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(2003.6.29 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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アルフォンスと私
鐙上げで乗っているのに、かかとより下に鐙があります(笑)
確かに鐙が長いんだけど、膝でしがみついているというのもあるだろうな
本日2鞍目はアルフォンス。アルフォンスの馬装には時間がかかることが分かっているので、早めに馬房に向かいます。
アルフォンスのほうも今日は2鞍目なので、もう夏馬着は着ていません。馬房の扉を開けて、いつものように正面から(本来は馬の左に入ってからですが、アルの場合は噛まれるので正面からのほうがむしろ安全であることを発見)無口をつけようとすると、唇の先で無口をつけるのを邪魔しようとはするんだけど、噛もうとはしません。なんかアルにしては動きがにぶいなー、と思っていたら、馬房の中のほうでじゃー、と音が。あら、おしっこだったのね。アルは馬房の中でしかおしっこができないんだから、今のうちにゆっくりしておきなさい。さらに好都合なことに、この子はおしっこをしている間はほとんど膠着してくれるので、その間に無口をつけます。おしっこが終わったのを見計らって、馬房の外へ。

馬繋場につなぎ、蹄の裏掘りとブラシかけ。腹にブラシをかけようとしたときに、一度噛みにきましたが、春先に比べて噛みに来る動作が鈍いので、簡単に避けられる。夏バテだねえ、お前。それよりも本人は、虫が気になるんだそうで、お尻のあたりにブラシをかけていたら、しっぽでバシンバシンなぐられました。しっぽの先って、意外と痛いのよねぇ…。
時間がかかることを想定して早めに馬装を始めたのですが、アルが意外とおとなしかったので早めに終わってしまいました。時間までほかの馬をかまったりして、10分前。勒をかけはじめるには早い時間だけど、アルには絶対遊ばれるので、早めに開始します。
手綱を首にかけてから、無口を外すと、首を下げて柱をかじろうとするアルフォンス。まぁ頭を上げられるよりはいいけど。それを上げさせて、頭絡をかけようとすると、やっぱりそこで頭を上げられてしまいました。すかさず額革を鼻に引っかけて、ぐっと下に引っ張ると、諦めたみたいで下を向いてくれました。そこで右手で頭絡を引き上げつつ、左手でハミを入れて…あ、逃げられた。また鼻面を捕まえて、もう一度チャレンジ。今度はあんまり口を開けてくれなかったので、左手の親指を口角につっこんで、無理矢理開けさせ、ハミを入れると同時に頭絡を引き上げます。えっ?! 入った!! 思わず「よっしゃあ!」とガッツポーズ。あんまり簡単にできたので、かえって拍子抜けなくらい。しかし、私がひとりでハミをかけられたときのアルフォンスって、やる気がないということなので、今日はとてつもなく重いにちがいない…。

同じ時間にビジターさんがいたので、馬場は小さく仕切られていて、大きいほうの馬場に馬を引いて出ます。
この部班は3頭、ホクト、コスモとアルフォンス。持ってきてもらった踏み台で騎乗し、鞍上から腹帯を締めていると、「勝手知ったるアルフォンスって感じだね」と、コスモの騎乗補助をしていたTママ。でも、どうしてももう1穴が締まらないのよね。結局、Tママさんを呼んで手伝ってもらいました。
準備のできた順から蹄跡に出て常歩。その後、指導のK野さんからホクト、コスモ、アルフォンスの順を指示され、そのまま常歩します。ホクト、コスモとも私よりベテランのお2人なので、さくさく馬を動かしていますが、私はなかなかアルフォンスを前に出せない。ときどき短蹄跡をショートカットしたり、輪乗りしたりして前の馬に追いつきます。

速歩発進も、なかなか出ない。ダサい。何歩かしてやっと速歩を出すと、今度はアルフォンスの反動が辛くなります。アルフォンスは、ハミを受けさせて歩度をつめまくった速歩にすると、突然反動がやさしくなるので、せめてハミを受けさせてみようと、前肢の動きに合わせて左右の拳を握ります。
あとでTパパさんに言われて気がついたことですが、これが私のはまった陥穽。ろくに馬を前に出せていないのに、ハミを受けさせようなんてしたら、ますます前に出なくなります。馬が前に出ようとする力をためこんでこそのハミ受けなのに、そこらへんがちゃんとつながっていませんでした。最初の5分は余計なことをしないで、ただ馬をどんどん前に出してやったほうが良かったみたい。「馬をどんどん前に出して、そこから抑えるのはできるけど、前に出ない馬を出させるほうが難しいでしょ」とは、相方の弁。

速歩での巻き乗り、やっぱり止まる。次の巻き乗りでは、内方の鞭を使ってどうにか止めずに済んだのですが、「固い固い固い。もっとやわらかく乗って」とK野さんに注意されます。あー、そう言えば肩に力が入っていたかも。私がさっきからハミ受けにチャレンジしていることが分かっているらしいK野さん、「力入れるのは拳だけですよ。何で肩まで力入ってんですか」鏡に映る自分の騎乗姿勢を見てみると、全然腰が張れていない。我ながらいいなぁ、と思うときは、もっと肩が引けていて、腰が張れていると思うんだけど。
「頭前に出さないんですよ。ちょっと顔上に上げてみて、空が見えるくらい」言われた通りに顔を真上に向けて、空を仰ぎます。騎乗中に空を見ることなんて、初めてだなぁ。「はい、そのまま顔だけ下に、すとん」首を動かさないようにして、あごを下に落とします。「そう、その姿勢ですよ」あぁ、ハミ受けとかばっかり気にして、下を見て乗っていたかもなぁ。

