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(2004.4.3 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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ダンスくん
これは巻き乗りの進入時かな?
本日2鞍目のお相手はダンスくんです。レッスンに連れ出そうとダンスの馬房に入ると、ダンスくんは「やーだよ」とお尻を向けるという専らの噂。私が今までダンスくんに乗るときには、だいたい誰かが直前に乗っていて、すでに馬繋場につないであったので、自分で馬房から出したことがありません。
負傷中の相方はまだ乗らないので、応援を頼みます。彼は私よりダンスくん歴があるので、私よりは慣れてるはず。30分前にダンスの馬房に行くと、ダンスくんが扉に鼻面を寄せているので、安心して扉を開けたら、果たしてダンスくんがくるっと向きを変えるではありませんか。

「おーいダンスくん、遊ぼうよー。お外で遊ぼうよー」と声をかけても(これがロゼとかだと「お仕事だよ」って言うんですが、ダンスの場合はそういう雰囲気じゃないんですよね)、ちらっとこっちを見ては「やだ、あそばない」と馬房の奥の壁に向いてしまう。空になった飼い桶をたたくと、体半分だけこっちを向くのですが、やっぱり何もくれないことが分かると向こうを向いてしまう。この子けっこう後肢の力が強いし、いくら落ち着いているとは言っても若駒だから、後ろ向きのまま踏み込んで蹴られたらえらいことになるし、うーん困った。
いつまでも2人して馬房を覗きこんでいてもラチが開かないので、とりあえずここは相方に任せることにして、自分は馬装に使う装備品の準備に行きます。

ダンスくん専用の鞍下タオルを見つけるのに時間がかかってしまい、ひととおり装備を揃えて戻ってくると、ちょうど相方がダンスくんを引いて馬繋場へ入ってくるところでした。へぇ、出せたんだ。大したもんだ。
交突防止のワンコや、その下に巻く使い捨てバンテージも相方にやってもらいつつ、自分は装鞍。2人でやるとやっぱり早くて、時間前に装鞍が終わってしまいました。
時間が来るまで、隣りの馬繋場に入っている自馬タイコンチェルトの馬主さんとおしゃべりしていると(ダンスくんはリンゴをもらいました。よかったね)、時間が来たのでダンスくんを連れて馬場へ。

O先生の騎乗補助を受けて騎乗。あれ、鐙の左右の長さが違うかな。O先生に見てもらうと、「違いますね。どうしますか? 長いほうに合わせますか、短いほうに合わせますか」「うーん、じゃあちょっと見栄はって長いほうにします」。
この時間はロゼッタ、アルフォンスとダンスの3頭部班。うーん、この顔ぶれじゃどう見ても私が先頭だな、と思っていたら、案の定O先生から「ダンス先頭で行きましょう」と言われ、蹄跡へ。左手前で常歩しますが、やっぱ重いなー。ちょっとさくさく動きなさいね、と鞭を入れると、最初は「なにすんだよう」って振り返ってそこを見ようとするんだよね、この子は。いいからさっさと歩きなさい。

「では始めましょう」の合図で、ゆるく持っていた手綱をちょっと張ります。「速歩、すすめ。軽速歩」あー、一発で出せなかった。でも元気な常歩にはなったので、そこで鞭をくれると速歩になりました。軽速歩をとって走らせますが、「先頭ですから、もう少し元気良く歩かせないと、後ろつっかえちゃいますよー」と言われてしまいます。
とにかく前に出したいので、軽速歩の立つときのタイミングでばしばし鞭を使っていたら(この子は過剰に反応しない分、思い切って使える)、だいぶ前に出てきました。気が付くと、後ろのロゼッタを2馬身くらい引き離している。ときどきイレギュラーはするけど、まぁいい調子で走れているのではないかい。

常歩に落として歩いているとき、「じゃあKYOKOさんは、そのまま頑張ってつま先を内側に向けてみてー」と言われ、かかとを動かさないようにしてつま先を少しずつ内側に向けていくと、「はい、そこ」「えっ、ここなんですか? きっつー!」「そうですね、でもそこで頑張ってみましょう」傍から聞いたら、暗号のような会話だったんだろうな(笑)。
ふぅん、自分で思っていたより内股にするくらいでちょうどいいんだ。しかしこの体勢、内股が辛い。今まで自分がラクをしてきたってことだけど。
O先生からは「つま先内へ」というのを何度も何度も言われているのですが、先生の手で正しい位置に持っていかれるのではなく、自分で正しい位置に持っていかせたかったのだろうと思うのです。これがまた、太ももからふくらはぎが馬体にぴったり沿った感覚もあって、この位置が間違いないだろうことは良く分かる。

せっかくだから、できるだけつま先に気を使いながら軽速歩をすることに。でも、常歩だと維持していられるんだけど、速歩を出したとたんにつま先の位置が維持できないんだよねー。それに、脚の内側(というか馬体側)に力が入りやすいので、うっかりすると膝で締めてしまいそうになる。なるほど、私は膝で締めてしまいやすいから、今まではつま先が少々開いていても大目に見てもらえたんだな。でもこれからはそうもいかないってことか。
だいだい、私が軽速歩で立ったときに馬体から脚が離れてしまいやすいのも、つま先がちゃんと内を向いていないからだよな、多分。
「でもKYOKOさんのいいところは、かかとが常に下がってますから。これでつま先さえ外を向かなくなれば、すぐ良くなるんですよ」。

