←167鞍目 | 168鞍目・駈歩出た! (2004.1.31 あきる野・日の出乗馬倶楽部) |
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![]() 動画からのキャプチャなので、画像が荒れてるのはご愛敬。 とにかくアルで駈歩出たのがうれしくて。 |
今日は、来週の試合のために経路練習です。経路の場合は馬場を1人で使うことになるので、部班レッスンと同じ時間には予約できず、16時の予約。相方は15時から部班の予約を入れたので、14時に倶楽部に到着。ホワイトボードを見ると、私の配馬はアルフォンス。うぇ〜、アルフォンスぅ〜? 今あいつとはとっても相性が悪くて、部班で駈歩すら出せないのに、経路なんか踏めるんでしょうか。 先週、私がアルの駈歩を出せなくてヘコんでいたことを知っているスタッフS田さんが、「やってみてくださいね、サドルホルダー」と言ってくれました。先週、「外方の拳をサドルホルダーで安定させれば(私のイメージでは、固めるというより安定させるだと思う)駈歩が出やすくなる」というアドバイスをもらったので。「うん、がんばってみるけどぉ〜」「駈歩出ないなんて言ったって、N子先生に『出ないんじゃなくて出すの!』って言われますよ」うん、すっごく言われそう。 今日のアルフォンスは午前中に仕事をしたらしいので、すでに下乗り済み。馬房に迎えに行き、扉を開けると、割とおとなしそうな顔をしています。でも何しろ、ついこの間まで噛みつき馬だった彼のこと、油断はならぬぅ。馬房に入り、あらかじめ引き手をつけた無口をかけて、外に出します。 馬繋場につないで、蹄の裏掘りから。あら、爪の中に砂のかたまりが残っている。いけませんね、前のレッスン後にちゃんとやってもらえなかったんだな。ブラシをかけてから、ちょうどそこにいたスタッフのNさんをつかまえて、後肢にバンテージを巻いてもらい、自分は装鞍にかかります。噛まれさえしなければ、アルフォンスの馬装はすこぶる簡単(装備も少ないし)。 馬場でCちゃんがコスモに乗っていて、他のスタッフが経路の標識を作ってくれています。まだ時間にはちょっと早いけど、コスモも出ているし、アルフォンスを出しても大丈夫だろう。ということで、アルを連れて馬場に出ます。 スタッフがみんな、馬場標識の設営で忙しそうなので、自分で踏み台を取りに行こうとしたら、Nさんが気がついて持ってきてくれたので、ついでにNさんの補助で騎乗。鐙はちょっと長めくらいでいいかな、今日は馬場練習だし。 準備をして歩き出すと、設営していたO先生が「ちょっとガツガツ動かしててくださいね」ということで、2〜3周の常歩のあと、速歩に移行。あら、けっこうちゃんと動くではないの。 ちゃんと動くと思ったのは、前にコスモがいたせいだったらしい。軽速歩で動かして、ちょっと巻き乗りしてみたら、輪線上でぴたっと止まる。そこから蹄跡に戻るまでは、どんなに推しても蹴っても常歩でしか動いてくれず、蹄跡に戻ったときにはすっかりやる気をなくしている感じ。どうにか速歩を出させても、後ろにコスモの気配を感じるとピタッと止まります。そうだった、この子は自分の後ろに馬がいると絶対動かないんだったよ。 仕方がないのでコスモに追い抜いてもらい、その後について速歩を出すと、出るんだなこれが。でも今度の速歩は、なんかぺたぺたした歩様。右後肢が腫れているのを気にしてるのか? と思いましたが、左右のバランスは変じゃないので、跛行とは違うみたい。でもなんか、後肢を全然使ってないというか、ちょこちょこ走ってる感じで、反動がぴょこぴょこしてるなぁ、やな感じ。N子先生に「軽速歩でもっと動かしてー!」と言われるものの、ちょっと回転を入れるとすぐ止まり、後ろにコスモが近づいてくるとすぐ止まる。どうしたらいいんだ、こいつは。 少し速歩で動き始めたので、常歩に落としてから外方のサドルホルダーを持って駈歩発進をしようとしましたが、これが全然反応しない。