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(2003.9.28 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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土曜日は中央線が高架線工事で止まるというので、日曜日。ところが朝7時に終わるはずだった工事が長引いているとのことで、バスと私鉄に振り替えるはめに。いつもより30分早く出たのに、着いたのはいつもと同じ時間でした。ぷんぷん。
倶楽部にたどりついてホワイトボードを見ると、アルフォンスとコスモのところに私たちの名字が。P(パパの略)ともM(ママの略)とも指定がないってことは、「どっちがどっちでもいいってことだな」「あたしコスモがいい」「…俺もコスモがいい」というわけで、急遽じゃんけん大会が行われ、一発勝負で勝った私がコスモ権を獲得しました。相方に言わせると、アルは重くて体力消耗するからかわいそうかな、と思って「負けてあげた」んだって。まぁそういうことにしておいてあげよう。

というわけで、着替えをしてコスモの馬房へ。前回がけっこう重かったので、今日は丸拍車をやめて棒拍。繊細な(びくびくちゃんとも言う)コスモだけど、拍車に対してはそう繊細でないことが分かったので。
声をかけるとひょこっと顔を出してきたので、そのまま無口をかけてから、馬栓棒を外して馬房の外へ出ます。馬繋場につなぎ、蹄の裏掘りとブラシ掛け。あー、なんか遠くで花火がぽんぽん言ってる。合図用のものらしく軽い音だけど、気の小さいコスモは耳をあっちこっちに動かして「何? 何?」って言ってる。
そこへK野さんが前肢用のプロテクターを持ってきてくれました。そういえばコスモ用のレンタル鞍がないので、「鞍どれ使ったらいい?」と聞くと、「あ、ありますよ」と彼の自鞍を出してきてくれました。彼の鞍は、私には割と合うので好きなのだけど、そんなに気前が良くていいのかい。
装鞍も彼が手伝ってくれました。今日は忘れないように折り返し手綱を先にコスモの首にかけて、鞍を置きます。

腹帯を締めると、「もう出していいですよー」と言うので、勒をかけて馬場へ。
馬場中央で馬をとめ、折り返し手綱をハミに通そうとすると「いいですよ、そのままで」とK野さんが言うので「この間のやり方する?」「うん」。前回、折り返し手綱を普通に持たずに、ハミを通してから片方ずつ腹帯に結わえ付けましたが、あれやると重くなるんじゃなかったっけ?まだ私の技量では折り返しの操作ができないってことかぁ。折り返しの練習もしておきたいんだけど、指導員の彼が危ないと判断したのだろうから仕方ない。
騎乗して折り返しを結わえ付けてもらい、腹帯も締め直してもらいました。準備のできた馬から適当に蹄跡に出ます。今日の部班はモンブラン、ウィンダム、相方のアルフォンス、私とコスモの4頭。これは当然モンちゃんが先頭、アルが一番後ろだろう。案の定、モンブラン、ウィンダム、コスモ、アルフォンスの順を指示され、隊列を整えます。

歩かせてみると、やっぱりコスモ重いかも。後ろのアルフォンスはもっと重いから追い付かれないものの、ちょっと追い付いておかないとなぁ。脚を使うと、少しだけ常歩の歩度が伸びました。常歩で元気よく歩くとき、だいたいの馬は首の動きが大きくなるものですが、コスモの場合すこし横に振れるんだよね。コスモは体が横方向に柔らかい(と、私は思っている)からだと思うけど、るんるん歩いているみたいでかわいい。
それでも前に追いつけなかったので、蹄跡を少しショートカットします。ようやく追いついて1馬身のところまで来ると、速歩の号令。脚をむぎゅーっと入れ続けると首の動きが大きくなって、常歩とすっっごく緩い速歩の中間くらいの歩様になりました。「おいおい、そんなの常歩だよ」と軽打して、ちゃんと速歩に。言っちゃってから気がついたけど、これって前にK野さんに言われたことそのまんまじゃないの(笑)。
速歩と速歩で蹄跡を周回。今日は鏡の前を通るような蹄跡になっているので、鏡の前を通過するときには必ず自分の姿勢をチェック。特に脚、気がつくと引けてないことが多いので、せめて鏡の前だけでも気を付けるようにします。速歩でどうしても脚がバタバタしちゃって、脚が前に出がちなのは困ったもんだ。