ダンスくんは6歳ながら落ち着いた子で、物見しないので、怖がりの私としてはとても助かる。でもやっぱ幼いなー、と思うのは、扶助を出してからちょっと考えてる感じのするところ。そりゃ私の扶助もあいまいだったりするんだけど、例えばロゼッタくらい経験豊富だと、ある程度(ちょっと脚の位置がずれてるとか)は馬が推測して動いてくれてるようなんですが、ダンスくんにはまだそれができない。彼が調教された過程で覚えたことと、他の人が乗ったときの差異を、彼の中で帳尻合わせるのにちょっと時間がかかる感じなんだな。こっちも勉強中の身で正しい扶助を出してあげられないから、会話が成立しないときがある。
特にこの子の口が、私には分かってあげられない。引っ張れば引っ張っただけ、どれだけでも引っ張れそうな気がするし、ゆるめたらどれだけでもゆるめられそう。お互いにちょうどいい緊張感で均衡を保っている、という感じが拳に伝わってこないんです。しまいには、本当に自分が左右均等に力をかけているかどうかさえ分からなくなってくる。
あと、落ち着いているように見えて、実はけっこう他馬がキライらしい。ウィンダムやハイセイコーJR.ほど露骨じゃないんだけど、ラチ越しに他の馬と併走したりすると、必ず耳を伏せてる。「ダンスくん、いちいち気にしないの」と軽く叱ると、すぐやめるんですけどね。

先頭から駈歩ということで、まず私から駈歩。前回、半減却を使って駈歩は出せたけれども、あのときと同じように上手くいくかな。
半減却を使ったつもりが、速歩の扶助と受け取られてしまったらしく、すたたたーと速歩になってしまいました。仕方ないので、必殺技「シッ」と歯の間から空気を押し出すような音を出すと、なんとなく1歩だけ駈歩に。でも続かなかった。その時点で最後尾のアルフォンスに追いついてしまったので、「じゃあいったん速歩にしましょう」とO先生。
ロゼッタに乗っている人は、あまり駈歩をしたことがないということでしたが、駈歩をやることになりました。私はその後ろについて、ロゼッタの駈歩が出たら私も駈歩することに。あんまり駈歩を出したことがない人に、ロゼッタで駈歩を出すのはけっこう難しいだろうけど、私も前が駈歩になったらすぐ駈歩にする準備をしておかなければ。これもこれで、けっこう大変じゃん。

けっきょくロゼがあまり駈歩にならなかったので、他の2頭が内蹄跡に入って、私とダンスくんだけ蹄跡で駈歩をすることに。
半減却がどうも上手く使えないので、仕方なく「シッ」を使いますが、出るときと出ないときがある。「前傾してたら出ませんよ、下を見ないで」あぁ、そうか。私って、駈歩出すとき馬の首ばっかり見てるんだ(馬の首見てると、馬が「はい駈歩出します」っていう瞬間が分かりやすいので、クセになっているらしい)。
あらためて馬の耳の間から遠くを見るようにして、駈歩発進、よし出た。あんまり伸びないので、完歩ごとに鞭を軽く使います。お、頑張って走れているじゃない。
1周くらい走ったところで、行く先の蹄跡にロゼッタがいました。O先生がロゼッタに「どいてあげて」と言っているけど、ダンスのスピードとロゼのスピードを考えると、どいてもらっても間に合わないな。じゃあここで、駈歩の巻き乗りでも入れてみるか。3級の課目にも入っていることだし。
そう思って巻き乗りをしようとしたら、途中で速歩に落ちてしまいました。内方脚離れたかな。ちょっと欲張ってみたんだけど、そうそう上手くいくもんでもないか。

隊列を組み直し、蹄跡で速歩。頑張って正反動をつづけますが、固いねぇ私。ダンスくんは座りやすいほうの馬なのに、ちょっと前に出ると座れなくなってる。
…あれ。ダンスくん、今ちょっといい口してない? 自分の拳にかかってくる重みと、自分が持っている力が、ちょうど均等になっている感じがする。もしかしてこれが「受けた」ってやつ?
私はこの状態になると嬉しいんだよ、覚えといてね、という意味(のつもり)でダンスくんの首をたたいて褒めたら、内方のハミをすっと外されちゃいました。…おい、違うだろ。

常歩に落として沈静化。しばらく歩かせてから、馬場中央に整列、挨拶して下馬。
馬繋場にダンスくんをつないで、馬装解除。今日はわりとあったかいし、ダンスくんは汗をかいていて冬毛も抜けかけで汚く見えるので、洗ってあげたいなぁ。でもダンスくんにはまだお仕事があるので、今日はやめとこ。そのうち水遊びしようね、ダンスくん。

クラブハウスに戻って、食べきれなかった昼食の続きを食べている私に、N子先生が言いました。「そうそう、KYOKOさんにずっと言おうと思ってたんだけどさー、ダンスの駈歩はあれじゃ出ないよ、外方が拍車しか当たってないもん」「うわ。そうですかぁ」「内方もそうなんだけど、なんか拍車ばっかり当たってるんだよねぇ。そうじゃなくて、ふくらはぎでしょ。そして脚はももの付け根から引かないと。あなたはあんだけ脚が引けるんだから、付け根から引くなんて出来ないはずないよ」「あー、膝から引いてるって言われたことあります。付け根から引いて、拍車じゃなくてふくらはぎですよねぇ。それ、ダンスに限らずそうですよねぇ」「そうよん。あとはさぁ、タイミングが違うんだよね。まず駈歩するよって馬に合図するでしょ」「半減却?」「そう、半減却でも何でも。まぁ半減却使うとして、ちょっとだけ両脚引くよね。そしたら、外方は動かさない。そのままで、内方の座骨でぐーっと押し込むの」あ、そうか。それをやろうとしたら、必然的に「外方脚引いて、内方脚で推す」という駈歩の基本形になるわけなんだ。
あー、そう聞くとまた乗って試してみたくなるけど、今日はもう体力が限界だよー。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)

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