アルが私の焦りを知っていて、「駈歩? いいじゃん、そんなの」と言っているような反応のなさ。うー、腹立つ。そしてこうなると、今度は速歩を出すのにも反応がニブくなっていくんだよね、なぜか。がっつんがっつん蹴っ飛ばしているのに(本当はこういう乗り方したくないんだよぅ。もっと静かに乗りたい)、反応がニブすぎる。 コスモを動かしていたCちゃんが、設営の出来た馬場に出て下馬しています。Cちゃんとは来週一緒に試合に出るので、今日の練習も一緒にするのだと思っていたんですが、今日はちょっとコスモを運動させていただけだったらしい。 「じゃあKYOKOさんは馬場の中で、もうちょっと馬動かして。納得できたら経路やろう」でもまだ、全然納得いきません。こんなので駈歩なんか出るわけない。ぴょこぴょこした動きになるのは、要するに前に出せていないのと縮め(つめ)すぎなんじゃないかと思ったのですが、今日は手綱は少し緩めに持っているし、そんなに縮めてるつもりはないのだ。 後ろでO先生が、N子先生に「今日のコスモなら使えそうだから(この場合の「使えそう」は、私でも乗れそうという意味だ)、馬替える?」と言っているけど、コスモで経路を踏む自信もない。「あーしょうがないなぁ、ちょっと替わるわ」とN子先生。下馬すると、N子先生は私と身長は大差ないのに、踏み台もなしで「鐙短いなぁ!」と言いながら、左足を鐙にかけて飛び乗りました。いやあの先生、私これでも鐙長めのつもりだったんですけど。 N子先生が乗ると同時に、さくさく軽速歩で動いているアルフォンス。馬場に入ってきたS田さんが私に、「一番くやしい瞬間ですよねー」。そうなのよ、私が乗っている間は集中力のかけらもなかったくせに、先生に乗り替わった瞬間に「ハイっよろこんで!!」と動き出すのは何でなんだ。「何なんだろう、馬って不思議ですよね? 何が違うんですかね?」と言いながら、S田さんが馬場を横切っていきました。いやもう、何が違うっていうか、何もかも違うんじゃないでしょうか、私とN子先生では。 アルフォンスを止めたN子先生に「軽速歩で出せって言ったら、このくらい出すの!! 分かった?」と言われて「はいっ」とは返事したものの、分かってはいるんですぅ。できないだけで。 自分で踏み台を取りに行き、再びアルフォンスに騎乗。「あんまり手綱にしがみつかないで乗りな。この馬、手綱なくても乗れるくらいだよ」と言われ、今日はもうゆるゆるの拳で乗ることを決意。どうせ前に出せない馬なんだもん。 さてもうそろそろ、経路を踏みはじめなくちゃいけない。「敬礼省略していいから、馬を止めずに入ってきな」A点から入場して、X点での停止を無視してそのまま直進するつもりが、アルフォンスが勝手に止まりやがった(今考えると、私がX点を無視しようとしすぎて、かえって力が入っちゃったのかも)。「なぁんで止めるのー!!」「すみません! 止めるつもりはなかったんですぅ!」 そこから速歩発進。最初は速歩が出ませんでしたが、脚でどっかんどっかん蹴って、ようやく速歩を出させて蹄跡へ入ります。あ、さっきのぴょこぴょこした歩様じゃなくなってる。 E点から回転してB点、ここはE点よりも、その次のB点を基準にして自分の行く道を決めていこう。「隅角でどーして脚使わないの!?」とさっそく怒られつつ、斜めに手前を換え。ここは中間速歩なのにちっとも伸びやしない。本番だったら「伸展せず」をつけられるところだな。 C点で常歩に落とすのをまた忘れていて、隅角の手前あたりでようやく気がついて常歩に。やばいやばい。そのまま斜めに手前を換え、自由常歩。「どんどん歩かせる! 脚使って。そこは自由常歩でしょ? 手綱全部伸ばさないと、認めてもらえないよ」。蹄跡に入るところから手綱を持ちなおしますが、この常歩で本当に駈歩なんか出せるんだろうか。 A点より速歩、これはどうにか出た。20mの輪乗りのうちから、前に出しておかないと。A点に戻って、右手前の駈歩発進をしたつもりでしたが、歩度が伸びただけで駈歩にはなりません。「A点からやり直し! 