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(2002.9.13 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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今日もなんだかはっきりしない天気。涼しくなったのはいいけど、午後の天気予報は雨。それでも11時の予約なので、とにかく倶楽部に向かいます。
「今日は誰に乗れるかなー」「あたし久しぶりにアルフォンスに乗りたいなー」なんてことを言いながら倶楽部に到着。ホワイトボードで確認すると、ロッキーとアルフォンスの所にうちの名字が。「やったー、アルだ!」普段から相方のほうがロッキーが多くて、私はアルが多いから瞬間的にそう思いこんでしまいましたけど、名字しか書いていなかったので、本当はどっちだったか分からないですね。馬の体格から言えば逆だったのかも。

着替えをして、アルフォンスの馬房へ。アルの馬房は、先週亡くなったトリコロールの馬房の隣りなのですが、トリコがいなくなった馬房にはロゼッタがいました。ロゼはトリコに劣らず人気馬だから、馬繋場に近く出しやすい馬房に移されたようです。
アルは馬房の扉に鼻をくっつけていて、扉を開けて無口を見せると、ぐーっと首を下げてきました。あら、無口つけやすいようにしてくれるの?昔はどうかすると、無口をかけようとすると甘噛みして遊ぼうとするやんちゃな子だったのに、最近はだいぶ落ち着いたようです。
無口をかけて馬房から出すと、ロゼッタとフロスティの馬房の間でぴたりと立ち止まり、動こうとしません。このクセは相変わらずか。トリコがいるから立ち止まるのかな、と思っていましたが、そうではなかったようです。
お尻を何度かたたくとやっと歩き出し、馬繋場につなぎます。

皮膚の弱いアルフォンスは、虫除けの蚊帳のような馬着を着せられているので、まずそれを脱がせます。左前肢から上げさせて蹄の裏を掘っていると、アルは首がかゆいらしくて、つながれている鎖にこすりつけて掻きはじめました。両前脚を掘っている間にどんどんエスカレートし、左後肢を上げさせようとしましたが掻くのに夢中で上げてくれません。ちょっと腹を平手でたたいて叱るとやめましたが、あらためて左後肢を上げさせようとすると、また夢中で掻いています。自分の肩でアルの体を押して、左後肢をたたくと、アルは脚を上げようとしたのですが、首は鎖にこすりつけたままの無理な体勢だったため、その脚を滑らせてしまいました。滑らせたのが1本だけだったので大事には至りませんでしたが、危なかった。
馬場のほうから「高階さーん」とK野さんの声。彼は馬場で前のレッスンを教えていましたが、こちらを見ていたのか「アルの無口、ここを(と両耳あたりを指し)上から出てる鎖につないで下さーい」とアドバイス。口元の環ではなく、頬の横の環を馬繋場の梁からぶらさがっている鎖につなぎなおすと、首の自由度は下がるためか、首を掻くのは諦めてくれました。
ブラシをかけ、鞍を置いていると、前のレッスンから馬が上がってきました。今日はスタッフが少なくて忙しそうなK野さんが、「鞍、大丈夫ですよね?」と言ってきたので、「うん、鞍は。ハミが自信ないけど」と答えておきました。だってアルなんだもん。
背の高いアルに鞍を置くのは一大事業で、自分の身長より高いアルの背中に投げるようにして鞍を置きますが、必ず鞍下やジェルパッドが引っかかってずれてしまいます。毛並みを逆立てないようにしながら位置を調整して、腹帯を締めます。まだ少しレッスンには早いけど、アルだからハミかけを始めちゃおう。
無口を外してハミをかけようとすると、口は開けてくれて途中まではハミを入れさせてくれるのですが、もう少しでかかるというところで頭を高く上げて逃げる。明らかに遊んでいるので、鼻を叩いて叱ってもう一度。でもまた、もう少しのところで頭を上げられて逃げられるの繰り返し。それを見ていたK野さんが、「親指口に入れちゃうんですよ、それで指で押さえて」とアドバイスしてくれるのですが、やっぱり上手くいかない。ついに見かねてK野さんがアルフォンスの頭を上から軽く押さていてくれると、急におとなしく頭を下げてハミを受け入れるアル。何よ、その態度の違いは。

時間になったので、アルをつれて馬場に出ます。今日の部班は相方のロッキーと私のアルフォンス、2頭だけ。K野さんが踏み台を持ってきてくれて、騎乗します。久しぶりのアル、やっぱりでかい。ここのところ小さい馬にばかり乗っていたから、余計にそう思えるのだろうけど。
相方も騎乗用意ができたので、レッスン開始。今日の指導はK野さんです。「ロッキーから先で」やっぱりそうだよね。アルは前に馬がいると動けるのですが、自分が先頭では動けない馬です。
ロッキーのあとについて、常歩左手前で蹄跡に出ます。

