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(2002.1.19 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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今日は11時の予約、いつも通り40分くらい前に倶楽部に到着すると、なんだか馬場が白っぽい…もしかして、馬場が凍ってるんですかっ?馬場に設置してある鏡も白く凍ってる…おととい雨が降ったからなぁ。
ホワイトボードで騎乗馬を確認すると、今日も桜吹雪。先週は途中でさくらに跛行が出てちゃんと乗れなかったので、今日はちゃんと乗れるかな。
馬場でK野さんが、桜吹雪の下乗りをしているので大丈夫なのでしょう。

着替えをして、馬装に向かう頃には日が高くなって、馬場も鏡も氷が溶けてきました。でも寒いので、今日はライディングジャケットを着て重装備で乗ることに。
馬房にさくらを迎えに行って声をかけると、さくらは一瞬こっちを見ましたが、またそっぽを向いて寝わらを噛んだりして遊んでいます。仕方ないので馬詮棒を外して馬房の中に入り、さくらの顔の前を回り込んで左側に立つと、自分から無口に鼻を突っ込んできました。チャップスを寝わらだらけにしながら馬房を出て、馬繋場につなぎます。

裏掘りとブラシをかけて、さくらに鞍を置くと、F田さんから「マルタン必要ですよー」と声がかかったので、腹帯を締める前にマルタンガールを装着。腹帯を締めようとしているとき、K野さんが後肢にバンテージを巻こうとしてくれていたので、「腹帯締めるけど大丈夫ですか」と聞くと、大丈夫だって。トリコなら絶対だめだな。
水勒を装着するのにちょっとだけ苦心していると、K野さんが手伝ってくれつつ言うには、「どうしてこんな性格の悪い馬好きなんですか?」「悪いかなぁ?確かに間抜けだけど(笑)最初乗ったときに乗りやすかったんですよね」
もう他の2頭は馬場に出ているので、急いで馬場に出ます。

今日のレッスンはアルフォンス、ウィンダムと桜吹雪の3頭部班、指導はI野先生。
K野さんの補助で騎乗し、鐙の長さが合っていなかったので鞍上から調節していると、K野さんに「腹帯もやってみます?」と言われ、そういえばここに来てからやってないけど、オリンピッククラブにいたころは鞍上から腹帯を締め直していたのを思い出してやってみます。
留め金に通している皮を鞍上から引っ張るようにして、腹帯をきつく締め直し、常歩で蹄跡に出ます。
2〜3周くらい歩いていると、どうも右足のほうが鐙が短い気がする。ちょっと蹄跡から外れて内に入り、鐙を調節しなおします。
先生が「どうした?」と声をかけてきたので、「鐙の長さが変なんで、直します」「そうか、よし」
鐙を直すと、先生が「腹帯は大丈夫か?鞍の下に手を入れて、自分で触ってみなさい」鞍の下に手を入れる?「ここだよ」馬の首に伏せるようにして、鞍の下というより腹帯の下に指を入れ、きつさをはかるように教えてもらいました。わりとすんなり指が入る。
「これはいいキツさなんですか?」「ちょっと緩いみたいだな」もういちど腹帯を締め直し、蹄跡へ。

先生が短鞭を持たせてくれて、常歩でアルフォンス、桜吹雪、ウィンダムの順で周回。
さくら、重い。一生懸命、かかとから腹を持ち上げるようにして脚を入れますが、なかなか元気良くは動かない。でもさくらはもともとそういう馬で、軽速歩になればエンジンがかかるはず。なんとか、アルフォンスから2馬身程度にはついていきます。
順次巻き乗り、アルフォンスのあとについて内に入るときだけ手綱を引き、あとは内方脚と外方脚だけ意識して巻き乗りをすると、だいたいアルフォンスの蹄跡の外めを歩けました。
「それじゃあ歩度を詰めー」速歩の準備で、脚をさらに強めに入れ、「はやあーし」
さくら、2〜3歩速歩の歩様を見せたかと思うと、いきなり跳ねて駈歩をしそうになりました。
「さくら!違うよ!」どうにか手綱を強く押さえ込み、さくらを止めましたが、この道はいつか来た道…いつかサーブも、最初から走りたがって困ったことがありました。でもあのときは速歩だったけど、まだ駈歩なんて1回しかやったことないんだから、試さないでよ。頼むよ。