「20mの輪乗り」先頭のモンブランが20メートルの感覚がつかめなかったらしく、K野さんに「20mってどれくらい?」と聞いています。馬場の短い蹄跡が20mだから、馬場の幅いっぱいに輪乗りをすればいいってことなんだけど、知らなきゃ知らないわな。
「前の馬のお尻の外ですよー」と言われながら軽速歩で輪乗り。2番騎のウィンダムがどうしたって内側にささりたい馬だから、その前のモンブランより内側に入っていこうとしている。コスモは前についていく馬ではないので、できるだけその外を回します。
ちゃんと私が通らせたいルートを通ってくれるコスモですが、なんかヘンだな。首が外を向いていて、全然内方姿勢がとれていない。以前乗ったときには、ちょっと内方脚で押しただけでくにゅっと内方姿勢になったと思うんだけどな。ちょっとだけ内方の手綱を控えてみますが、たぶんこれじゃないんだよな。案の定、控えても内方姿勢がとれていません。せっかくコスモに乗っているのに、こういう動きは不本意だなぁ。

ウィンダムに乗っている人はビジターさんだったらしく、30分で部班を離れて沈静化していました。3頭部班になり、速歩。そのうち、「モンブランとコスモ、蹄跡より1メートル内側で速歩しててください。アルフォンス、蹄跡で駈歩」と指示があり、蹄跡より一回り小さいところで輪乗り。
蹄跡で相方が、アルの駈歩を出すのに苦労しているのが視界の隅に見えて、「ほーらやっぱり難しいだろうが、アルの駈歩」と言ってやりたいところだが、私もコスモに必死だったので、そんな余裕はありませんでした。だってなかなか内方姿勢がとれないんだもん。前進気勢が足りないのは分かっているんだが。

常歩から、沈静化の合図。「コスモはちょっと中に入って止まってて」と言いのこして、K野さんがクラブハウスの方に消えました。コスモの場合、駈歩は馬場の内側でやることが多いので、駈歩かなと思ったのですが、どうも違うみたい。K野さんが戻ってくると、「じゃあいっぺん降りましょうか」と言うので下馬。K野さんはコスモにまたがると、「重かったですか?」「重い…のかな? そうでもないと思ってたんだけど」「ずいぶん動かしにくそうに見えましたよ」私の中の重い馬の基準がアルフォンスなので、あいつに比べれば相当軽いと思っていたんだけど。
コスモを動かして馬場を回り始めたK野さん、速歩、駈歩とやってから戻ってくると、「かなり重いですね」と一言。そうか重かったのか。
「じゃ、足上げしますから乗って、もうちょっと歩かせましょう」K野さんに脚上げをしてもらってもう一度騎乗。「じゃあゆっくり歩いててください」とK野さんが言うのへ、おそるおそる申告してみます。「あのー…ちょっと駈歩してみたりしてもいい?」何言ってるんですか、と言われるかと思いきや「うん、いいですよ、じゃあやりましょう。でも今日は駈歩出ないかもって思ってたんだけど」そ、そんなに重いのか、それとも私の体力のモンダイか、いや技術のモンダイか? でもK野さんが乗ってくれて少し動かしやすくなってるかもしれないし、初めて乗ったときには一応駈歩できたわけだし。

蹄跡はほかの馬が沈静化で歩いているので、馬場の内側を使って左手前で駈歩発進。あれ、出ないな。「内方で押して、外方引いて」やってるつもりなんだけど、速歩が出てしまいます。「すぐ止めて、いい加減に出さないの」止めて、やりなおし。内方脚で押しているつもりなんだけど、全然内方姿勢がとれていない感じ。なんでこうなっちゃうんだ? 何度やっても速歩しか出ません。
「手前変えて、右手前でやってみましょうか」自分では右の脚のほうが効くように思うので、そのほうが出しやすいかもしれない。右手前になって駈歩発進しますが、やっぱり速歩が出る。「内方で蹴って」蹴ってすぐ外方を引いてみますが、なんだか外方に向かってふくれていくだけで、駈歩にはならない。ふくらんでいくってことは、脚が全く当たっていないわけじゃないはずなんだけど。なんか自分のバランスもばたばたになってきました。
「じゃあやっぱり左手前に戻して。そっちのほうが出しやすいはずだから」手前を換えて、左手前にして駈歩発進。それでも駈歩にはならない。出さえすれば、あの座りやすかった駈歩がやれるはずなのに。
もともとレッスン終了時間寸前から「駈歩やらせて」と頼んでいるわけだから、時間的にはもう終了時間。でもお昼時間前ということもあってか、K野さんももう少しやらせてくれるみたい。できればちゃんと「できた!」っていうイメージで終わりたいところ。

