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(2002.3.2 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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今日はいつもの土曜なので、相方と一緒に11時の予約。
倶楽部に到着したのは10時40分、馬装を考えるとちょっとぎりぎりだあ、と思いつつホワイトボードを確認すると、騎乗馬はトリコロール。けっこう久しぶりです。
おや、今日はずいぶん混んでいる。11時のレッスンは5頭になっています。日の出乗馬倶楽部でのレッスンはせいぜい4頭が上限なんだけど。

ぎりぎりだと言いつつ、倶楽部の看板犬キャンディをかまってからクラブハウスに入ると、ママさんが私の顔を見るなり「ダグはいなくなっちゃったのよー」「えっ!?どうしたんですか?」
3日前、倶楽部にもらわれて来たばかりだった仔犬のダグラス、かなり気に入っていたんですが、倶楽部にボロを取りに来てくれる農家の方に気に入られて、もらわれていったとのこと。
私があんまりがっくりしたからか、ママさんが「でもダグのお母さんがまたお腹大きいって言うから、またもらってくるわね」となぐさめてくれました。

急いで着替えて、やばい時間がないやー、でもトリコだから馬装には時間がかからないだろう…と思いつつ馬房に行ってみると、馬房は空。
あれっ?と思って馬繋場を振り返ってみても、馬繋場にも繋がれていません。もしかして、と思って馬場を見に行くと、F田さんがトリコロールの下乗りをしていました。なぁんだ。

他の馬の馬装が終わった頃、F田さんがトリコを連れて馬繋場に戻ってきました。
時間が来るまで馬繋場で休憩させて、トリコを馬場に連れて行きます。
いつもの馬場に出ると、F田さんが「トリコこっちに出てくださーい」と、隣の馬場への入り口を開けて待っています。やっぱり5頭部班をやるはずはないので、2頭-3頭に分けるみたい。
いつもの馬場には3頭、隣のあまり使わない方の馬場には、トリコロールと相方のウィンダムの2頭が出ることになりました。
こっちの馬場、道路が近くて馬が落ち着かないから嫌いなんだよね。

F田さんの補助で騎乗、「じゃあ左手前で蹄跡出てください」
「今日はF田さんが教えてくれるの?」
「そうでーす、よろしくお願いします」
「いや、こちらこそ」
F田さんは昨年末に倶楽部に来た女性スタッフで、教えてもらうのは初めてです。
蹄跡を左手前で歩き始めますが、こっちの馬場にはまだ個人で乗っている人がいて(指導なしでフリーで乗る上級者の方)、そちらの方が右手前で歩いていたので、馬どうしがお見合いしちゃう。仕方ないので、トリコを馬場の内側に入れてすれ違わせます。トリコはいいけど、ウィンダムなんか他の馬とすれ違うと耳絞っちゃうんじゃないの。
蹄跡に戻して歩かせると、また出会うので、蹄跡を外して内に入れて…とやっていると、F田さんから「蹄跡の内側2メートルを歩かせてみましょう」という指示があったので、本当の蹄跡の内側に仮想蹄跡を作って歩かせてみます。しかしこれがなかなか上手くいかないもので、トリコは内に内に入って来たがる様子。

そうするうちにフリーの方が馬場から出ていったので、「じゃあそこの踏み台あたりで蹄跡に入れてみて」内方脚で押して、内方の手綱を外に押してみますが、なかなか入ってくれない。指定された場所の3メートル前から準備していたのですが、実際に蹄跡に入れたのは15メートル先でした。蹄跡にそって歩いてはくれるんだけど、蹄跡には入ろうとしない。一体どうしたっていうの、トリコらしくない。
蹄跡に入ってからも、隙あらば蹄跡から内に入ろうとするトリコ。特に車の通る通路の側は、絶対に蹄跡を通らないと決心しているかのような外れ方。いくら内方の手綱を内に押しても、言うことをきこうとしません。
こっち側の馬場は、日の出で一番落ち着いた馬であるトリコですら嫌いなのかなぁ。

「蹄跡に戻ったところから速歩出しましょう」
脚を使って歩度を詰め、首を使い始めたところで蹴ると、速歩は簡単に出るのですが、ちょっと行ったところで常歩に落ちてしまう。珍しいな、トリコはこのくらいで常歩に落ちるような重い馬じゃないんだけど。
もう一度蹴って速歩を出させます。以前乗ったときはそうでもなかったけど、トリコロールで速歩の正反動がとれるようになってきました。トリコはおじいさんなので背中がごつごつしていて、割と反動があると言われていますが、ロゼッタよりははるかにとりやすい。昔、この馬の背中でぼんぼんお尻が跳ねていたのがウソみたいです。

