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(2003.2.8 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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今日もいつもどおり11時の予約。日差しがわりにあたたかく、天気もいいので、これなら馬場も凍ってないかな。
倶楽部に到着すると、今日もK野さんがジープでハローがけをしていました。すっかり冬の朝の風物詩のようになってしまった光景。ホワイトボードを見ると、私たちの名字がジュンヨーとモンブランのところにあります。暗黙の了解で、相方はジュンヨーに、私はモンブランに乗ることに。
キュロットに着替え、チャップスをつけているとI野先生が出てみえて、「きみたち、今日は新しい馬が11時過ぎに来るから、レッスン中に入って来ちゃうんだよ」「あ、そうなんですか」先週から、Y先生ゆかりの馬を日の出で預かるという話は聞いていたのですが、まさかレッスン中に来るのだとは思わなかった。「ここで馬を下ろすとき、何があるから分からないから、レッスンは一時中止にして、いったん下馬したほうがいいな。入ってくる馬はともかく、こっちの馬がびっくりして暴れることだってあるからな」何しろ向こうっ気の強いモンブランだから、新しい馬にケンカを売りに行こうとされたら困るな。気を付けよう。

モンブランの馬房へ迎えに行くと、モンブランは馬房の奥の窓から外を眺めていました。「モーンちゃん、お仕事なんだけどー」と声をかけながら扉を開けると、よっこらしょという感じでこっちを向きました。無口を見せると、自分から鼻をつっこんでくる、楽なヤツ。無口と引き手を着け、扉を開けただけで自分から外に出るし。
馬繋場につないで裏掘り…をしようと思ったら、じょろじょろじょろ。あーあ、おしっこだ。隣の馬繋場まで流れて行かないうちに、バケツの水で流します。あらためて、ちょっとおしっこの臭う蹄の裏を掘ってやり、ブラシかけを始めようとしたところでK野さんがやってきました。「こいつちょっと回しますんで、出しちゃいますね」下乗りのかわりに、調馬索で回してくれるらしい。「ブラシまだだけどいい?」「いいですよ」と、モンちゃんは馬場につれていかれました。レッスン開始時間近くなって、モンブランが馬繋場に帰ってきたので、急いで装鞍。そこへお手伝いスタッフのあーちゃんが来て、彼女と話しながらやります。「モンブランって巻き乗りのとき、中に入ってこようとするじゃないですか。あれ、前の馬と同じところから入ろうとしないで、蹄跡をもう一歩先まで行ってから入るとちょうどいいんですよ」「そっかー、もとから大きい円にしてやればいいんだね?」とアドバイスをもらいながら、ハミかけ終了。「足上げで乗ります?」と、あーちゃんは割と私に足上げをしたがるなぁ。「うん、頼むわ」と、一緒に馬場へ出ます。

馬場へ出ると、K野さんが踏み台を持ってきてくれようとしたのを、「足上げやるんでいりませーん」と制するあーちゃん。馬の首に手綱をかけ、鐙を下ろすと、あーちゃんが私の左のすねを持ってくれます。1度目、彼女が持ち上げるタイミングと私がジャンプするタイミングが合わずに失敗。2度目はどうにかタイミングが合いましたが、ほとんどあーちゃんに持ち上げてもらう形になってしまいました。「いっぺん、お腹を鞍にのっけちゃうんですよ、それから上るの。補助付きの飛び乗りみたいな感じですかねー」「そうか、なるほどねー」下馬するときの正反対と思えばいいわけだ。
腹帯を締め直してもらい、地面に落としておいた短鞭を受け取り、体勢を整えます。するとK野さんが近づいてきて、短鞭を取り上げられました。「いらない?」「いらないですね」ということは、K野さんが調馬索で回していたときに、かなり元気だと判断したのでしょう。
今日の部班はリトル・フロスティ、相方のジュンヨー、私のモンブランの3頭。指導はK野さんです。「じゃあフロスティ、ジュンヨー、モンブランの順で」ちょうどその順に左から並んでいたので、順番に蹄跡に出ます。左手前で常歩。