クラブハウスの方に行ったK野さんが、手に短鞭を持って戻って来ました。「うそー! そう来る?」「はい、これ持って」コ、コスモで鞭持つんですか。鞭持った瞬間からゴズモに変身しないですか(冷汗)。
K野さんから鞭を受け取った瞬間、やっぱりびくぅっとするコスモ。まぁ持ってるだけでも違うのかなー、と思おうとしたら「はい、肩に鞭入れて」ま、ま、まじですか。おそるおそる肩に軽く触れてみたら、ちょっとバタバタっとして速歩になりました。えーん、そういう動きやめてよ。
止めて、極力鞭で刺激しないようにしながら(それって意味ないんじゃ…)駈歩発進。脚を入れると、やっぱりバタバタっとした速歩しか出ません。このくらいじゃまだゴズモに変身してないのかもしれないけど、私にとっては充分不審な動きだわ。しかもそうやって出た速歩、ちょっと止めにくい。半減脚のつもりが半減脚として作用しなくなっているような。「違う違う、そうじゃないよ」と速歩を止めると「そうじゃないですよ、今のは脚が効いてないもん」とキビシイお言葉。
「すぐ止めて、すぐ出す。はい駈歩」あーやっぱり出ない。「何が何でも出してやるくらいの気持ちじゃなきゃ。怖がって鞭使わないようじゃダーメっ」何度やっても速歩しか出ないんだけど、あれっ、今のは勢いで駈歩になりそうだったか? 同じ出ない駈歩でも、アルフォンスのようにどんどん出なくなっていくのではなくて、少しずつ駈歩が出そうな感じに近づいてきている。
「もう次は必ず出ますよ、頑張って」で駈歩発進、それでも駈歩にはなりませんでした。「…じゃあ常歩、ゆっくり歩かせましょう」ちょっとホッとしたような、悔しいような。鞭を捨てて、手綱をこぶし1つ分だけ伸ばして歩かせます。それでバタバタしないんだから、やっぱりゴズモにはなっていなかったみたい。

沈静化を終え、馬場中央に馬を止めて挨拶。馬の首を叩きながら、「うーん、何で出ないんだろう。脚の向きが悪い?」とK野さんに聞いてみました。私の拍車が効かないのは、脚がちゃんと開いてなくて膝で締めてしまっている上、拍車の向きが良くないんだと常々言われていることだから。「いや、今日はちゃんと開いてましたよ。足りないのは気合いです、気合い」気合いね…言い方を変えれば、やっぱり思い切りが足りないんだよね。
下馬して、コスモを連れて馬繋場へ。メットを脱いで蹄の裏掘りをしていると、K野さんが「馬繋場でも何があるか分かんないから、そいつの場合は。ちゃんと被っててくださいね」と通りすがりに言っていきました。乗馬を始めた最初からそう習っていて、実行もしていたはずなのに、ちょっと油断してるかな、私。ヘルメットを被りなおして裏掘りをしていると、また遠くで花火の音が。落ち着かなく耳を動かすコスモを「ほうほう」と言ってなだめます。そこへ、馬繋場の屋根の上で「ばん」という大きな音。たぶんトタン屋根に木の枝か何かが落ちてきた音なのですが、もともと落ち着かなかったコスモにとってはとどめの一撃、「きゃああ!!」と暴れ出してしまいました。なだめたらすぐ落ち着きましたが、天罰てきめんっつーか、やっぱりヘルメットは大事ですね。馬に悪気はなくても、跳ねとばされたり蹴られたりする可能性のことを忘れてはいけない。

コスモは午後もお仕事なので、蹄の裏掘りだけして馬房に戻し、昼飼いをあげました。その帰りにAlmoさんに会うと、なんだかニヤニヤして私を見ているので、ヘルメットを投げつけるふりして応酬。「居残り特訓されてるなーと思って」と言うAlmoさんに「違うの、自分から志願しちゃったんだよねー、これが」。自分から志願したくせにこの体たらくだ。我ながら情けないなぁ。「I野先生のところに伺ったほうがいいんじゃないの。何か言いたそうだったよ」うわー。
後からI野先生に、「先生、私がコスモに乗っているとき何かおっしゃってたそうですが」と聞くと、「ん、そうか? 俺なにか言ったかなぁ?」としばらくお考えになってから、「そうそう、肩から逃げてるって言ったんだな」馬が肩から逃げてるってことか。それは確かに、内方姿勢がとれてないなぁと自分でも思っていました。「外方がなぁ、ちゃんと押さえてないんだよ。ほら、いくら内方で押したって、外方で押さえてやってないとこう、流れるだけだろ」そう言われてみると、外方脚を引こうとはしていたけど、それで押さえようとはしていなかったと思います。だから外方にふくれては行っても、駈歩は出なかったんだなぁ。
「まぁ、折り返しをああやってると、どうやったって駈歩は出にくいよ。あれだけ首を固めちゃってるわけだから、馬だって前に出にくいだろ」となぐさめてくださるのかと思えば、返す刀で「でもなぁ、あれをつけてて、それでも出せたら大したもんだな」だって。
次にコスモに乗る機会には、どうにかしたいもんだなぁ。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)

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