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(2003.4.20 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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土曜日は中山競馬場に中山グランドジャンプ(J・G1)を観戦に行ったため、今週は日曜日14時からの騎乗予約。天気予報は崩れやすい天気、と言っていてちょっとイヤな予感がしたのですが、家を出るとやっぱり小雨が降っています。まぁ乗れなかったとしても、誰かしらは来ているだろうから先週の試合の写真を見せに行こうか、ということで一応日の出へ。
倶楽部に到着したころには、雨もずいぶん小ぶりになっているし、またみんな元気に乗ってるんだもんなー。結局乗ることにしました。騎乗馬は、相方はホクト、私はハイセイコーJRです。

レッスン開始20分前、馬装に向かいます。いつも重い重いJRですが、周りに聞いたところでは今日の午前中はけっこう元気に動いていたということなので、ちょっと期待してみようかな。でも動かないことは分かっているから、とりあえず拍車使用。皮膚の弱いJRだけど、私の拍車は丸いから傷もつかないだろう。
JRの馬房をのぞいて見ると、彼は珍しく座り込んでいました。そんなに午前中頑張ったの? とにかく立ちあがってもらおうと思って、声をかけながら扉を開けますが、ちらっとこっちを見てからまた顔をそむけます。こいつ、お仕事したくなさそう…。馬房の入り口で、両手で下から上にあおると、ようやく前肢を立てました。この巨体にぶつかられたくないのでちょっと身を引くと、ようやく立ちあがってぶるぶる。無口と引き手をつけて、馬繋場へ。

馬繋場につなぎ、蹄の裏堀り、ブラシかけ。寝転がっていたから、体にいっぱいオガをくっつけてるし、お前おしっこした上に寝ただろー、くさいぞ。まったく無頓着なんだから。
ブラッシングを終え、馬装。この子は基本的にのーんびりしているので、馬繋場ではまったく手がかかりませんが、表面積が大きいのでブラッシングに時間がかかります。ブラッシングを終え、前肢にプロテクターを着けて装鞍を始めたころ、前のレッスンが終わって馬が上がってきました。馬繋場の数は足りているので大丈夫ですが、前のレッスンが終わったってことはそろそろこの子を出さないとな。するとK野さんが、相方の乗るホクトをもう馬場に出すようです。あ、下乗りするのね。
無口を外し、頭絡をつけようとすると、自分から口を開けてハミを口に入れてくれるので、さっさと終わってしまいました。でも馬場に連れていこうとすると、道草を食おうとするんだよな、こいつは。それを引っ張って阻止すると、今度は私の肩に鼻をぶつけてきます。遊びたいだけなんでしょ、あんた。

馬場でK野さんがホクトの下乗りをしているので、手の空いた相方が騎乗の補助に来てくれました。スタッフのK村さんが踏み台を持ってきてくれたので、それで騎乗。ずいぶん鐙に足をかけるのが楽だなと思ったら、鐙革がえらく長かった。鐙に立ちあがってみたら、鞍から股が離れないんだもん。1穴短くしてもけっこう長めでしたが、まぁこのくらいなら頑張ってみよう。
ホクトもK野さんが降りて乗りかわり、馬場に馬が揃ったのでレッスン開始。今日の部班はホクト、ロゼッタ、ハイセイコーJR.、指導はK野さんです。「ホクト先頭で、次ロゼッタ、JRでいきましょう」指示どおりの順序で蹄跡に出ます。

JRに拍車を着けて乗るのは初めてですが、なんだ、よく動くじゃないの。この巨体で、前のロゼッタにもついていけなかったらどうしようと思っていたのですが、むしろロゼのお尻にJRの鼻がくっつきそうなくらい。馬場の隅角をできるだけ外に回し、それでもどうしてもダメなときはいったん停止させて、距離をとるようにします。
前にK野さんから、こいつは体がでかいから手綱を短く持つと機嫌が悪くなると言われたので、少しゆるめに手綱を持ちます。先週の試合で乗ったトウノくんもそうだったけど、手綱を持つと動かない馬もいるってことなんだよね。別に馬の機嫌を取るわけではないが、お互い気持ちよく運動したほうがいいには違いない。いつも、首をぐわっと下に下げて手綱に反抗することの多いJRですが、今日は1度それをやられたときに拳で持ちこたえ、少し拳を握って叱ってからゆずってやると、それからはほとんどしませんでした。
今までのレッスンで、すでに蹄跡の形に砂が掘れてしまっているので、JRはその通りに歩こうとします。でもそれより外に出したいので、手綱で外を向かせようとすると、イヤそうな顔をして手綱に反抗します。何度やってもそうなので、これは手綱で動かそうとしてもダメなんだな、と拍車で外に出すと、案外素直に外に出ます。JRはあんまり拍車慣れしていない馬だけど、拍車に対する反応が素直だなぁ。拍車ナシで乗っていたときには、脚にも反応しない、どうにも動かしにくい子だと思っていたけど、拍車があればOKなんだ。

