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(2003.4.26 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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午前中の1鞍を終え、馬に昼飼いをつけてから昼食。クラブハウスで雑談していると、あっという間に13時半、次の馬装へ向かいます。さっきK村さんに言われたように、「馬取りかえる? 」と相方に聞いてみると、「ロゼッタにも乗ってみたい」という返事で、取りかえることにしました。私と同じレッスンで乗っていると、馬格の小さいロゼッタは女性に配馬されることが多いので、彼はまだロゼには1回しか乗ったことがないのだそう。
そういうわけで、相方はロゼッタ、私はハイセイコーJRの馬房へ向かいます。

JRの馬房をのぞくと、JRも外を見ていたので、扉をあけて中に入ります。無口をかけようとすると、イヤがってという感じではなく、遊びたそうな感じで無口を振り払うJR。見かけによらず甘えんぼなんだから。
鼻面をつかまえて無口をかけ、馬繋場に出ます。さっき一度ブラシとかかけてもらっているはずなのに、もうお腹や後肢にオガがついているし、蹄の中にもぎっしり。前肢は素直に上げてくれるのですが、左後肢だけはちゃんと上げず、つま先をついて膝を曲げ、ちょっと裏を見せるだけ。この肢はいつも腫れたような感じなので、たぶんあんまり上げたくないんだろうな。でもこの上げ方では私が危ないので、蹄をとって持ち上げます。お、重い。
「JRのプロテクター洗っちゃったから、あたしの使ってー」とA木さんが貸してくれた前肢プロテクターを着け、タオルと毛布、ジェルを乗せます。JRの鞍に見なれないものがついていたので、「これどうすんの? 」と相方に聞いてみると、「サイドレーンね、いっぺんこのまま鞍着けていいよ。あとはK野さんか誰かがやってくれるから」。そういえばさっきのレッスンの終了時、「サイドレーン良かったですねー」とK野さんとK村さんが話していたような。
鞍をつけ、ハミをかけて馬場へ出ます。

馬場へ降りる坂道の途中、いつものように道ばたの草をつまもうとするJRの手綱を引っ張って阻止すると、今度は鼻づらを私の肩にぶつけてくるJR。「わーかった、わかった」と馬場に引っ張っていくと、A木さんが笑いながらこっちを見ていました。
鐙を下ろしている間に、A木さんがサイドレーンを装着してくれました。鞍のサドルホルダーの位置から繋がれている革ひもを、ハミに金具でつなぐ感じ。「これ、なんのために着けてるの? 」「これ着けてると、頭が下げられないんだよ。下げられないから、そのうち諦める」「諦めてくれるの? それは素晴らしい」JRはいつも、飽きてくるとハミに反抗して頭を地面近くにまでぐわっと下げて、手綱をゆるめようと試みるクセがあります。拳でこらえるのが難しい初心者のころは、それがけっこう怖かったものだったけど、それがないならずいぶん乗りやすくなるんじゃないの。

今回のレッスンは、ロゼッタ、ハイセイコーJR、ウィンダムの3頭。指導は変わってA木さんです。「じゃあ、ロゼッタ、JR、ウィンダムの順で、左手前で出てくださーい」蹄跡に出ると、私の後ろのウィンダムに乗っているIさんが「あんまり前に近づかないでくださいねー」と言われている。JRもウィンダムも他馬に対してすぐ怒る馬だからなぁ、って思ってるそばからJRが後ろを気にして耳を絞っている。
すでに1鞍運動した後だし、今日はずいぶんあったかいのでダレてきたのか、JRの歩様はだらだらしています。でもその歩様でゆられているうちに私もなんだか気持ちよくなってきて、なんかこのまま、この日差しの中でずーっと常歩してるのも気持ちいいかなぁ、なんて一瞬考えてしまったほど。
前のレッスンでできた蹄跡の、隅角の外側にパイロンが置いてあり、「パイロンの外回りましょう」という指示。そこでパイロンの外に持ち出そうと内方脚を使ってみたのですが、JRは蹄跡から外れたくないみたいで、結局蹄跡を歩くハメに。「なんか1頭、蹄跡歩いてるのがいるけど〜? そこの栗毛〜」「うわぁすいませーん」。
常歩のまま順次巻き乗り、これはけっこううまくできて、「すごい、今全員内にささらずに巻き乗りできましたね」。

