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(2003.2.1 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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なんかニラんでない、あんた? ウィンダムにらんでない? 雲ひとつない快晴、今日も11時からの予約です。ついに拍車を購入したので、それも鞄に入れて倶楽部へ。
倶楽部へ到着してみると、K野さんがジープに乗って、馬場にハローがけをしています。ここのところずっと馬場が凍っているので、11時まではレッスンを中止にしているようです。
ホワイトボードを見ると、私たちの名字がジュンヨーとウィンダムのところにあります。前進気勢の強いジュンちゃんに私が乗せてもらえるわけはないので、これは相方がジュンヨーで私がウィンダムということだな。ウィンダムならニブいから、拍車つけてもいいかも。練習させてもらおうかな。
ハローがけを終えてクラブハウスへやってきたK野さんに、「今日わたしウィンダムなんだけど、拍車つけてみてもいい?丸拍車なんだけど」購入した拍車は棒拍車(シャンクが円柱形)ではなく、シャンクの先がちょっと丸めてあるものです。K野さんは拍車を見て、「いいですよ」と言った後、「あ、でもI野先生にも聞いてみてくださいね」とのこと。
ウィンダムの馬装に向かおうとしたらI野先生がいらしたので、「先生、拍車を買ったんですけど、これウィンダムに使ってもいいですか?」「おお、買ったのか」と先生は拍車を見た後、「いいんじゃないか、これなら」ということでした。

ウィンダムの馬房に行くと、もう扉の中からこっちをじーっと見ているウィンダム。無口と引き手を持って扉を開けると、鼻を寄せて私の袖や無口をあむあむしてきました。それをよけると、今度は引き手を見つけて口先ではむはむして遊んでいるので、やらせといて無口をかけます。
馬房の扉を開けて外に出ると、素直についてきたウィンダムですが、馬房から3歩ほど出たところでぴたりと止まりました。そうだった、こいつってこういうヤツだった。顔を見ると、すっとぼけた顔をして辺りを見回しています。何か気になるモノがあるのなら気が済むまで見せてやるのがいいんだろうけど、しばらく見せてやっても動きそうにないので、無口を引っ張ったり舌鼓したりしますが動きません。こいつ、面白がってるだけだな。お尻をたたいて動かそうとしますが、馬着を着ているので全然効かないうえ、引き手をもって彼のお尻に回り込むので、鼻先で私の背中を追おうとして首を曲げてきて、それじゃぜんぜん違う方向に行っちゃうじゃないの。
前にはウィンダムを馬房から出すときには、あらかじめ長鞭を持ってから行くというチエがついていたんですが、しばらくこの子に乗っていないので忘れていました。誰かが通りかかったら、馬繋場に置いてある長鞭を持ってきてもらおうと思うのですが、誰も通りかからない。押しても引いても動かないとは正にこのこと、どうしようかなと悩む間にも、ウィンダムはきょろっとした目をして泰然としています。
そこで、ウィンダムの馬着に目を付けました。胸前から引っ張れば、お尻のほうで馬着に引っ張られて前に出るはず。試しに馬着の胸前を引っ張ってみると、しぶしぶ一歩前に出ました。もうちょっと引っ張ると、ようやく動き出したウィンダム。馬着を着てくれてて良かった。

