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(2002.2.2 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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仕事の都合で2週間開いてしまいました。今日も11時からの予約。
この2週間の間に、2度しか乗っていないサーブが老衰で逝ってしまい、悲しい思いをかかえながらも、いつものようにクラブハウスに到着してホワイトボードを見ると、今日の騎乗馬はトリコロール。あれ、ロゼッタとかじゃないんだ。
前回かなりびびってしまったので、乗り慣れたトリコなのは嬉しい。トリコに勇気をつけてもらおう。

着替えをしてクラブハウスに入るとママさんがいたので、「サーブは…」というと、ママさんは「サーブは旅立っちゃいました」とほほえんだけど、本当は一番辛いはずのひと。でも22年生きたんだから、天寿というべきなんでしょうね。
ちなみにトリコはサーブの1歳年下。近い将来、トリコもいなくなるんだと思うと辛いものがあるなぁ。
サーブのお墓(というか、みんなが眠っている馬頭観音)ににんじんを供えて手を合わせてきました。

トリコは今日1鞍目なので、15分前に馬装へ向かいます。
すでにトリコは馬繋場に出ていたので、馬着を脱がせて裏掘りをし、ブラシをかけます。
鞍を置いて、腹帯を締めようとするとトリコは嫌がって、振り返って噛みつく素振りを見せます。いつものことなので、「はーいはい、分かった分かった」とそれを避けながら腹帯を締めていると、後ろから「高階さーん、口ばっかりじゃなくて後ろ脚も気にしてねー、蹴られますよ」とF田さんの声。そうだったそうだった。
結局鞍の位置が良くなくて、F田さんに直してもらいました。その後、胸前を触られると怒るトリコのために、F田さんがトリコの胸前を触って、噛まなかったら褒めてやるということを繰り返していました。おお、馴致だ。
20歳にもなって馴致されている、がんこじじいのトリコロール(笑)

時間がきたので、水勒をかけて(とても楽)、馬場に出ます。
F田さんの補助で騎乗し、左手前で蹄跡に出てみたけど、なんだか鐙が短いような気がする。膝が曲がりすぎてる感じ。一度馬場の内側に入れて、鐙の長さを調整…トリコ、頼むから動かないで。止め方が甘かったらしく、ずるずる動こうとするトリコ。急に動かれるとちょっと怖いんだよ。
ようやく長さを直して、また蹄跡に出ます。
今日は3頭部班、私とトリコ、相方のウィンダム、Fさんのジュンヨーという順番で常歩周回。指導はI野先生。

常歩のまま各個に巻き乗り。進入はそこそこ良かったのですが、「もっと大きく回せ」という先生の指示で、手綱を開いたり押したりすることをやめ、脚だけで回してみる。トリコはこれでちょうどいいらしい。
常歩のまま手前を替え、最初の隅角で進入を失敗。トリコが反抗して曲がってくれません。方向転換にはついてくるトリコなのに、珍しい。
「じゃあ次の次の隅角でやり直し」というI野先生の指示で、次の隅角でなんとか曲がらせますが、ちょっといつもより苦労する。馬場を横切るときにふらふらするのはトリコのクセなので、脚を使って立て直して対角へ。
対角から蹄跡に出ようとすると、進入のときよりももっと反抗して、隣の馬場に出ていこうとさえします。そんなに左手前から右手前に替えるのがイヤなの?
どうしても左手前で蹄跡に出ようとするトリコ、後ろからついてきて右手前で入ろうとしているウィンダムとお見合いしそうになる。やめてちょうだい、ケンカになるから(トリコもウィンダムも、割と引かないタイプらしい)。
一度左に行かせて、半巻きをして右手前にします。すると後ろの相方が、トリコを避けるためウィンダムを先に行かせたので、今度はウィンダムが一番騎、トリコが2番騎に変更。
この順番になったらなったで、ウィンダムはトリコにバックをとられると怒るし、トリコは近づきすぎるとウィンダムのお尻に噛みつきに行くらしいから、怖いんだよなぁ。
先生が、「ムチで軽く肩に触れて。持ってるぞ、って教えとけ」
確かにここから、トリコが言うことを聞くようになったように思います。

