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(2002.1.3 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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今年の初乗り、今日は14時の予約、立川で昼食を摂ってから倶楽部に向かいます。
30分前に倶楽部に着くと、ホワイトボードの前にK野さんがいて、「あけましておめでとうございます」と互いに挨拶。ついでにボードを見ると、今日の騎乗馬は桜吹雪。
「さくらだー」するとK野さんが、「ちょっと、高階さんが桜吹雪が好きだっていう情報をキャッチしたんで」そうか、配馬を担当してるのK野さんだった。
「好きだけど、走られなければねー」さくらは時々、ハイになってぶっ飛んでくれることがあるらしいのです。

クラブハウスでも新年の挨拶をし、着替えをするともう時間がないので、馬場に向かうことにします。
その前にちょっともう一度、同じ部班に誰がいるか確認しようかな、と思ってホワイトボードの方に行ってみると、F田さんがいて「配馬変わりましたよ」と言います。見るとロゼッタに書き換えられていました。
「それはいいけど、さくらどうかしました?」
「どうかしたっていうか、今日乗るとどこにぶっ飛んじゃうか分かんないですよ」
「やめる。やめとく。」今日がハイな日だったらしい…

そんなわけで、ロゼッタの馬房へ。K野さんが無口と引き手を持ってきてくれたので、馬房の扉を開けて無口をかけ、馬繋場に連れ出します。
ロゼッタの馬房からは、馬繋場にそのまま後ろから入れるようになっているので、ロゼッタと一緒に入ることにします。しかしロゼッタが入り口で止まってくれず、そのままずるずると馬繋場から通り抜けてしまいそう…「止まってぇー」引き手を強く引きますが、ロゼッタの力にかなわず、通り抜けてしまいました。しかもロゼッタの前肢のひづめが私のかかとに当たってる。
「蹴られてますよー、引き手ぐっと引いて」
ブーツが安全靴仕様で良かった。とりあえず一度馬繋場を抜け、ぐるりと回って他の馬繋場につなぎます。

さて、裏掘りがすんだらロゼッタの馬装。鞍を置くところまでは別に問題ないんですが、ロゼッタは胸がい、マルタンと装着するものがいっぱいあります。まだ自分でやったことがないので困ったなー、と思っていたら、アルバイトのUくんが手伝いに来てくれたので、「良かった、これ教えてもらいたかったんだ」と、胸がい・マルタンをやってもらいました。
水勒を装着、ハミは簡単に入れさせてくれましたが、ハミをがちゃがちゃやって遊ぶ(?)のでアゴが動き、なかなか鼻革の金具が締められない。しかもロゼッタのふっさふさの冬毛に金具が埋まってしまい、よけいにやりづらい。やっと締めると、時間がぜんぜんなくなってしまっていたので、急いで馬場に出ます。

馬場の中央で騎乗しようとしたら踏み台が近くになかったので、誰かに助けを求めようとあたりを見回していると、またUくんが飛んできてくれました。
Uくんの補助で騎乗し、マルタンを着けなおしてもらっていると、まだロゼッタがハミをがちゃがちゃやっています。それを見たK野さんが、「Uくん、コスモのノーズバンド持ってきて」「着けるんですか」「だって感じ悪いじゃん」
ノーズバンド(ハミつりっていうのかな?)を装着し、「そのうち(ハミで遊びづらいことに)気がつきますから」それでもしばらくやっていました。

今日はモンブラン、サーブとロゼッタの3頭部班、指導はI野先生です。先生が出てくるまえに蹄跡を左手前で周回しはじめます。
先生が出てきて、モンブラン、ロゼッタ、サーブの順を指定され、先生が短鞭を持たせてくれて、そのまま常歩周回をします。
しかしロゼッタ、歩いていてもどんどんモンブランから取り残されていく…「蹴りなさい、それでもだめなら肩に軽くムチ入れて」しかし、先週長鞭が入ったためにロゼッタが跳ねちゃった事件があるので、ムチを使うのはまだ怖い。とにかく蹴って動かします。