速歩を出していきますが、JRはさっきのレッスンで気が済んだのか、かなり重い。軽速歩をとって、座るところから立ち上がるところにかけて、かなり強く拍車を使っているつもりなんだけど、ぜんぜん歩度が伸びません。対して前のロゼッタは、けっこう簡単に歩度が伸びているような感じ。あとから考えてみると、丸拍車で脚力の弱い私が乗ったあとのロゼッタを、棒拍車で脚力の強い相方が乗るほうが楽だろうし、JRについてはその逆が言えるわけだ。
「斜めに手前を換え、線上歩度伸ばしましょう」と言われ、線上で一生懸命脚で押し出していると、「前傾してるよー」とA木さんの声が飛びます。前に行っていたのは自分の気持ちだけで、焦るとどうしても悪い癖が出てくるんだよね。ふだん、気をつけているときはだいぶ前傾しなくなったとは思うのだけど。
「長蹄跡は軽速歩で歩度伸ばして、短蹄跡は速歩に落として歩度つめましょう」正直言って、日の出の馬場の場合はどっちが長くてどっちが短い蹄跡かよく分からないんだけど、たぶん南北(左図で上下)のラインが長蹄跡だろう。長蹄跡で拍車を使って追っていきますが、あんまり効果ないなぁ。「座って拍車を入れようとするときに、膝曲げちゃってるの、膝から下が上に上がっちゃって、毛布に当たってるよ」あぁ、そうなのか。自分のイメージとしては外から内に、馬体に当たるように入れているつもりなんだけど、現実は違っているらしい。
「今度はずっと速歩のままで、長蹄跡は歩度を伸ばして、短蹄跡で歩度をつめて」うーん、速歩で歩度を伸ばすのって難しい。鞭を使って前に出すと、鞭が入った瞬間に過剰反応するので、なんかイヤな感じだし。

「じゃあ1頭ずつ駈歩いきましょう。ロゼッタから」全頭が蹄跡で常歩をしながら、1頭ずつ駈歩をします。前のロゼッタが駈歩を始めると、何歩目かで踏歩転換されている。私も最近やっと慣れたけど、「内方に乗れてないと踏歩転換しちゃうよ」とA木さんが言う通り、ロゼッタはずいぶん精密な扶助を要求する子です。
ロゼッタが最後尾のウィンダムに追いつき、「じゃあ次JR駈歩やってみようか」で、駈歩の体勢を取ろうとした瞬間、もうJRがとととっと速歩になっている。「JR、違うんだよ、そうじゃないの」このままでは勢いで駈歩が出てしまって、それだとけっこう怖いことになりそうだし、馬術としては間違っているので、とりあえず一度止めます。前にこの子で駈歩をしようとしたときにもこんな感じで、「馬が単騎で蹄跡に出たら駈歩、って知ってるから行きたがるんだよ」とI野先生に言われたものですが、やっぱりそうなんだな。
常歩に落としても、またすぐ速歩になろうとするのだけど、どうにか止まらせて、隅角からなら駈歩を出しやすいだろうと思って、そこまで常歩で持っていきます。隅角から駈歩の扶助を出してみると、2歩目くらいでどうにか出ましたが、今のは勢いで出たな。
JRの駈歩は、体が大きいのでぐぉん、ぐぉんといううねりを大きく感じます。「なんかちょっと早いんじゃないのー、JR」と思わず口から出てしまったあと、反動に耐えきれずにお尻が浮いてしまい、鐙に立つようになって速歩に落ちました。うーん、さっきロゼッタの駈歩ではちゃんとお尻が鞍についていたのに、なんでこんなに持ってかれちゃうんだ。「速くなっちゃったからだと思うんだけど、手綱にしがみつかないでね。手綱もう少し長くていいな、今完全に巻き込んじゃってるよ」「巻き込んでる? 」思わずJRの首を見てみると、「うん、それは下がりすぎ。手綱に余裕がないから、駈歩で首が前に出たときに拳持ってかれてるんだよ」
ふたたび駈歩発進をしようとしますが、その体勢を整える前から速歩になってしまう。JR、あんた行きたがりすぎよ。