こうなると怖いので、ムチは絶対使えない。ひたすら脚で速歩を出しますが、それも怖さがあって思い切って蹴れません。
1周くらい走ったところで、またさくらが跳ねる。今回はけっこう派手に跳ねて、我ながら落馬しなかったのが不思議なくらいで、どうやってさくらを押さえたのか自分でも分かりません。
馬場の内側に入ってしまい、ひとまずさくらは止まってくれたけど、どうしよう、怖い。とりあえず先生に「ムチ捨てていいですか」「おお、捨てなさい」ちょっとだけ歩かせてみたけど、自分の体が完全に硬直している。「先生、怖いです」と素直に訴えてみました。
「そうだな。深呼吸して」深呼吸してみたけど、このままの自分の精神状態では、絶対に怖くて速歩すら出せないんじゃないか。「誰かに乗ってもらうか?」スタッフの誰かに乗りならしてもらい(言葉を換えれば、馬を疲れさせてもらって)、少しさくらをおとなしくさせようと言うのです。
下馬するとき、すこし膝が震えているじゃありませんか。私、そうとう怖がってるらしい。
F田さんが出てきて、馬場の内側でちょっと乗ってくれたのですが、「跛行ひどくなってないですか?」えっ、そんなことすら気がつかなかった。先生とふたりで、F田さんが乗っているのをしばらく見ていると、確かにちょっと歩様がおかしい。走りたくなくて跳ねてたのかなぁ。
「馬を替えるしかないなぁ」
そんなこんなで、急いでK野さんが準備してくれた美星に乗り変わることに決定。これで3週連続、桜吹雪に満足に乗れませんでした。嫌われてるのかしら…

馬場に出てきた美星に騎乗、速歩をやっていた2頭の後ろに入り、常歩に落としてもらって一緒に周回します。
美星、どうしても蹄跡から内に入ってこようとする。そういえば前に乗ったときもそうだったな、と思い、ラチ側の手綱を少し短めに持ちます。すると、美星の首が真っ直ぐではなく、なんだかくねった感じに見える。これはいいのかしらん。
速歩の指示が出ますが、美星、ぜんぜん速歩が出ない。重い。脚で出ないので蹴りますが、ぜんぜん出ない。「ムチ肩に入れて」軽く入れてみますが、ぜんぜん効かない。「もっと、音がするくらいムチ入れても大丈夫だから」そんなこと言われても、さっきの頭があってどうしても「走られたらどうしようっ?」と思っちゃうから、ムチを入れるのには勇気がいるんです…
さくらとは違う、とんでもなく重い馬をもらったんだ、と自分を納得させ、サドルホルダーを握って、ぴしっとムチを入れてみる。それでもなかなか速歩が出ない、これは重いわ。

かなり苦労して、美星の腹をどかどか蹴って、どうにか速歩を出しますが、半周もしないうちに止まってしまう。
「止まりそうになったら蹴るんだぞ」それでもやっぱり止まる。途中でK野さんが「持ち替えてください」と長鞭を持ってきてくれて、持っていた短鞭と交換。「長鞭怖いんだよねー」「この子でなんかあったんですか?」「いや、この子ではないけど、ロゼッタに長鞭で跳ねられたから」
本来長鞭は、馬の腹をたたいて使うものですが、「肩に入れていいですよ」と短鞭と同じ使い方で使うことに。