常歩のまま順次巻き乗り、すでにモンブランとの差は5馬身以上あり、このままではひと巻きして戻ってきたときに追いつかれてしまうなぁ、けっこう焦る。頑張って脚を使い、追いつかせることにします。
前のモンブランに乗っている相方が気を遣ってか、かなり大きい巻き乗り(ほとんど輪乗り)にしてくれたみたいなのですが、ロゼッタが内へ内へ入り、先行馬の蹄跡よりかなり小さい巻き乗りをしてしまいました。先行馬に追いつくという意味では良かったのかもしれませんが、巻き乗りの基本は先行馬より外めを歩かせること。内方脚を使いすぎなのかなぁ。
何度かやって、ほとんどそんな感じ。納得いかない。

「歩度をつめー、はやあーし」
速歩はわりとちゃんと出ましたが、走り出してもやっぱりスピードは全然出ず、モンブランとの間が離れてゆくばかり。
速歩のまま斜めに手前を替え、隅角ごとに連続で5回ばかりやりましたが、曲がってはくれるんだけど、曲がったあと必ず速歩を止めようとするロゼッタ。そのたび蹴ってはみるのですが、何度も常歩に落ちてしまいました。
手前を替えて馬場を横切る途中、ロゼッタが「ぶしゅっ」と言って首を下げました。また「ぶしゅっ」。
「馬がくしゃみしても、拳持っていかれるなよー。ちゃんとこらえて。」
今のってくしゃみだったんだ。人間でもくしゃみをするとき、肩をすくめて首が下がりますよね。あんな感じです。でも走っている最中にそれをやられると、ちょっと不安定で困るな。

速歩のとき、ロゼッタは意外と反動が大きく、しかもトリコロールにはない左右の反動が加わるので、速歩をしながら脚を入れるのもなんとなく上手くいかない。
反動で鐙が外れてしまい、走りながらはき直すのがちょっと難しそうだったので馬を止めます。
「どうした?」「鐙外しました」「じゃあサーブ、先に行って」馬を止めている間にサーブに追い抜いてもらい、ロゼッタは一番後ろへ。

速歩のまま斜めに手前を替え、速歩で走っていても、隅角の進入で常歩に落ちてしまうロゼッタ。隅角の直前で蹴ってはみるのですが、あまり効果がないみたい。
「少しくらいかかとが上がってもいいから、つま先をぐっと踏み込んでみなさい。踏めば脚が入る。」

軽速歩での周回を続けますが、どんどん取り残されていきます。
「ロゼッタ、ショートカットして」
隅角だけ近道すればいいかな、と思って隅角の前で内側に入りますが、いざ前の馬に追いつこうとしたら、ほとんど馬場を横切らないと追いつかないことに途中で気がつく…
先生が「速歩に落として」と言うときも、ちょっとズルして私だけ軽速歩のまま走ってみるとか、先生に指示されなくても勝手にショートカットしたりしていたんですが、本当に追いつくのが大変。この馬、どうやったら歩度が伸びるんだろう。
「くるぶしで馬の腹を持ち上げるように」速歩しながら脚をコントロールするのが、まだ上手くできない私。

「常歩、手綱緩めて」
馬を沈静する合図が出ると、あと2〜3分でレッスンが終了します。えっ、もうそんな時間。ちっともちゃんと走らせてやれないまま、タイムアップになってしまいました。
馬場中央に馬を並べて終了なので、先に入って停止していたサーブに合わせてロゼッタを横に並べようとします。先生の指導では、先に入った馬の騎手の胸と自分の胸が横一線に並ぶように合わせて止めるのですが、ロゼッタがもう一歩というところで止まってしまう。
「あと一歩、あと一歩だからロゼッタ頑張って〜」
がんがん蹴って、やっと一歩踏み出してくれました。
礼のあと先生に、「トリコで慣れてるせいかもしれませんけど、こんなに重いと思いませんでした」と訴えてみると、「わりと軽い馬なんだけどな」う〜ん。

