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(2003.5.3 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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GW締めくくりの3連休の初日、今日もいい天気です。14時の予約で日の出へ。
朝は涼しくて快適だったのですが、倶楽部に到着する頃にはすっかり暑くなっていました。今日の予想気温25度とか言ってたもんなぁ。
おととい、新品の革長のかかとがかぽかぽ浮いてしまったので、今日は靴の中敷を入れて厚手の靴下を履き、拍車革を強く締めてリベンジ。そうやって騎乗準備をしていると、I野先生が「それで、上着はどうするんだ? 」上着? まさか上らんを持ってきているわけではないので、「このTシャツで乗ろうと思ってますが」「下が革長で、それはないだろう」「わ、わかりました、着替えます」先生のおっしゃっているのは、馬乗りたるもの、襟のある上着で乗れ、ということでしょう。たまたまTシャツの上から七分袖のシャツを羽織って来たので、Tシャツを脱いでシャツ1枚で乗ることにしました。更衣室から出て、「これでよろしいでしょうか」と先生におうかがいを立てると、「すそは? 」裾の短いシャツだったので、キュロットの外に出していました。ぎりぎりでそれをキュロットの中に押しこむと、「そうだよ、それでかっこいいじゃないか。せっかく革長なんだから、上もちゃんとしないと」。それをそばで見ていたY先生からも、「格好から入るということもありますよ」だそうです。

今日の騎乗馬JRには、前の時間に乗馬教室(初心者向けの回数限定レッスン)の方が乗るようです。ということは馬装がないので、その前のレッスンの騎乗補助をしたりします。
だれが一緒の部班にいるかなー、と思ってあらためてホワイトボードを確認に行くと、あれっ? さっきは書いてなかったのに、指導がY先生になっている。思わず「ひえ〜」と漏らすと、それを聞いていたママさんが「Y先生が、どうしてもたかしな夫妻のレッスンを見たいっておっしゃってるから。でも他にも人がいるから、部班でいいわね」そ、それはいいんだけど。Y先生はご自分でもおっしゃるように競技志向なので、ふだんの部班と同じように甘くはないだろうな。

10分前、何か手伝うこともあるかなと思って馬繋場へ。今日の同じ部班は私と同程度か上の人ばかりなので、みなさんてこずらずに馬装を終えていました。別にすることもないので、時間までストレッチをしたり、馬をかまったりしていると、Y先生がこちらにやってきました。
「僕は基本的に部班は見ない主義なので…どうしましょうかね」と、それぞれの経験を聞いたりしています。ひとりは先日馬事公苑の試合に出てY先生の特訓を受けているIさんだからよくご存知だろうけど、「たかしなさん今何鞍くらいですか」「ひゃ、120鞍です」一瞬サバを読んでしまおうかと思ったのですが、このページも見てらっしゃるからすぐバレちゃうし。
「じゃあこうしましょうね、基本的には各個で、それぞれ自分が思うとおりに手前を換えたり、巻き乗りしたりして馬を動かしてください。手前が違う同士が馬場でお見合いしそうになったときには、苦労していそうなほうに余裕があるほうが譲ること。駈歩だけは1頭ずつやりましょうか」苦労するほうに立候補させて欲しい…。

乗馬教室が終わったらしく、A木さんが馬場から私を呼んでいます。「馬装できてるー? 」この場合の馬装は、人間のこと。「私の? できてるよー」「じゃあ乗ろうか」グローブをし、長鞭を持って馬場へ。私の前にJRに乗っていた人は背の高い男性だったので、鐙がそうとう長そう。「5穴? 6穴かなー」合わせてみて、5穴短くして騎乗。
K野さんが来て「腹帯大丈夫ですか? 」「うん、前に人が乗ってたから大丈夫だと思う」確認してもらって、「大丈夫ですね」
準備ができて、周りを見てみるとみんなそれぞれに騎乗準備中。でも今日は部班じゃないし、順番は関係ないから、準備ができたら運動をはじめて大丈夫だろう。拍車を軽く入れても動かなかったので、強く入れて歩かせます。JR、普段の部班では絶対に最後尾か後ろから2番目なので、周りが誰も動いていないのに自分が動くということが釈然としなかったのかな。

