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3鞍目
144鞍目・ケンカしないように
(2003.9.13 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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夏はけっこう涼しかったのに、今ごろになって暑くなってきた土曜日。今日は10時の予約なので、9時ちょっとすぎに日の出に到着。ホワイトボードを見ると、相方はジュンヨー、私はハイセイコーJR。JRに乗るの久しぶりだなぁ。JRは手綱を強めに持つとすぐ機嫌が悪くなって、首をがっと下に突っかけてハミを緩めようとするので、今日はあれをやらせないように乗ることを課題にしよう。
着替えをして、JRは皮膚が弱いので丸拍車を装着。長鞭を持って馬房に向かいます。

馬房の外から声をかけると、馬房の奥に引っ込んでいたJRはちろっとこっちを見てからまたオガを鼻先でつつきはじめました。虫除けの馬着が顔まで覆っているので、覆面してるみたいでちょっと笑える。とりあえず中に踏み込み、その馬着の上から無口をかけて、外に連れ出します。
馬繋場につないでから、よく考えてみると、この顔まで覆う馬着の上から無口かけちゃったら、馬着脱がせられないじゃん。「馬房の中で脱がせてきて良かったのにー」とスタッフK村さん、そんなこと先に言ってくれよー。「ここで無口外しちゃっていい?」「どうぞ、外してもどこも行かないよ、そいつ」いったん無口を外してから、馬着を脱がせてもう一度無口をかけ、繋ぎなおします。この子は油断するとすぐ、歯で体を掻くのに夢中になってひっくり返りそうになるので、無口は梁の上からつるしてある鎖につなぎます。いやー、しかし馬ってでっかいなー。ここのところ小さいロゼッタばかり乗っていたし、先週はどさんこと遊びまくったので、ただでさえでっかいJRがとてつもなく大きく見えます。
蹄の裏掘りするのも、脚が重いし。この子って自分で脚を持ち上げてくれなくて、この重い脚をずっしりと手のひらにあずけてくるから、落っことしそうになる。裏掘りを終わったところで、ぼたぼたとボロ。あーよかった、裏掘りの途中じゃなくて。せっかく裏掘りしたんだから、ボロを踏ませないように慎重にJRを横に移動させ、ボロを掃除。
さてブラシかけにかかりますが、JRってこんな体型だったっけな? とにかくでっかい馬なのですが、でかいのは体高だけじゃなくて、筋肉もきちんとついていたはずなのに、なんか肉がこそげおちた感じ。お腹のあたりは相変わらずぽっこりしてるんだけど、背骨がくっきり浮き出ていて、背骨のまわりがいったんくぼんだ下にあばらがくっきり浮き出ている感じで、なんか栄養失調の子供みたい。いくら夏バテだって、この痩せ方はすごくイヤな感じ。こんな背骨の浮き出たところに鞍置いたら、鞍傷できたりしないかなー、心配。

大きめのジェルパッドを探して装鞍、プロテクターをつけると、もう時間が来ていました。急いでハミをかけて、馬場に出します。
馬場へ降りる坂がものすごくとろいのもJRのクセですが、その巨体でもたれかかってくるのやめてくんない? 反対側へ押し返すと、今度は道草を食おうとするのもいつものこと。ようやく馬場へ出して、踏み台を持ってきてもらって騎乗。JRが首を突っかけるときの防止にサイドレーン(鞍の前橋とハミを紐でつないでいると思ってもらえればいいと思います。こうすると必要以上に首が下げられなくなる)をつけてもらい、腹帯をしめて鐙を合わせます。
今日の指導はK野さん、馬はアルフォンスとジュンヨー、JRの3頭です。さきにアルフォンスが準備ができて蹄跡に出ていたので、K野さんに「アルの後ろに入って」と言われて、アルの後ろで蹄跡へ。そのうちジュンヨーが出てきて先頭に入ったので、ジュンヨー、アルフォンス、JRの順で常歩。うわ、前の人がいきなりアルフォンスに尻ムチ入れてる。あの子にああいうことすると、いじけちゃうんだがなぁ。

