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(2003.8.16 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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木曜日から日曜日にかけて、お盆休みで4連休だったはずなのですが、初日から寒々しい雨。金曜日の予約をキャンセルし、土曜日の午後ならなんとか雨が上がるらしいという天気予報を信じて、土曜日の15時と17時に予約を入れなおしました。
で、土曜日の朝起きてみると、これが土砂降りじゃありませんか。まぁでも、天気予報もああ言っていたことだし、午後からの回復に賭けることにして、ひとまず倶楽部へ向かいました。13時前、武蔵増戸駅に到着。まだ雨は降っていましたが、だいぶ空が明るくなってきたように思えます。倶楽部に到着して、ホワイトボードで騎乗馬を確認すると、15時がロゼッタ、17時がアルフォンス。うーん、そう来たか。どっちも捨てがたいじゃないか。
時間までに雨が上がることを期待して、着替えをしてからクラブハウスでのんびりしていると、I野先生が「そうそう、来てるぞ」と言って、私たちにカードのようなものを差し出します。受け取って見ると、4級検定の認定証。「受かったんですねー!」「そりゃ受かってるさ」。先生からはゼッタイ受かってると言われていたものの、やっぱり証拠品がないと、ねぇ。

そうこうするうちに、騎乗予定時刻の30分前。本来ならもう馬装に向かわなければいけない時間ですが、やっぱり雨はしとしと降り続いています。K野さんが「乗れますよ」と言うので、「乗るともさ、教えてくれるんなら」「大丈夫です、僕は屋根のあるところからレッスン見ますから」「くそー! 馬が動かせなかったら乗り変わってもらうからね」「何甘えたこと言ってるんですか、自分でどうにかしてもらいます」。まぁ、そんなこと言っててもK野さんは根が真面目なので、ちゃんと教えてくれるに決まってるんだけど。
日の出でお揃いで作ったウィンドブレーカーを着て雨対策をし、腹を決めて乗ることにしました。乗れないほうがストレスたまりそうだし。

馬房へ行くと、馬栓棒の向こうからずーっと人のいるほうを眺めているロゼッタ。前にこの馬房に入っていたサーブもリトル・フロスティも、コスモもそうだったから、この馬房に入るとどうしても馬繋場が気になるものらしい。そのまま無口をかけてから、馬栓棒を外して馬繋場へ連れ出します。
蹄の裏掘りをして、ブラシかけ。はいはい、たてがみの下がかゆいのは分かってるから。スタッフのK村さんが前肢にバンテージを巻いてくれているので、装鞍にかかります。「たかしなさん、毛布もうちょっと手前ー」と、ちょっと離れたところから見守っていたK野さんから指摘されながら腹帯を締め、鐙を調節します。まだ雨はやまないけど、もう時間になったからハミをかけて、馬場へ。

ロゼッタを連れて馬場に出ると、先に出ていた相方の騎乗補助をしていたK野さんが「今日のタイトルは『雨の中の騎乗』ですねー」と言いながら、踏み台を持って私のところへやってきました。「乗馬日記、まだ書いてるんですか?」「書いてるよぉ、ちゃんと」と言いながら騎乗補助をうけ、騎乗。腹帯を締めなおしてもらい、鐙を1穴伸ばして蹄跡へ出ます。
今日の部班はバイトスタッフのKくんが乗るロッキーちゃんと、相方のハイセイコーJR、私のロゼッタの3頭。JRを先頭にして蹄跡に出ましたが、やっぱりまだ鐙が短いような気がするな。歩きながら鐙をもう1穴伸ばします。
あらためて手綱を持ちなおし、ちゃんと歩かせなくては。降り続く雨であんまり運動していないはずのロゼッタ、それなりには歩いてくれるのですが、なんか気が散ってるな。足元がぐちゃぐちゃなのが気になっているのかもしれません。でもそんなの気にしてもらってるようじゃダメなので、拍車と鞭で前に出していきます。
常歩で体の大きなJRに追いつくには、ときどき蹄跡をショートカットしないと追いつけないので、ちょっと速歩で追いつこうか、ロゼ。強めに脚を締めると、けっこう簡単に速歩が出て、JRに追いついて止まりました。ほぅ、いくらロゼッタがおっとりしていると言っても、やっぱり昨日運動してないからロゼなりに張ってるのかも。ちょっと張ってるくらいのほうが助かるや。
雨は止みそうにありません。

