←81鞍目 82鞍目・先を越されました
(2002.8.15 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
83鞍目→
ロゼッタ、馬繋場ではすこぶるいい子 ロゼッタ、馬繋場にて 夏休み乗りまくり期間、今日は16時と17時にひとりずつの予約で、相方と別々に乗ることにしました。たまにはお互いの騎乗写真を撮りたい、というのもありますし。
少し早めに、14時半ごろクラブに到着し、ホワイトボードを確認すると、私は16時からロゼッタ、相方は17時からコスモ。やったー、ロゼッタ乗りたかったんだ! 何しろロゼは私に駈歩を教えてくれた馬でもあるし、あの子の重さをたまには経験しておかないと、脚が使えなくなっちゃう(大げさな)。

着替えをしてクラブハウスで待機していると、ビジターのご家族さんを相手にI野先生がお話していました。お父さんとお嬢さんが馬に乗る人らしくて、高校生のお嬢さんは「この辺りが気に入ったので、近くの大学に進学してしょっちゅう来たい」というようなことを言っています。きっとこの子、私より数段上手いんだろうなぁ、なんて思いながら話に加わっていると、I野先生が突然騎乗馬を確認に出ていかれ、帰ってくるなり「今日は高階さん4時でロゼッタだったよな?」「はい」「このお嬢さんと一緒だから」「えっ、そうなんですか?じゃあ私が引っ張ってもらって」「何言ってるんだ、高階さんが引っ張るんだよ」「はぁ〜〜?!」絶対彼女のほうが上級だと思いこんでいたので、びっくり。しかも重い重いロゼッタでほかの馬を引っ張るなんて、そんなことできるんですか、私。

騎乗30分前、「少し早いけどロゼッタと遊んできます」とクラブハウスを出て、ロゼの馬房へ。馬房の扉を開けながら「ローゼ」と呼ぶと、顔だけちらっとこちらに向けたものの、微動だにしないロゼッタ。彼は馬房の中で体の右半分を壁にくっつけるようにして立っていることが多いので、左側はがらあきです。遠慮なく無口をつけて、「行くよ」というと、素直に歩き出しました。やりやすい子だこと。
馬繋場につなぎ、蹄の裏掘りをしてブラシかけ。左半身をかけおわり、右半身に移ってたてがみの下からブラシをかけ始めると、ロゼッタが「そこ、そこがかゆかったのぉ〜」という感じでブラシに首をこすりつけてきました。自分で首を動かすから、ブラシにたてがみがからまっちゃったじゃん。
ブラシをかけながら見ると、右の腹、帯道の近くが直径7〜8センチにわたってぷっくり腫れています。帯道だし、イヤだなぁと思ってスタッフのK村さんに「ねぇK村さん、ロゼのこれ、大丈夫?」と聞いてみると、「うん、本人痛がってないから大丈夫だよ。腹帯当たるところだから気になるけどね」とK村さんが腫れているところをもんでみせても、まったく動じる気配がないので、大丈夫なのでしょう。
ブラシを終え、鞍を置き始めると、超ベテランの先輩であるKさんがロゼッタの馬体をしげしげと見ていました。彼はロゼッタには乗ったことがないとおっしゃってましたが、見終わって一言、「この馬、反動強いでしょ?」「そうなの、苦労してるんですよ!どうして見ただけで分かるんですか?」ベテランともなると、見ただけで馬が分かるのかぁ。すごいですね。
胸がいをつけて、腹帯を締めていると相方が「これ忘れてるよ」「ひゃーマルタン!そんなもの要るんだったねぇ」マルタンガールという矯正具は、腹帯に通して固定するものです。仕方ないので、腹帯を一度外してマルタンを着け、腹帯を締め直します。(左上の写真は、マルタンを付けていない段階のものですね)

時間がきたのでハミをかけようとしていると、馬場にI野先生が出てきて、「アルフォンス準備出来てるか?高階さん、馬チェンジしてくれたほうがいいかな」「私アルですか?」ビジターさんをロゼッタに乗せて、私がアルってことでしょう。確かにアルは慣れていないと動かしにくい馬だから、ビジターさんには好印象を与えないかもしれない。アルフォンスはすでにスタッフの手によって馬装を終えていたので、相方が馬場に引き出すことになりました。ロゼはまだハミをかけていなかったので、「ロゼ、私はお前に乗りたかったよーう」と言いながらハミをかけ、馬場に引き出します。
馬場に出て、マルタンガールをハミに通してきちんと装着していると、アルにビジターさんが騎乗しようとしています。「あれ、私アルじゃないんですか?」と聞いてみたものの、騎乗補助をしていた相方が「いいみたいよ」と言うので、ロゼに乗ることに。
I野先生が踏み台を持ってきてくれたのですが、「あ、高階さんはいらないか?」と引き返そうとするので、「せんせーい、要りますー」と泣きついて持ってきてもらいました。