ちっとも速歩が出ないので、アルフォンスとウィンダムにどんどん置いて行かれます。美星はものすごい寂しがりなので、他馬から離されてひとりになると、とたんにやる気をなくすらしくて、どんどん内にささってしまい、蹄跡から離れていきます。
最後方にいると離されるばかりの悪循環なので、アルフォンスとウィンダムの間に入れてもらい、速歩を始めます。このへんから、指導のI野先生と別に、そばにK野さんがついていてくれるようになり、2人がかりの指導となりました。ぜいたくで嬉しいけど、そんなことを感じている余裕もない。
「手綱あと1センチ長くして。そんなに短いと、馬が動けないですよ」
さくらやトリコに乗るときと同じくらいの長さだったんですが、美星は少し長めがいいのかな。少し手綱を伸ばすと、くねったように見えていた首がまっすぐになりました。

がんがん蹴ってなんとか速歩が出て周回していると、トイレのそばで美星が突然立ち上がりそうになり、ばたばたと足踏みをしました。それはなんとか押さえ込んだんだけど、押さえ込むときに右手に持っていた長鞭が美星の首に当たってしまい、やばい!と思って右手を後ろに引き、左手で押さえ込む。
そばにいたK野さんに「大丈夫ですか?」と言われ、「大丈夫だけど、今のなに?」「遊ばれてますよ、馬に。頑張って」
しかし、重い馬と思っていた美星にさえ暴れられてしまうと、本格的に怖くなっている自分。
しかもこの数周後、クラブハウスの近くをとおりかかったときに突然キャンディが吠え、それにびっくりしたのか、また跳ねる美星。
「もう今日は、こういう日なんだ。うん」声に出して、自分に言い聞かせる。

やがて通常のレッスンがタイムアップ、アルフォンスとウィンダムは普通に終了しますが、私は馬を替えたのにかかったロスタイム分、お昼の時間にずれこんで延長(I野先生、K野さんありがとう)。
アルとウィンダムがいなくなると、とたんに動かない美星。しばらく格闘していると、上がったはずのアルがもう一度出てきてK野さんがまたがり、私と美星の前に入りました。先導をしてくれるらしい。それなら美星も寂しくなくて動けるはず。

とにかくアルに追いつこう。K野さんは乗りながらこちらの様子を見つつ、美星が速歩になったなと思ったらアルも速歩にするなど、離れないようにしながら先導してくれます。
こっちはひたすらアルに追いつくため、「蹴って蹴って、もっと蹴って、そこでムチ」美星は走り出せば遅くないのですが、しょっちゅう止まってくれるのでほとんど蹴りっぱなし。
だんだん息も上がってきて、寒かったはずなのにもうライディングジャケットを脱ぎたいくらい暑い。
かなりへとへとになりつつ美星を動かすうちに、美星が止まりたくなるポイントがあることが分かってきました。さっき跳ねたあたり、トイレのそばが嫌いなのかどうか、かならずそこで止まりたくなるらしい。
速歩が出て、そこに差し掛かる前にまた蹴ってみると、やっぱり止まりたそうでしたがなんとか走り続けてくれました。
でもまだ、ろくに1周走ってない。ここで走れなければ、怖いままで終わってしまって、次のレッスンにも引っ張っちゃうんじゃないか。
「頑張れ、なんとか1周走ってみろ」先生の声が飛びます。K野さんの後ろ姿を見ながら上体を起こし、前回ならったように座ったときに脚を入れることを意識できるくらい、落ち着いてきた。

なんとか1周弱くらい走れたんですが、美星が時間以上働いていることに気がついたのかどうか、一度止まってからはもう速歩を出してくれなくなり、先生も「この辺でいいか?」と終了合図。K野さんもアルフォンスを沈静化しているのが見て取れたので、美星を沈静化し、馬場内で下馬して終了。
先生は「まぁあれだけ何度も跳ねられて、よく落ちなかったよ。冬は馬が元気だからなぁ」と慰めてくださいましたが、それよりもとにかく私を走らせる努力をしてもらったことのほうが、よっぽどリハビリでした。次回乗るときは、怖かったことよりも走れたことを覚えていよう。

日の出の馬場
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