さて、JRとケンカしないためには、どうしたらいいかな。拳をしっかり固めてしまうと、イヤがって首を突っかけることは分かっているのですが、だからといって手綱を緩く持つのは私がイヤ。ってことはだ、拳をやわらかく持つしかないんだよな(基本的)。どうも「緩い」と「やわらかい」の区別が難しくて、緩く持っちゃいけないことは分かっているけど、私はどうも拳を固くする傾向がある。今日はちゃんとやわらかく持つことに専念しよう。首の動きに随伴して、首が前に出るときには拳を許すようにこころがけます。
JRは体が大きいので、アルフォンスに置いて行かれずに歩けているけど、歩度が伸びているわけではありません。歩度を伸ばそうと思って頑張って脚を使うのですが、ほんとにマイペースな奴だ。
「歩度をつめ、はやあーし」あ。お前、今のは号令に反応しただろ。速歩になると、まぁ前の馬がいるからとっとこ走るんですけど、隅角でなかなか外を回せない。脚で外に押し出そうとして、何回かに1回くらいは成功するんですが、なんか偶然のような確率で、釈然としないな。歩度を伸ばそうと思って立つ・座るのタイミングを早め早めにしていきますが、JRがぜんぜんついてきてくれない。このゆったりした軽速歩、乗り心地はいいけど、そういう問題じゃないんだよなぁ。でも今日はまだ、首を突っかけられないだけでもよしとしようか。

「軽速歩のままでいいから、巻き乗り。JR、アルフォンスのお尻の外ですよ」う、分かってます。分かってるんだけど、内側にささっていこうとするJR。あんた、それは巻き乗りじゃなくて前肢旋回じゃないの。外に出したくて脚を使っているつもりですが、ぜんぜん効かず内側にささられた挙句、止まってしまう。再度巻き乗りの指示が入りますが、JRは後ろの馬ばっかり気にして、やっぱりどんどん内側にささっていきます。「前に出すんですよー、内方全然当たってませんよ」…うー。
速歩に落として、正反動をとるのは楽な馬。でもさっきあの背中を見ちゃってるから、もっと優しく乗らないと痛いよなー、ごめんなJR。しかしこの馬で速歩やってると、どうしても脚が前に出る。自分で、正しい位置はもっと後ろだと分かっているんだけど。そりゃ他の馬のときでも脚を引くのは下手だけど、この子だと特にうまくいかない気がする。そう思ってるそばからK野さんに「脚もっと後ろー」と言われてしまう。分かってるんだけどさぁ。

軽速歩のまま、「大きく輪乗り」の号令。巻き乗りではあれだけささられたけど、前の馬についていかなければ多分ささらないはず。思惑通り、前の馬から1馬身以上離れていればそんなにはささらないみたい。でも蹄跡に近づくと、蹄跡に出たがってしまいます。それを馬場の内側に戻そうとすると、戻りすぎて内にささる。前の馬に近づきすぎると、それより内側に行こうとしてやっぱり内にささる。なかなか思い通りになりません。
他の2頭は輪乗りを開いて蹄跡に戻りましたが、「JRは輪乗り続けて」うぐ、特訓ですか…。「輪乗りの手前を換え」左手前からなので、線上から蹄跡に出るときには右手前ですが、JRがぷいっと左を向こうとしました。はぁ? あたしは右向いてって言ったよ、JR。わざわざ扶助と反対方向を向こうとするなんて、反抗以外の何者でもない。ふざけんなよ、と思ってさらに右に曲がらせようとすると、ますます反抗して左へ行こうとします。こいつの力に敵うわけないんだけど、でももうここまで来たら思いっきり引っ張ってでも曲がらせないと、このあとナメられる。「負けちゃダメ、負けちゃダメ」と後ろからK野さんの声が飛びます。もちろん私だって、こいつに負けてやる気はない。思いっきり右を引っ張って、右の上腕がビキッと攣ったようになったけど、それでも引っ張る。ようやくあきらめたのか、JRが右に曲がってくれました。でも力ずくで曲げるのなんて、かなり不本意です。今日は首を突っかけないのはいいことだけど、こんなことで戦うハメになってるようじゃなぁ、あーあ。

前に馬がいなくても、どうしても輪線の上をきれいに踏めず、蹄跡に出ようとすることの多いJR。輪乗りの手前を換えているので、蹄跡の2頭と違う手前になっているから、そんなことしたら正面衝突しちゃうじゃないのよ。「内方その位置じゃダメ、もっと後ろですよ」あれっ、外方脚が後ろって言われるのは分かるけど、内方が後ろ? そうすると外方はどこに置いたらいいのかな? ちょっと混乱して、結局内方脚の位置を変えずにいたのですが、あとから考えてみたら私の内方脚が前に出過ぎてたってことなんですよね。内方脚を使って、外方の手綱で受けて、とやっていると、ときどきふっと内方姿勢がとれてるじゃん、と思えるときがあるのですが、1周と続かない。それどころか途中で止まろうとするJRに腹が立って、思わずJRの腹をどかっと蹴りつけたら「最初からその脚使って」。あぁ、つまり前に出せていないってことなのよね。

