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(2002.10.26 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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(93鞍目からのつづき)
来月の運動会で、初級障害に出ることになっちゃったので、久しぶりに障害レッスンに復帰。夏の暑さを避けたのと、「まだ障害にチャレンジするほどの技量じゃなかった」ことを痛感し、しばらくお休みしていたのです。それにしても今日が3回目の障害レッスンで、4ヶ月ぶりっていうのは「緊張する〜」と大騒ぎしていると、バイトスタッフK田くんが「一緒に落ちましょうよぅ、落馬仲間になりましょうよぅ」と悪魔の誘いをかけてくる。彼は午前中、美星で派手に落ちたらしいのです。「やーだ、絶対やだっ」と大人げなく拒絶し、プロテクターを着込んでアルフォンスの馬装へ向かいます。

アルフォンスの馬房の扉をあけると、すぐアルの顔が。そのまま無口をかけて、外に引き出します。馬繋場までの短い距離のなかで必ず1度は立ち止まるアルが、今日は立ち止まらずに馬繋場までたどりつけました。「いい子になったね、アル〜」今日はアルはビジターさんを乗せていたりして、手入れはスタッフがやっていたから完璧なはず。裏掘り、ブラシかけを簡単にすませ、鞍を置きます。あれ、いつもの鞍下と比べてずいぶん立派なのつけてるな。腹帯を締めて、鐙を合わせて…一番短いところの穴に合わせても、自分の足の長さより長い。これっていつもの鞍に比べて、何かヘンだな。鞍下も立派だし…場所はアルフォンスの鞍置きにあったけど、もしかして誰かの自鞍?
「ねぇ、この鞍って誰かの自前じゃないの?」とK村さんに聞いてみると、「あ、それオーナーの鞍だね」「鐙の長さが全然合わないんだけどー」オーナーは背がすらりと高くて脚がながーいので、背の低い私では鐙が合うはずがない。しかもオーナーの私物の鞍を使うのも気が引けるな。「ホクトの鞍使っとく?」とK村さん。レンタル鞍なら、少しは鐙の長さが合いそう。「うん、それにする」ホクトの鞍を持ってきて乗せかえ、鐙を一番短くします。脚のプロテクターはスタッフの手でいつの間にか装着されていたので、馬装はあと頭絡だけ。レッスン開始は少し時間がずれこんだので、あと20分後です。
「20分前かぁ。じゃあアルのハミかけ始めようかな」と冗談で言うと、「おいおい、20分もかかるんかいっ」とK村さんに突っ込まれ、「だってアルだよー?何分かかるか分かんないじゃん」K村さんはコスモの下乗りに出ていくところだったのですが、「ハミ、今かけといてあげようか?」「いや、自分でやりたい」「ホントに大丈夫〜?」と言いながら出ていきました。
20分前はいくらなんでも早すぎるが、10分前には始めることにしよう。

とはいうものの、自分一人でアルフォンスのハミかけに成功したのは過去1度だけ。騎乗10分前、アルの頭絡を準備し、素早く無口を外してアルの鼻を押さえ、口を開けさせてハミを歯の間に入れるところまではOK、しかし頭絡を引き上げようとするより早く、アルが頭を高く上げてしまいます。鼻面をたたいて叱って、またトライしますがダメ。手が空いていた相方に、アルの頭を押さえてもらってようやくハミをかけることができました。ちぇ。
時間になったので、アルを引いて馬場に出ます。

今日の初級障害レッスンはSさんとコスモ、相方とハイセイコーJR、私とアルの3騎。ほかにスタッフのA木さんがハルカゼに乗って馬場に出ています。騎乗して馬場を常歩で回っていると、指導のK野さんから「一度中に入ってきてください」という指示。蹄跡を外れて内側へ向かいましたが、他の馬と向きが反対だったので、巻き乗りをして向きを変えることにしました。内方脚を細かく使いながら巻き乗りをすると、アルが器用に後肢を軸にしてその場で向きを変えました。あれ、もしかして後肢旋回ができるの、アル?
あとで、走りながら馬場を見てみたら、その位置の砂が掘れていたので、やはり後肢旋回に近いことができていたようです。
3頭とも馬場の中央に並ぶと、K野さんが「やっぱり馬換えましょう」と言って、Sさんと相方を下馬させました。Sさんが乗っていたコスモは相方が、相方が乗っていたJRにはSさんが乗ることになりました。

