←170鞍目 | 171鞍目・拍車に頼るしか (2004.2.21 あきる野・日の出乗馬倶楽部) |
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![]() 隅角を深く回らせることにかなり気を遣ってみたので、 できている蹄跡よりも外を回らせようとしています。 でもロゼッタはカメラに半分気を取られている(泣)。 |
というわけで本日2鞍目はロゼッタ。ここのところロゼッタは飼い食いが落ちたりして、体調が今ひとつだったので、1ヶ月ほどのごぶさたになってしまいました。一時は自馬のように乗っていたんですが。 今日はもともとロゼには予定が入っていなかったのですが、14時から私が乗ることになったので、本来14時から馬を運動させることになっていたお手伝いスタッフS田さんが、そのまま時間を前倒しにして下乗りしてくれることになりました。 40分くらい前から馬を出すので、「騎乗準備手伝ってもらっていいですか」とS田さんに言われて、一緒にロゼの馬房へ。S田さんがやたらと「いやだなぁ」を連発するので、何事かと思ったら「確かあいつ、3日くらい出てないんですよ」「なに~!?」それもいかがなものかとは思うが。ロゼ、張ってるときに軽く動いてくれれば文句はないけど、張ってても重いくせに挙動不審になるという変なヤツなんだよね。 ロゼッタはアルフォンスと違って肉付きが薄いので、まだ馬着を着せられています。S田さんが無口と引き手を持って声をかけても、知らんぷりしている様子。私が鞍や装備品の準備をしている間に、ようやくこっちを向いてくれたらしく、馬繋場に引き出されてきました。 一応頭絡と一緒に、馬繋場の柱にマルタンガールもかけておいたのですが、装鞍をしていたS田さんに「マルタン要ります? 要らないですよね?」と言われ、「うーん、どうしようかなぁ」と渋ると、「要らないですよ、ねぇ?」「あー分かったよ、要らない要らないっ」ということで、マルタン使用中止キャンペーンは続行決定。 馬装を終えて、S田さんとロゼッタと一緒に馬場へ。ロゼッタの鞍はロング託革なので、騎乗者は鞍の上から腹帯を締め直すことができません。S田さんが乗ってから、下から腹帯を締め直します。うーん、もう1穴締められそうなんだけどなぁ。そう思って奮闘していると、「いてっ!」ロゼッタの後肢が、私のふとももめがけて飛んできました。痛いけどとにかく叱らなきゃ。これが馬繋場だったら迷わず腹を蹴り上げるのですが、いかんせん馬の背中には人がいる。跳ねられても困るので、平手で肩を叩くだけにしました(トモを叩くほうが正しかったんだろうと思うが)。 「大丈夫ですか!?」と上からS田さん、「ごめんねー、人乗ってるのに馬たたいて」「それはいいですけど、大丈夫ですか?」私の方は、ロゼの爪がふとももの肉をかすっただけで、骨や筋にヒットしていないようなので、すぐ痛みはひきました。あんまりこういうことする馬じゃないのになぁ。 ロゼッタが運動を始めてから、私はクラブハウスに戻って、自分の馬装。さっきアルフォンスに乗ったときに膝の内側をすりむいてしまったのでチャップスに替えようと思っていたけど、バンソーコ貼ったら大丈夫そうだし、長靴もどうせ土埃だらけになってしまったので、もう1回履いとくか。 ロゼッタの下乗りを見ていると、おお跳ねてる跳ねてる。やっぱり張ってるんじゃん、やな感じ。でもしばらくすると、だんだん動きが良くなってきて、あれっ、良く動いてるんじゃない? 伸長速歩とは言わないけど、中間速歩くらいは出ています。駈歩の扶助に対してちょっとニブそうではあるが、ちゃんと出ているし。 レッスン開始の10分ほど前、下乗りが長すぎるということで、沈静化するようにオーナーからの指示が入ったようです。