ロゼッタに追いついて常歩、後ろのウィンダムが駈歩をします。
3頭ともひととおり駈歩をして、「これで3頭いっぺんに駈歩は難しそうだから、一度中に入りましょう」ということで、馬場中央に入ります。
ふたたびロゼッタから駈歩、そのときA木さんが私に「どう、JRの駈歩怖いかなぁ? 」「うーん、ずいぶん持ってかれてる感じで、体でかいから速く感じちゃうんだけど」「そうだよね、ホントは全然脚は動いてないんだけどな。脚の動きだけで言ったらロゼッタのほうが速いんだけどね。じゃあびゃーって速くなっちゃわないように、誰か前にいてもらう? 」でもロゼッタはもう蹄跡で駈歩をしているので、「ウィンダム? 」「それじゃ血見るなぁ。わかった、ロゼッタに前で速歩しててもらって、後ろでJRが駈歩をする…それも追いついちゃうな。じゃあ蹄跡のどこかにロゼッタにいてもらって、ストッパーになってもらおう。ロゼッタの前から駈歩を始めて、1周してきて速くなったなーって思ったころにロゼッタに行き当たるよ」「そうね、それでいこう」ということで、私が蹄跡で単騎駈歩をするときには、相方とロゼッタに蹄跡にいてもらうことになりました。

相方の駈歩が終わって、「じゃあロゼッタ、そのまま蹄跡で常歩か速歩してて、ストッパーになってください」と、さっきの相談内容を説明しているらしい。私はJRを蹄跡に出しますが、出した瞬間にやっぱり、速めの速歩を始めるJR、そうじゃないからいったん止めようとするんですが、止めるのもけっこう難しい。どうにか常歩になったところが隅角だったので、そこから駈歩の扶助を出したつもりだったんですが、出たのはやっぱり速歩。止めてやり直し。「馬によって違うから、外方も使ってみて。内方でぎゅーってやって、外方でポン」でも内方姿勢がとれないうちから、速歩になってしまう。「常歩常歩。じゃあ一度、軽速歩してみようか」そうか、蹄跡で必ず駈歩って思ってるわけだから、軽速歩で落ち着かせるっていうのもアリか。少しだけ軽速歩で動かすと、これがいい軽速歩ができちゃったりして。
そこからまた常歩に落として、駈歩発進。でもなかなか駈歩が出ない。「内方ぎゅーっ、外方ポン」と言われながらその通りやってみますが、出るのは速い速歩ばかり。ちゃんと内方姿勢になってないもんなぁ、それは出ないわなぁ。どうにかこうにか出した駈歩も、これはいいかげんな駈歩発進だ。納得いかない。
「あんまり下見ないでねー」JRの反応を見すぎて、馬の耳と首ばっかり見ていたようです。

馬場中央に馬をもどして、ウィンダムの駈歩を待ちます。その間、JRが飽きたりロゼッタにケンカふっかけたりしないように、たまに立ち位置を変えながら。
ウィンダムも駈歩を終え、蹄跡に戻ります。全頭で蹄跡に戻ると、ちっとも行きたがらないんだなぁ。さっきのやる気はなんだったのよ。そのあとしばらく軽速歩をしましたが、すぐ時間が来たので手綱を伸ばして沈静化。
歩きながら、A木さんに「どうだった、JRの駈歩? やっぱ怖いかな」と言われ、「うーん、この人の行きたい気持ちについていけない…。」「もう蹄跡出たときから、行きたい! 行きたいのぉ! ってなっちゃってるからねぇ。慣れるとこいつの駈歩、すごい気持ちいいんだけど」速歩でも反動が少ないし、たぶんこの大きい動きに慣れてついていけるようになれば、すっごく楽なんだろうな。JRを愛馬にしている相方なんかは、ロゼッタより楽だと言うし。

馬場中央に馬を並べ、挨拶して下馬。下馬しようとすると、自分の足がえらく疲れていることに気がつきました。「すっげー足痛い、脚に力入ってたんだねぇ」とA木さんに言うと、「そうだねー」。あとから考えると、鞍の上でお尻が跳ねるのは脚に力が入りすぎていたせいではないのかな。
馬繋場にJRを連れて行くと、このレッスンに出た馬はすべて今日のお仕事が終わりなので、丸洗いの指示。今日は暑いけど、馬丸洗いの季節になったんだねぇ。
JRは丸洗いのあと、皮膚の消毒があるので、A木さんにやってもらいました。いやー、久しぶりの1日2鞍は疲れた。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)

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