騎乗して鞍上から腹帯を締め直し、待機していると、I野先生がアルフォンスに霧吹きで茶色い液体をスプレーしています。アルはとても虫が気になる馬なので、おそらく虫除けでしょう。ロゼッタにも吹いていただいたのですが、なんだか炭火焼きのようなおいしい匂いがします。あとで見たらロゼの馬体が茶色く汚れていたし(左下の写真でも、脚の付け根がちょっと茶色いですよね)、ほんとにススを水に溶いたものだったかもしれません。
さて、レッスン開始。さっき私が引っ張るように言われているし、どう考えてもアルフォンスはハナを切れる馬じゃないので、私が先頭なんだろうな。案の定、「ロゼッタからだな」と言われたので、先に蹄跡に出ます。

常歩で歩きますが、ロゼッタ、やっぱり重い。後ろにいるのがアルフォンスだから追いついてこないけど、先頭で引っ張れって言われたんだから、この速度ではダメだ。最初は脚を使っていましたが効かないので、一歩ごとに軽打。それでものんびり歩くので、ムチ。ロゼッタの場合、このムチの使い方にコツがあって、「ムチで叩く」のではなくて「ムチを鳴らす」なのです。肩に短鞭の先端の革が当たるように入れて、「ぴしっ」と鳴らす。すると耳が一瞬こっちを向いて、歩様がすこし元気になる。でも2〜3歩しかもたないので、またムチを入れることになります。まぁロゼッタにしては、頑張って歩けているのではないかな。
だったら最初からムチを入れたらいいようなものですが、やはり段階を追って使うものでしょう。何もしてないのに、いきなりムチで叱るわけにもいきません。動かないから蹴るし、それでも言うこと聞かないからムチで叱られるんだって分かってもらわないと。

常歩のまま、「各個に、巻き乗ーり」
私はパターンが分かっているので、「各個に」と言われた瞬間から巻き乗りだなと想像して準備をし、「巻き乗ー」(予令)で確認して、「り」(動令)の瞬間から巻き乗りを始める、という一連の動作を深く考えずにできてしまうのですが、私の後ろにいるのはビジターさん。「巻き乗ーり」と言い終わってはじめて巻き乗りを開始しているらしく、私より3歩ほど遅れて巻き乗りを始めているので、私が半周したときにはアルはまだ円に入ったばかり。戻りを合わせるために、円の半分地点で停止して待っていてあげます。本当なら巻き乗りの途中で止まってはいけないんだけど、つっかえちゃうし。

「それじゃあ速歩行くぞ。歩度を詰め」ロゼ、ちゃんと速歩出してね。連続で強く脚を入れると、ロゼッタの耳がこちらを向いて、首が元気良く上下しはじめました。これなら行ける。
「速歩、すすーめ」で、舌鼓を使いながら腹を蹴ると、1歩で速歩が出ました。よしよし、できるじゃん。でも速歩だとエンジンがかかりにくくて、すぐ常歩に落ちる子なので、脚を使いながら速歩。ロゼの反動が高いのと、私の脚が下手なので、あんまり脚を使うと軽速歩みたいにお尻が浮いちゃう。
ロゼは常歩に落ちることなく、速歩を続けています。よーし調子がいいぞ、と続けていると、先生に「少し抑えて行け」と言われました。もちろん後ろのアルがのろいからですが、この重いロゼッタで「抑えろ」と言われる日が来たなんて、感慨無量だぁ。

しかし今日は、ずいぶん鐙が外れやすいなぁ。完全に外れることはないけど、浮きやすいので、しょっちゅう鐙を踏み直さないといけません。かかとも下がらないし。
「常歩に落とせ、停止」で停止して、先生がビジターさんのほうに行きました。姿勢などを指導している様子でずいぶん長いので、待っている間に鐙に立ち上がってみると、自分の股と鞍の前橋にほとんどすき間がないくらい。これじゃ立てないじゃないの、やっぱり鐙が長かったんだ。ビジターさんの指導はまだ続いているようなので、鐙の長さを1穴短くします。これだとちょっと短めな気がするけど、とりあえず踏めるし、かかとは下がるな。
指導が終わり、常歩発進から軽速歩へ。ロゼッタが調子よく走れるので、アルを置いていかないように後ろを気にしながら走ります。でも軽速歩になってからは、アルは離れずついてくるようです。そういえばあいつ、軽速歩になったら調子が出る馬だった…
先生から、「先頭もっと歩度を伸ばせ」と言われ、脚と鞭でロゼッタの歩度を伸ばします。駈歩を出す前にはすごく速い速歩の出る子だから、あれくらいの速さは出るはずなんだ、と言い聞かせ、どんどん追います。
ロゼッタは馬場で嫌いな場所があって、鏡の前から馬房入り口にかけての砂が薄い部分ではどうしてもスピードが落ちるので、そこにかかったらムチを使うことにしました。わりと歩度が伸びている状態でムチを入れると、ロゼッタは1歩だけぶぉんと前に出るので、体を前に持って行かれてしまう。この程度でバランス崩してちゃいけないんですが。
軽速歩で斜めに手前を換え、私は鞭をつねに内方に持つことにしているので、蹄跡に出てから鞭を持ち替えた瞬間、ちょっとロゼッタの歩度が伸びました。なんだ、見えてるのね。ばしばしムチを入れるよりもこっちのほうが良さそうなので、手前を換えるたびに意識して大きめの動きでムチを持ち替えてみました。ムチを怖がらない子だからできるけど、コスモとかだったら絶対無理だな。