「歩度をつめ」で、拍車をきゅーっと腹に押しつけてやると、もう首を元気に使いはじめるJR。「はやあーし」ぐりっ、っで簡単に速歩が出ました。
先頭のホクトはむしろかかり気味の馬なのですが、2番騎のロゼッタがなかなか速歩にならず、出てもすぐ常歩に落ちてしまいます。鞍上のYちゃんは鞍数も少ないし、自分もそれくらいのときはロゼッタが全く動かせなかったのだから、それは当然だろう、こっちが合わせてあげないと。できるだけ大回りしながら、ロゼッタに追いつかないようにします。JRの速歩は、巨体のくせにものすごくのろいので、いったん速歩が出てしまえばロゼッタの方が速いのですが、ロゼッタが常歩に落ちると追いついてしまい、JRも自分から常歩に落ちようとします。そこをなんとか、速歩のままでロゼが速歩になるのを待たせたいもんだ。
巻き乗りでも当然のように途中で常歩に落ちるロゼッタ、あんたもつられてんじゃないわよ、JR。内方の拍車を使いながら巻き乗りすると、けっこう素直。少なくともウィンダムほど内に倒れこんでこないので楽だな。

K野さんが私に気を使ったのか、Yちゃんに指示してロゼッタを私の後ろに行かせました。これで順序がホクト、JR、ロゼッタになりましたが、JRって後ろに馬がいると気にして前に出なくなるんだよなぁ、確か。案の定、後ろにロゼッタが近づくと耳を絞って振り返ろうとするので、「あんたがさっさと行けばいいのよっ」と前に出します。
すると鐙が長いせいで、鐙が外れてしまうんだけど、片方の鐙が外れたまま軽速歩を続け、座ったタイミングのときにつま先で鐙を探し、なんとか踏み直します。安定感のあるJRだからできる芸当だけど、我ながら器用になったもんだ。
軽速歩をとって走っていますが、前のホクトには離されっぱなし。ロゼッタを抜いた時点でも、すでに7〜8馬身離されています。「JR、歩度伸ばして追いついて」って、けっこう難しいことを簡単に言ってくれるね、K野さん…。拍車を強めに使い、腰を上げるタイミングを早め早めにして追っていきます。少しは歩度が伸びたようだけど。「拍車、ぎゅーっ、ぎゅーって使ってみて」拍車を当てる時間を長めにすればいいのか。立つ、座るのタイミングで、座る時に拍車を使うのが基本ですが、立つときにもまだ拍車を当てっぱなしのつもりで長い時間当てておきます。JRにしてはよく走れているんだよね、これでも。
手綱をゆるめに持っているせいか、拳を前に持って行かれないぶん拳の位置を安定させるのも楽。

速歩に落とすと、JRは反動が少ないので座りやすい。「座る、座る、いっぱい座って、いっぱい座って」と後ろのYちゃんに指示するK野さんの声。Yちゃんはまだ中学生なので、K野さんも分かりやすい言葉を選んで指導している感じ。思わず参考にしてしまいます。
先週の試合の前日、いい感じで腰を張って座れたので、その感じを思い出しながら上体を後ろに倒し、肩を引きます。うんうん、今日もいい感じ。お尻が鞍からほとんど離れずにすんでいるし、肩を引いてあごも引いて、前に乗馬の本で読んだ「人間もハミをうける気持ちで」というのが、できてる感じがする。ついでに、ならったばかりのやり方でJRにハミ受けを求めてみたら、軽く首が下がります。たぶんハミ受けしてくれてるんだろうなぁ、これが拳の感覚で分かるようになりたいものだが。
それにしても、速歩の反動で鐙がすぐ外れてしまいます。やっぱり長すぎたかな。「脚が前に出てますよー」と、K野さんの苦笑交じりの声。それって明らかに鐙が長いせいだろう、と自分でもちょっと笑ってしまいましたが、頑張って脚を引きます。