馬繋場につなぎ、馬着を脱がせて蹄の裏掘り。前脚を掘る間、ずーっと私の背中にちょっかいを出しているウィンダム。左前肢に手をかけただけですっと上がり、掘りおえて下げさせると、すぐに右前肢が上がっている。それを下げさせて後ろに回ると、もう左後肢を上げて待っているという具合で、「おかわり」をする犬のよう。しかも後肢をかなり高く上げてくれるのですけど、それは脚に負担がかかりやすいので「もうちょっと下でいいよ」と地面近くまで下ろさせるのですが、裏掘りのときは高く上げるものと思いこんでいるのか、やっぱり高く上げようとします。
ブラシを終えて、装鞍。毛布とジェルパッドを置き、鞍を置いて腹帯を締めようとするのですが、全然締まらない。ウィンダムは腹帯を締められるとき、お腹をふくらませて抵抗する子です。どうやっても、鞍の託革穴と腹帯の金具が3センチより縮まらない。とりあえずウィンダムの気をそらせようと思って、ちょっとその場を離れることにしました。その間に自分は拍車を装着して、戻ってまた締めてみるものの、相変わらず全然届かない。
もうどうしたらいいんだろう、と困り果てたところへ、「準備が出来たら馬場に出していいですよー」とK野さんが来たので、「K野さん助けてー、腹帯が届かない」と泣きつきました。「全然届きませんか?」「うん、右側も一番長いところにしてるんだけど」K野さんが代わってくれましたが、彼でも相当苦労したみたい。
どうにか腹帯が締まったので、ハミをかけて馬場に出ます。ハミをかけるのは一発。

馬場に出ると、会員のIさんが踏み台を持ってきてくれたので、補助をうけて騎乗。騎乗してしまうと、ウィンダムの腹帯は3穴くらい締めることができます。よっぽどふくらませてるんだなぁ、この牛め。
鐙があんまり長すぎたので、1穴だけ短くしている間に、他の馬たちも準備ができたようです。今日の部班はハイセイコーJR、相方のジュンヨーと私のウィンダムに、スタッフのA木さんが乗る美星、バイトスタッフのK田くんが乗るホクトの5頭。指導はK野さんです。
ジュンヨー、ハイセイコーJR、ウィンダム、美星の順に蹄跡に出ます。待機からの1歩目がなかなか出ないと分かっているウィンダムですが、かかとできゅっと締めると、すっと1歩目が出ました。お、拍車ってやっぱり効くんだぁ。
「そいつ拍車付けてるとすごく言うこと聞くんですけど、スピードも出るんで気を付けてくださいね」とK野さん。確かに、いつものやる気のない常歩に比べると、さくさく歩けているように思います。

常歩で歩いていると、かなりウィンダムの動きが良くてびっくり。ちょっと動きすぎじゃないかなぁ、と思っていると「全員とまーれ」の指示。K野さんが私に近づいてきて、「拍車ちょっと当たりすぎですね」と、私のかかとをとって拍車の位置を下げます。そういえばこの間の試合のあと、I野先生が「拍車の位置が高ければ効いたのに」というようなことをおっしゃっていました。拍車って、かかとの高い位置だと効きやすく、低い位置だと効きにくいものなのらしい。
常歩のまま順次巻き乗り、ちょっと前に近づきすぎてしまい、前のJRが振りかえってにらもうとしました。「ごめん近づきすぎた!」JRにはあまり乗ったことのない、私よりも鞍数の少ない人が乗っているのだから、後ろの私がもっと気をつけるべきだった。ふだんならウィンダムで、前の馬に近づきすぎると言うことはまずないのだけど。しかもウィンダム自身も、後ろの馬にガンを飛ばそうとしているし。ちょっと蹴っ飛ばして叱ります。

「じゃあ速歩いきますからね。歩度をつめて」元気良く歩かせるのは、今日は拍車のおかげで難しくありません。でも前のJRはなかなか出ないだろうから、JRが速歩になるのを待ってから出そうとしたら、こっちもタイミングを逃してしまい、鈍い速歩なのか、元気のいい常歩なのかよく分からない感じになってしまいました。反動の少ないウィンダムだと、足元が速歩になっていたとしても常歩と大差ないのです。ちゃんと速歩にしようと思い、両かかとで少しぐりぐりやると、速歩らしい速歩が出ました。

