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(2002.2.14 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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図形 昼食を終わり、もう一度ロッキーに乗るので馬房に向かいます。
馬房の中でロッキーは座り込んでいました。「ロッキー、お仕事だよ」と声をかけて馬詮棒を外しますが、まだロッキーは立ち上がらない。たいていの馬はこの段階で立ち上がるのに、やだなー。今ちょうど、向かいの馬房にいるトリコロールが体調不良でよく座り込んでいるので、ついどこか痛いのかと思ってしまう。
座ったままのロッキー、無口をつけても引き手をつけてもびくともしない。
そこへちょうど、トリコの様子を見にK野さんがやってきました。
「K野さん、ロッキーが立ち上がってくれないんだけど」
「疲れてるだけだと思いますよ。ほら立って」
K野さんが何度か舌鼓やオーバーアクションをして、やっと立ち上がりました。確かに疲れていただけみたい。

裏掘りをして、座り込んでいたので寝ワラまみれになった馬体にもう一度ブラシをかけます。
鞍を置き、腹帯を締めると嫌がりますが、それでもトリコみたいに男らしい噛みつきかた(?)ではなく、ちょっと振り返って、繋がれている鎖を噛む程度。
水勒を着けようとすると、今度も自分からハミを噛みに来ました。扱いやすい馬だなぁ。

馬場に出て、Sさんの補助で騎乗。
常歩で蹄跡に出ようとすると、先生が「右手前で」と言います。今まで乗った馬はいつも左手前から始めていたので珍しい。もしかしてロッキーが右手前の方が得意なのかな。
しばらく蹄跡を常歩で、こまめに脚を入れて元気良く歩かせるように頑張ってみます。ロッキーはちょっと小さめなので、脚入れるのが楽だな。

何周かして、先生から巻き乗りの指示が出ます。
内方の手綱を引いて馬場に入れ、内方脚を使いながら巻き乗りをする。「もっと大きくふくらませて。左手は押せ」
巻き終わったところで停止の指示、「いいかい、自分の蹄跡見てごらん」と言いながら、先生は私の巻き乗りの跡を歩きます。
「後半はいいんだけど、前半が直線になってるんだ。頂点はここでいいから、前半をもっと外に出してふくらませて。最初にちょっと手綱を使いすぎだな。内方はそんなに引かなくていいから。もう一回やってごらん」
内に入ろう、と思うのではなく、ちょっと蹄跡を外れるくらいの気持ちでいいんだな、と理解して、もう一度巻き乗りをやってみます。今度は内方の手綱をあまり引かず、外方を押すのと内方脚だけで内に入れてみる。
「そうそう、そのくらいでいいんだよ。今度は速歩でそれをやるとなると、脚が難しいかもしれないけど、まぁ慣れればできる」

さて速歩。今度も速歩は出にくかったですが、がんがん蹴って肩に短鞭入れると出せました。最初がエンジンかかりにくいんだな。さっきは私もムチの加減が分からなかったのですが、だいぶ分かってきた。とりあえず軽速歩で走らせます。
ロッキーは右手前の場合、馬房の入り口から鏡を通り過ぎるまでが「走る気なくすポイント」であることも分かったので、そこでは強めに脚を使っていきます。
それから、拳。どうしても拳が開いていくクセがあるので、両手の拳をひとかたまりのように思って、サドルホルダーをつかんでいるつもりで馬の首につくかつかないかのところに置くように努力。

軽速歩のまま巻き乗り、速歩に落として、さっきのように内方脚で押して、外方の手綱を押して…
「ほら、外方の拳が上がってるぞ」
手綱を押すときに、上に向けてしまうクセもあるらしい、私。気持ち下に押すようにします。
「そうそう、いいぞ」

軽速歩で周回していると、先生からの指示。
「中央線を右へ」中央線から右に曲がり、馬場に入ると「そのまま馬場中央で左に巻き乗り」一巻きして「次は右へ巻き乗り」巻き終わると「そのまま蹄跡を左へ」
左のような図形を描くことになります。
ロッキーは方向転換に軽くついて来る馬なので、左巻きのあと馬体を立て直してから右巻き、という動作にも反抗せずについてきますが、馬上の私にとってもこれはバランスを立て直すのがけっこう辛い。しかも、これを連続で反対巻きでもう一度。
このあと、斜めに手前を替えを隅角ごとに連続で、など方向転換の練習をいっぱいするうちに、「曲がる」と「外方の手綱を押す」が自分の中でイコールになり、無意識に出るようになりました。次回までこの感覚が保てばいいんですが。

