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(2002.2.27 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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決まっていた再就職先に問題があったので内定を辞退し、結局また失業中の身。せめて馬に乗らなきゃやってられないわー、と平日乗馬。
11時からの予約で、10時半ごろにクラブハウスに着き、ホワイトボードを確認すると、今日の予約は自分と午後のもう1名だけ。水曜日は穴場だとは聞いていたけど、ここまでとは…つねにマンツーマンで鍛えられちゃうわけだな。平日会員の人の方が早く上手くなれるんでは?

クラブハウスの入り口前で休憩中のK村さんが、私を見るなり「ちっちゃい犬いますよ、ちっちゃい犬」「えっ、何それ?」「新しく来たんですよ」
犬好きの私、そんなことを聞いちゃったらじっとしていられない。
クラブハウスに入り、オーナー夫妻に「ちっちゃい犬いるんですって?」と聞くと、ちょうどママさんが奥から連れて出てきたところでした。
オトコノコで、名前はダグラス。ベージュというか、ちょっとミルクを入れすぎたカフェオレ色の子犬。甲斐犬と柴犬の雑種で、まだ2ヶ月だそうです。ほんとにちっちゃくて、人見知りもしないのか、手を伸ばすと転がるようにして駆けてきました。くぅぅ、かわいい。

今日の騎乗馬はロゼッタ。
馬装に向かおうとするとK野さんがいて、「今日シロクマですよ」「シロクマ?あぁ、ぬいぐるみね」ロゼッタはあんまり冬毛がぼさぼさしているので、最近はシロクマというあだ名が付いたらしい。(芦毛だからシロクマだけど、じゃあ鹿毛の美星がクマかしら)
「今日のシロクマはどうですか?」「疲れてるんじゃないですか、使い詰めですから」「じゃあ重いんだ…」
いきなり「高階さん、今何鞍でしたっけ?」と言うので、「50鞍越えたとこ」「駈歩やったことありませんでしたっけ?」
「えっ…やらせようとか思ってる?」「はい」「うー。外乗で一回だけ駈歩やってるけど」「じゃあそろそろやらないと」「ちょ、調馬索はつけてくれるよね?」「えー、調馬索ぅ?」「だ、だめ?調馬索つけてサドルホルダー持って、なら…」「まぁ座れれば、ですね。まさか普段でもサドルホルダー持ってないですよね?」「う、ときどき持ってるかも」

馬房で首を振って遊んでいたロゼッタ、扉を開けると自分から首を下げてきてくれたので、無口をつけて連れ出します。
馬着を脱がせて、裏掘りとブラシかけ。そろそろ冬毛が抜け始めているのか、寝わらと抜け毛で真っ白になってしまいました。
毛布、ジェルパッド、鞍と乗せていると、K野さんが水勒とマルタン、胸がいを持ってきてくれました。マルタンはやってもらいましたが、手伝ってもらいながら胸がいをつけ、腹帯をしめます。
前のレッスンがないので、「もう勒つけてもいいですよ」ということで、無口を外して水勒を装着。ハミを噛ませるところまではとても素直にやらせてくれるのですが、この馬ハミを口に入れると、いつまでもがちゃがちゃやって遊ぶので、鼻革が締めにくい。鼻革しめて、がちゃがちゃ止めのノーズバンドを締めて、馬場へ。

馬場中央で騎乗し、左手前で蹄跡へ。今日はK野さんのマンツーマンレッスンです。
常歩で周回、「はーい、もっと元気良く歩かせて下さいねー」脚を強く使っているつもりだけど、あんまり変わらない。長鞭を持たされて、肩にかるく入れてみる。「もっと強く入れていいんですよ」と言われても、跳ねられるのが怖くて、どうしても思い切って入れることができません。
「はいそれじゃ、巻き乗ーり」内方の脚を強く使って、外方の手綱を内に向かって押して、進入はうまく入ってくれたのですが、直径3メートルくらいのえらく小さい巻き乗りをしてしまう。これじゃダメだと思い、あわてて内方の手綱を外に押してふくらませようとしますが、あんまり上手くいきませんでした。
「もっと前に前に行かせてくださいね」脚の推進がぜんぜんできていない、ということらしい。確かに、内方脚にばかり気を取られて、脚は推進するものだということを忘れていました。
何度か巻き乗りをしましたが、その都度小さい巻き乗りになってしまいました。

「じゃあ速歩しますよ。歩度を詰めて」
脚を強く使うだけでは無理そうなので、蹴っていきます。「はやあーし」出ない…「ムチ使って下さいねー」肩に軽くムチを入れてみるけど、ちっとも威力がないらしい。
K野さんの舌鼓が効いてようやく速歩になりますが、首を低くし始めると、足取りが重くなって止まろうとする。
「今にも止まりそうですよー、蹴って蹴って、そこでムチ」
速歩だと自分のバランスが悪いのか、ちっとも長続きしない。体を後ろに倒そうと思ってはいるんだけど、で、時々はできるんだけど、倒すときに手綱に頼ってしまっているのか、すぐ止まってしまいます。