出るまでやる!」「はい!」そのまま速歩で大きく輪乗りして、A点に戻ります。A点の手前くらいから、「そこからムチ入れる!」と言われてムチを入れますが、「ムチ足りない! ムチの音が聞こえない!!」「はい!!」 A点から駈歩発進。速歩の歩度は伸びましたが、駈歩にはならない。そのまま隅角を通過してしまい、「ムチ使ってでも何でも、出すの! 出せ!」とN子先生に叱咤され、K点のあたりで鞭を使いました。その瞬間アルが体をひねり、私は鞍の上で大きくバランスを崩して、外方に投げ出されそうになりました(周囲の証言によると、私が鞭を入れた瞬間にアルがぱこーんと横蹴りしたそうです)。落ちるかな、落ちるならどうやって落ちるのが安全かな、と一瞬考えましたが、外方にサドルホルダーを持っていたおかげで持ちこたえられそう。大丈夫、と思ったときに、今度は無性に腹が立ってきました。落ちてたまるか、ふざけんな。サドルホルダーに頼って自分の体を引き起こし、鞍に座りなおしてそのまま速歩。「よし、そうだ!」というN子先生の声、落ちないで立て直したことを褒めてもらえたのかな。 でも駈歩は出ていないので、また右手前でA点に戻る輪乗りをします。「ムチの入れ方が違うんだよ、ムチは脚と同時に使うの」ふたたびA点から駈歩発進、くそ、出ないか。「ムチ!!」というN子先生の声のもと、鞭を使ったら、さっきと同じところでまたアルが大きく横蹴り。ふざけんなよ、同じ手を2度も食うかってんだ。落ちてなんかやらないんだからな。 このままで終われるかい、という気になってきて、今度は自分から「もう1回やります!」「よし!」だんだんスポ根の様相を呈してきました。 何度輪乗りを繰り返しても駈歩は出ず、もう完全に息が切れてきました。駈歩発進に失敗してつい常歩に落とすと「もう〜、なんでそこで『はぁ〜』って一息ついちゃうの」と怒っていたN子先生ですが、ついに「仕方ないなぁ、1回乗るか」と乗り替わってくれることになりました。下馬すると、「疲れたでしょ?」と優しいことを言うN子先生、かえって泣きたくなるからやめてください。「疲れたっていうより、くじけたくなってきました」「このくらいでくじけないでよー」と言いながらアルに飛び乗ったN子先生は、「簡単なんだからね、この馬。すぐ出るんだよ」と、乗り替わってすぐに駈歩を始めました。 しばらく駈歩の輪乗りを続けていたN子先生が、私の近くで馬を止めて下馬し、「ほら、今なら出る! すぐ乗って、準備できたらすぐ駈歩やるよ! 足上げしてやるから!」と、お尻を叩かれるような勢いで騎乗。「乗った? 準備できた?」「はいっ」「じゃあ行けっ」たまたま左手前の向きで騎乗したので、このまま左手前で駈歩発進してしまえ。 A点で駈歩発進すると、あ、アルが反応した。今、1歩だけだけど、駈歩の動きをしたね、アル。いける、もう1回やれば次はいける。ふたたび輪乗りして、A点に戻ります。 「今度こそ出すよ! ムチ!!」「はいっ!」左手前で、A点で駈歩発進。あっ、いける、いけるよ。出た! うぅぅ、いったいどれくらいぶりだろう、アルの駈歩。いったん駈歩になると座りやすいアルフォンス。そうだよね、こういう座りごこちだったよね。 でも油断すると速歩に落ちそうになるので、「ムチ入れて!」とN子先生に言われ、軽くムチ。長蹄跡の間くらい駈歩保ってちょうだい、頼むよ。隅角を駈歩で通過し、C点までもう少し、というところで速歩に落ちてしまいました。N子先生に「すみません! C点手前で落としちゃいました」と言うと、「そうだ! ちょっと早かった!」と言いながらも、とにかく駈歩を出せたからか、N子先生は笑顔。 あとから相方が撮ってくれていた動画を見ると、どう見てもN子先生の追いムチで「出させてもらった駈歩」だったようですが、それでもとにかく出たから嬉しい。今ちょっと調べてみたら、なんと実に7ヶ月ぶりの駈歩でした。出せない期間が長かった分、これってすごいカタルシスかもしんない。 