速歩のまま順次巻き乗り、前の馬より外めを回れなければいけませんが、やっぱり内にささっていくウィンダム。「馬の好きなように行かせちゃダメですよ、内方脚が効いてないから中に入ってくるんです。せっかく拍車つけてるんだから」それで、内方のかかとをちょっちょっちょっと使いつづけ、外方は拍車が当たり過ぎないようにつま先を内に向けてふくらはぎで押さえるようにすると、少しうまくいくようになりました。
軽速歩で走りますが、隅角ごとに内にもたれてこようとするウィンダム。どうにか外に出そうと思うんだけど、なかなか出ない。「内方の拍車が効いてないんですよ。ちょっとつま先立ちできますか?」そうかぁ、拍車の先が上を向いているほうが効くんだな。そういえば馬場の試合なんか見ると、べつにかかと下がってないもんね。言われてちょっとつま先立ちで鐙に立とうと思ったんですが、もう体がかかとを下げ気味でバランスがとれるように覚えてしまったらしく、かかとを上げるということがかえって難しい。最初のころは上がりまくってたはずなのになぁ。

右手前で速歩をしていると、前のJRが走りながらボロをしました。それは彼の得意技なので別にいいんだけど、ボロを踏ませるのがイヤなので蹄跡を少し内にそれます。
JRがボロをし終わったところで、ウィンダムを蹄跡に戻そうとしたところからウィンダムのわがままが始まりました。もともと内にささるのが好きな馬、一度内側に入ったら際限なく入っていこうとします。
外方の手綱を強めに引いて、内方の拍車で押しているつもりなのですが、磁石で反発しているかのように蹄跡に入りません。「いくら手綱ひっぱったってダメですよ、ちゃんと内方で押してやらないと、反抗するばっかりですよ」内方の拍車でぐりぐり押してやると、ちょっと外方に出たのですが、やっぱりもう少しのところで蹄跡には入りません。半周以上反抗され、「ムチ使って」長鞭を肩に当てると、ちょっとびっくりした動きをして、ようやく蹄跡に戻りました。あれ、ムチがいつもより効く?以前ここで逆ギレされたことがあるので、今日はちょっとだけ素直なのかも。もしかして拍車があるから?
「じゃあウィンダム先頭でいきましょうか」「え〜〜?」先頭で動けない馬ではないけど、スピードが上がらないから後ろが突っかえそうだなぁ。

軽速歩と速歩を織り交ぜながら走ります。隅角では必ず内にもたれようとするウィンダム、思わず外方の手綱を開いちゃうんだけど、それは違うらしい。「内にささるときは必ず体が倒れてきますから、そこで拍車と手綱で防ぐんですよ。内方ちゃんと持って、脚使って」内方の手綱で壁を作ってやるってことだな。左手前で、一番もたれやすいクラブハウス前の隅角を通ると、「ほら、何もしないと肩が倒れてきますよ」急いで内方の手綱を押し気味にし、内方のつま先を外に向け、外方のつま先は内へ向けてみます。「そこのラチは外に行きすぎますから、今度は外方を使って中に入れてやってください」隣の馬場との境目のラチは、いつか踏んじゃうんじゃないかと思うくらい寄っていくので、外方の拍車で少し内側に押し込みます。次の隅角でまた内にもたれることが分かっているので、今度は内方脚で外へ。「そうやって、外方と内方をちゃんと使い分けてくださいね」拍車の使い方を細かく教えてくれるK野さん。
拍車があると、内方と外方の区別が意識しやすいかもしれない。

右手前で軽速歩をとっていると、後ろで不穏な気配がして、ウィンダムがととん、と2歩だけ駈けました。すぐ速歩に落ちたので、とりあえず止まらせます。誰かが後ろで「ごめん!」と叫んでいる。後ろでなんかあったな、と思って振り返ってみたら、相方が地面に立って、体についた砂をはらっているではないですか。ありゃ、落馬したんだ?
あとでみんなに聞いた話を総合してみると、風か車に驚いた美星が跳ねて、それにびっくりした気の弱いジュンヨーがもっと跳ねて、相方が落馬したらしい。ウィンダムもつられてちょっと走ってみた、ってところだったみたい。相方いわく、「落ちてからちょっと引きずられた」のだそうで、あとでポケットの中から砂が出てきました。