連続でなんどか斜めに手前を替え、トリコはさっさと曲がってくれる、というか、ウィンダムについて行っているだけかも。
「脚が前に出てるぞ」と先生に指摘され、内方脚を少し後ろに下げて使うと、簡単に曲がってくれました。
左手前のとき、「歩度を詰めー」うわ、トリコったらもう走りたそう。前回さくらに跳ねられたときのことを一瞬思い出してしまい、体が固くなる私。でも、トリコに限ってそんなことはあるまい。
軽く脚を使うだけで速歩を始めてくれましたが、走り始めるなりトリコはくしゃみ3連発。この間もやったなぁ、これ。
走り出すと、トリコは1鞍目だからかけっこうやる気。割と軽い扶助でどんどん走ってしまって、ウィンダムに追いつきそうになる。最低でも一馬身は間隔をとらないと、それこそウィンダムとケンカになってしまうので、一生懸命手綱を控えます。
特に左手前では、馬場のクラブハウス側半分はトリコはすごく走りやすいらしく(いつものことなんだけど)、反面ウィンダムはどこまでもマイペースな速歩なので、追いついてしまいそう。ウィンダムは走ることよりも後ろの方が気になるらしく、一度などは走りながら振り返ってトリコをにらみつける始末。人間にはあんなに優しい馬なのに、馬どうしだと気が強いんだから。
クラブハウス側では手綱を控えて押さえることに専念し、脚も使わないことにします。馬房側ではトリコのやる気がなくなるので、脚を座ったときに入れるのをやってみますが、一度覚えたと思ったのにタイミングがバラバラ。やっぱり一度びびっちゃったので、体が固くなってるんだなぁ。

斜めに手前を替えて(中央線だったかも)、右手前になります。トリコは右手前が嫌いなので、若干スピードが落ちて反動が小さくなり、押さえるのが少し楽。
このへんで自分なりに余裕ができてきて、後ろのジュンヨーの足音まで注意を払えるようになったんですが、ジュンヨーの歩様はトリコよりさらに早いかも、と思っていると、だんだん音が迫ってくる。Fさんはときどき巻き乗りをして追いつかないようにしてくれたのですが、そのたび足音が離れては迫ってくる。ジュンヨーには追いつかれそうだわ、かと言って前に行きすぎるとウィンダムが怒りそうだわ、キンチョーするぅ。
どうにもならないときは、速歩に落としたりして調整してみましたが、一度Fさんのまねをして巻き乗りで時間をかせいでみたら、ウィンダムとの距離は離れたのですが、ジュンヨーに追いつかれました。
「もっと歩度を伸ばせー」先生の声がかかりますが、トリコの歩度をこれ以上伸ばしたらウィンダムを追い越しちゃうよう。
ウィンダムに乗っている相方は、ムチを使ったりして一生懸命ウィンダムの歩度を伸ばそうとしていて、だいぶウィンダムも調子が乗ってきたみたい。何度目かのムチで、歩度が伸びるのが見て取れました。
それでもトリコにしてみたら、一生懸命押さえなくても良くなった程度の早さなんだけど、だいぶ走りやすくなったぞ。
ウィンダムは右手前だと少し内にささるクセがあるらしく、隅角で必ず内へ内へ入ろうとして結果的にショートカットしているので、トリコを外へ外へ持ち出し、距離をかせぐことに。トリコは逆に、左手前だと内にささるけど、右手前は外に出しやすいんです。
それでだいたい馬間距離が保てるようになってきました。

最後まで右手前のまま、このレッスンは終了。
馬場中央で下馬するとき、先生から「今日は少し脚が前に突っ張ってたな。だから曲がりにくかっただろ」という指摘が。びびっちゃってた先週の名残で、脚も堅くなってたんでしょう。
でも今日はトリコのおかげで勇気がついたので、たぶん次回は大丈夫。本当に「信頼できる馬」の存在って貴重。

馬を馬繋場につなぎ馬装解除、トリコは午後もお仕事があるらしいので裏掘りだけして、昼飼い。
自分は手入れがなくてヒマなので、ジュンヨーの手入れをしているFさんに話しかけてみる。
「ジュンヨー、すごく走りますね。後ろから足音が迫ってくるの分かってたんだけど、ウィンダムにトリコ追いつかせるわけにいかないし」
「そうだよね。こっちもね、プレッシャーかなーと思いつつ、今日はジュンヨーを押さえきれなかったから」
「ウィンダム、怒ってたんですよ、トリコが近づくと」
「ああ、あれけっこう耳絞る馬だもんね。」
Fさんによると、馬場から見下ろす位置にある幹線道路に信号が出来てから、ここの馬は跳ねやすくなったのだそう。

クラブハウスで昼食をとってだらだらしていると、ママさんに「今日はトリコはどうでした?」と聞かれました。
「元気でしたよ。ほんとにトリコって乗りやすくて、今日はトリコで安心しました」
「トリコは言うこと聞くからなぁ」とオーナー。
あとで先生も同じことを聞いてきたので、「トリコが元気で、ウィンダムに追いつかないようにするので精一杯でした」と言うと、「今日はウィンダムのために右手前を多くしたんだけどね」「えっ?」「ウィンダムは右手前の方が得意なんだよ」「そうなんですか。でもトリコは右が苦手だから、遅くなってちょうど良かったかもしれないですね」
どうやら今日の配馬は、前回馬に跳ねられてびびってしまった私のための救済措置だったらしいです。

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