「歩度をつめ、はやあーし」で、すんなり速歩が出ました。ちゃんと前に出ていて、歩度もちゃんと伸びるんだけど、走っているうちに後肢でつまづいたり、前肢でつまづいたり。雨で馬場がぐちゃぐちゃで脚をとられやすいようなので、ちょっと強めに手綱を持って、ちゃんと支えてあげないとダメみたいだな。その分、ちゃんと脚で追って前に出すようにします。「脚パタパタしないでー」と言われ、くるぶしのあたりで馬体を締めながら、足首だけ動かして拍車を入れていくような感じで。
「ロゼッタ、下を見ていいから自分の拳見ながら走って。どうして拳が揺れるのか考えてください」そう言われて、自分の拳を見ながら走らせます。前に馬がいるから、ロゼッタは前に出してさえいればヘンな方向に行ったりはしないはずだけど、前を見ないっていうのはやっぱ少し怖いな。自分の拳を見ながら走っていると、確かに拳が軽く上下しているんだけど、どうしてって言われてもなぁ。いっそのこと小指をサドルホルダーに引っ掛けて、拳の揺れない感じに自分を慣らそうかとも考えましたが、けっこう強めに手綱を持っているから、小指が手綱から離れるのが不安。
「軽速歩で立ちあがったときに、拳が浮いてるでしょ。立ちあがったときに下げなきゃ」肘の開閉ができてないということか。立ちあがったときに肘を下に向けて伸ばすようにしていきますが、ときどきタイミングが分からなくなる私。立つ、座る、立つ、座る、開く、閉じる、開く、開く、あれ?

「…だけ巻き乗り」雨の音で良く聞こえなかったんだけど、たぶん先頭だけ巻き乗りって言ったんだよな。「JRだけ?」とK野さんに聞くと、「そう」つまりロゼッタ先頭ですか。先頭が嫌いなロゼッタは、前の馬がいなくなると途端に動かしにくくなることは分かっているので、それだけガンガン追っていかないと。軽くムチを入れて気合をつけ、走らせていきますが、だんだん首が下に向かって伸びようとする。そうじゃないでしょ、と拍車で軽打したり、ムチを入れたりして前に出すのだけど、ロゼッタが伸びようとしていることに気がつかないと(下を見ないと分からないんですよねぇ、まだ)、ぱたっと止まられる。
「何やってるんですか」「ごめーん」私だって止めようと思って止まっているわけじゃないんだよぅ。ムチを強めに入れますが、1歩前に出ただけでまた止まる。「弱い弱い。もう1回ムチ」ぴしっとムチを使うと、前に出ました。「ほら、2回目は言うこと聞くんだから。体格的なハンデがあるんですから、その分道具で補わないと。最初またがった瞬間に、体重が軽いから馬が甘く見ちゃうんですよ、自分の好きにできると思って。そこでワガママさせないように、鞭とか拍車で言うこと聞かせないとダメですよ」と言われている側から、虫を嫌ってなのか後ろ脚を軽く跳ね上げるロゼッタ。「ほら、そうやって脚上げられたりするのも、馬のワガママなんですから。すぐ叱らなきゃ」。