全員が思い思いに蹄跡に出て、常歩をはじめました。JRの歩みがのろいので、後ろが詰まって私が先頭のようになってしまいます。「もっと歩かせましょうね」と言われて、拍車を当てるのですがほとんど反応ナシ。軽く肩に鞭を入れると、「長鞭なんですから、腹に」またやってしまった。「たかしな夫妻だけが馬を前に出せてないですよ」うむっ。ということは、ほかの2人はあの美星ちゃんやフロスティなんかで歩度をちゃんと伸ばせているんだ。
JRは後ろに馬がいると気になって、ますます動けない子です。あんまり前に出ないので、Y先生が後ろの馬に巻き乗りを指示しています。真後ろに馬がいなくなると、少しは動けるようですが、それでものろい。こういうとき、私は焦って前傾しがちなので、それだけはしないように気をつけなくちゃ。
「速歩出しましょう」号令ではなく、それぞれが出したいところからちゃんと出すようにという指示なのですが、1回目ではすぐには出ず、拍車で蹴っ飛ばしたらようやく出ました。「オーバーアクションじゃなくて、できるだけ小さい扶助で馬を動かすんですよ」そういえば、はるか昔オリンピッククラブにいたころにも、「あの人何もしてないのにどうして馬が動くんだろう、というくらいのがいい扶助」というようなことを言われたことがあったっけ。100鞍以上経ても、まだ同じこと言われている。

速歩だと、反動の少ないJRはうまく座れるので、ちょっと上手になったような感じがするのですが、ぜんぜん前には出せません。拍車使ってるつもりなんだけど、反動に負けて馬体に触れていないのかも。隅角通過のとき、ほかの隅角は大丈夫なのに、クラブハウス前の隅角だけ、どうしても内に入っていこうとします。「そこは隅角じゃありませんよ、ちゃんと隅角出さないと」そういえばウィンダムもそうだな、ここって外が見えるからイヤなのかしら。隅角を通過するときに、できるだけ内方姿勢をとらせようと思って内方脚を使うのですが、なんだか顔が外を向いてしまっています。「そこで馬に肩張られてるでしょう、前に出せてないからですよ」内方の肩を突っ張って反抗してるということかな?
隅角通過が蹄跡より内にささっていくので、そのあとで蹄跡に戻そうとしてつい外方の手綱を開いてしまうと、「開き手綱という扶助はありませんよ、脚で外に出して」ううむ。
あとでY先生に聞いたところによると、全ては馬を前に出せていないから、と言うことのようなのです。内方ばかり控えると馬が肩を張る、だから外方も控えなければならないが、馬を前に出せていないのにそれをやっても止まってしまうだけだそうです。だから何よりも、前への推進が先決で、馬を前に出せている中でそうするべきだと。

一度常歩に落とすと、いままでおとなしく運動をしていたJRが、グイッと首を下に下げました。サイドレーンがついているから、やりにくいはずなんだけど、それでもやる。たぶん、前のレッスンの初心者さんに手綱をゆるく持たれていたのに、私が手綱をちゃんと持っちゃったもんだから、機嫌をそこねたらしいです。それでも私にしてはゆるめに持っていたつもりなんだけど。いきなり首を下げると、その反動で手綱がゆるむこともある、と学習しているからの行動だと思うのですが、そうは甘くないんだよJR。もう慣れたからね。
常歩のとき、Y先生に「手綱、ゆるいんじゃないですか? 」と言われましたが、「あ、ゆるいですかやっぱり」と言うと、「でも仕方ないんですね、手綱持つとこの馬突っかけちゃうんですよね」はい、そういうことで。

JRが首を突っかける回数がどんどん頻繁になっていき、しまいにゃもう2〜3歩に1回は「がくん」とやるようになってきました。あんまりしつこいので、腹立たしくなってきた。甘く見てるな。これは一度、ビシッと叱ってやらなきゃ。少し内のほうに寄せて、停止させます。手綱を片手で強めに持ち、もう片方の手で長鞭を腹に強く入れました。これで「叱られている」と分かってくれればいいんだけど。
ところがJRは、鞭を入れられると後ずさりをはじめました。そのときになって初めて気がついたんですが、後ろのわりと近くに美星がいる、やばい。と思って後ろに「ごめんなさい」と声をかけたかかけないうち、JRが尻っぱねをしました。うわぁん、美星ちゃんがびっくりするからやめてくれ。しかしもう一度尻っぱね。被害はなかったようですが、もう1度ここでしっかり叱りなおすべきだった。ふたたび蹄跡に戻って運動をはじめてからも、また同じペースで首を突っかけはじめました。

