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(2001.8.14 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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それは食べ物じゃなくて寝ワラなのよ、トリコさん
お盆休みなので、前回から3日後の予約。
前回は遅刻したので、今日は遅刻しないぞー!と気合いを入れて、騎乗予定11時の35分前に倶楽部に到着。
…といえば聞こえはいいですが、平日だからか下り電車の接続が悪くて、次の電車では間に合わないというだけ。

倶楽部に到着して、ホワイトボードに書いてある騎乗予定を確認すると、「ウィンダム」と「トリコロール」のところに私たちの名字が書いてあります。相方と私、一応名字が同じなので(笑)どっちがどっちに乗るのかは分からなかったけれど、前回私がウィンダムに乗ったので、今回もそうだろうと憶測。

私たちの前の時間にウィンダムもトリコも使っていたので、馬装はそのまま。
私たちが乗るまでに10分間の休憩があり、馬を一度蹄洗場に戻し、鞍はそのままでハミ頭絡だけ一度外されています。
とりあえずウィンダムのそばにいき、オーナーに聞いて水を飲ませてみる。飲まないかも、と言われましたが、ごくごく飲んでいました。
この日は天気が良く、そしてとても暑かったのです。

ウィンダムにハミ頭絡をかけますが、やっぱりこの子は素直にハミを入れさせてくれる。
そのまま馬場に引き出します。蹄洗場から馬場に向かう間中、ウィンダムは手綱を引っ張っている私の手や腕にちょっかいを出したがり、さんざん唇であむあむされてしまいました。

鐙を合わせようとしていると、I先生が「反対だよ」とおっしゃる。相方と私で、騎乗しようとしていた馬が反対だったらしい。憶測じゃなく、ちゃんと確認すべきだったな。
慌てて相方と馬を取り替えます。というわけで、この日の騎乗馬はトリコロール、ビジター以来2度目です。
「トリコロールは動きやすいはずだからね。そのかわり先頭だよ」

この日はもう1人、芦毛のサーブに騎乗する男性がいて、3人で部班ということになりました。
結局先頭は私ではなくサーブ、2番騎が私のトリコロールで、3番騎が相方のウィンダム。騎乗して、馬場中央に馬を並べていますが、そこから馬を蹄跡に出さなければなりません。
「先頭の馬から、先の馬のお尻が自分の馬の顔を過ぎたら動き出して。そうしたら間の距離が同じだから」
まず1番騎のサーブが発進し、蹄跡に向かいます。
サーブがなかなかまっすぐ歩いてくれなかったということもありますが、私が少しぽーっとしていて、トリコに発進の合図を送るのが遅くなり、気がつくともうサーブはとっくにトリコの顔を通り過ぎ、蹄跡に届きそうなところにいます。
先生にうながされ、慌ててトリコに発進の合図を送ると、トリコはわりとすぐ発進し、まっすぐ歩き出しました。あれ、ビジターのときはずいぶんてこずったような気がするんだけど…

まずは常歩から軽速歩。1〜2周したところで、軽速歩のまま巻き乗りの指示が出ますが、先頭サーブも、私のトリコも回ろうとすると常歩に落ちてしまいます。
そこで常歩に落とし、方向転換の練習になりました。
中央線に出たり、そこからまた直角に曲がり蹄跡に戻ったり、斜めに手前を変えたり。前回のレッスンで、手綱の使い方(内方の手綱は引き、外方の手綱はゆるめて首の上にまでかたむける)、脚の使い方(内方脚を締めて、外方脚はすこし後ろ気味に壁にする)を細かく教えていただいているので、それに気をつけながら曲がると、トリコはきちんと曲がってくれるのですが、中央線から蹄跡に出るときなどは指示を待たずに曲がろうとします。何でかな? なんとか中央線から蹄跡に突き当たってから曲がるということをしたいのですが…
「下を見たら馬もバランスが変わるんだ。行きたい方向をまっすぐ見て。蹄跡を見ると馬がそっちに行くよ」
行きたい方向の、できるだけ遠くを見て、曲がるタイミングは蹄跡(地面)を見るのではなくてラチ(地上1メートルくらい)との距離で判断して合図を送ると、かなり直角に近い曲がりかたができました。
軽速歩で手前を合わせようとする時もやってしまうのですが、鞍上の私が首を曲げて下を見ると、私のバランスがどっちかに傾いてしまっているんでしょう、きっと。できるだけ首を曲げないで下目使いしてみよう(って、そういう問題なんだろうか)。

