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(2002.12.21 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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いつもどおりに倶楽部に行こうとして、マンションを一歩出たらなんだか雲行きがあやしい…「雨って言ってたっけ?」「そうかも」しかしもうお弁当も作っちゃってるし、行けばなんとかなるだろう。傘を取りに戻る時間もないし、そのまま倶楽部に向かうことにしました。
武蔵増戸駅に降り立つと、ぽつっと雨が。あらら〜。

倶楽部に到着すると、Sさんがロゼッタに単騎騎乗していました。馬場の中央に立って指導しているのは、都馬連のY先生じゃありませんか。先週もみえてたけど、日の出で指導して下さることになったのかしら?
ホワイトボードの騎乗表を見ると、モンブランとハイセイコーJRのところに私たちの名字が。「どっち?」「どっちでもいいんだろうけど、俺JRがいいな」「うん、あたしもモンちゃん乗りたい」というわけで、お互いの愛馬に落ち着きます。先週モンブランで内方脚の練習をしたので、今週も続きをやりたい。

モンブランは馬場でバイトスタッフのUくんが乗っているので、馬装はしなくて大丈夫だな。
クラブハウスに入ると、ママさんとI野先生がいました。来週の納会の話などをしていると、いきなりI野先生が「ところで君たちは級持ってるんだったよな?」とおっしゃるので、「はぁ、一応5級を」と返事すると、「じゃあこれに出られるな」「は!?」先生がお持ちになっていた書類は、おとなりの八王子乗馬倶楽部で行われる、新春ホースショーの参加申請書。八王子さんのローカル試合ですが、外部からの参加も認められているらしく、ぜひ何人か出てくれと言われたそう。
「君たちは5級持ってるから、このクラスに出られるんだよ」と示された競技予定表には、確かに「出場資格:全乗振5級認定者」と書いてあります。5級取ったのなんてもう80鞍も前、もしあのころの自分と戦うことができるのなら楽勝だとは思うけど、出てくる人がみんなあのレベルだとは限らない。
「あーちゃん(バイトスタッフだけど、もともとはI野先生の弟子なので一緒に来ている子)も、この間の馬事公苑の試合でガッチガチに緊張して、ぜんぜんダメだったんだよ。試合には慣れておいたほうがいいんだ」いや、あーちゃんはともかく、私が馬事公苑の試合になんて出ることがあるかどうか…
ただ、そういうイベントの雰囲気が嫌いなわけではないので、レベルも手頃ということで出ることになりました。

そんな話をしているとすっかり時間がなくなり、あわてて着替えをして馬繋場へ。モンちゃんは他の馬より先に上がっていて、勒を外して馬繋場につないでありました。
ちょうどあーちゃんがいて、「モンブラン腹帯だけゆるめたんで、ちょっと鞍が後ろにずれたんですよ。あとで一緒に直しましょうね。あと、終わったらまず腰拭いてやって下さいね」今も腰に毛布をかけてあります。「馬って腰冷やすとダメなんですよ」ふぅん。
時間が来たので腰の毛布をとり、あーちゃんと一緒に鞍を着け直します。鞍下ごと鞍を首の所まで持ち上げ、いったん置いてから後ろにずらします。こうすると毛並みに逆らわないので、鞍傷が防げるらしい。
腹帯を締めて、鐙を合わせている間にあーちゃんがハミをかけてくれて、馬場に出る前に「鞍が濡れると滑るから」とタオルをかけてくれました。

馬場に出ると、あーちゃんが踏み台を持ってきてくれました。鐙を下ろして、あーちゃんが反対側に回り、タオルを外すと同時に鐙を押さえ、私は「乗ります」と声をかけて騎乗。乗ってみると、鐙があまりにも長すぎて、鐙に立てないくらいだったので1穴短くします。ここのところ、Y先生のご指摘で鐙長めで乗るようにしてはいるものの、これはあんまりだ。
今日の部班は、Fさんのリトル.フロスティ、相方のハイセイコーJR、私のモンブラン。それから、Uくんの乗った美星がすでに蹄跡に出ています。雨はぽつぽつ、というところ。乗る分には差し支えないんだけど、相方はK野さんに騎乗用のレインコートを借りていました。私は冬用ライディングジャケットを着ているので、ちょっとの雨では大丈夫だろう。
I野先生が出てみえましたが、先生はご自分の準備ができていなかったらしく、「蹄跡に出て常歩してて」との指示。この部班では、フロスティもJRもハナが切れない(というか、先頭に立つと動かない)子なので、私がハナを切るべきだろう。モンブランの場合、先頭のほうがむしろ素直に動いてくれます。