常歩で歩きながら、K野さんに「モンブラン、ゆっくり行ってくださいね」と言われました。前にも、前に馬がいるとスピードが出過ぎるから抑えてって言われたっけ。
常歩のまま順次巻き乗り、モンブランは内側に入りたがる馬ですが、さっきあーちゃんに言われたように、前の馬よりも蹄跡を少し先まで行ってから巻き乗りを始めると、割と外めに出られました。ですが、途中で止まりそうになったので、内方の脚でぼかぼか蹴っ飛ばしながら、どうにか巻き乗り終了。
「フロスティだけ巻き乗りして、モンブランちょっと止まってください。フロスティ、ジュンヨーの後ろへ」ジュンヨー、フロスティ、モンブランの順に変わります。常歩だとあまり歩度が伸ばせず、行きたがりのジュンヨーと1歩がでかいフロスティからちょっと離され気味。「モンブラン、急がなくていいですからね」とK野さんのお墨付きをもらったので、隅角もきっちり回すようにして歩かせます。

「手綱短く持って下さい、速歩行きますよ」すでにK野さんの声で速歩を出そうとしているモンブランですが、前を行くのは重い重いフロスティ、きっとすぐには速歩が出ないに違いないので、少し抑えます。
案の定、なかなかフロスティは速歩になりません。モンブランが自発的に速歩を出そうとするので、速歩で追いついては止めます。ようやくフロスティが速歩になったのですが、常歩と違ってフロスの速歩は遅い。対照的にモンちゃんは、前に馬がいるとどんどん走りたくなるみたい。がーっと追いつきに行こうとするので、「速いよモン!」と抑えますが、フロスに追いつくまでは抑えきれない感じ。
「モンブラン、ゆっくりゆっくり」とK野さんに言われるのですが、今日のモンブランは抑えるのが難しい。

常歩まじりの速歩で周回していると、クラブハウスのまわりが静かにあわただしくなりました。「馬が入ってくるから」という声がクラブハウスの方から聞こえます。K野さんの指示で、馬を停止。いよいよ入ってくるのかぁ、緊張するなぁ。モンブラン、いきなり暴れ出したりはしないだろうな。
I野先生はさっき「下馬して」とおっしゃっていましたが、K野さんは「その場で馬を止めててください」と言うので、とりあえず乗ったまま馬を立たせておきます。隣の馬場にお尻を向ける形でたたずむモンちゃんと私、背後で馬が入ってきた気配がするけど、私はモンブランから目を離せなくて振り向くことができません。モンブランは背後の気配を感じるのか、すこし首を傾けて自分の後ろをじーっと見ています。もしかして、見慣れないヤツが自分の真後ろにいるのもイヤかもしれないな。納得するまで見せてやるほうがいいかもしれない、と思い、少し方向を変えて、隣の馬場へ斜め45度くらいで背中を向けるようにします。真っ正面から向くのはイヤだし。
私も、入ってきた馬の姿を初めてちゃんと見ることができました。芦毛の大きな馬、しっぽが真っ白でさらさらのきれいな子です。馬着は着たままで、連れてきた人が曳き馬をしています。おそらく日の出の馬場に慣らしているのでしょうが、入ってきた馬のほうは落ち着いたものです。
K野さんはジュンヨーのそばにぴったりついています。あの子が一番ビビリだから、K野さんも心配なんでしょう。

新しい馬、ペルシアンブルーは馬場をゆうゆうと歩いたあと、鏡の後ろの馬繋場に上がることになりました。ということは、いったん私たちのいる馬場に入ってきて、中央を突っ切ることになります。鏡の前のラチ沿いにいる私は、目の前を通られることになるので、ちょっと怖いかも。クラブハウスの方でI野先生が、「あっちに避けていなさい」とトイレ側の隅角を示されたので、モンブランをゆっくり歩かせてトイレの前へ。I野先生の声が聞こえなかったらしいK野さんに、「モンブラン止めといてくださいねー」と言われてしまったけど、見慣れない子に近くを通られるほうが怖いんだもん。
ペルシアンブルーがこっちの馬場に入ってきて、中央を横切る間、私はものすごく緊張してしまいましたが、モンブランは暴れることもなく大丈夫でした。でも、ペルのことをじぃーっと見てました。