アルの常歩は安定感があるけど、最初は止まりがちです。今日は長鞭を持っていますが、最初は脚から。脚を強く使うと、わりに歩けているので、そのまま脚を使いながら歩きます。おや、ちゃんとロッキーに追いつけているではないの。たまに歩様に元気がなくなると、軽くムチを振って見せムチをすると、ちゃんと歩き出します。
「歩度をつめ、はやあーし」2歩でちゃんと速歩が出ました。ちゃんと動くときのアルは、体が大きいだけあってどんどん前に進み、ロッキーに追いつきそうになって抑えるほどです。アルフォンスも、ロゼッタに劣らず反動が高く、前もそうだったけど全然座れない。でも頑張って体を後ろに倒し、座る努力。反動でお尻が跳ね上がり、鐙も外れそう。「急がなくていいから、ゆっくり、ゆっくり、馬抑えて」拳をちょっとずつ握るようにして手綱を抑え、アルフォンスをゆっくり行かせます。するとたちまちロッキーから引き離されてしまいますが、「追いつかなくていいですから、ゆっくり行きましょう」ものすごく抑えた速歩をやらせてもらいます。K野さん、どうにかして私に正反動を習得させようとしてくれてるんだよね。「体全部動かして」常歩のほうが早いんじゃないの、というくらいのゆっくりした速歩になったとき、ふっとお尻が楽になりました。あれっ。アルが速歩をやめたのか、と瞬間思ったくらいでしたが、歩様はちゃんと速歩。でもぜんぜんお尻が跳ねず、お尻がゼリーでできてるみたいにふよふよと鞍につく。これって座れてるじゃん!

それがずっと続くわけではなく、アルがちょっとやる気を出して追いつこうとしたり、私が脚を使ったりするとすぐお尻が跳ね出してしまうのですが、そうするとK野さんから「ゆっくり」と言われ、抑えると座れる。うーん、以前K野さんが「そのうち、45分のうち3分くらいは座れるようになる」って言ったのはこのことだったのか。
軽速歩をとって、頑張って走らせます。アルは一度速歩になるとやめないけど、スピードは一定以上には上がらない子で、なかなか歩度が伸びません。今度はロッキーに追いついていいんだよ、頑張れ。
前にいるロッキーは、レッスンの最初ではのんびり型ですが、15分もするとギアチェンジする馬で、今日もそろそろ「入った」らしく、どんどん走っています。
前の馬から離れると、アルはやる気をなくすのか歩様がだらけます。ムチを振っても効果がなかったので、肩に軽く長鞭を入れると、「あっ、ごめんなさい」って感じでまた走り出しました。おやぁ、いい子じゃないの。

「軽速歩のままでいいですから、輪乗り」蹄跡の輪を徐々につめるようにして輪乗り。アルは巻き乗りや輪乗りがあまり好きではないらしくて、ともすれば常歩に落ちそうになります。「アル、前に出して」内側に曲がろうとすることよりも、とにかくロッキーの後ろで走ることを考えながら脚を使います。「輪乗りの手前を換え」輪の中で斜めに手前を換えるのですが、輪の中に入ろうとした瞬間アルが止まってしまいました。巻き乗りの時もそういう傾向がありますが、どうもアルは小回りが嫌いらしい。
蹄跡にもどり、しばし軽速歩。こういうとこで歩度を伸ばしておかないと、巻き乗りとか言われたときに常歩に落ちそうだわ。
「各個に、半巻ーき」
えーと、ここで半巻きをして、各個だから、順序が変わって私が先に蹄跡に出るんだよね。私がとまどって指示がきちんと出せなかったのですが、アルが止まってしまいます。それをなんとか蹄跡に戻そうとすると、「え、先頭なの?」という感じで、すごく蹄跡に戻るのがイヤそう。常歩で仕方なさそうに、一歩歩いては止まります。そんなに先頭嫌いかい?でも頑張ってもらうよ。
なんとか先頭で蹄跡に出て、蹄跡から速歩。なかなか出なかったのでムチを入れると、走り出しました。そんなに歩度は伸びないけど、前に馬がいない状態でちゃんと走っているのだから、アルにしては立派なもんです。

時間が来たので、手綱を伸ばして沈静化、蹄跡を歩かせます。
K野さんが、「あれくらいの速さだったら座れますよね?」と聞いてきました。ものすごくゆっくりな速歩のときのことを思い出して、「うん、座れたと思う」と答えると、「じゃあまずあれくらいの速さで、座る感覚を覚えましょう。それで、徐々に座れるようになっていきますから」
教えてもらう側もテーマを持って乗ることが大事だと思うけど、指導員がちゃんと教えるテーマを設定してくれているっていうのは、小さな倶楽部ならでは。

アルは今日はお仕事終わりなので、馬繋場に上げて手入れをします。
お手伝いスタッフのA木さんが「脚だけ洗ってください」というので、蹄の裏を掘って脚を洗います。アルの蹄は大きくて丈夫そうで、洗うと黒光りするくらい。ほれぼれするなぁ。この脚で障害飛ばしてもらったんだもんね。
アルは皮膚が弱いので、あとの処置はA木さんにお任せ。A木さんがアルの皮膚を消毒して、タオルで拭くところは一緒にやります。そのあとのブラシかけもA木さんにお任せしたのですが、彼女がやるとよっぽど気持ちがいいのか、アルの鼻の下が伸びてる、ヘンな顔〜。
「アルってけっこうハンサムなのに、こーんな鼻の下伸ばして」とA木さんと大笑いしている間もアルは「気持ちいいのぉ〜」と鼻先がぷるぷるしています。「こいつお尻にブラシかけるとホモっちゃうんだよねー」というA木さんの言葉通り、お尻にもっとブラシをかけて欲しいアルは、体を曲げてA木さんにお尻をこすりつけていき、どんどん変な格好に。腰がくねってホモみたいで、爆笑させてもらいました。あーかわいい。

(89鞍目につづく)

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日の出乗馬倶楽部の馬場

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