左手前で、常歩で周回。さっきUくんが動かしていてくれたからか、軽い扶助で前に出てくれるけど、これではまだ「1分で110m」はないなぁ、と思って両方のかかとで刺激します。
今日は後ろの2頭が重いので、できるだけ隅角を外めにきっちり回らせたいな。先週やったように内方脚で押し出すと、ふっと蹄跡を外に出ました。あれ、簡単にできた?偶然か、気まぐれかと思い、つぎの隅角でも試してみましたが、素直に隅角の外に出て、こちらの指示を待っている気配すらある。普段はあんなに蹄跡を外れるのをいやがって自分で勝手に曲がっちゃう子なのに、こんなに簡単に出るなんて。これは、Uくんの下乗りが効果あったのかな?

「じゃあ速歩いくぞー」と先生の声が聞こえた瞬間、もうモンブランの首は上下していて、自分から速歩を出す準備をしています。逆に少し抑えるくらいで、脚で軽打すると、速歩が出ます。正反動がだいぶ楽になって、ほとんどお尻が跳ねずにできるようになりました。
ですが、あんまりやる気がないのかな?脚で刺激するのですが、歩度が伸ばしにくいようです。「脚に力入れすぎ」と言われ、確かに今やっきになって脚を使っていたけど、速歩での脚の使い方というのが今ひとつうまくいかない。
軽速歩の指示が出て、少し歩度が伸ばせるようになったけど、鏡の前はものすごくやる気がなさそうなモンブラン。
「手前を換えるけど、隅角からじゃなくて、中央線から曲がるくらいの気持ちで曲がってきなさい」と先生がおっしゃったのはどうしてだろう?そのようにして手前を換えます。

右手前で、軽速歩で走らせます。突然、トイレを通り過ぎたあたりでモンブランが尻っぱねしました。一瞬、自分の腰が完全に鞍から浮いてしまってバランスを失ったものの、鐙が外れなかったのでどうにか踏みこたえ、手綱を引きながら腰を鞍に落とし、止まらせます。「どうしたのモンブラン、何もないでしょ?」モンブランをなだめて蹄跡に戻りますが、トイレの向こう側で軽トラが動いたか、最近馬場にいるハトが急に動いたかのどっちかでびっくりしたんだろうな。後ろで見ていた相方の証言によると、「完全に後肢が2本とも降り上がっていた」んだそうです。最近のこの子は、冬だから元気なのか、それとも別の理由があるのか、ちょっと落ち着かないところが出てきたような気がします。
その後も、クラブハウスのほうから聞こえてきた拍手にびっくりして跳ねたり(対角の位置にいたのになぁ)、部班の後ろにくっついていた美星が跳ねて駈け出したのにつられて駈けそうになったりと、いろいろやんちゃをしてくれました。
あとで先生に聞くと、「こういう天気の時は仕方ないんだよなぁ」ということ。野生動物だった本能として、雨が降り出しているような日は、遠くの音が聞こえないし、匂いも届かないから過敏になっているということでしょうか。

軽速歩のまま各個に巻き乗り、ですが円を半周描いた時点で後ろのJRにぶつかりそうになり、馬を止めざるを得なくなってしまいます。あーJR、怒ってるし。「今のは先頭が悪いぞ」進入が早すぎたのか、円の前半が小さすぎたのか、それとも最初に歩度が伸びていなかったために距離を開けておくことができなかったからか、どれだろう。全部かも。
その後何度か巻き乗りの練習をしたのですが、途中で止まりそうなのを一生懸命内方脚で蹴っ飛ばして走らせたりして、止まらずに巻き乗りはできるようになったものの、図形が正円にならない。「前半はみんないいんだけど、後半も前半と同じようにふくらませないと」焦ってるからかなぁ。