ペルシアンブルーが馬繋場に上がってしまったので、レッスン再開。
やっぱり前のフロスティは速歩が出にくいようですが、モンブランはK野さんの声に反応してすぐ速歩を出そうとします。
しばらく左手前の速歩で走らせているうちに気がついたのですが、モンブランは前の馬と3馬身以上離れていれば、自分が先頭と思うのかゆっくり走れるのです。ところが、クラブハウスの前ではどうしても勢いがついてしまい、馬間距離が3馬身を切るとかーっとなるらしく、大慌てでフロスティに追いつこうとします。「速いよ!」と抑えると、フロスティのお尻にぶつかりそうになってようやくスピードを落とす、という感じ。お前、前がフロスティだからいいけど、ウィンダムやJRだったらとっくに蹴られてるぞ。
そこから隅角を大きく回して、フロスティから少し距離を置くようにすると、またゆっくり走れます。「そうそう、そのくらい首を下げて走れれば、反動も少なくて座れるはずですから」とK野さん。そう言われれば、なんだかモンブランの首が丸く下がっていて、手綱も引っ張られなくていい感じ。
ところが、前のフロスティが止まりそうになったり、モンブランに勢いがついちゃったりしてフロスティとの距離が縮まると、がーっと走ろうとします。抑えようとすると、首を高く上げてなおも走ろうとする。何これ、感じ悪い。フロスティに追いついてしまい、ぶつかるとイヤなのでフロスティの外側に回すと、その狭いところに突っ込んでいこうとする。もしかして、前に馬がいると追い抜きたいの?そんなところで、まだ競走馬してるの?

速歩のまま巻き乗り、内側の手綱を軽く控える程度で蹄跡から出すと、モンブランが首を曲げてハミに抵抗してきました。控えた側に向かって顔を上げ、ハミをゆるめようとしているぶっさいくな顔。あんた何なのよその態度は?すっごくハミを引っ張っているならともかく、ほんのちょっと握っただけじゃないの。なんかすごく感じ悪い。普段は、巻き乗りでやる気がないことは多いけど、こんなふうに抵抗してくることはない子です。やっぱり興奮気味なんだろうか?
蹄跡を軽速歩で走っていると、やっぱりクラブハウス前でスピードを出したがり、しかも首を上げて走る。ハミの位置が悪いのか?と思い、拳を下げることをこころがけますが、もともとそんなに上がってなかったみたいだし、効果ない。首を上げて走られると、抑えるのも難しいし、「走られてる」感じがものすごくイヤだ。「モンブランゆっくり、ゆっくり、体起こして」あ、今わたし、体固くなってた。

常歩に落としたとき、K野さんに「ねぇ、なんでこいつ走るとき頭上げるの?あたし何が悪いの?」と聞いてみると、K野さんはちょっと考えてこう言いました。「ずっと我慢して、我慢しきれなくなって頭上げちゃうんですよ。だから、手綱を控えて、ちょっとスピードが落ちたら、許してやるんです。また出るようだったら控えて、落ちたら許す」「ずっと手綱持ちっぱなしだったってことかぁ…」試してみたかったけど、もう時間がきたので、手綱を伸ばして沈静化に入ります。
なんだか今日のモンブランは興奮気味っぽいので、鐙あげはやめといて、座骨の位置を意識しながらゆっくり自由常歩します。
時間が来て、馬場中央に馬を並べて挨拶、下馬。今日はぜんぜんモンちゃんと気持ちが合わなかったなぁ。

モンブランを馬繋場に上げ、蹄の裏掘り。モンは午後もお仕事があるようなので、それだけですぐ馬房に戻し、昼飼いをあげます。
ところが昼食後、キャンセルが入ってモンブランの午後のお仕事はなくなってしまいました。スタッフのみんなは仕事が立て込んでいるようだったので、「モンちゃんのお手入れ、私するねー」とK野さんに言うと、最初は「Uくんにやらせていいですよ」と言っていたのですが、Uくんにも別の仕事があったので、「やっぱり、お願いします」ということになりました。
モンちゃんの手入れを自ら志願したという話を聞いた人たちから「モンブラン専属厩務員ですねー」と冷やかされながら、たっぷりお手入れ。めったにやらない、たてがみの櫛入れまでやっちゃいました。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)

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