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(2003.6.22 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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本日の2鞍目、13時からコスモの予定です。うーん、コスモね。コスモには初めて乗るのですが、乗ったことのある人ほとんどが「ちょっと荒い乗り方をすると『ゴズモ』に変身する」と言うし、実際その現場を見てもいるので、ちょっと緊張するな。相方からは「とうとう今日は初落馬?」なんて言われてしまうし。
と、思いながらホワイトボードを見ていると、予約の入っていなかった14時に、ロッキーの予約が追加されました。ホワイトボードをずっと見ていたら、ママさんが「どうかしましたか?」「いやー、初コスモなんで緊張するなー、なんて」「そうね、やめる?」「いや、乗りたくないわけじゃなくて、むしろ経験はしときたいんですが」「うーん、そうね、それじゃ時間をずらそうか? ほら、ここホクトいるし、次の時間のほうがいいんじゃない?」確かに、コスモは他馬を怖がる馬なので、ホクトみたいなでっかい馬がいっしょの部班にいると怖がっちゃって跳ねまくっちゃうかも。次の時間にコスモをずらせば、おとなしいロッキーちゃんと2頭部班になるから、そのほうが安心だな。「じゃあ、そうします」ということで、時間を14時からに変更しました。指導員は「たまにはいいでしょ」ということでA木さんに決定。たまにはも何も、A木さんの教え方もけっこう好きなんだよね。

時間まで、クラブハウスで休憩しているときにA木さんに、「初コスモだよ、緊張するよー」と言うと、「大丈夫だよ、コスモが3鞍目だし。あとね、私が見ている限り、体重の軽い人が乗ると荒れない。たかしなママの体重だったら大丈夫」「そうなの?」そう言われれば、男性が乗っているときのほうが『ゴズモ』率が高いかも。「体重が重いと、それだけで押しちゃってるでしょ、それできゃーってなっちゃうんだろうね」ふぅん。周りのゴズモ経験者から、さんざん「ハミ引っ張らないで、やさしく誘導してあげれば。でも騎手に頼るから、ちゃんと持ってあげないとダメ」とか、「沈静化のときに手綱ゆるめると、頼るものがなくなってパニック起こすから、緩めないで拳を前に出してあげるだけにして」なんて言われてると、余計緊張するんですけど。一応、拍車は丸拍車に変更、鞭は持たないぞ、と。
最近鞍を買ったばかりのEさんが、「コスモに乗るなら、私の鞍使ってみる?」と申し出てくれました。パッシェの馬場鞍・エクストラディープシートだから、コスモには確かにうってつけ。新品なので気が引けたけど、お言葉に甘えることに。なんか人に鞍借りてばっかだな。

コスモの馬房に行き、馬栓棒を外して中に入ります。コスモは馬房に人が入ってくるのは嫌いじゃないようで、自分から鼻を寄せてくるので、無口をつけて馬繋場へ。蹄の裏堀りやブラシかけをしていると、どうもいっしょにレッスンを受けるはずだったもう1人がキャンセルしたようで、14時からはコスモで単騎レッスンを受けられることになりました。うん、部班よりはそのほうが気がねないか。しかもコスモはちゃんとした馬術馬だから、ある意味ぜいたくかも。
A木さんに、「せっかく1人になったから、斜め横足とか肩内とかやってみようか、今日は」と言われ、「うん、その前に私、斜め横足と肩を内への違いが分かってないんだけど」と言うと、「そっかー、じゃあ馬になったつもりでやるけど」と、馬の動きの実演つきで教えてくれました。「斜め横足は、こころもち顔だけ内方に向くけど、身体は曲がってないで、そのまま横に行くだけなの。肩を内へっていうのは、内方姿勢をとった上で、こういう感じ」どちらも、前肢を交差させながら動くことには変わりないようですが、馬体を丸めているか、そうでないかってことかな。

装鞍が終わって、前のレッスンももう沈静化に入っているので、「ひとりだから、準備ができたら出しちゃおう」とA木さんに言われて、頭絡をかけて馬場へ連れ出します。馬場へ出る坂をゆーっくり歩くコスモちゃん、やっぱ3鞍目だから疲れてるのか。馬場の中央で停止して、折り返し手綱をハミに通し、馬の首の上でつなぎます。だいだい折り返し持つのも、ララミーの運動会以来2度目なんですけど。
A木さんの補助を受けて騎乗、腹帯を締め直してもらい、「じゃあ常歩で出ようか」と言われて発進…あれ、出ないや。どうせ丸拍だから大丈夫だろうと思って、拍車をぎゅーっと入れ、ようやく常歩が出ました。蹄跡に出すのに、内方の拍車で押して外に出そうとすると、それに応じてコスモの馬体がすぅっと弓なりになり、みごとな内方姿勢。「うわー、このヒト体やわらかいね!」「でしょー」手綱なんかほとんど操作していなくて、拍車使っただけなのに、この反応。いや、違うわ。