さて、この鞍は速歩の練習をするのだ。
先生も速歩の指示を多めに出してくれているようなので、少しでも上手くなるぞ。
「体起こせ」そうだ、上手い人の正反動を見ていると、馬に対して上体を垂直にした上体を起点として、そこから後ろにだけ振れているように見える。できるだけ反動ごとに後ろに倒れるつもりでやってみます。
しばらくやるうち、お尻が鞍からまったく離れなくなり、座骨2点を支点にしている感じが分かるようになりました。おおっ、これが鞍付きってやつ?今まで感じたどの正反動よりも(反動のないウィンダムのときよりも)ちゃんとお尻が鞍についている。感動だわ。

そのまま速歩を続けていきますが、
「ほら、拳がふらふらしてるぞ。ハミが上下すると馬の機嫌を損ねるぞ」
反動に拳をとられて安定しないのです。あとから考えて、ひじが硬いんだろうということは分かりましたが、これはまだまだ修練が必要なようです。
それから、脚がばたばたしている。軽速歩のときよりもさらに、踏み込むのが下手だな、我ながら。

速歩から軽速歩にしてみると、速歩が上手くできたという自信があるからかどうか分かりませんが、立つ・座るの動作がやわらかくなってる。
ただ、軽速歩のなかで自分で気になったのは、自分の立つ・座るが「膝が支点になってないか?」ということ。足を曲げ伸ばしするのに膝が支点なのは当たり前かもしれませんが、自分の膝が馬体に頼って立ち上がってるような気がするんですよね。本当なら、騎座が支点でないといけないんじゃないかしら。

停止の指示が出て、拳だけを自分の方に引っ張って体を起こします。
「よし、今の止まり方は上手いぞ」
せっかくほめていただいたのに、プレッシャーを緩めると1歩2歩と歩いてしまうロッキー。
「ちゃんと止めとけよ、5秒間静止。バックするくらい引っ張れ。よし、速歩」
強くプレッシャーを与えていた手綱をゆるめた瞬間に蹴ってみると、上手く速歩発進できました。

時間が来たので、沈静化して終了。
先生に「どうだった、速歩」と聞かれ、「だいぶできるようになりました。ロッキーに教えてもらいました」「そうだな」
いや、乗り味のいい子だった。みっちり速歩の練習ができて満足です。

馬繋場に上がって、ロッキーは今日はこれでお仕事が終わりなので、きちんと手入れをします。
勒を外そうとすると、またハミを噛んで口から出しません。ハミが好きなの?
鞍を外し、ブラシをかけてから前脚を洗っていると、なんか後ろの方でどさどさっという音が…またボロっすかー?今度は後脚やってるときでなくて良かった。
でも、足を洗い終えてタオルで拭き、馬着を着せていると、おしっこをしそうな気配が(オトコノコは見た目で分かるのよね、いやはや)。思わず手をひっこめてしまいましたが、しないみたい。
それから顔や耳のうしろを濡れタオルで拭いてやり、馬房へ戻して無口を外し、馬詮棒を閉じたところで、じょろじょろじょろ…寝ワラの上でしなくたって、せめて馬繋場でやってくれたら洗い流せるのになぁ、もう。

馬の手入れを終えて、馬房にロッキーを戻し、Sさんとしゃべっていると突然Sさんが馬房を指さし「寝てるー」と言います。
誰が寝てるのかな、と思って馬房を振り返ると、ロッキーが立ったまま、馬詮棒にアゴを乗せてこっくりこっくり…そんなにお疲れでございますか。
そのあと、K村さんに会ったら「ロッキー、ずいぶんお疲れみたいですね」と言われちゃいました。「あたし、そんなひどい乗り方してないよぅ?」

クラブハウスに戻ると、K野さんが休憩していました。
「ロッキー、走っちゃうって聞いてたけど全然乗りやすかったですよ」
「あれねー、最初にここに来たとき、ぴゃーって走っちゃったんですよね。それでみんな怖がっちゃって。でもびっちり調教して、馬作りましたから」
「調教でそんなに変わるんだ…」すげー。乗用馬の調教かくあるべき。
「最初大変でしたよ、すっごく首が低くて競走馬みたいに走るんです。でも今は大丈夫でしょ」
「速歩楽だった。正反動教えてもらいましたよ。私ここのところモンブランだったから、自分が正反動できない人なんじゃないかと思っちゃったもん」
「あれ反動きついですからねー(笑)。ロッキー、お尻が離れないでしょ」
「うん。なんか、自信をつけさせてくれる馬ってすごいよね」
「自信つきました?」
「トリコの次くらい。でもいつかモンブランも乗りこなしてやるーって思ってるんだけど」
「モンブランみたいな馬と、ロッキーみたいなのを交互に乗るといいんですよ。モンブランで苦労して、ロッキーで感覚をつかんで。そしたら上手くなります。ロッキー、怖がられてあんまり乗る人いないから、乗って下さいよ」
「乗る乗る」
またロッキーに正反動を教えてもらおう。

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