時間も時間だし、それじゃあそろそろ乗り替わって常歩でもしていようかな、と踏み台を持って馬場に入ったら、ママさんから「腹帯緩めて、引き馬してて」という指示。ロゼッタ頭いいから、そういうことをすると仕事が終わりだと思ってしまいそうだが、言われたとおりに腹帯を1穴だけ緩めて引き馬します。1周もしないうちに、I野先生が来て「ロゼが寝るから」ということで引き馬は中止。最近ロゼッタは、引き馬のときに人の隙を見ては砂浴びすることを覚えてしまっているそうです。 それで馬場中央に戻って腹帯を締め直し、騎乗します。S田さんから「あっちのほう(道路側の隅角・左図で言うと左上)跳ねますから、行かない方がいいです」とアドバイスをもらいました。周りの馬もほとんど騎乗準備ができていたので、常歩で蹄跡へ。常歩をはじめてみてびっくり。とてもじゃないが、さっき中間常歩をしていた馬の動きではありません。これは、さっきの状態に戻すまでには相当苦労しそうだな。 O先生の「列へ」の号令で、馬場中央に馬を並べ、レッスン開始の挨拶。この時間は、アルフォンス、ハイセイコーJRとロゼッタの3頭部班です。うーん、このメンバーだと、ロゼと私が先頭だろうな、アルもJRも先頭が切れないから。そりゃロゼッタだって先頭だと動きたがらない馬ではあるんだけど、ほかの2頭よりマシだし、乗ってる人間の中でも私が一番鞍数が多いし。そう思いながらO先生の指示を待っていると、先生は相当考え込んだあとで「やっぱりロゼッタ先頭しかないですね。次アルフォンス、JRで」ということで、先頭で蹄跡へ。 さっきのS田さんのアドバイスを思い出して、「先生、あっちのほう行かなくてもいいですか、跳ねるみたいなんで」と言ってみると、「そうですね、馬場を狭く使っていきましょう。その水銀灯の下で区切りましょうか」ということで、馬場の奥まで行かずに自分で隅角を作っていきます。ちょうどここは、さっきのレッスンでも隅角にしていた位置みたいで、蹄跡が掘れています。ロゼ、あんたは「できる」馬なんだから、他馬の作った隅角なんぞは通らせてあげませんよ。ちゃんと馬場馬らしく、隅角きっちり回っていただこうじゃないの。 速歩からすぐに軽速歩に移行しますが、いやー、それにしても重いな。拍車と鞭を使って出していきますが、さっき下乗りのときに跳ねていたのを見たせいで、もしかして思い切って使えていなかったかも。さっきのアルフォンスが、鞭なしでご機嫌に動いてくれたから、鞭はあんまり使わなくても動くんじゃないか、とも思っていたし(よく考えたら、これは馬によって全然違うんだけど)。 せっかくロゼッタに乗っているんだから、速歩でも隅角を気にして乗るようにします。特にクラブハウス前の隅角は、かなり丸く蹄跡がついていて、ほとんど輪乗りのような蹄跡。ここをこの蹄跡の通りに回していてはダメなので、いかに深く切れ込めるかだよな。ちょうど、ラチ沿いに真っ直ぐ行った直線上にパイロンが置いてあったので、それを馬場標識に見立て、ここがポイントだと思って回転するようにしてみよう。ここがポイントだとすると、その次のポイントはあっちの隅角だな。次の次のポイントを先に見て、そこから目の前のポイントまで視線を戻すようにして蹄跡を決め、隅角を決めていきます。部班でも先頭なら、こういう乗り方もアリだな。 それにしても前進気勢が足りなくて困るなぁ。マルタンつけていないせいか左によれるし、もうどうしたらいいもんだかなぁ。さっきのアルフォンスは、拳をやわらかく使ったのが良かったんだと思うけど、ロゼッタはハミはがっちり持っていないと動かないしなぁ(と、このときは思っていた。でもこれって思い込みだったのかもしれない)。ハミを固めようとすると、肘や肩にも力が入ってしまって、楽に乗れなくなってきました。「拳、もうすこし柔らかいといいですね」とO先生に言われて初めて、固めすぎなんだと気が付く始末。 