何をやったらゴズモに変身するのか、まだ良く分かっていないのでビビる私。おそるおそる右手前で常歩。「緊張しまくってるねー」「うん、すっごく。なんかね、私今はじめて馬に乗る人の気分だよ」。常歩が止まりそうになるので、脚を使ったらぴたっと止まりました。「あれ?」「今ね、脚を入れようとして上体に力入ったでしょ」と、A木さんがジェスチャーで私の真似。脚を入れるときに、上体に力が入って、わずかに肩を引いてしまったらしい。へぇ、それを停止だと思うんだ、この子は。
右手前でクラブハウスへ向かうところで、コスモが何かにびっくりして、ちょっと前脚をばたつかせました。すわゴズモか、と思いましたが、びっくりしただけで済んだみたい。「あんまりそっち近づかなくていいからねー」とA木さん、クラブハウスにあんまり近づくと、人の声なんかでまたびっくりしそうなので、少し蹄跡から離して歩きます。
次の周でも、また同じところで「きゃあ!」と前脚を張って拒止(って馬場では言わないかもしれないけど、そんな風な止まり方)して、「いやいやいや〜」と斜めに後ずさりしていきます。ちょっと鞍の上でバランスを崩しましたが、すぐ持ちなおせたので「はいはいはい、何でもない何でもない」と馬を止めます。実際、見学の子どもがいるくらいで、本当に何にもないんだけど、何がいやなのよ。
「そっち行かなくていいってば、ラチ作ったほうがいいかな」と、A木さんが横木を持ち出してクラブハウス側の蹄跡をふさぎます。「あ、コスモ蹄跡ね」そういえばいつも、コスモが出るときは、クラブハウス側の長蹄跡を内側に2メートルくらいずらし、狭い馬場にしているんでした。

鏡側の、馬繋場への入り口で「このへんだと馬が安心するから、ここで輪乗りしよう。まず乗り手にリラックスしてもらわないと」「うん(笑)」馬繋場のそばの蹄跡をベースにして、10メートル程度の輪乗り(巻き乗り?)。「輪乗りの手前を換え。あのね、ガッと加重を入れ替えるとゴズモになっちゃうから、そーっとね」確かに、手前を換えた瞬間にゴズモになってるのを見たことがある。内方と外方の体重入れ替えのとき、いきなり内方から外方に乗せないで、内方から真直に戻して、それから外方に移すという感じを、できるだけやわらかくやってみます。「そうそう、いい感じだよ」
「ふだんアルフォンスとかでハミ受けやってるよね、ちょっとやってみようか」前肢の動きに合わせて、ほんのわずかに拳を握ってみると、首がまるくなって行きます。「おおー、何気に頭下がってるし」もちろん折り返しの効果もあるだろうけど、この子ってほんとにすごいや。

馬も私もだいぶ落ち着いてきたところで、「次は中央線入ってきて」超短蹄跡と化した真中あたりで、馬場の中央線に入ります。馬場の中央あたりで、「そこから斜め横足」えーと、ちょっとだけ首を内方に向けて、内方脚で横に押す、と。中央線をまっすぐ行進していたところから、すすすっと斜め前へ出ます。「うーん、もうちょっとな感じ」馬の前肢が交差しなかったのかな。蹄跡に出て、半周してきたところで「そこから中央線」ああ、これって馬場の経路っぽいのを踏ませようとしてるんだ。中央線に入って、X点から斜め横足っていう経路が確かあったはず。
何しろ馬が知っているので、斜め横足は簡単にやってくれます。「じゃあ今度は、肩内で」内方姿勢とらせるんだっけな。馬を内方に向かせて…「それは斜め横足だねー」うーん、うまく内方姿勢をとらせられてないのか。

「じゃあ速歩出してみよう」速歩…出ない。拍車を使っているつもりなんだけど、馬が反応しません。「ぜんぜん馬に伝わってないよー。馬が分かるまで、拍車をずーっと離さないで押しつづけるの」ずっと押しつづけるって、けっこうしんどい…。それでもなかなかでないので、「蹴っちゃっていいよ。拍車で荒れることはないから」まぁ、丸拍だしね。軽ーく蹴ってみると、少しだけ反応したので、拍車で押してみたらようやく速歩が出ました。あら、このヒトの速歩ってけっこう座りやすいわ。
でもすぐ止まってしまいそうなので、「脚つかって〜」と言われ、脚で前に出す努力。「あー。今、軽速歩の脚の入れ方応用したでしょ」「あ、そうだね、うん」自分では意識していなかったのですが、確かに軽速歩の立つ・座るの座るタイミングで脚を入れている(反動の2回に1回、脚を入れる感じ)。「速歩の脚の入れ方はね、そうじゃなくて、つんつんつんつんって反動ごとに入れるの。そうだな、膝から下はぜーんぶ力抜いちゃって、反動にまかせる感じで、脚も風にたなびいてるイメージなの」今まで、速歩と軽速歩の脚の使い方の違いなんて、全然意識していなかったな。
ようやく速歩が続くようになると、「じゃあそこから、斜め横足やってみて」中央線に入って、X点から内方脚で押してやると、速歩のまますーっと斜め前に出ました。「おおー、今斜め横足になってるよ!」「ほんと? うわー、今すっごく馬の脚もと見たいー!」