常歩に落として歩きますが、モンブランが沈静のようにのったり歩こうとしたので、かかとで刺激しながら歩きます。するとけっこう、ちゃっちゃか歩きます。「今の常歩いいぞ、それくらいで歩かせなさい」と先生、はじめて常歩を褒められたような気がする。見るとモンブランの首がちゃんと上下していて、少し丸くなっているようでもある。これがいい形なのかな。
常歩から、「全員とまーれ」で、手綱を控えて停止します。「そうやってがくっと止まっちゃうのはダメだぞ、『とまれ』から1、2、3で止まればいいんだ。もう一回速歩から」常歩発進、5〜6歩歩いて停止。ゆっくり手綱を引くと、停止の合図から後肢、片方の前肢、もう片方の前肢と3拍子で停止ができました。ですが、「手綱を引くだけじゃダメだぞ、脚で締めながら手綱を自分のほうに引き寄せるように」えっ、脚で締めるんですか?私ずっと今まで、馬を止めるときは脚は使わないで、手綱を引くことしか知りませんでした。馬が暴走したなどの緊急の場合、膝で締めるということは知っていたけど、先生は今膝とはおっしゃらなかったし、きっとふくらはぎを使うんだろう。
常歩から、ふたたびふくらはぎで締めながら手綱を引き、停止。ですが2歩で慌てて止まった感じになり、「それは違うな」と先生に言われ、自分でもそう思ったのでもう一度チャレンジ。ふくらはぎでゆるーく締めていきながら、手綱を少しずつ控えると、3歩でちゃんと止まりました。「そう、今のいいぞ」今まで自分が思っていた停止とはぜんぜん違っていたのに驚きでした。というか、100鞍越えるまで「正しい停止」をしていなかったんだ、ということに驚いた。

時間が来たので、沈静化して馬場中央に馬を並べ、挨拶。頭を下げると、ヘルメットのつばから水がぼとぼと垂れました。うわー、こんなに降っていたんだ。
モンブランを馬房に引き上げると、「風邪ひくんで急いで拭いてやって下さい!」というあーちゃん指令のもと、みんなでよってたかってモンブランの馬体拭き。それから脚を洗ってやって、なんとか馬体がかわいたところで馬着を着せて馬房へ。
馬房へいくと昼飼いの準備ができていて、もうそこへ鼻を突っ込もうとするモンちゃん。「モン、ちゃんとおうちに入ってからにしなさい」と馬房に入れ、その間にCちゃんが飼い桶を馬房に入れると、モンブランはまだ無口がついているのに飼い桶に突っ込んでいこうとします。「まだだよ、無口外してからーっ」と無口を外そうとすると、モンちゃんは激しく頭を振って、「そんなことはいいからメシーっ」というように、無口を振り払ってごはんを食べ始めました。あんたってホントに食いしんぼね。

あまりにも寒いので、食事の前に着替えます。キュロットを見ると、ライディングジャケットがかぶさる太ももの付け根と、チャップスの部分以外は見事にびっしょりでした。キュロットを脱いで見ると、ひざの皮膚が真っ赤。もうトシなんだから、膝を冷やすのはよろしくないんだよぅ。
着替えてクラブハウスに戻り、食事をしていると、窓の外はもうすっかり雪模様になり、当然午後のレッスンは中止。こんな中で良く乗っていたなぁ。中止の前でラッキーだったけど。
食事のあともクラブハウスの中で雑談。あーちゃんに、私がサンシャインで襲歩を出されたときの話をしていると、横に座ってらしたI野先生が「それで無事に帰ってこられたんだから、自信をつけてくれればいいのに、逆に怖くなって帰ってきちゃったんだよ、この子は。あれ以来ちょっと固まってるよなぁ」う、ばれてた。馬の首がちょっと大きく動くと、「走られるかも?」という不安がよぎるようになっているのは確かなんです。固くなってるのかぁ、そうかぁ。

クラブハウスでY先生とふたりになったとき、先生が「モンブランっていう馬は、重いんですか?」と聞いてきました「いえ、重くはないんです。ただ、何というかオートマチックな馬で…」「オートマチック?」「ビギナーさんを乗せることが多い馬なんで、蹄跡通りに一定のスピードで動くのがいいと思いこんでいるフシがあるんです。自分で判断して動いちゃうし」「号令で動くってことですか?」「そうそう、そうなんです。でも私はそれがすごくイヤなんで、そんなの馬術じゃないじゃないですか。だから自分の指示通りに動かそうと思ってるんですけど、なかなかうまくいかなくて、馬とケンカになっちゃうんです」「ケンカしてるようには見えませんでしたよ。そうしたいときはね、最初の常歩のときに、脚も舌鼓も鞭も、あらゆる扶助を全て使ってしまうんですよ。すると次は、舌鼓だけでも言うことを聞くようになりますから」「最初にビシッと乗るっていうのは、そういうことですか?」「そうですね」

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日の出乗馬倶楽部の馬場

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