←56鞍目 57鞍目・立ち乗り
(2002.3.23 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
58鞍目→
前日からの雨がなんとか上がったようなので、今日も相方とふたりで倶楽部へ。到着してホワイトボードを見ると、今日は意外に空いていて、11時のレッスンは相方のウィンダムと、私のモンブランの2頭だけでした。
クラブハウスに入ると、ママさんが「いかがですか?いろんな意味で」
平日に体調を崩してレッスンをキャンセルしたことと、就職のことと両方を心配して下さっていたようです。
翌週から資格を取るためにスクールに通うということを伝えると、今度は先生が「学校は毎日?土日は休みなの?」と心配して下さいました。
「平日の昼間だけなんで、土曜はちゃんと乗りに来ま〜す」

着替えに向かおうとすると、久しぶりにバイトのUくんの顔が。
「すっごい久しぶりじゃない?」
「久しぶりじゃないですよ、ちゃんと来てますよー」
「えー、会うの何カ月ぶりってなイキオイだけどな」
着替えを済ませて馬房に向かい、モンブランの馬房に入ると、やっぱりモンブランは自分から無口に頭を突っ込んできました。たぶん、無口をつけると外に出られるということを知っているんでしょう。頭のいい子です。

馬繋場にモンブランをつなぎ、手入れをします。
裏掘りをしようと思ってみると、モンブランの右前脚の球節にテーピングのようなものが。ケガでもしたのかな、と思ったけど、別に歩様もおかしくなかったし、元気に前掻きをしているので、気にしないことにします。
となりの馬繋場でウィンダムの手入れをしていた相方が、手伝ってくれていたUくんにやっぱり「久しぶりだよねぇ」と言っています。「久しぶりじゃないですって」と言っているので、「土曜日にあんまりいなかったんだよね、あたしら土曜だから」「そうですよ、日曜はいました」

モンブランの栗毛を丁寧にブラッシングしていたら、鞍を着け終わったときにはもう時間がきてしまい、ウィンダムはもう馬場にでてしまいました。
Uくんの補助でハミをかけていると、「遅ーい!」とK野さんが見に来ました。やばいやばい。
急いでハミをかけて、モンブランと馬場に出ます。
Uくんの補助で騎乗、鞍の上に上体を乗せ、鞍にまたがって、右足を鐙にかけたら「いててててっ」と右の足下から声が・・・
「うわー、ごめーん!」鐙を私の右足にはかせようとしていたUくんの指を、鐙ごと踏んでしまったのです。とりあえずケガはなかったみたいだけど、ごめんよホントに。

準備ができたので、モンブラン、ウィンダムの順で蹄跡へ。左手前で、常歩周回します。
いつものようにモンブランはどんどん歩いてしまうので、ウィンダムより先に行ってしまいます。こういうときは、できるだけ蹄跡の外側を歩かせなければ。
すると先生が、隅角にパイロンを置き始めました。うわー、四角ぜんぶですか。こうすると蹄跡は左図にあるような円ではなく、ほとんどラチと平行な四角形。とにかくラチにそって真っ直ぐ歩かせるように心がけ、モンブランは隅角を見ると自分から曲がっていこうとするので、隅角の手前から強めに脚を使っていきます。そうするとなんとか曲がるのを我慢してくれたので、隅角に来てから曲がる扶助を出します。よし、うまく外側を回れたぞ。

「速歩いくぞ。歩度を詰め」
ちょっと脚を使うとすぐ歩度が詰まるモンブラン、軽打で軽く速歩が出ました。ですが、走り出すと調子が出るのか、パイロンの内側に入ってしまいます。
なんとか外側に出そうと、外方の手綱を短めに持ってみます。それでなんとか外に出てはくれるのですが、右手前に替わるとモンブランはどうしても内側に入りたがる。
内方脚を使い、短鞭で肩を押して外に出すようにして走らせ、隅角まで真っ直ぐ走れたら、角に置かれたパイロンを踏んづけるような気持ちで鐙を踏み込むと、きれいに回れました。

「常歩に落とせ。常歩のまま、鐙の上に立ってみなさい」
えっ、それって歩きながらってこと?軽速歩のときの立つ・座るのやりかたで、座るのをがまんして立つ・立つという感じでやればいいんだろうな、と当たりをつけて、とりあえず鐙の上に立ってみます。
立てるんだけど、すぐバランスを崩してしまい、鞍にお尻を落としてしまいます。3歩も我慢できないので、立つ・立つ・立つ・座る、って感じで、これじゃただのリズムの悪い軽速歩。
一体どうやったらちゃんと立ったまま歩けるんだろう?ジョッキーの人はつねに鐙の上に立ちっぱなしなんだから、極端に言えばあれに近づければいいわけだ。自分の今のスタイルを客観的に考えてみると、あ、かかと下がってないや。鐙を踏んでいる部分しか意識していなかったので、鐙の上につま先立ちをするような感じになっていました。極力かかとを下げてみます。
うーん、それから?「もっと腰が前でいいんだぞ。鞍がかくれるくらい」という先生の指示で、自分の股のしたに鞍の前橋がかくれてしまうくらい上体を前に持っていきます。これでかかとを下げようとすると、自分の体をくの字に反らせないとバランスがとれないな。肩が前に出てたんだな、と肩を引きます。
だいぶ立ち続けられるようになってきました。ちょっと分かってきたかな?