馬場には横木が3本と、障害がひとつ。最初は横木またぎからやり直させてもらいたいな、久しぶりだし。常歩で馬場を周りながら、忘れかけている2ポイントの姿勢をとってみたりします。
コスモ、JR、アルフォンス、ハルカゼの順で、横木を外す形で内側を左手前で軽速歩。仕切りの丸太(左図で一番左側のラチ沿い)の内側を通っているとき、突然アルが横っ飛びしました。危ない、丸太を踏んだら脚を痛める、と思ってあわてて手綱を引いて腰を落とし、止まらせます。後ろのハルカゼも跳ねたらしく、A木さんがハルカゼをなだめている様子。この場所ではさっきロゼッタにも跳ねられたし、ネコでもいるのかな?
すると後ろから「ごめん、大丈夫?」というA木さんの声。K野さんに「何?」と聞いてみると、「後ろからハルカゼが迫ってきたからいやだったんですよ」ハルカゼはまだ一般の会員に乗せないほど前進気勢の強い馬で、速歩も駈歩もかなりの勢いが出るから、それが後ろから来てびっくりしたらしい。アルフォンスって、こんなことでびっくりするような子だったんだっけ。
「アルフォンス、中に入ってきてください」とK野さん。「鐙長いですね、もう1穴長くしましょう」あら、普段乗ってる長さよりも3穴くらい短くしたつもりだったんだけど、まだダメだったか。しかしもう鐙革に穴が空いていないので、鐙革を鐙に巻き付けて短くしてもらいます。

左手前の軽速歩のまま、横木またぎから。最初は左図の上にある障害は設置されておらず、横木が3本のみです。前のコスモ、JRにつづいて横木にアルフォンスを向けると、アルは常歩に落ちて、のんびりと横木をまたいでくれました。アルにとってはこんなもの何でもないんだろうけど、私は久しぶりの2ポイントの姿勢を保つのに四苦八苦。そうそう、もっとかかと下げないと、体前にもっていかれるんだったな。
次の周回から、速歩で横木をまたぎます。「もっと手綱短く持って、たてがみつかんでいいですから」あ、そんなに短くていいんだったっけ。本当にいろんなことを忘れてしまっています。
横木の2〜3メートル前から2ポイントの体勢を安定させ、横木に馬を真っ直ぐ向ける。通過後もしばらくお尻をついちゃいけないんじゃなかったかな。少しずつ思い出しながら、横木をまたぎます。
何回目のときか、横木を抜けて2ポイントから普通の軽速歩に戻ったとき、後ろで横木が「がこっ」という音、おそらく後ろのハルカゼが横木をひっかけた音です。あ、やばいアルがびっくりしちゃう、と思う間もなくアルフォンスが跳ね上がり、駈け出してしまいました。このまま真っ直ぐ行くとラチにぶつかりそうだけど、それくらいのほうが止まってくれるかも。手綱を控えて腰を落としながらラチに向け、「ホーホーホー」となだめると、ラチにぶつかる前に止まりました。ふー、参ったな。
一度常歩に落とし、深呼吸。K野さんが「大丈夫ですか?」と聞いてきますが、「うん、大丈夫、ちょっとどきどきしたけど」こういうとき、馬と一緒になってびくびくしてるようじゃなぁ。

