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(2003.7.20 山梨・ララミー牧場)
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ラングラーランチ
関係ないんだけど、ラングラーランチの馬。
ピントホースかな? かわいい。
8時の朝食時間に合わせて、7時半に起床。検定試験にまつわるスケジュールは13時からの予定なので、朝食を摂ってからもしばらく時間があります。当日到着組も、意外と早く到着して、全員集合。いいかげん試験勉強にも飽きたので(おいおい)、ララミー牧場の近所にあるウェスタンのクラブ、ラングラーランチを見学がてらお散歩へ。
10時半ごろララミーに帰り着き、まだ早いけど正装には時間がかかるので、2Fの宿泊施設に上がって着替えをすることにしました。すると下のほうで「Aさん来たよー」と相方の声がする。ふだんからお世話になっているAさんには、今日のお守りにアスコットタイ用のストックピンをプレゼントされているので、ぜひ着けたところを見てもらわないと。いそいで身支度をして、下に降りていくと、I野先生もみえていました(Aさんと一緒だったらしい)。クラブハウスでみんなで昼食を摂ることになり、日の出のスタッフのA木さん(彼女も一緒に検定試験を受ける)が注文取り。
そこへH先生もやってきました。「お昼ができるまでの時間に、筆記試験のポイントをお話しますから」ということで、集合して筆記試験の注意事項やヤマを教えてもらいました。

昼食の準備ができたということで、クラブハウスの中へ。I野先生の「級ごとに分かれて席につきなさい」という指示で、私は4級班と5級班の間へ。私が5級を取っていることはみんな知っているので、5級班の人に聞かれたり、4級班同士で話し合ったりしつつ、ご飯を食べました。でも、私の白キュロットはちょっとウエストがきつめなので、あんまり量は食べられなかったんだけど。
食べ終わって少しゆっくりしていると、H先生がみえて「今ここで筆記試験やっちゃいましょうか、10分くらいで終わるし」あらら。まぁヤマは頭に入っているし、大丈夫だろう。あらためて受験する級ごとにテーブルを分け、着席。H先生が配ってくださった筆記試験問題を、各個にひとりごとを言いながら解き、提出。私の解答をのぞきこんだI野先生も黙ってうなずいていらしたし、筆記で落ちることはまずなさそう。

これで残るは実技試験だけ。タイムスケジュールはざっくりとしか決まっていなかったのですが、5級と4級は覆い馬場で、3級は下の屋外馬場でやることになっています。そろそろ始まるかな、と正装して覆い馬場に集合したとき、ぽつぽつと雨が降ってきました。屋外馬場で乗る予定だった人が覆い馬場に移動したりしたんだと思いますが、I野先生の「せっかくの上らんを濡れさせてもかわいそう」というH先生への申し入れもあって、開始時間が1時間ほど繰り下げられることになりました。I野先生が「ちょっとHさんに聞いてくるけど、下でやるなら俺が馬場に立つから」えっ? そりゃ、I野先生が号令をかけてくださるなら、かなり安心だけど。

当初の予定とは反対に、5級と4級の試験は屋外馬場で、3級は覆い馬場でやることになりました。時間が来たので、下の馬場に集合。検定は5級→4級→3級の順で行われます。
5級受験のおふたりが馬場に出て、それぞれ騎乗。どうやら先導馬をつけてくれるみたいです。「いいなぁ、先導馬ついてる」と言ったら、3級受験のKさんが「4級もつけてくれるかもよ?」「だったらいいですねぇ、3級もつけてもらえるかもよ」いや、3級は経路踏むんだからそれはないだろ、私。
蹄跡に出て速歩に移行したころ、ぽつぽつと雨が落ちてきました。まぁ乗れないほどの雨ではないし、そのまま検定は続行。でもけっこう大粒だったので、審査員席がわりの馬繋場のほうからH先生が「こっちに入りなさい」と言われ、屋根のあるところに入って「かわいそうにねぇ」と言いながら見学。

