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(2002.11.2 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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(95鞍目からのつづき)
それにしても今日の障害は緊張する。今日はいつものアルフォンスではなく、ハイセイコーJRが配馬されています。私はJRで飛んだことがないばかりか、彼に乗ること自体が実に1年2ヶ月ぶりなんです。1年2ヶ月前と言えば、ちょっと馬が後ろ脚で虫を払っただけでもびくびくしていたようなころですよ。しかもその1回きりしか乗っていなくて、今日で2度目。そんなの、初めての馬で障害飛ぶのと同じようなもんだ。でも、来週の運動会ではおそらくこの馬で障害を飛ぶことになると思うので、わがままは言えません。

会う人ごとに「緊張するよー、JR久しぶりなんだよー」と大騒ぎしながらハイセイコーJRの馬房へ。JRはもう馬繋場に出ていました。そばにいたスタッフのK村さんに聞いてみると、もう裏掘りもブラシかけもいらないとのことなので、そのまま馬装を始めます。K村さんにも「私JRに一年以上乗ってないんだよ」と訴えると、「1年も?もったいない、こんないい馬なのに」「そう?」「そうだよ、ちょっとニブいけどね、ちゃんと鍛え直したから」JRはちょっと跳ねたりして落ち着かない馬だったので、初心者には乗せない時期がありました。K村さんがスタッフとして来てからJRを鍛え直して、すっかり落ち着いた馬にしたのです。
装鞍を終わって、しばらく時間があったので馬繋場で待機していると、I野先生が馬場に出て見えて「障害馬場作るぞー」と招集をかけます。あれー、私たちこれから飛ぶんだけど、出て行かなきゃダメかなぁ、と思いつつ、とりあえず馬場に降りてみます。先生はレポート用紙に書いた経路図(左図参照)を持っていて、「運動会でもこれやるから、この通りに作って」ありゃ、今日は運動会の予行練習をさせてもらえるんだったのね。運動会の前週に障害レッスンを入れておいた甲斐はあるというものですが、経路図を見ると障害が7つもある。今まで連続で障害を飛んだことはないので、ますます緊張が高まってきました。
しかも第3・第4・第5障害は固定障害らしい。丸太ですぐ外れる障害しか飛んだことがないのに、固定障害なんて馬の脚がぶつかったらどうなっちゃうの?怖いよ〜。

しかし障害設置は力仕事なので女の私にできる仕事は少なく、ある程度で切り上げて馬繋場に上がります。ちょうど前のレッスンから上がって来たAさんが、「今日も飛ぶの?」と嬉しそうな顔で聞いてきます。「運動会の練習なんだけど、JRで飛ぶの初めてなんですよ、緊張する〜」と大騒ぎしていると、 「いいこと教えてあげる、ちょっとこっちへおいで」と、ちょうど干してあった馬着のひもを足にひっかけてみせます。「いいかい、これが鐙革だとするじゃない。すこしガニ股になってもいいから、ここで足を押さえるんだよ」鐙革が自分のすねに当たるようにして見せてくれました。「するとここで止まるから、前に投げ出されないよ。私はこれやり始めてから落ちなくなったんだから」
非常にビビっている私を見てアドバイスをくれる先輩達、貴重な存在です。

時間が来たので、頭絡をつけます。頭絡は実にあっさりとかけさせてくれたので、JRを連れて馬場へ出ます。K野さんが踏み台を持ってきてくれて、騎乗。障害の鐙は馬場の鐙より短いので、つまり鐙の位置が高いところにあります。左足を鐙にかけようとすると、う、辛い...
騎乗して腹帯を締め直し、K野さんに「ちょっと鐙に立ってみてください」と言われて立ち上がると、「まだちょっと鐙が長いですね」と、少し鐙を短くされました。
さらに短鞭をとりあげられ、長鞭を渡されます。「えー長鞭で飛ぶのぉー、怖いよー」と訴えてみますが、「何言ってるんですか、ニブいんですからその馬」そうは言うけど、どれくらいニブいのか良く知らないのよぅ。

今日の初級障害はジュンヨーとSさん、コスモと相方、私とハイセイコーJRの3頭。指導はI野先生です。騎乗ができた順から適当に障害を避けて常歩しているうち、なし崩しにレッスン開始。
「早く速歩にして、馬暖めないと始められないぞ」と言われ、JRに速歩を出してもらおうと脚で軽打。しかし出ないんだ、これが。前のジュンヨーが速歩していたので、くっついていって軽打、ようやく出ましたがすぐ止まる。「何やってるんだ、拍車、拍車」実際に拍車をつけているわけではありませんが、かかとで馬の腹を刺激しているつもりなのだけど「拍車、全然効いてないぞ。ムチも使って動かせ」長鞭を肩に当てますが、この子はどれくらいの強さで鞭を入れたらいいのか全然知らないから、思い切って鞭を入れられません。強く入れすぎて跳ねられたらどうしようと思ってしまう。

障害をすべて避けるようにして、ラチ沿いに左手前で軽速歩。障害と外ラチの間は80センチ程度のすき間があるのですが、JRはそこに入るのがイヤなのらしい。第4障害の外に誘導しようとしたのですが、3メートル前からそれを嫌がって、内側へ切れ込んでいきます。第4障害で内側を通られてしまうと、当然第5障害の外側へ抜けるのは難しく、第5障害も内側へ。第6障害も内側へいく素振りを見せたので、そこはなんとか外まで行かせて、ラチ沿いを通ります。
「どんどん走らせていかないと飛べないぞ、ムチ使え」と先生に叱咤され、少しムチを入れてみたりしますが、なかなか歩度の伸びないJR。

