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(2001.11.23 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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サーブ。けっこう寂しがり屋らしくて、
いつも馬房から首を出してクラブハウスの方をうかがっています
サーブ
さて今日の2鞍目、お昼休憩を切り上げてサーブの馬房に向かいます。
サーブにとっては、今日はこれが1鞍目。馬詮棒を外すのに一苦労しつつ、サーブに無口をかけて引き手で連れ出します。

馬繋場につなぎ、裏掘り(これがみごとにワラやボロがつまっていた)。毛布とジェルパッドを置き、鞍を置きます。腹帯を締めようとしましたが、帯の位置が帯道(馬の腹と前脚の間あたり、通常ならば腹帯がとおる定位置)を通らない。つまり、鞍を置く位置が後ろすぎたんですね。
鞍をそのまま前にずらしたりすると、馬の毛並みを逆立ててしまうので、一度持ち上げて置き直してみる。さっきよりはちょっとマシか。

腹帯を締め、勒をつけようとすると、勒の下にマルタン(ハミ受けを良くするためのもの、折り返し手綱ともいう)が隠れていました。サーブってマルタン要るんだったっけ。マルタンの先は腹帯に通さなければいけないので、腹帯を一度外してマルタンを通し、着け直します。
ハミをかけようとすると、サーブは頭を高くして、なかなかハミを噛んでくれません。かなり格闘していると、Sさんの同級生の子が手伝いにきてくれて、やっと勒をかけられました。
気がつくともう13時。レッスン始まっちゃうよー。

馬場に出ると、いつも使う方の馬場はビジターさん20名様がトリコロールの引き馬で使うことになっているので、いつもはあまり使わない道路側の馬場に出ることになりました。
馬場に出て、マルタンを着け直して騎乗します。するとSさんがマルタンの着け方の間違いに気がついて直してくれました。
そこへ先生から、「だいぶ鞍が後ろじゃないか?」という指摘。あらら、直したつもりだったけど、これでもまだ後ろだったか。「まぁいいから乗ってしまいなさい」
サーブが一番騎になったので、サーブを歩かせて蹄跡に出します。サーブ、やたらと首を振る。運動し始めだからかな。

蹄跡を常歩で周回しますが、サーブの首振りはちっともおさまりません。
「Sさんちょっと見てぇ、ハミのかかり方とか変かなぁ?」
「いや、別に大丈夫ですよ。首振るのクセなんですよ」
あんまり首を振られるので、ちっとも手綱が安定せず、ハミでコンタクトがとれない。しかも、勝手に速歩をしようとする。正直言って、かなりアセりました。常歩で歩いているときに、扶助を出しても走らないことはいくらでもありますが、なにも扶助を出さないのに勝手に走り出される経験なんてありません。うっかり暴走されたらどうしよう。

サーブが走りたがっているようなので、「とりあえず速歩するぞ」と、全員速歩になります。
暴走されたらイヤなので、手綱を引きぎみにしていると、先生が
「手綱長めに。それ以上短く持つな」と言います。そうか、あんまり短く持っていたからハミが苦しかったのかな?
それで長めに手綱を持ってみましたが、サーブの首振りはおさまるどころか変わりません。やっぱり勝手に走ろうとするので、3頭部班の先頭では危険と判断されたのか、美星と桜吹雪に抜かせて三番騎に変更。

さくらもさくらで、一番騎になると落ち着かないのか、ラチの開いているところから隣の馬場に出ようとしてしまいます。
さくらが止まってしまうため、前がつかえているのに、サーブは走ろうとする。
怖い、と思いました。おそらく、体も固くなっていたに違いありません。
手綱を持つ拳が、ちっとも安定しない。普段手綱に頼って乗っているということかもしれませんが、馬のハミを感じない手綱、しかもそれを左右に振られる。怖くて、乗馬し始めのころのように拳が高い位置に来ている自分に気がつき、せめてサドルホルダーをつかもうと手で探しましたが、ない。こういうときに限って、鞍にサドルホルダーがついていないのです。
落ちるかもしれない。落ちたらどうしよう。
先生の姿が目に入るたび、喉元まで「馬を変えてください」という言葉が出かかりました。でも、世の中にはもっとクセのある馬もいるはずで、「倶楽部で一番いい馬」であるはずのサーブを乗りこなせないで弱音を吐くことが、とても口惜しく思われ、そのたびなんとか思いとどまりました。