「順次、巻き乗ーり」
ちょっちょっと内方の手綱を引いて合図して、外方の手綱を押す。え、曲がらない?こんなところでトリコが反抗するのは珍しいと思って、内方をさらに引くと、トリコはもっと頑張って曲がるまいとします。しかも常歩に落ちる。
「頑張って曲がらせてー、負けないで」
結局トリコに負けてしまい、曲がらせられませんでした。思えば、これがトリコのわがまま始めだったのです。

何度か巻き乗りをしようとしますが、そのたびトリコは反抗して曲がろうとしません。ついに速歩も出にくくなってきました。
「斜めに手前を替え」で、なんとか進入はしますが、蹄跡に出るときに力一杯反抗され、右に出なければいけないのに、ついに左向きで蹄跡に出られてしまいました。トリコが右手前が嫌いなのは知ってるけど、そんなにイヤか。
なんとか半巻きで右手前にしますが、今度は全く走ろうとしません。今日はムチを持っていないので、ムチがあればまだ走るのかなぁ。せめて「ムチがあるぞ」と教えとくだけでも、この馬は動きが違うんだけど、でもムチがないくらいで音を上げてはいけない。
「トリコ、苦手?」
「そんなことないはずなんだけど」何と言っても、この馬はこの間まで私の師匠馬だったのだ。

ウィンダムに前に行ってもらい、ウィンダムの後ろで速歩を出すと、つれてトリコも速歩を出してくれました。
しかしこのフォーメーションは怖い。トリコが調子が出てくると後ろからウィンダムに噛みつきにいくらしいし、ウィンダムもケンカを買うらしいので、トリコをしっかり抑えておかないと。
左手前に戻って周回をしますが、やはり蹄跡を外れたがり、巻き乗りも上手く出来ない。押し手綱を使って上手くいかないので、内方を引くと反抗される、の繰り返し。がんこじじいの本領発揮。
「ひじが前に出てるよ。手綱を押すときは拳だけ、ひじは前に出さないで」
前を行くウィンダムも、もともと蹄跡を外れたがるクセがありますが、今日はけっこうわがままそう。内に入るのでなければ、どんどんラチに寄っていき、鐙がラチにぶつかる音がしている。

「ちょっとトリコ貸してもらっていいですか?」
馬場の中央にトリコを止めて、F田さんに乗り替わってもらいます。
F田さんが乗ると、けっこうちゃんと言うことを聞いているトリコ。「元気だよ?」とF田さんは言うけど、F田さんと私では技術が天地の差。それに今日のトリコは「重い」んじゃなくて、「わがまま」なんだよね。なめてるな、トリコ。
「まぁ確かに最近のトリコは曲がらないよ、あんまり気にしないで。さっき下乗りでさんざん巻き乗りしたんだけどね、休憩したら忘れちゃったかな」「飽きたのかもね」

再騎乗し、左手前で蹄跡に出て、ウィンダムの後ろで速歩を出します。今度はちゃんと出た。
「肩をもっと開いて。何かしようとすると、肩が中に入っちゃってるよ」
巻き乗り、しかしまた反抗される。
「大きくてもいいからとにかく回って。ひじ引いて、内方はそんなに引っ張ったらかえって反抗されるよ。外方を押して、脚を使って」
押し手綱を意識するあまり、腕ごと前に出してしまっていたのと、それでトリコが言うことを聞いてくれないので内方を引きすぎていたことが、回れない原因だったようです。
前回K野さんに習ったように、内方の肩を引いて、内方脚を踏み込んで軸にして、内方の手綱はそのままで外方の手綱を引くと、緩やかですがトリコが中に入っていきます。
「そうそう、そんな感じ。さっきと内方の手綱の力が全然違うはずです。力いらないでしょ?」
そういえばさっきは、内方の手綱にそうとう力が入っていたみたい。今は軽い感じです。
巻き乗りがだんだん小さくできるようになってきました。

時間が来てしまったので、手綱をゆるめて沈静化。
「なんかあんまりいろいろできないで終わっちゃったねー」
「なんかねー。トリコ、こんな動かしやすい馬はいないと思ってたんだけど、甘かったみたい、別の馬みたい。馬場が違うから?」
「それはあるでしょう。でもトリコは他の馬より、こっちの馬場に慣れてるはずなんだけどね」
あんなに乗りやすかった、いろいろ教えてもらった馬が、馬場が替わったくらいでこんなに乗れないというのはけっこうショック。トリコさんに、「お前もまだまだじゃのぅ」と言われたような気分です。
こっちが沈静化している間に、ウィンダムのほうは、F田さんが「何者ですかこの馬ー」といいながら乗り替わって動かしています。あっちも相当わがままだったらしい。

馬場中央で下馬し、馬を馬繋場に戻して馬装解除。トリコは午後もお仕事があるので、手入れは裏掘りと軽くブラシをかけたのみで、馬房に戻して昼飼いをあげます。
「これに懲りないで、またトリコに乗ってね」とF田さんが言うので、
「懲りないよ。乗るよ。乗ってやる。」
トリコに教わることは、まだまだたくさんあるからね。


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