しかしコスモさんってば、あんまり前には出ない。「しょうがないなー、駈歩やってみようか」「えっ!?」コスモがぱたっと止まりました。「あ、今緊張したな」「するよ、そりゃー」えっ、と私が構えてしまったわずかな肩の緊張なんかを感じとって、停止と思うんだな、この子は。こんな繊細な子で駈歩って、ほんとにできるんですかね。
まず左手前で、常歩。「まだ駈歩やんないから、速歩出して」速歩を出すのにも時間がかかってしまいますが、どうにか出して1周ちょっと。常歩に落として、「じゃあそこから駈歩」。内方の拍車をぐりぐり入れると、すたたたたと速歩になりました。「違うんだよー、ちょっと待って」停止させ、常歩からもう1度駈歩発進。やっぱり速歩が出て、なかなか駈歩が出ません。駈歩発進をすると、かえって止まってしまいました。「あたし今あおってた?」「そうだねー」脚に力を入れようとして、上体で揉んじゃったらしい。「外方ちゃんと持ってね」手綱もだけど、脚も外方の規制が足りないんだな。外方脚の引きをもっと意識してやってみると、ようやく駈歩が出ました。えっ、このふわんふわんした駈歩って。「ちょっと、この駈歩すっごくいいんだけど」と言うと、A木さんも「いいねー、私そんな穏やかな駈歩なかなかできないよ。もっとぎっこんばったんになっちゃうもん」前に出る感じの駈歩ではなく、歩度の詰まった馬場らしい駈歩。カリカリしてないときのコスモって、こんな駈歩なんだ。今まで他の馬でやった駈歩よりも楽しいぞ。

左手前で3周ほどして、常歩に落ちたところで「じゃあ右手前もやってみよう。そこで半巻きして」坐骨の過重移動を慎重にやって、右手前で蹄跡に出ます。ここで駈歩発進…出ない。ぐりぐりぐり、とやっても、どうしても速歩になります。うーん、自分では右手前のほうが得意だと思ってたんだけどなー。「外方で出してみようか」「外方?」「うん、普通はさ、内方ぐりぐりってやってから外方を引くでしょ。そうじゃなくて、最初から外方を引いておいて、内方ぐりぐり、それから外方はここですよーってポンって蹴って」ああ、JRの駈歩も外方で出したような気がするな。
そうやってやってみるけど、なかなか駈歩にはならない。かなりチャレンジしてみたつもりだけど、全然出ないので「じゃあまず速歩を出そう」と言われ、速歩の扶助に切り替えますが、それすらも出なくなってる。「どうしても出ないなら、蹴っても大丈夫だから」脚で軽く蹴ってみても、馬が反応しない。「馬に伝わるまで蹴って、全然伝わってないよ」どうにか速歩が出ても長続きしないので、もうどんどん脚で蹴ることにしました。今日はこれくらいやっても大丈夫そうだし、A木さんも「大丈夫だよ、たかしなママさんはちょっとくらい何かあっても落ちない」と言ってくれるし。
「もう最後だから、馬がどんなにカリカリしちゃってもいいから、とにかくちゃんと動かして終わろう」A木さんが、馬のためにも人のためにも、いいイメージでこのレッスンを終わらせようとしてくれているのは分かるんだけど、コスモはもう終わったつもりでいるらしくて、とってもめんどくさそうな速歩しか出なくなりました。
「仕方ないや、じゃあこれでゆっくり歩かせて終わりにしよう。もう、コスモむかつくー」って、なんでA木さんがむかついてんの(笑)。沈静化でも、コスモは手綱を放すとパニックを起こすらしいので、あまり手綱は緩めずにしばらくゆっくり歩かせて、馬場中央に馬を止め、終了。いやー、緊張したけど、いろいろ勉強させていただきました。何よりも、コスモが自分でも乗れる馬だと分かったのは、私にとって収穫が大きかった。

馬繋場に連れて行き、コスモは今日のお仕事は終わりなので丸洗い。シャワーを使って背中を洗っているとこっちが濡れるので、腕まくりをして手入れをしていると、コスモが振り返って「はむっ」と私の腕を唇の先だけでくわえてきました。なんか、子どもがお母さんの服のすそを「ねーねー」と引っ張っているような噛み方で、かわいいなぁもう。これが激しくなったバージョンがアルフォンスと言えるけど。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)

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