「速歩に落とせ」速歩に落とすと、ロゼッタはすぐエンスト起こして止まるので、脚を使い続けていたら「速歩はちゃんと落とせよ」と言われてしまいました。止まらない程度にスピード落とすのって難しいなぁ。
「そこから軽速歩」半周ほど軽速歩で脚を使って追うと、「速歩に落とせ」で、また脚を使うのをやめます。半周走ると、また軽速歩。これって、前にやった「メリハリつける」だな。
主に脚の使い方で、自分なりにメリハリをつけたつもりなんですが、ロゼッタのほうもきっちりメリハリつけてくれました。速歩だとサボろうとするんです、こいつ。速歩になって追われなくなったなー、と思うと、ぐーっと首が下がってくる。手綱に重さがかかるので、ちゃんとハミがかかったのかな、と思うとそうじゃなくて、「ハミにあご乗っけてさぼってる(K野さん談)」。ここで首下げっぱなしにさせると間違いなく止まるので、遠慮なくムチで叱ることにしました。

常歩に落として、しばらく歩かせます。常歩に落とすと、「もういいでしょー?」と言わんばかりののんびり常歩。「まだ休憩じゃないよっ」と腹を蹴っても、意に介しない感じでのんびり歩かれてしまう。あまつさえ止まって虫を追おうとするので、「ふざけんじゃないわよ」と、ムチ。
常歩で巻き乗りの最中にも止まろうとするし、こういうときは長鞭のほうが楽だったかもなぁ。
「そんなところで止まるなよ。蹄跡から駈歩やるぞ」あ、そうなんですね。手綱を短く持ち直して、かかとをロゼッタの腹にくっつけ、軽く蹴ってこすりあげた…つもりなんですが、出たのは速い速歩。おかしいなぁ、ロゼッタは駈歩発進の楽な馬なのに。
「ちゃんとかかとつけて、体起こせよ」一度常歩に落として、ふたたび駈歩発進の体勢を整えます。それで発進させますが、やっぱり速い速歩。後ろにアルフォンスが控えているし、アルは前の馬が走っていないと駈歩が出ない馬だから、焦るぅ。「かかと離すなよ」ずっとかかとをロゼッタの腹にくっつけ続けたら、ようやく出ました。
ロゼッタの駈歩は乗馬らしいというか、タタタン、タタタンという正しいリズムで走ってくれるので、一度駈歩が出ればとても楽。1周したところで、「よーし止まれー」で、駈歩終了。
常歩に落とすと、「高階さんだけ手綱伸ばして、休んでいいぞ」で、ロゼッタは沈静化。ビジターさんは5分ほど延長で姿勢やなんかをしごかれていたようですが、アルフォンスは単騎では動きたくない馬なので苦労していた様子。

ロゼッタは本日のお仕事終了なので、馬繋場に上げて丸洗い。ロゼッタの馬房側の馬繋場がいっぱいだったので、反対のトイレ側の馬繋場を借りて丸洗いしました。
次のレッスンでコスモに乗る予定だった相方は、配馬の関係でリトル・フロスティに変更。フロスティはEさんの半自馬(完全にEさんの専用馬ではないけど、優先馬)なので、めったに乗る機会がない馬。この機会に騎乗写真を撮っておかないと怒られそうなので、急いでロゼッタを洗って、馬体が乾くのを待っている間に馬場を撮影します。
常歩、速歩と若干重そうではあるものの、素直に動いているらしいフロス。まだ新馬なので部班に慣れていないのですが、手前を換えや巻き乗りもちゃんと出来ているみたい。
駈歩になりましたが、フロスくんはなかなか駈歩が出ない。もう少しで出そうなんだけど、1歩で速歩に戻ってる。3周ほど粘って、ようやく駈歩が出たので写真を撮らなきゃ、と思ってカメラを構えたとき、フロスが隅角に突っ込んで、相方の体が宙を舞いました。ラチをかすめて、横木の上に落ちたのでヒヤッとしましたが、自力で立ち上がったので一安心。しかしフロスに再騎乗せずに馬繋場に戻ってきたので、どうしたのかと思ったら手綱がちぎれていました。
手綱を取り替えて、相方はまた馬場に出ていき騎乗しています。丈夫なやつ。私だったらあれだけふっとんで、再騎乗する根性があるかどうか自信がない。
レッスンを終え、心配したI野先生がアイシングスプレーを貸してくださったりしたおかげで、打ち身だけで済んだようです。つねづね私は彼から、「乗馬日記のネタがなくなった時が落馬する時」なんて脅されていたんですが、自分が落ちてネタを提供してくれるとはね。


ロゼッタ、駈歩
Qさん、撮影ありがとうございます。
あんまり上手そうに取れているので使ってみました

↓日の出乗馬倶楽部の馬場
日の出乗馬倶楽部の馬場

←81鞍目 83鞍目→

乗馬日記トップへ / トップページへtop