着込んだウィンドブレーカーはすでにびしょびしょで、袖が腕に張り付いてキモチワルイ。走りながら、思わず片腕ずつ腕まくり。キュロットもすっかり濡れてしまっていて、太ももや膝がごわついて動きにくい。しかも、軽速歩で立ちあがったりしたときに鞍とお尻の間に雨が流れ込むらしく、下からも濡れてきました。検定試験のときはもっと豪雨だったけど、ハイテンションだったからそんなに気にならなかったんだよね。豪雨の中の10分よりも、普通の降りの50分のほうがしんどいものだと分かりました。
左手前で常歩に落とした時点で、前のJRからは5馬身くらいおかれてしまっています。「ロゼッタ、かけあーし」内方脚で押すことよりも、外方を引くことのほうを意識して駈歩の扶助を出すと、ぽんと駈歩が出ました。おお、今日は素直じゃないの。最初はちょっとお尻が跳ねましたが、膝を伸ばしてかかとを落とすようにすると、だいぶ座れるようになりました。というか、駈歩に勢いがないから座れている感じだけど。「脚締めてー」「はいっ」馬房近くの蹄跡はかならずスピードの落ちるところなので、頑張って追っていかないとだわ。前のJRに追いつくと自発的に止まってしまいますが、また駈歩発進するとほとんど苦労なく駈歩が出ます。いや、今日は調子がいいな。
しかし雨でキュロットがごわついて動きづらく(ということにしておこう)、脚が引きにくいな。外方の鐙が外れそうになって、かかとを下げてなんとか踏みこたえますが、もうほんの指先しか引っかかっていなくてバランスがとりづらいよ。外方の鐙を踏み直そうとすると、つい外方に力が加わってしまうし。ついに鐙が外れて、踏み直そうとしましたがロゼッタが止まってしまいました。ごめんロゼ、私が悪かった。

「各個に半巻ーき」で右手前になり、「蹄跡から駈歩」で、駈歩発進。私のクセで、左脚を引くのがあんまりうまくなく、最初はちょっと失敗。もう一度駈歩発進、あれっ、なんか反動がヘン。これって反対手前が出ちゃったか? 思わず足元を見るけど、見ただけで分かるようなレベルではないので、K野さんに向かって「ねぇ、これって反対駈歩出てる!?」と叫ぶと、「自分でおかしいと思ったらすぐ止めて!」という返事、やっぱり反対手前だったのね。止めてやり直し、今度は正駈歩が出ました。反動ごとに脚を長く使うように(とは、つねづねK野さんに言われていること)してみると、けっこうちゃんと駈歩が続いていて、ちょっといい気分になってきたぞ。前のJRはあんまり駈歩が出ないようで、追いつきそうになるので、ちょっとどこかで駈歩巻き乗りでも入れてみるかな。そうは思ったものの、馬場の中央にはロッキーがいて入りづらかったり、ロッキーがいないなと思ったところは、ロゼが苦手でスピードが落ちる場所だったりして、タイミングをつかみそこねてしまい、巻き乗りはしそびれました。

駈歩を終え、ふたたび速歩。うわこのヒト、一度駈歩入れると調子が良くなるんだから。あんまり脚や鞭を使わないでも、どんどん前に出ていきます。しばらく走って、停止→速歩発進。ロゼッタだとこれがあまりうまく行かないのですが、「ゴムチューブをにゅーって絞り出すつもりで脚使って」馬の腹をチューブだと思って、前に絞り出すように脚で圧迫すると、けっこういい反応でした。「馬なりだとちゃんと馬が動いてるんですけど、自分のリズムで動かそうとしたときに突然バランスがおかしくなってるでしょ。そうじゃなくて、自分のリズムに馬の方を合わせる乗り方っていうのをそろそろ覚えてもいい頃ですよ」。うーん、難しいことを言われてしまった。
常歩に落とし、沈静化。のんびり歩くとますます雨が気になるが、でも今日は駈歩が気持ちよくできたし、乗れて良かった。

雨だし、もうロゼッタには乗る人がいないので、馬繋場に上げて手入れ。「丸洗いしちゃってねー」というK村さんの指示で、ホースを使って丸洗いします。ちょっと肌寒いので、ぬるま湯で腰をあっためてやりながら。
全部洗い終わって汗こき、タオルで拭いたあと、ロゼの毛が乾くのを待っている間、ロゼが鼻やら耳の付け根がかゆいと言って私の肩に顔をこすりつけてくるので、好きにさせていました。かゆいのも気が済んだのか、なんか鼻先でふにふに私の腕をいじって遊ぶのに変更した模様。ところが遊びが過ぎて、 ちょっと私の手首に歯を立てたので、「こら」と言うか言わないうちに、「あっ、間違えちゃったの、ごめんなさい」という表情で顔をひくロゼッタ。まぁ、かわいいヤツではあるんですよ。遊ばれたあとは、服についた白い毛が洗濯してもとれなくて困ってしまうんですが。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)

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