「じゃあ、常歩と速歩でいいから、自分の納得いくように経路回ってきな」もうそろそろレッスン時間も終わるから、1度ちゃんと経路を回っておかないとという配慮でしょう。そう言えば今日は、まだ1度も通しで経路を踏んでいない。 「敬礼省略でいいから、A点からそのまま入ってきな」ということで、速歩でA点から入場、そのままX点を無視してC点へ。外方の拳、親指はサドルホルダーに引っかけておきます。さっき跳ねられてもいるし、サドルホルダーに頼ると速歩で座りやすくなるし。 そのままE点からB点へ回転、右手前で蹄跡へ。「次A点から輪乗り、駈歩の準備してー」とN子先生の声、うんうん、A点から輪乗りね。A点から輪乗りをして、1周したところから駈歩だから、輪乗りのうちから前に出して…「ごめーん、間違えた! そこはそのまま、斜め手前換えだ!」ありゃっ!? 本当だ。先生がA点から駈歩っていうの、露ほども疑わなかった。「私も駈歩のことしか頭にありませんでしたぁ」と2人で大笑い。 気を取り直して蹄跡に戻って、V〜X〜Rで斜めに手前を換え。さっきよりマシかなとは思うけど、もっと伸ばしたいなぁ。 C点から常歩に落として、自由常歩で斜めに手前を換え。蹄跡に出る前に手綱を短く持ち直し、蹄跡に入ると、アルフォンスが少し速歩をしそうになりました。おぉ、いい勢いじゃないか。このまま行こうじゃないかアルフォンス。 A点から輪乗り、N子先生には常歩と速歩でいいって言われたけど、だからって駈歩を出す努力をしないわけにはいかないだろう。A点手前で駈歩発進をしてみましたが、1歩ぴょこっと前に出ただけで、駈歩にはなりませんでした。残念。途中からでも駈歩になってくれないかなぁと思って努力だけはしてみましたが、成功せず。 斜めに手前を換え、ここも中間速歩だから伸ばさないと。以前の練習で言われたように、腰を張って座骨を使うように(と言っても使えてないんだけど)、とにかく「伸ばす努力をしてる」ことをアピールするように乗ります。 A点から輪乗り、もとの地点に戻って駈歩発進。ここでもうまく出せなかったけど、もう気にしないことにしました。こんなのでいちいち落ち込んでいるヒマはないのだ。 あと少し、E点からX点までの半巻き。進入の少し前から、X点まであらかじめ蹄跡ができているところを空想しておき、その上を通るようにします。「よし、そこからもう中央線見て!」頭の中で描いた蹄跡を通りながら、視線は中央線へ。「今の半巻きだけは良くできてる」…褒めてもらえたのは嬉しいけど、「だけは」って先生〜。 G点までもう少し。止まりたそうなアルフォンスを蹴って、腰を張ってG点へ。そこで停止、敬礼をすると、A点の外にいたN子先生が答礼してくれました。 敬礼の後、N子先生が近づいてきて言うには、「この馬、本当はすごく簡単なんだから。でも無理に動かそうとしても動かないんだよね。この馬のいいところを引き出すつもりで乗ってやらないと」はぁ〜…簡単に言うけど、それってものすごく難しくないですか。まるで教育論語られてるみたいだ。 レッスンはとりあえずこれで終了。先生達やスタッフが馬場標識を片づけている中で、沈静化の常歩をしていると、I野先生が近づいてきて「うまくまとまったか?」と聞いてきました。「まとまるも何も…前に出すのが精一杯で」「まぁ、八王子ではこんなに動かない馬出てこないから、心配するな」そうですね。N子先生に出させてもらったにせよ、とにかくこの重い馬で駈歩したんだから、そのいいイメージだけを持って八王子に行こう。 |
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![]() ↑日の出乗馬倶楽部の見取り図 (緑字:貸与馬、青字:自馬) ※補注:私がここで「1課目」と言っているのは、 正式には「J.E.F. 馬場馬術第1課目1994」のことです。 最近2004が発表になったようですね。 |
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