軽速歩で手前を換え、右手前に。見ると3本横木のところに、20センチくらいの低い障害が設置されました。右手前の速歩で進入していき、横木から障害。アルフォンスがうまく飛んでくれて、きれいに通過することができました。「さすがだねお前」と首をたたいてほめ、次の周回へ。
何度か飛越するうちに、少し障害の高さが高くなり、40センチくらいになりました。とにかくかかとを下げて体を前に持って行かれないことを意識して飛越…したつもりだったのですが、通過後にちょっと体を前にもっていかれてしまい、慌てて鞍に座って落馬をまぬがれます。
クラブハウスから、「飛んだらすぐ体起こせっ」というI野先生の声。そうか、飛越の次の瞬間体を起こして、馬を抑えなきゃいけないんだったっけ。横木またぎと同じように、2ポイントのまま飛越しようとしていました。

日が暮れてきて、少し薄暗くなってきました。「アル、どんどん走らせて」前のコスモ、JRから離れがちなアルをどんどん走らせます。でもこの子、あんまり劇的に歩度が伸びる子ではないんだよね。
横木から進入して、飛越の次の瞬間アルが右によれ、私は大きくバランスを崩して体が左側に傾きました。うわ、落ちる。手綱を引いて、馬の首につかまろうとしたけど難しそう、どこかつかみたいけど、手に持った短鞭が邪魔になってとっさにサドルホルダーがつかめない。アルは常歩に落ちてくれたし、このまま体勢立て直すよりも、降りちゃったほうが楽か?
しかし次の瞬間、落ちるもんか!という負けん気が起きてしまいました。とにかく右の鐙が外れていなかったのを幸い、体を起こして右側に踏み込みます。鞍にどうにか腰を乗せて、体勢が立て直せたとき、後ろの障害番の人たちから「おぉ〜」という嘆声を浴びてしまいました。いや、よく落ちずに済んだもんです、我ながら。今までで最大の落馬チャンスだったかもしれない。

落ちずにすんだとはいうものの、かなりどきどきしている。後ろを振り返ってみると、もうコスモが追いついてきそうだったので「すいません、1周さぼります」と申告して、馬の上で深呼吸。
私がかなりビビリ屋だと知っているK野さんは「大丈夫ですか?」と寄ってきて、「鞍のここに膝つけていいですから、しっかり脚つけて」と、鞍のあおり革の全部のふくらんだ部分に私の膝をつけるようにしました。「もうここに膝頼っちゃっていいの?」「そのために出っ張ってるんですよ。プロテクター着込むほどのことなんですからね」障害競技のために、新しく購入したばかりのボディプロテクター。「そうね、あんまりプロテクターが役立つ事態にはしたくない」

再度軽速歩にして、障害に向かいます。今K野さんに言われたように、脚をしっかり鞍と馬体につけて、かかとを下げて飛越。すると今度は、さっきバランスを崩したことがウソのようにふわっと飛べました。へー、やればできるもんだ。
「もう一回飛んで終わりにしますよ」じゃあ最後だからキレイに飛ぼうね、アル。今度の飛越もアルフォンスが難なくこなしたという感じで、今日の障害レッスンは終了。

アルフォンスはこの日はお仕事が終わりだったので、脚を洗います。K村さんに馬着を着せてもらい、馬房へ。いつも自分の馬房に戻るとほっとしたようにおしっこを始めるアル、この日もそうでした。
すっかり暗くなった馬場を横切ってクラブハウスに戻り、そこにいたQさんに「今日こそは落ちると思った!」と言うと、「見てるこっちも、今日は絶対落ちると思ったよ。3回くらい落ちそうだったよね」彼は今日は障害番に立っていてくれたとは言え、よく見てるなー。ついでにK田くんに、「落ちなかったよー」と自慢すると、苦笑いしていました。
あとでI野先生に、「いやー、こんなに障害って怖いものだったかなと思って」と訴えると、「あれはもともとそういう馬だよ。最後のなんか、あそこでもう一回跳ねてたら絶対落ちてたなぁ」してみると、あそこで私がバランスを崩したのは、アルが急に右に出たせいだったのか。いやー、ほんとによく落ちなかったもんだ。

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日の出乗馬倶楽部の障害馬場

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