「じゃあ、そのまま速歩いくぞ。歩度を詰めー」
え、えぇぇっ!? このまま走っちゃうわけ?どうしよう、どうやってやるんだぁ?
動揺する私をよそに、頭のいいモンブランは先生の合図にすでに反応して、走る準備をしてくれていて、立ったままちょっと鐙に力を入れただけで走り出してくれました。
しかし走り出すと反動の高いモンブラン、鐙に振動が来てバランスを保つことができません。やっぱり鞍に尻もちをつくかっこうになってしまい、困った。基本的には常歩のときと同じなんだろうけど、走るとよけい不安定になって、これで馬上でバランス崩したら簡単に落馬できるな。ちょっと怖いので、ズルをしてサドルホルダーにつかまって立ってみます。
「バランス崩したら馬の首に手をついていいから。もうすこし拳は前、手綱も短くして」
そうとう手綱に頼って、引っ張ってしまっていたと思うんですが、ちゃんと走り続けてくれるモンブラン。こっちも頑張らないと。
そうだ、ジョッキーが走るとき(襲歩だけど)、上手い人は馬の反動を膝で受けているように見えるっけ。体勢は違うけど、論理としてはそう違わないはず。かかとと膝で馬の反動を受けるように意識してみると、おや、けっこう続くじゃん。
「よし、軽速歩に戻して」
軽速歩をやってみると、前よりもかかとがちゃんと下がっている気がします。
「そうそう。立ち乗りをやると、脚が後ろにいくからね。脚が前に出てしまうときは、立ち乗りをやって修正するんだ。」
ってことは、私の脚って前に出がちだったということか・・・
馬を止めて、先生にかかとの位置を修正されましたが、そのときに気がついたのは、かかとではなく膝だったということ。かかとを下げる、膝を伸ばすというのは乗馬の基本として良く言われることですが、膝が伸びなきゃかかとも下がらないという因果関係が、この立ち乗りで分かりました。

時間がきたので沈静化し、レッスンは終了。馬繋場にモンブランを連れて行きます。
今日は人が少ないので、モンブランはこれでお仕事終了。ってことは、馬房に入る前に足を洗って手入れをしなければならないんですが、よりにもよって昼飼い前。おなかのすいたモンブランを手入れするなんて、命懸けかも・・・
とりあえず馬繋場につなぐところまではF田さんが手伝ってくれたので、脱走されずにつなぐことができましたが、つながれるとすぐ激しい前掻きを始めるモンブラン。それを無視して鞍を外し、前掻きしようとする前脚をすくいあげて裏掘り。後ろ脚の裏掘りをしようとして脚をすくい上げると、残りの3本脚では前掻きができないので気に入らなかったのか、すくい上げられた脚で蹴ろうとします。しかたない、怒るぞ。
裏掘りを一時中止して、モンブランの正面に回り込み、両手で無口をつないだ鎖をつかんで顔を動かさないように固定。できるだけ怖い声で「モンブラン!」と言いながら、まっ正面から目をじっと見ます。
馬は臆病な動物だから、正面から目を見られると威嚇されていると思うはず。それがいいのかどうかは分からないけど、応用しようと思ったわけです。案の定、しばらくすると目を伏せてしゅんとしてしまいました。
これで少しはおとなしくしてくれましたが、馬体にブラシをかけて、脚を洗うころにはもう忘れてくれていました。それでも、蹴るよりは効果が長続きしたように思います。あんまりやると嫌われるかもしれないけど。

昼食のあと、急遽モンブランにはQさんが乗ることになりました。
乗り終わったQさんが先生に「モンブラン、正反動より立ち乗りのほうが楽ですね」と言っているので、
「Qさ〜ん、私さっきそのモンブランで立ち乗りができなかったんですよ〜」
すると先生が、「高階さん、立ち乗りって初めてだったっけ?」
「初めてですよぅ」
「本当?今まで一度もやったことなかった?」
「本当ですって」
「そうかそうか、なんだ、初めてだったら良くできてたよ」
「ひど〜い先生、なんでこんなことできないんだとか思ってらしたんですか」
「いやぁ、おかしいなぁと思ったよ(笑)」

↓日の出乗馬倶楽部の馬場
緑字はクラブ貸与馬、青字は預託馬。これで全部ではありません

←56鞍目 58鞍目→

乗馬日記トップへ / トップページへtop