それでも後ろについてくる2頭も足が遅いので、どうにか部班としては成立しているが、私が引っ張っていく感じではありません。各個に巻き乗りでは、私が巻き乗りを始めるのが早かったせいか、2番騎のJRにぶつかりそうになって、馬を止めてしまいました。輪線上でいったん止まってしまうと、もう蹄跡に出るまで、この馬を速歩に戻すのは無理。あーかっこわる。 クラブハウス前の隅角を通るたびに、I野先生の「もっと推せっ」「ムチ持ってるんだから使えっ」という叱咤が聞こえてきます。隅角ごとにムチを使い、脚もどんどん使ってるつもりなんですが、反応があまりにもニブくて蹴る脚ばっかり使うことになり、なんかバタバタした騎乗になっていく。あー、さっきはあんなに楽に乗れたのになぁ。たぶん端から見てても、さっきよりずいぶん下手くそに乗ってるんだろうなぁ。 I野先生が馬場に入ってみえて、O先生に何ごとか話すと、それを受けてO先生が「ロゼッタ、一度中に入りましょう」と言います。あんまり私の騎乗が不甲斐ないので、I野先生に怒られるのかと思いきや、I野先生の手の中には棒拍車が。そうか、今日わたし丸拍車着けてたんだっけ。 私の丸拍車を、棒拍車と取り替えてくれながら「一度N子先生にエアバッグベスト(落馬したらエアバックと同じ仕組みでふくらんで、落馬の衝撃から体を保護するという乗馬ベスト)を借りて、思いっきり乗ってみろ。今せっかくいいところまで来ているんだから、それは乗り越えなきゃいけない壁だぞ」と、私にしか聞こえないような小さな声で言います。うーん、本人としては、怖くて抑えてるというつもりはないんだけど。拳が固いからそう見えるのかな。これでもやっぱり思い切りが足りないのかな。 棒拍車をつけてもらって、ふたたび蹄跡へ。アルフォンスの前で蹄跡に戻ると、おや、やっぱり速歩が出やすいし、だいぶ元気良くなってきた。なぁんだ、棒拍車があれば動くんじゃん。ホッとするとともに、情けなくもなりました。結局私、拍車に頼らなければこの馬が動かせないんだよなぁ。 速歩に落としても、思ったほど遅くなったり、止まりそうになったりしなくなりました。しかもけっこう座りやすいかも。倶楽部内では、アルフォンスよりロゼッタの反動のほうが固くて座りにくいという評判ですが、おかしいなぁ、私ロゼッタのほうが反動についていけるや。さっきより全然、速歩でお尻が跳ねない。もしかしてこれが、40鞍以上をともにした慣れというものかしら。 せっかくだから速歩で座る練習をしようと思い、軽速歩のときでも後ろがついてきていなければ速歩にしたりして、自発的に速歩の分量を増やしてみました。本当は部班では号令違反になると思うんだけど、そのことについてはO先生も触れず、「速歩での体の位置、だいぶいいところになってきたんですけど、もう2~3センチだけ後ろです。今それでちょうど、地面にほぼ垂直です。もう少しなんですよ」と逆にアドバイスを受けました。 「ロゼッタとJR、内蹄跡へ」あれ。蹄跡に1頭だけ残して、他の全頭を内蹄跡に入れるときはたいがい駈歩練習だけど、先頭から1頭ずつ駈歩を指示されるパターンが多いもの。先頭の私が内蹄跡に入って、2番騎のアルフォンスが駈歩するってことは、私は駈歩はナシかな? 思った通り、今日の駈歩は3頭の中でアルフォンスだけでした。私がロゼで駈歩できることはO先生も知っているし(何しろ1課目を指導してもらっているんだから)、私に駈歩ができないという判断ではないはず。あえて駈歩の指示がなかったというのは、何か理由があるのかもなぁ。そう思って、かえって「駈歩したいです」とは言い出せませんでした。言っちゃえばよかったのかもしれないけどね。 時間が来たので、手綱を伸ばして沈静化。その間に1頭ずつ、O先生がアドバイスをしてまわりますが、私には「今日2鞍通して、鐙はだいぶ安定してきましたね。鐙を浅く履こうとする努力もちゃんと見えてます」ということ。 