しばらく走ったところで、「常歩に落とせ」いったん常歩に落とし、先生が手招きをするスタート地点近くに集まります。
「いいか、これから経路の説明するからな。第1障害をまず飛んで、右手前で回っても、奥の障害を回ってきてもいいけど、そこから第2障害...誰かに経路踏んでもらったほうが分かりやすいな」高校生スタッフのU村くんが呼ばれると、先生に経路図を説明されて、経路へ向かって自分の足でダッシュ。
第1障害を飛越し、第2障害へ入るには左図のようなショートカット経路と、第1障害から突き当たりまでずっと走り、第5障害の外をまわってから第2障害に入る遠回り経路のふたつがあります。先生はU村くんに「短い方でいいぞ」と言ったのですが、彼はわざわざ遠回りで走ってきたので、「さすが若いねぇ」というと、思わぬ方角から「僕もできますよ」と声が。第6障害で立ち番をしていたK野さん(23歳)でした。「あら、それは失礼しました」ちょっと笑ってしまいました。

「さて、誰から行く?」一番スタート地点に近いところにいたジュンヨーが最初に行くことになりました。ジュンちゃんが第2障害を飛んで、第3障害へ向かったところで「はい、次」私か相方のどっちかということで、私の方が近くにいたので私から行くことにしました。
第1障害から20センチくらいの高さがあるので、横木またぎから慣らすレッスンしかしたことがない私にとっては、いきなり飛ぶのはけっこう怖い。とにかく障害に向かって走らせようとしますが、まず速歩が出ない。腹を蹴って、ほんの少し速歩が出たのですが、第1障害の手前で常歩に落ち、常歩のまま「よいしょ」と障害をまたぐJR。つづく第2障害、30センチ程度のクロスバーもみごとに常歩でまたいでくれて、第3障害は心配していた固定障害ではなく、ふたつ並べた固定障害の中央を開けたところに丸太を置いた、横木またぎ。ただ、すき間が80センチもないので、JRはこんなところをすり抜けるより、勝手に固定障害飛んでしまうんじゃないだろうか、とちょっと怖くなりました。
障害に向けると、案の定JRはこの障害をどうしていいか分からない様子で、止まってしまいました。手綱を強く張って、固定障害の中央に向けると、しぶしぶ真ん中を通りました。馬がしぶしぶなので、横木またぎというよりは、外乗で通りにくい所を通っているみたい。
第4障害も同じく、固定障害の中央を空けて丸太を置いたもの。そこもしぶしぶ通り抜けると、次の第5障害はドラム缶を横に寝かせて同じようにしたものです。同じく常歩でしぶしぶ通り抜け、そこからようやく速歩に。第6障害は単純な横木またぎ、これは速歩のまままたぎましたが、第7障害でまた常歩に。これはかなり慎重にまたいでくれたらしく、まったく反動を感じない、ふつうの常歩のような動きでまたいでしまいました。
結局経路をほとんど常歩で踏んでしまいました。

順序が一巡し、ふたたび速歩で障害へ。今度はどうにか速歩を出して行けましたが、第1障害から第2障害の間で常歩に落ち、第2障害は常歩でまたごうとしたらしいのですが、なぜかぐぉっと前脚と首が上がって、30センチ障害とは思えない派手なアクションで飛んでくれました。心の準備がなかった私、首がガクンとなってメットがずれてしまいました。また第3障害から常歩に落ち、常歩のまま横木またぎ。なかなか速歩で障害がクリアできません。
次の順番もときどき速歩は出るのですが、障害の前で常歩に落ちる。「どうしてそんなに馬の首固めてるんだ、馬が飛べないだろう」あ、手綱短く持ちすぎなんだ。するとさっき、低い障害をわざわざ派手なアクションで飛んで見せたのは、JRなりの抗議行動だったのかしら。

結局最後まで、すべてを速歩でクリアすることは出来ず、障害レッスンは終了。今日の敗因は、明らかにこの馬を信頼できていない自分です。怖いと思っているので手綱に頼りすぎたり、姿勢ががちがちだったりしたんだと思います。
かなり落ち込みながらJRを馬繋場に連れて行く途中、JRは私が引き手を持っているほうの袖を口先ではむはむして甘えてきます。くぅ、かわいいやつ。ごめんね、ちゃんと動かしてあげられなくて。
JRは次の障害レッスンにも出るので、そのまま無口をつけて繋いでおきます。
スタッフのK村さんに「もう全然ダメ」というと、「JRの動かしかたがまだ分かってないみたいだもんね」「うん、そうね、程度が分からない。固定障害の間通すのなんか苦労したもん。勝手に飛んじゃうんじゃないかと思って怖くてさー」「そりゃそうだろうね、こいつそんなことするの初めてだもん」「 何で飛ばないの、とか思ってるわけだ」「たぶんね」
つぎの障害レッスンに出る準備をしていたM野さんが、「でもJRは鈍いけど、動いてさえくれればアルフォンスより飛びやすいから」ふうん、そういうものか。
次のレッスンまでつないであるJRをかまって遊んでいると、K村さんが「でもこいつのかわいさも分かったでしょ?」「うん」「それで動かしかたが分かれば、すっごくいい馬だよ」
しかし運動会は来週。間にあわないだろうなぁ。

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日の出乗馬倶楽部の馬場

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