5級の試験が終了するまえに、馬繋場の中でH先生から配馬がありました。「この中で一番経験が浅い人は誰?」「ほとんどみんな同じ位乗ってます」「そう、じゃあ」と配馬されたのは、まず相方にベル、Almoさんにゴールデン。あら、せっかく昨日乗った馬だから、ゴールデンに乗りたかったなぁ(4節の駈歩しか出ないとしても)。その後女性陣の配馬、私に当たった馬はキョウト。え、キョウト? 昨日のレッスンで、Almo夫人が駈歩が出なくて、さんざん苦労していた馬ではないですか。Almo夫人は「重いわけじゃない」というけど、それは日の出の子たちに比べてであって、まぁララミーの馬としては重い方なんだろう。ガンガン行かなきゃ。
棒拍車をつけて、長鞭を持って馬場に出ます。ほとんど雨は上がっていて、Almoさんが「4級組は日頃の行いがいいからねー」なんて言っています。日頃の行いが良い私たちにこの後降りかかる事態なんて、誰が想像したでしょう…。

馬場に出ると、I野先生が「自分の馬分かるか?」「はい」私の乗るキョウトくんは、5級班でWさんが乗っていた馬です。下馬したWさんとキョウトくんに近づいて鐙の長さを合わせ、Wさんに「足上げしてもらってもいい?」と頼みます。「やり方よく知らないですけど」「えーと、私の脛を持ってもらって、1、2、3で持ち上げてくれれば」と言っていると、日の出のスタッフのA木さんが「いいよ、踏み台使いなよ」と踏み台を持ってきてくれました。そこへララミーのスタッフさんも来て、騎乗補助についてくれたので騎乗。鞍に座ると、「大丈夫、鐙長くない?」とA木さんに言われて鐙に立ちあがってみると、ちょっと長めのような気がしないでもないけど、「まぁこれで頑張ってみるよ」「大丈夫? 焦んないでね」ときどき私にレッスンをつけてくれている彼女なので、私が焦ると前傾したりすることを知っていて言ってくれたんだろう。
となりの馬場で準備をしていたほかの馬も、準備ができたようでこちらの馬場に入ってきました。「じゃあ始めるぞ」と、ちょっと嬉しそうなI野先生。相方&ベル、私&キョウト、almoさん&ゴールデン、almo夫人&タニノクラテ、Cちゃん&メジロカイザーの順で、左手前で蹄跡に出ます。やっぱり先導馬はつきませんでした(笑)。

キョウトくんの常歩は、特に重いというほどではないのですが、前のベルが速いので置いていかれがち。昨日もそんな感じだったよなぁ。拍車と鞭で追ってもなかなか追いつけないので、蹄跡を内側にスライドするような形にショートカットして追いついたりします。そこへ、ぽつん、ぽつんと雨が落ち始めました。あら、やっぱり降るのか。まぁこれくらいなら乗れない雨ではないし、上らんが濡れるのはもったいないけど、どうせ後でクリーニングに出すんだしね。
「速歩、すすーめ」お、楽に出た。軽速歩の指示が出て、手前を確認して軽速歩をとります。あれ? なんか雨粒が大きくなってきた。と思う間もなく、まるでドラマのロケのような大粒の雨が!! ちょっと、マジですか!? でもいつもの練習ならいざ知らず、いったん始めてしまった検定試験、まさか途中で中止っていうことはしないよなぁ。ひー。
でも気になるのは病み上がりのI野先生。検定じゃなければ「合羽着てくださーい!」と叫ぶところなのだが、検定中にそれはないだろ自分、と思っていたら、先生がラチにかけておいた合羽を羽織ろうとしておられるのが目に入りました。良かった良かった。

「順次、巻き乗ーり」昨日の練習では巻き乗りの途中で止まっちゃったから、今日は絶対止めないぞ。内方の脚と鞭を使いながら、なんとか止めずに乗り切ります。各個に巻き乗りも、止まらずにいけた。よしよし。
左手前で、速歩から停止、停止から速歩発進。脚を使って手綱でためて、ぽんと速歩が出せました。すごい、この子素直だぁ。ふたたび停止、速歩発進。「いいか、駈歩やるぞ」と、審査員席にあまり聞こえないような声でI野先生。どっちにしろ、もう雨音であまり聞こえなくなってる。「駈歩ようーい」で、内方脚で馬の腹を押すと、速歩が速くなりました。「かけあーし」で、外方を引いて…出ない。ただ速歩が速くなっていくばかり、駈歩にはなりません。「駈歩が出なくても、速歩で前の馬に追いつこうとする子」と昨日almo夫人が言っていたとおり、かなり速い速歩でベルに追いつこうとし、反動がいきなり高くなりました。さっきまで座りやすかったのに、お尻がぼんぼん跳ねて、外方を引こうにも脚が安定しません。雨は激しく降る、駈歩は出ない。後ろのalmoさんはとっくに駈歩を出していて、後ろで私の馬にぶつかりそうになっている気配を感じました。迷惑をかけないように(いや、ほとんど無意識に)少し内側に持ち出し、外方脚を引いているつもりですが、まだ駈歩にならない。焦る。
スーパー速歩のまま、馬場を半周もしたとき、後ろから「外方引いて!」とalmoさんの声、うん、分かってるよ。それで少し落ち着いて、もう一度外方を引いた位置で軽く蹴り、「行けっ!」と小さく叫ぶと、馬の首が大きく上下しました。出た、駈歩!
そうか、この子は外方で出すんだったか。よし行こうキョウト、がんばろうね。一度出してしまえば、かなり安定した駈歩を続けられるキョウトくん。雨は激しく降り続けます。