クラブハウスでママさんに、「どうでした、今日は?」と聞かれ、「ぜんぜん納得いきませんでした。」
正直、トリコで慣れすぎていた部分があって、自分の騎乗とか、こんなに他の馬が動かせない自分にぜんぜん納得がいきませんでした。
先生がクラブハウスに入ってきたので、同じことを言うと、「トリコは動かそうとしなくても動く馬だけど、ロゼッタは動かそうとしないと動かない馬だね。でももうそれくらいできないと、それが馬術なんだから。まだロゼッタに慣れていないな、脚とかムチの使い方に思い切りが足りないよ」
「先生、わたしあの馬に先週、ムチで跳ねられちゃったんですよ」
「そうか、それで怖いんだな。しばらくロゼッタで特訓かな。」
おや、もしかしてこれからしばらくはロゼッタがパートナーになるのかな。
ついでにレッスン中疑問だったことを先生に聞いてみることにします。「先生、ロゼッタってときどきものすごく首を低くするみたいですけど、あれって…いいんですか?」
「いや(笑)、良くはないよ。止まりやすくなるだろ?乗ってても首が低いと怖いだろう。ああいう時はね、ちゃんと拳をつかって首を起こしてやらないと。するとね、手綱を引っ張ることになるから、馬が止まっちゃうだろ。だから、ちゃんと脚で推進しながら起こしてやるんだ。すべて、推進が大事。」

ロゼッタはそのままビジター(というか、オーナーのお孫さん達)が乗っているので私は馬装解除や手入れはありませんが、相方はモンブランの手入れをみっちりやっているようだったので、その間に馬と遊ぼうと思い、馬房のほうへ行ってみました。
桜吹雪に乗れなかったので、どうしているかなーと見に行ってみると、さくらの馬房の下から前肢が投げ出されています。寝てるのかな。
馬房をのぞき込んでみると、さくらは寝ていましたが、目が開いています。なんだ、起きてるんじゃん。…あれ、馬って起きてるときこんなふうに横たわるかな?起きているときの馬って、座り込むくらいしかしないと思う。立っていても寝られる動物なんだし。
「さくら?」声をかけると、さくらはちょっと首を持ち上げて自分の腰のほうを見やり、また首を下ろしました。なんだか息も荒いようです。さっきまで(私の技量では乗せてもらえないくらい)元気だったはずなのに、一体どうしてしまったんだろう。
とりあえず誰かを呼んだ方がいいかな、と思いクラブハウスの方に歩き出すと、ちょうど相方がモンブランの手入れを済ませてこっちに来たので、さくらのところに連れていきます。
「おかしいよね?」「おかしいね、これは」「オーナー呼んできた方がいいよね」

馬場の馬を脅かさない程度に走ってクラブハウスに飛び込み、ママさんに「あの、さくらの様子がおかしいんですけど」
「わかりました」とママさんは素早く立ち上がり、馬場を突っ切って馬房へ。
先生に「どうおかしいんだ?」と聞かれ、「あの、目が開いてるんですけど、完全に横たわっちゃってて起きあがらないんです」我ながらうろたえている声。
ママさんにつづいて馬房へ向かいますが、馬場ではレッスンが続いているので、馬場を回り込んで馬房へ戻ります。
先に着いていたママさんが、「これはおかしいわね」と、馬場で指導していたK野さん、F田さんを呼び、レッスンも一時休止。先生も馬房まで来ました。

駆けつけたK野さんが一目馬房を見て、「ああ大丈夫ですよ」と言うので、「病気?」と聞くと、「違います、寝相悪すぎですコイツ」「えっ?」「はまっちゃったんですよ」
腰から後脚が、馬房の角にはまって動けなくなったんですね。はまってすぐは暴れたのかもしれませんが、動けなくてパニックを起こしていたらしいのです。
とにかくそのはまった脚をどうにかしてやらなければならないので、「反対側に体を起こすしかないですね」500キロの馬体を人力で動かすのは並大抵のことではありません。脚にひもを結わえ付けて馬房の壁の向こうから引っ張り、馬房の中ではさくらを押し、さくらが馬房の壁をどかどか蹴り、喧噪のうちにさくらは馬房の壁から解放され、立ち上がりました。
「いや良かったね!」K野さんとF田さんは持ち場に戻り、ママさんがいうには「見つけてくれてありがとうございました。これを夜中にやられて発見できないと、ほんとにそのまま死んじゃうのよ。」
先生も、「そうだぞさくら、命の恩人だぞ」当のさくらは、パニックから解放されて放心状態。
「脚ケガしたことあるからね、怖かったんでしょうね」
いや、こっちも怖かったですよ。大したことがなくて本当に良かった。

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