さて、また軽速歩。
「速歩、すすーめ」の号令について、「速歩」は予令、「すすーめ」は動令という一組の号令になっていて、予令で軽速歩の準備をし、動令「すすーめ」の「め」で速歩が出るようにするのだと前回言われていたので、「速歩」で脚を強く使い、「め」で蹴るか、鞭を入れるかすると、号令通りに軽速歩が出ます。
でも時々、先生が「速歩」って行った瞬間に、トリコが自分で歩度をつめているような気がしないでもない…トリコが頭がいいんだろうけど、本当に私の扶助で動いているのかどうか不安になってしまいます。

軽速歩は長く続けられました。
この倶楽部には、馬場と厩舎の間の壁になっている部分に、大きい鏡がついていて、その前を通りかかるたびに自分の騎乗姿勢がチェックできて便利です。
前傾する癖はだいぶなおってきたと思うのですが、ちょっと油断すると拳が浮く癖がまだ直りません。
途中で手前を変え、手前を変えたら手前を合わせなおして、そのまま軽速歩。

何度かやっているうちに、トリコは右手前が苦手なのかも、と気がつきました。
左手前では軽々走っているのに、右手前だと足下が重そうで、バタバタしている。のみならず、一度つまづいてくれました。鞍上の私には大した影響はありませんでしたが。
鐙が抜けそうになり、深く踏み込んでしまうのも右手前の時が多かった。左手前のときよりも、上下振動が大きいような気もします。
そ、それとも、もしかして私が右手前の扶助が下手なのか?

軽速歩から停止の号令がかかります。今までは常歩に落としてから停止させていたため、あまり自信はなかったのですが、トリコはきちんと1完歩で止まってくれました。
そのまま5秒停止し、軽速歩で発進。発進から軽速歩というのも初めてだったのですが、やればできるもんだ。今まで軽速歩で走っていたからというのもあるでしょうが、最初から速歩の歩様で動いていたと思います。
半周ほど軽速歩し、また停止、5秒停止。軽速歩発進、半周走って停止、というのを3〜4回繰り返してやりました。おお、馬術っぽいぞ。
でもトリコはさっきから虫が気になってしょうがないらしく、停止すると首を胸にやって追い払おうとします。そのたび手綱を引っ張られて、こりゃグローブしてなかったらケガするなぁ。

やがてレッスンはタイムアップ、馬場の中央にはすでにサーブとウィンダムが並んでおり、私は2頭の間にトリコを入れて、馬を並べ、終了。
トリコを蹄洗場に引いていき、ハミ頭絡をはずして無口をつけ、繋ぐ。ハミを外すときも、無口をつけるときも、自分から首を下ろして実に簡単にやらせてくれるんですよね。
鞍を外したら、腹帯が汗びっしょりでした。黒めの鹿毛だから、そりゃ暑いよね。お疲れさまでした。

裏掘りをしようとしたら、じょろじょろじょろ…と馬のおしっこの音が。隣の馬かと思ったら、誰あろうトリコのおしっこでした。
あんた、これから裏掘りするのに、ひづめをおしっこまみれにするのはやめてぇ〜。
しかも、虫が気になってしかたないトリコは、後脚を振り回して虫を追っている。掘れないじゃないの。
でも前脚を掘ろうとして馬体を傾けさせると、簡単に掘らせてくれました。
後ろを掘るときにちょっと虫を追って蹴りそうになりましたが、特に危険というほどではありませんでした。

トリコを馬房に入れて、お昼の時間なので彼はごはんをもらいました。私たちもクラブハウスで先生や他の会員さん達と雑談しながら、お昼を食べます。
「ウィンダムは女性には難しいんだよね。トリコは女性だと動くね。男だと動かないんだよ。」
「とんでもないやつだー(笑)」
なるほど、私がトリコで相方がウィンダムだった理由はそこらへんにあるらしいです。
「男性と女性が同時に乗馬を始めたらね、男性の方がどうしても早く上達しちゃうんだよ。体力とか、度胸とか、どうしても男性の方が勢いよく乗れるからね。」
「そうですね、座りかたとか、男性より不利だなと思うことがありますね」
「女性はこつこつ乗って、確実に積み重ねていくんだけど、男性は勢いで乗れてぽーんと上手くなっちゃうんだね。そのかわり、10年とか、何年か経ったときには、男性は荒削りな感じだけど女性は美しく乗るね。だから、男性は障碍に向いてるし、女性は馬場馬術に向いている」
「なるほど。というわけで、10年後を見てなさいよ」と、相方に10年後のリベンジを誓ったのでした(笑)


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