他の2頭は、もう蹄跡で沈静化に入ったようです。「JRは中入って来て」と言われて、馬場内側のK野さんのそばまで行って馬を止めます。「じゃ、ちょっと僕替わりましょうか。JR言うこと聞かない?」「言うこと聞かないっつーのかねぇ、うーん」自分の技量のモンダイだと思っていたので、馬が言うことを聞かないという状態と結び付けて考えてなかった。
下馬して乗り替わると、「僕の乗るのよく見て覚えて」と、速歩で輪乗りを始めるK野さん。自分のときと馬の反応がまるで違う。何が違うのかは見てすぐわかるわけじゃないけど、せめて乗り姿をいいイメージとして自分の中に持っておけるようになっておかなくては。
「外方ちゃんと持ってあげてないと、馬はさっきみたいにハミがちゃがちゃするんですよ。外方持って、内方脚使わないと。脚もこの位置じゃ効かないですよ、もっと後ろ。このへんだとほら、当たらないもん」と、K野さんが私の姿勢の再現をしてくれましたが、脚が腹帯の上あたりにある。JRは腹まわりがデカイ割に肩幅はそんなに広くないので、腹帯のあたりはぽこっとへこんでいて、そこに脚があっても宙に浮いてしまう感じ。「脚の強さとか、長さのモンダイじゃないんですよ、脚の位置のモンダイ。このへんでいくら使っても当たらないでしょ、ほら」。

私の前で馬を止めたK野さん、「脚はここまで引いて、で、上体はここまで(後ろに)倒すとお尻のやわらかいところで座っちゃうし、あんまり前に倒すと痛いところで座っちゃうから、このへん」と、姿勢の手本を見せてくれてから下馬。「じゃ、足上げしますから乗りましょう」ということで、K野さんに足上げしてもらってふたたび騎乗。「脚はこのへんで、膝は鞍から浮いちゃっていいですから、ちゃんと開いて、ふくらはぎはちゃんとつけて。膝を鞍につけるようになるのは、それができるようになってからでいいです」とりあえず今は、ちゃんと股関節を開いて脚を馬体に添わせるようになれということか。
「じゃ、手綱伸ばして歩いてていいですよ」と言われて蹄跡に出て、手綱を伸ばして常歩。歩きながら脚を引いて、今K野さんに言われた位置に置いてみますが、うまく引けないので、鐙を脱いでから脚を引いてみます。他の2頭はもう沈静化が終わるところなので、私が好きなところに行っても邪魔にならないだろう。鐙を脱いだまま鏡の前まで行って馬を止め、これでいいかどうか鏡に映して確かめてみます。
手綱はゆるいままなので、JRがずるずる動き出してしまい、また1周してきて鏡の前で止めます。自分が正しいと思う位置に脚があると、ふとももの前面が辛いな。そこへ、K野さんがサイドレーンを外しに来てくれました。「脚がこの位置だと辛いね」「辛いんですよ、正しい位置は」「でもこれ、鐙をはくと途端にできなくなっちゃったりしそう」試しに鐙をはいてみると、やっぱりちょっと足が前に出るなぁ。難しいところだ。

ほかの2頭は馬繋場に上がってしまいましたが、JRは沈静化に入るのが遅かったので、あとから遅れて終了。首をたたいて下馬、あらJR、すごく汗かいたね。駈歩もしてないのに、やっぱ体力落ちてんのかな。
馬繋場に上げて、今日は丸洗い。シャワーでひと洗いしてから、K野さんに手伝ってもらって消毒液で全身を洗います。汗こきをして、タオルで拭いていると、だんだんJRの機嫌が悪くなってきたような感じで、噛みつくそぶりを見せます。「そいつ腹減ると、機嫌が悪くなんだよ」とK村さん、そんな単純な…(笑)。虫除け馬着を着せている間にも、どんどん不機嫌になるJR、はいはい分かったよ。馬房に戻して、昼飼いをあげました。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)

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