左手前で調子よく走れていたウィンダム。そこで「斜めに手前を換え」で、右手前へ。ウィンダムは確か右手前が得意だったと思うんだよね。拍車もあるから、スピード出し過ぎないようにしないと。
右手前で速歩していると、なんだか反動がヘン。ほとんど反動がないウィンダムだけに、後肢の変な感じがモロにきます。「全然前に出せてないから、そんな跛行みたいな走り方するんですよ。…まぁ実際痛いんですけど」「えっ? …あっ、肢巻忘れた! ごめん!」うわー、ごめんよウィンダム。ウィンダムの後肢には肢巻が必要なことを忘れていました。それでも、速歩のまま両方の拍車で追うと、だいぶ普通に走れるようになってきました。でも速歩って、馬の脚に負担かけないかなぁ、軽速歩のほうが良かったりはしないのかしら。

かなり心配しながら、速歩と軽速歩を続けましたが、ウィンダムはちゃんと走ってくれました。それどころか、停止でいったん止めて、常歩発進だったのに、自分から速歩になっていき、「常歩ですよー」とK野さんに怒られる始末。けっこうやる気じゃん、ウィンダム。
時間がきたので、手綱を伸ばして沈静化。この時間に、できるだけ常歩で腰であおらない練習と、ふとももで挟まないで座骨で乗る練習のために、鐙上げをしよう。まず万が一に備えてサドルホルダーを持ってから、拍車が馬体に当たらないように気を付けながら鐙を脱ぎます。脚をできるだけ馬体から離し、座骨だけが当たっているような感じで、馬の動きを感じる努力。
「順番通りでなくてもいいですよ」とK野さんの指示で、それぞれのペースで常歩。ウィンダムは自由常歩だとのったりのったり歩くので、後ろにいたJRが追いついてきそうになってきました。うーん、このままではウィンダムがJRにケンカを売るな。で、JRはそれ買うな。
いったん鐙をはき、後ろのJRに「そのまま行ってくださーい」と声をかけ、自分は大きく巻き乗りしてJR、美星、ホクトの後ろにつきます。一番後ろであれば、後ろに馬がいないのでウィンダムはおとなしいはず。手綱をゆるめて乗っているし、危険は最大限避けたい。
また鐙を脱いで、列の最後尾について常歩していると、だんだん前から遅れていきます。何周目か、クラブハウスの前を通りかかったときに、ウィンダムが突然跳ね、馬場中央に向かって駈け出しました。サドルホルダーを持っていたおかげで落馬はまぬがれましたが、このゆるい手綱でこいつをどうやって止めたらいいのだ。
幸いにウィンダムの駈歩はゆるゆるなので、とりあえず膝で締めながら片手で手綱をまとめ、しぼります。ウィンダムも長く駈けるつもりはなかったらしく、すぐ止まりました。ふー。
K野さんはじめ、みんなが「大丈夫?」と心配してくれましたが、まぁ人も馬も大丈夫らしい。「拍車が間違って入っちゃったかなー?」と言うと、A木さんが「そんなことありえないよ」。もしかするとこの日は風が強かったので、クラブハウスの屋根に木の実でも落ちてきたかな。
それにしても、自由常歩の最中に急に駈けるなんて反則だよぅ、ウィンダム。

馬場中央に入り、馬を並べて挨拶。下馬して、たっぷり愛撫してやりました。脚が痛いのに頑張って走ってくれて、えらかったね。
馬繋場へ連れて行くと、スタッフのK村さんがいたので「ごめん、ウィンダムの脚痛くしちゃったかも」と言うと、「あぁ、そいつもともと肩悪いから、脚痛いのは持病みたいなもんだから、気にしなくていいよ。いつもだから」「あ、そうなの?」
ウィンダムはもう今日のお仕事はこれだけだったらしいので、脚を洗ってやります。ホースの水をツメにかけると、自分から脚を上げるウィンダム。脚のうらを洗ってもらえるのだと知っているのだろうけど、私はツメの表面を洗いたかったんだけどなぁ。ツメの中を先にあらってやり、さてツメの表面を洗おうとして水を上からかけると、また脚を上げる。水がかかったら脚をあげるもんだと思ってるんだね?バカなんだか利口なんだか、おもしろいヤツ。

↓日の出乗馬倶楽部の馬場
日の出乗馬倶楽部の馬場

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