速歩でエンジンをかけるのが上手くできないせいか、すぐ軽速歩。
軽速歩だと、脚で追うのは割と上手くできるんだけど、なんだか今日は脚がいつも以上にバタバタして、脚を入れるたびに鐙が外れそうになるし、かかとが下がっていない気がする。
馬を止めたときに、K野さんに「鐙短くしてもいい?」と訴えてみる。鐙が長いせいに思えたので。
「え〜?これ、ベストの長さだと思いますよ」と言いながらも、鐙を短くしてくれるK野さん。
「そっかぁ…これ、短くしといてやっぱ戻す、とか言ったら怒る?」
「いや、怒らないですけど」
1穴短くして、鐙に足を入れてみると、今度は短すぎるような気がしてくる。鐙の上に立ち上がってみると、明らかに短い。
「短くするのはいいんですけど、そうすると脚が前に出ちゃうんですよね、それ気をつけて」
「あのっ…あのー、やっぱり戻す。短い。」
「戻します?」苦笑しながら、鐙を元の長さに戻してくれました。

今度は速歩で巻き乗り、進入までは良かったのですが、いくらもいかないうちに常歩に落ちてしまいます。
「止まる止まる、ちゃんと蹴って」
しかしロゼッタにのんびり歩かれ、内方だけ蹴ってみたのですが効果なし。「蹄跡から速歩にして下さい」蹄跡に戻る前からがんがん蹴ったら、蹄跡からはちゃんと速歩が出ました。
それから、何度も巻き乗りの練習。
「外の手綱押して下さい。内方を引くのは、最初にちょっと方向を教えるだけ。あとは外方を押すだけで、脚でちゃんと前に出して下さいね」
馬によって違うのかもしれませんが、ロゼッタみたいな馬は、内方脚とか外方脚とかじゃなく、とにかく推進するために両方の脚を使ってもいいのかもしれません。

何度目かの巻き乗りのとき、「内方の肩をちょっと後ろに引いて、後ろ見るような感じで」そうすると、内方の肩ごしに巻き乗りの軸を振り返って見るような体勢になります。わー、この体勢ってK野さんのかっこいい巻き乗りっぽいぞ。
それと、この体勢だと自分の体の軸が、内方の肩から内方の脚だとはっきり分かるので、内方が踏み込みやすく、脚も前に出ない。これはいいぞ。
「はい止まりそう止まりそう、止まりそうな時はどうするの〜」
ムチを入れる。「そうそう」何とか途中で止まらずに巻き乗りができました。

速歩と軽速歩を交えて走ります。
「首低くするの、怠けてるだけですからね、ちゃんと走らせて下さい。ハミにあご乗っけてさぼろうとしますから、そういうときは蹴って」
蹴ればいいのか。首を起こそうとして、手綱引いちゃってたんだよね。
だんだん走れるようになってきました。「もっと蹴っていいんで、どんどん走らせて下さい」
速歩でどんどん脚を入れると、どんどん反動が大きくなってきます。正反動をとっているつもりが、お尻がぼんぼん跳ねて、鞍付きどころではなくなってきました。
おかしいなぁ、ロッキーのときの速歩はなんだったんだろう。速歩が分かったと思ったのに。
「それくらい走らせて、やっと速歩ですよ」うーん。

「エンジンかかるのに45分かかってますよ(笑)ずっとエンジンぎりぎりのところで動かしてるから、一度止まるとまた最初からかけ直さなくちゃいけないでしょ。脚、それ以上蹴れないですか?」
「けっこう蹴ってるつもりなんだけど…あ、でも美星のときはもっとどかっと入れてるかも」
「同じでいいんです。蹴って蹴って、でも力に限界がありますからね、ダメならムチ使うんです。ムチの使い方も、(ひゅんっとうならせて)こんなに強く使うと馬がびっくりするだけなんで、軽く何度もぴしぴしって入れるんですよ。そのほうがバランスもいいですから」
「今日は蹴ろうとしたら鐙が外れそうだったの。座れないっていうか、立てなかったし」
「やっぱり鐙長いんでしょうね。間にもう一つ穴があったらちょうど良かったんですけど」

もう沈静化だというのに、ずっとついて歩いて指導をしてくれるK野さん。
「今日サドルホルダー、一度も持たなかったじゃないですか」
「あ、そうですねぇ。忘れてた。」
「体後ろに倒すの、怖いですか?」
「怖い…かな?怖くはないと思うんだけど、うまくできないなぁ。サドルホルダー持って、それに頼って体倒すとかはできるんだけど」
「今歩きながら、体後ろに倒せます?」
とりあえずやってみる。「もうちょっと後ろ」倒してみると、「腹筋痛いんですけど」「腹筋使っちゃダメです(笑)」腰を張れっていうことか。「そのくらいですね」と言われたのは、自分で思っていたよりもかなり後ろでした。

馬場中央に馬を停め、挨拶して終了、下馬。
「駈歩以前の問題でしょ?」とK野さんに言ってみると、「でも、あれだけ正反動とれれば駈歩もできるはずですよ」「とれてないでしょう、すごく跳ねちゃった」「反動きついですからね、あんなもんでしょう」あ、ロゼの反動はきついのか。ここのところ、ロッキーやウィンダムの小さい反動で楽をしてきたので、自信をなくすところでした。

平日の倶楽部は、本当にのんびりしています。
ダグラスだけがころころとはね回っていて、オーナーのお孫さん(まだ11ヶ月の赤ちゃん)にとびかかって行ったり、馬場に出てみたりして元気。
馬場では春風を放牧していたのですが、少しお疲れ気味の春ちゃんは駆け回りもせず、「なんかちっこい生き物が増えてるなー」という感じで興味津々、クラブハウスの方ばかりのぞいています。
ダグラスを抱き上げて、春風にけしかけてみたら、まぁ一人前に前足ではたこうとするではありませんか。春ちゃんは迷惑そうにしていましたが、耳を絞ってなかったので怒ってはいなかったみたい。でもなぜか、そのあとフレーメンしていました。ダグのツメが当たったので気持ち悪かったのかな。


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