。
馬場中央に馬を並べて挨拶するところですが、中央は馬場が固いということで「もう少し前に出てきなさい」と、日当たりのいいクラブハウス寄りに馬をとめ、整列して挨拶。下馬してモンブランを馬繋場に連れて行きます。

モンブランは今日はこれでお仕事が終わりなので、手入れをしてから昼飼いです。
裏掘りの時点ですでに「早くごはん〜」と騒ぎ始めたモンブラン、脚を洗うに至っては「メシ!メシ!早くメシよこせ!」の勢いで、激しく前掻きしたり、前後に動いたり。あんまりうるさいので、以前いたスタッフのF田さん方式で「うるさい!」とお腹を下から蹴り上げると、一瞬だけおとなしくなりました。また騒ぎ出しては叱り、しばらく黙ってからまた騒ぎ出す、の繰り返しで、だだっ子のようなモンちゃん、いい加減にしなさいよ。タオルで後肢を拭いているとき、また前掻きをしようとしたので「モンちゃん!」と怒鳴ると、ぴたっとやめました。あら、そんなに怖かった?

手入れを終えて、モンブランを馬房に連れて行きます。人間だったらスキップするんじゃないの、というくらい足取り軽いモンちゃん、無口を外すのももどかしく飼い桶に口をつっこもうとします。どうにか無口をもぎとって、扉の鎖を締めてから気がつきました。あ、馬着着せてない…でもものすごい勢いで昼飼いを食べているモンちゃん、今食事を中断させたら殺されそうだから、着せるのは食べ終わってからにしよう。
クラブハウスに戻ると、Y先生のPCで息子さん達(もちろん立派な選手である)の乗馬日記など見せていただきました。それを見ながらお話している最中、Y先生から「そうそう、さっき気がついたんだけど、常歩のときにあんなに動いちゃいけませんよ」とご指摘をいただきました。「あおってました?」「腰が動いちゃいけませんね。上体は動かさないで」そんなに動いてたのか。気がつかなかった。

しばらくしてから見に行くと、モンちゃんはまだお食事中でしたが、私もお昼を外に食べに行くのであまり時間がない。えぇい馬房の中に入ってしまえ、と馬着を持って馬房に入ります。飼い桶からおから(ここでは昼飼いはおからなのです)をほおばっては、顔を高く上げて遠くを見ながら咀嚼しているモンブラン。口を完全に閉じないうちに顔を上げるものだから、飼い桶の外や扉に、おからが雪のように降り積もっています。モンちゃんはなんだか目つきがぼーっとしていて、扉を開けても微動だにしません。あんまり動かないので、「すくみ(膠着)」か?と一瞬考えてしまったくらいですが、口はちゃんと動いています。お食事をとーっても楽しんでいるだけらしい。彼が食事に気をとられているすきに、馬着を着せ付けました。つくづくあんたってバカ馬ね…。

帰りはAさんの車で駅まで送ってもらいました。車中でAさんに、「モンブランってね、普段は本当にはじめて馬に乗る人とか、乗り始めたばかりの人のお相手してるでしょ?だから蹄跡どおりに一定のペースで走れればいいと思ってるフシがあるんですよ。でもそんなの馬術じゃないから、言うことを聞いて動くようにしてやろうと思って燃えてるの」という話をすると、「そう思うんなら、高階さんは上達してるんだよ。そろそろあの馬を卒業するべきなんじゃないの」と言われました。うーん、そうなんかな。でもあの馬も思い通りにならなくて、他の馬が動かせるのか?とも思うし。なんといっても、私はやっぱりあのバカ馬がかわいいんです。

↓日の出乗馬倶楽部の馬場
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