「たかしなさんは、その馬で駈歩できますか? 」「あの、やったことはあるんですけど、あんまり上手く出せなかったんですけど、でもやります」とごちゃこちゃ言っていると、「じゃあJRが駈歩をやりますから、みなさん内側に入ってくださいね」ということで、私が蹄跡に出ます。蹄跡に出た瞬間、コイツは駈歩をやるんだ! って分かっているらしいのですが、気持ちばっかりが先に行ってしまうらしく、すぐ速歩でタタタッと出ようとします。「そーうじゃないんだよっ、ちょっと待って」と止まらせ、再度駈歩発進。内方の拍車をぐりぐりやっているつもりなのですが、反応が鈍い。そのくせ、私が扶助を出していないときに速歩を出そうとする。こういうのを折り合いがついていないっていうんだろうなぁ、この子の気持ちについていけない。半周ばかり苦労したところで、「じゃあまた後でやりましょうか」と、いったん蹄跡を外れます。

ひととおりみんなが駈歩をしてから、Y先生が私に向かって「じゃあ先生、駈歩しましょうか」って、からかわないでくださいよー。ふたたび蹄跡に出たのですが、すぐやる気だけ前に出ようとするJR。こういうときのJRって絶対速歩で、自分から駈歩にはならないんだよなぁ、不思議なことに。とにかく一度常歩に落として、もう一度駈歩発進をしようとしましたが、また速歩が出てしまいました。よし、次の隅角では絶対に駈歩。隅角まで常歩で持っていき、そこから内方脚で押し、外方を引くと駈歩が出ました。おお、今のはちゃんと折り合いがついたぞ。一度駈歩が出てしまえば、ロゼッタほど厳密な扶助を求めてこない馬なので、ちゃんと続きます。しかも今日の駈歩、ちゃんとお尻がついてるじゃん。前回はこの子の大きめのうねりについていけなくて、鞍からお尻が離れてしまったけど、今日は全然離れない。ちゃんとできてみると、K村さんやA木さんの言うとおり、確かにこいつの駈歩は気持ちがいいわ。ところが、駈歩の途中で首を突っかけられそうになります。やだなー、駈歩の勢いで拳持って行かれると、一本背追いされかねない、と思ってサドルホルダーを探してしまいました。そんなことしてても、駈歩はちゃんと続けられるJR。
ほぼ1周し、「はい、いいですよ」で常歩に落とします。

全員蹄跡に戻り、常歩。そこから1頭ずつ速歩をして、停止。私の順番が回ってきて、速歩発進。発進はうまく馬の力をためられず、ちょっとばたばたした発進をしてしまいました。そこから少しだけ走って停止の合図、ふくらはぎで馬体をゆっくり締めながら、手綱を握っていきます。ちゃんと4拍で止まれた。「はい、上手です」ああ良かった。
そろそろ時間がきたので、手綱を伸ばして沈静化します。

馬繋場に上げ、馬の手入れ。スタッフのK村さんは、いつもちゃんと見てくれているらしくて「駈歩、右も左もうまく出たじゃない」「うーん、まぁこの間よりはね」。前回は完全に折り合いがつかなかったんだけど、今日は1回だけ、JRの行きたい気持ちと私の行かせたい気持ちの折り合いがちゃんとついたと思ったので、いいとしよう。
JRは今日はこれで終わりだし、けっこう暑い日だったので丸洗い。頭数が多いので、シャワーが空くのを待っていると、K村さんが消毒液を作ってくれて「JRこれで洗ってやって」。皮膚の弱いJRは、いつも消毒液で洗うので、中に入っているタオルで洗い始めます。「そのタオル、絞んなくていいから。バケツ一杯使い切っちゃう感じでいいよ」ということなので、びしょびしょのタオルで馬体を濡らしていくように洗います。するとJR、タオルの当たるところがイヤそうにもじもじしたり、噛みたそうに振り返ったりします(本当に噛んだりはしないけど)。「もしかしてこいつ、洗われるのキライ?」「キライだねー」そうなんだ。でも、イヤって言っても洗うからねー。
洗い終わってタオルで拭き、乾くのを待ってブラシをかけ、夏用の虫除け馬着を着せて馬房に戻します。

後日、Y先生からメールで「姿勢と騎座はララミーの試合前後からかなり良くなっています」という言葉をいただきました。でも、馬を前に出そうとする気迫が足りなかったとも。今日は一応部班ではなかったのだけど、やっぱり蹄跡に頼ってしまうし、なんとなく部班っぽくなってしまいます。馬もそうらしくて、前の馬が動かないのに自分だけ巻き乗り、とかすると「なんで? 」という感じで反抗される。そうではなくて、自分の扶助で馬を動かすのって本当に難しいんだなぁ、と実感しました。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)

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