30分くらいは頑張ってみたのですが、この鐙の外れ具合、もうあかんわ。鐙を踏みなおそうとするときに、ゼッタイ膝でしがみついてしまうし。常歩の指示が出たので、その間に歩きながら鐙革を短くしようとしたのですが、これが思ったより難しかった。「K野さんごめん、もうギブアップ。鐙短くしていい? 」「じゃあそこで馬止めて」馬を止まらせて、K野さんに手伝ってもらって鐙を短くします。「なんか頑張ってるなぁと思って見てたんですけどね」と苦笑するK野さん、私が思いっきり長くしてたのは知ってたのね。「うん、頑張ってみたけどやっぱ難しかった」「でもこれ、穴の間隔があるからずいぶん短くなりますよ」確かに今度は、えらく短いような感じ。でもこのままじゃ脚が前に出てしまうし、駈歩も出しにくそうだから仕方あるまい。少しずつチャレンジするとしましょう。

短くした鐙で、またしばらく軽速歩。さすがに鐙が短いと楽だけど(いや、これでいつもの長さなんだけど)、今度は膝が前に出てしまわないように気をつけなくては。
速歩から、停止。私の馬の止め方を見て、「急に止めちゃだめですよ、じわっと止めて」うん、確かに今のは手綱で止めた。ふたたび常歩から停止、今度は脚を締めて、座骨を起こしたら、手綱を引くか引かないかで停止しました。
「じゃあ手綱を伸ばして、ゆっくり歩かせてください」あれ、もう沈静化か。今日は結局、駈歩なかったな。
JRの好きに歩かせていると、ロゼッタには追いついてしまうわ、ホクトには追いつかれるわで、ときどき巻き乗りを入れながら歩かせます。手綱はほとんど伸ばしっぱなしのまま、座骨への過重と拍車だけで、けっこうちゃんと巻き乗りしてくれる。
次のレッスン準備のため、ラチを片付けはじめたK村さんが「今日うまかったじゃない」というので、「JR、あんなに動かせなかったのにねー」と馬上から応じると、「相性いいんじゃないの?」とおだててくれる。まぁこの子には、運動会で障害も勝たせてもらっているわけだしね。「JR、皮膚の治療するから、今日手入れ俺がやるね。その代わり、ロゼッタの手入れみてやってくんない?」「見てるだけでいいの?」「じゃなくて、教えてやってよ」まぁ、こういう依頼をされるということは、私の手入れの仕方は悪くないと思っていいんだろうな。

沈静化を終え、馬場中央に馬を並べて挨拶。そのとき、K野さんが「競技会行って、上手くなって帰ってきましたね」と言ってくれました。めったに出ないK野さんの褒め言葉、試合で3位になったことよりも、この評価の方が嬉しいかもしれない。
スタッフのA木さんも、「今日はうまく乗れたねー、首も2回しか下げられなかったし」(って、そんなの数えてたんかい)と誉めてくれたし、今日はずいぶんいい感じで騎乗できて満足でした。
馬繋場でYちゃんがロゼッタの手入れをするのを見てあげていましたが、と言ってもYちゃんが手入れをするのを見ていて、気になるところや戸惑っているところに口出しをするだけ。手はけっこうヒマなので、K村さんが「ごめん、やっぱりJRの脚拭いてくれる? 俺やるって言っといて悪いんだけどさ」と言われ、タオルを持ってきます。
JRの脚を拭きながら、今日はけっこう納得できる騎乗ができたのが感慨深くて、「わたし最初のころ、この子怖かったんだよねー、こいつ跳ね馬だったし」とK村さんに言うと、「ああ、みんなそう言うね、昔を知ってる人は」。JRは、明らかにK村さんがスタッフになってからいい子に変身したので、「何やったのよ? 」と聞いてみると、「別に、根性叩き直しただけだよ。こいつさぁ、基本のところは性格いいからさ。ひねくれてないもん。きっとすごくかわいがられてたんだよ。それが乗馬になってさ、昔ほどかまってもらえないから拗ねてただけなんじゃない」そりゃ、競走馬時代は1人の厩務員さんが2頭持ちで世話をしてくれていたのだろうから、かわいがられ方は乗馬倶楽部の比じゃないんだろうけど。そんなことまで分かってあげて、もとのいい子にさせるなんて、さすが日の出のホースウィスパラーだ(って、誰が言ったんだろう? )。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)

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