落馬することを考えたとき、思い出したのはバーベキューのときに聞いた「落馬の心得」でした。
Nさん「今言ったことの中で、何が一番大事だと思う?」
私「階段上るとき、かかとを下げることですか」
Nさん「違う違う、馬から落ちるときは手綱を離すなってことだよ。何があってもぐっと指で挟み込んでね」
オーナー「馬から落ちた後は、手を離したほうがいいけどね、引きずられたら危ない」
Nさん「ここの馬場は落ちても痛くないからね。砂にゴムが混じってるんだよ」

妙に腹が決まってしまいました。落ちたくはないけど、落ちてもパニックにならないように、手綱をしっかり握っていよう。そうすると、拳が自然に下がりました。
「体を起こせ」という先生の声が耳に入ります。
そういえば体が前傾していました。だからよけいに怖かったんだ。
そう気がついて、きちんと上体を起こして目線を遠くにやるようにすると、サーブの首振りは相変わらずながらも、落ち着いて乗ることができるようになってきました。
速歩ではたいぶ安定して乗れるようになったのですが、軽速歩で鐙の上に立とうとすると、高さがあるせいなのかバランスがくずれやすい。一度、振られた手綱で体をもっていかれそうになり、バランスを崩して鐙から足が外れてしまいました。サーブの首のところにつかまり、なんとか落ちずにすみました。
「大丈夫か?全員止まれ」
さすがに先生も心配してくださったらしく、「こういうときは、こうしよう」と言いながら私の鐙を一穴短くします。なるほど、鐙が短いと、鐙が踏み込みやすいので立ったときのバランスがとりやすい。
「来週になったらな、先生がもっと乗りやすい馬を連れてきてやるから。だから今日はもうちょっと頑張れ」
来週、新しい馬が入厩するのだそうです。でもとにかく、この時間いっぱいは何とかサーブで頑張りたい。

隣の馬場では、トリコロールのお客様の引き馬が終わったようです。こちらの馬場のそと、植え込みの向こうの道を一行が通って帰っていきます。ここの馬は大勢の人になれていないので、そういうときに走るのは危険との先生の判断で、全員常歩。
植え込みを透かして、帰る人の真っ赤な服が見えました。そのとき、私の前を走っていた美星が突然横っ飛びに跳ねました。つられてサーブも跳ねそうになるのを、なんとか押さえます。人が通るのでびっくりしたようです。
普段使う馬場が空いたので、そちらの方に移動してレッスン再開。
「いろいろタイミングが悪かったな。こっちの馬場は普段使わないから馬が落ち着かないところに、たくさん人がいたりしたからな」
ふだんの馬場に出ると、馬がだいぶ落ち着いてきます。首振りもだいぶマシになってきたかも。

どうにか落馬することもなく、無事にレッスン終了。
馬を馬場から上げ馬装解除、裏掘り、足を洗い、ブラシをかけて馬房に戻します。
馬房に入ると、外に顔を出して鼻をこすりつけて甘えてくるサーブ。あんた、どっちなのよ(笑)人を乗せていないときは、こんなにかわいいのになぁ。

着替えをしてクラブハウスへ。
倶楽部の看板犬キャンディは今日はあまりかまってもらっていないとのことなので、喜んで散歩に連れ出します。倶楽部から見て山に登るほう、外乗コースなのだそうですが、ぼちぼち紅葉がキレイ。来週あたり、もっとすごいかも。
のんびり散歩をしてクラブハウスに戻ると、先生達が休憩していました。
今日のサーブの話になり、「私、ほんとうに今日は落馬の覚悟をしました」と言うと、
「まぁ、あれだけ振られて、落ちなかっただけでもバランスが悪くないよ」と、よく分からないほめ方をしていただきました。

翌日、翌々日と、内股はいつものことですが、膝が特に痛かった。きっとサーブを止めようとして、無意識に膝を締めてたんだろうな。

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