「列へ」で馬場中央に馬を並べ、挨拶してレッスン終了。下馬したものの、馬繋場がいっぱいなので、しばらく引き馬をしていることになりました。下馬したときに捨てたムチを、O先生が拾ってくれていましたが、「先生、引き馬することになったので、たぶんこいつ寝るから鞭持っていたいんですけど」「あ、そうですね」ということで鞭を返してもらい、引き馬。始終口笛を吹いたり、話し掛けながら歩いていたんですが、それで注意を喚起できたのか、別に寝そうな感じではありませんでした。 そうだ、面白そうだから、引き馬のまま前肢旋回とかやらせてみちゃおうかな。理屈から言えば、外方のハミをしっかり持ってやって、内方から押せばできるはず。ラチに向かって垂直になるように立たせ、片手でハミをきっちり固めてから、もう片方の手で内方のわき腹(ちょうど拍車が当たるあたり)をぐいぐい押してみます。最初は外方の後肢で逃げようとしましたが、さらに押しつづけると、内方の後肢がひゅっと腹の下に入ってきて、前肢旋回らしきものをやってくれました。よしよし、さすがロゼ。首をたたいてほめてやります。 面白かったので、もう1周歩いてから再チャレンジしていると、クラブハウスからI野先生の「寝るぞー、気をつけろ」という声。止まらせて腹をぐいぐい押している動作をごらんになって、ロゼが寝ようとしているのを阻止しているのと勘違いされたらしい。馬繋場が空いたので、迎えに馬場に出て来たS田さんが、ぽそっと「寝ようとしたんじゃないですよね、何かさせようとしてたでしょ? 見てる人はちゃんと見てますよ」と苦笑い。 ロゼがしっかり汗をかいていたので、丸洗いしようかとも思ったんですが、こいつは何しろ「年寄りだから、風邪引かせるといけないね」ということで妥協して、脚全体と腹帯の下、胸前だけお湯で洗ってあげることに。 ロゼを洗って、タオルでごしごし拭いている私を見ていたS田さんが「KYOKOさんもあんまり、ムチ使わない人ですよね」と言うので、「使わないっつーか、使えないっつーか。ヘタなんだ、私」「あ、俺この間先生に、長鞭の使い方習ったんですよ。やってみてくださいよ」曰く、軽速歩の立ったときに鞭を入れるんだということ。「立ったときに入れる? 知らなかった」「だって、立ったときには内方のトモが前に出てるでしょ」「…あっ! そこに長鞭入れれば、そのトモがもっと前に出るんだね」「そうそう」つまり理屈としては、軽速歩で立つ時=外方の前肢が前に出てる時=斜対歩だから内方の後肢も同時に前に出てる、というタイミングで鞭を入れればいいわけです。いやー、目からウロコだ。 「逆にね、地面についてる肢に鞭入れたって、『何すんだこのやろう』って蹴ることができるんですよ。アルフォンスなんかそうじゃないですか。でも宙に浮いてるときに鞭が入ったら、そこから蹴るのは無理だから、脚が前に出るしかないんですよね」「なるほどねー! アルに横蹴りされる理由も分かったぞ」。話しながらふと馬場を見ると、N子先生がウィンダムに乗り替わっています。「ほら、N子先生今やってるでしょ」「うわ、ほんとだ」「ああいうの見ちゃうと、自分もやってみたくなりません?」うん、なるけど、今日はもう体力も気力も時間もないや。それは来週のお楽しみにしておこう。 |
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![]() で、棒拍車に替えてからのロゼッタ。動いてるじゃん。 つま先が思いっきり外を向いているのが気になるけど。 |
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![]() ↑日の出乗馬倶楽部の見取り図 (緑字:貸与馬、青字:自馬) |
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