「アルフォンスも、鐙脱いで」速歩のまま、鐙を脱いでみると、これがもう全然座れないんだ。鐙を脱いじゃったほうが座れるような気がするんだけど、アルフォンスのときだけはいつも座れない。座れないどころか、最近買った夏用のキュロットは尻革がないので、どんどん滑ってバランス崩れまくり(冬用は尻革がついているので、今までいかに尻革に甘えていたかということなんですが)。「落ちないでくださいねー」「落ちるよ、絶対落ちるー」せめて座れるためにハミを受けてもらおうと思うんだけど、こういときに限って全然ダメで、手綱にぶらさがってしまいそうで余計ダメな感じ。もうどうにもならんので、指示はないけど自発的に鐙をはいてしまいました。

「アルフォンス、中に入ってきて」なんだろう? と思ったら、「鐙、やっぱり長いですね」」「え、そう?」時々外れるけど、別に踏めないわけではないので、これくらいは慣れた方がいいのかなと思っていました。「だって、鐙を脱いだときに、かかとの高さと鐙の高さがおんなじでしたよ」それはさすがに長すぎか…。ふたたび部班に戻ります。
常歩でハミ受けを求めているうちに、すうっと首が下がりました。ハミにかかる重さもいい感じで、ちゃんと受けてる、よしよし。このまま我慢して、ハミを譲らないようにしよう。
それでしばらく速歩をしていると、頭がさらに下がっていきます。ん、これはいいのか? ふっと拳に力がかからなくなり、でも頭はずいぶん丸くて、丸すぎるくらい…あっ、これはもしかして。馬繋場にいたベテランのKさんに、「もしかしてこれ、巻き込んでる?」と聞くと、Kさんは気の毒そうに苦笑いしてうなずきました。くそー、ハミ外された! なんかすっごくむかついてきた。いや、アルにではなくて、自分に。
しかも、一度巻き込まれてしまうと、それを止めさせる方法ってのが分かりません。すこし拳を譲ってみますが、すでにハミは外されているわけだから効果なし。はぁ。

先頭ホクトから駈歩、当然のようにいい駈歩してます。最初はコスモも私も蹄跡に出ていましたが、途中で馬場の内側へ。ホクトに続いてコスモも蹄跡に出て駈歩、2頭とも終わったらもちろん次は私。「アルフォンス蹄跡に出て、そこの隅角から駈歩」よっしゃ、さっきロゼッタで全然まともに駈歩できなかったから、アルフォンスはちゃんと出すぞー。
内方脚でぐりぐり押して、外方引いて…出ない。軽く鞭を入れて、内方をもう一度ぐりぐりやっているつもりなのですが、馬の耳が全く反応しなくて、こんなんじゃ出るはずない。ようやく出たかと思えば、1歩だけで、2歩目はもう速歩になっているので、止めてやり直し。割とアルフォンスの駈歩は出しやすいつもりでいたのに、一体何やってるんだろう、私。
「内方押して、外方引く」うーん、やってるつもりだし、馬が外にはふくらんでいくので、内方は当たってるんだろうと思う。「鞭外方に持って。外方(脚)の引き方足りないですよ、そんなんじゃ」外方の規制が足りないのか…。なんか、やればやるほど、外方の引き方が正しいのかどうか分からなくなってきて、たぶん鞍の上でバタバタしてたんだと思います。私は意地でも駈歩を出すぞ! と思っているんだけど、アルは意地でも出さないぞ! って感じになってきて、もう全然折り合ってない。

もうレッスンは終了時間になっていて、他の2頭には沈静化の指示が出ています。「ホクトとコスモは内側で歩いててください。アルフォンス、もう少し蹄跡で駈歩」もちろん、私もここでやめたくはないのだ。馬がぜんぜんやる気になっていないので、「ちょっと手綱持っててくださいね」とK野さんが、馬の腹の下に鞭を入れます。ちょっとは跳ねそうなもんだけど、そうでもない。本当にやる気がないのね。
何度も何度もチャレンジするうちに、どうにか1歩だけ駈歩発進らしいものが。続かなかったけど、「はい、いいですよ。じゃあ手綱伸ばして歩かせましょう」と、沈静化の指示。結局2鞍とも、まともに駈歩出せなかった。「くやしー!」と思わず、声に出して叫ぶ私。「なんで拍車効かないの? そんなに当たってないの?」とK野さんに言うと、「だって脚の使い方違うもん」という返事に、一言もございません。「拍車はこすりあげるんじゃなくて、下げるの」
沈静で歩いているアルフォンスについて歩く形で、K野さんのアドバイスが続きます。「たかしなさんは、もっと馬を丸く包み込むみたいにして。つま先開いて、膝も開いてもいいから、ほんとは開かないほうがいいですけど、まず丸くするほうが先だから。馬体に対して丸くなってないで足がまっすぐになっちゃってるから、太ももで乗る感じになっちゃうんですよ」
そこへ馬場に入ってきたY先生が、「たかしなさんは今日は朝から調子悪かったですもんね、午前中も気合いが抜けてましたよ」それを聞いたK野さんが私に「今日、具合悪いんですか?」「いや、そんなことはない…と思うけど」ちょっと今、暑さで頭がくらくらしているけど。「まぁ、そんな時もありますよ、いつもちゃんと乗れるとは限らないんだから」そりゃまぁ、毎回うまく乗れていれば私は今頃名選手だ。それが馬術とは分かっているんだけど…しかし悔しいものは悔しいのだ!

そのころ、クラブハウスから見学していた相方は、周囲から「今日の奥さん、家に帰ってからが大変そうだねー」と同情を買っていたそうです。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)

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