速歩に落とし、すぐに軽速歩。駈歩から軽速歩への移行も、すごく楽。「斜めに手前を替えー」の号令、偶然くっきり聞こえたけど、先頭の相方には聞こえたんだろうか。そんな心配をしなければならないほど、雨音が激しくなっています。
右手前に換わり、速歩。「駈歩ようーい」あらっ、もう一度駈歩やらせてもらえるのか。なら、今度はちゃんとやるよ、キョウト。「かけあーし」ぽん。よし出た! さっきあれだけ苦労したので、一発で出たことが感動的。しかも今度は、けっこう駈歩の歩度が伸びていて、前のベルに追いつきそうな勢い。少し抑えようと思い、手綱を短くしてみましたが、もうほとんとベルのしっぽにキョウトの鼻がくっついている距離。駈歩でこんな近づいたら危ないんと違うかなぁ、もっと抑えなきゃ、と思ったとき、キョウトがついにベルの後ろ脚につまづいて、前脚をちょっと滑らせました。わ、と思ったけど、それでもキョウトに駈歩をやめる意思はないみたい。こんな雨の中で運動するだけでもやる気をなくして当然なのに、「あなたの脚が離れない限り、ボクは駈歩をやめません!」みたいな、キョウトくんの素直さというか根性というか、いいぞ、気に入った。
雨はどんどん激しくなるばかりで、蹄跡はもはや川と化しています。ついに上らんを通りこして、ブラウスまで完全に濡れてしまいました。もうここまできたら、濡れることが気にならなくなってきて、ヘンなナチュラルハイに突入した私。どうにかなるさー。

「はやあーし、軽速歩」で、軽速歩にします。常歩に落としたとき、馬繋場のほうでH先生が、I野先生に向かって両手で大きく丸を作っているのが見えました。もう審査は大丈夫だから、検定を終了してもいいよ、の合図でしょう。検定だから手綱は伸ばさないけど、常歩でしばらく歩かせます。あれ、雨が小降りになってきたな。
「先頭より、列へ」で、馬場中央に入って馬を並べたときには、ほとんど止んでいました。なんだったのよ、今までの雨は…。いやがらせか?
後続の馬が列に入ってくるのを待っていると、I野先生が「挨拶でちゃんと決めるぞ。誰が言う? たかしなさんか」1番騎であるうちの相方が号令をかけるのが妥当なところでしょう。相方が「どうやって言います?」と聞くと、「俺が『終了』って言ったら、たかしなさんが『礼』って号令をかけて、みんなで敬礼。大丈夫だな?」「はい」ちゃんと手綱と鞭を左手にまとめて、敬礼の準備。
5頭がちゃんと揃ったところで、I野先生が「これで検定を終了します」すかさず相方が「礼!」で、私は右手を斜め下へ出して女性の敬礼、4級検定は終了しました。隣の相方が下馬するとき、馬場がびちゃびちゃで泥はねを作ってしまったらしく(洗濯するのは私だよ…)、「下が泥だからみんな気をつけてー」と声をかけています。気をつけて下馬したつもりだけど、馬場は田んぼ同然だったので、どうにもなりませんでした。

「鐙まとめて、馬繋場に連れていってねー」というH先生の指示で、キョウトくんを連れて馬繋場へ。またすぐ使うらしいので、「汗こきかなんかしておいて」とスタッフさんに指示しています。汗こきを使って、びっしょり濡れたキョウトくんの馬体から水を切るスタッフさんの横で、せめてタオルで拭いてあげることにしました。腰を冷やしたらいけないので、タオルを借りて腰回りを拭いてやっていると、「蹴りがくるんで気を付けてくださいねー」とスタッフさん。「横に来ます?」と聞いてみると、「そうですねー、すーっと上がってパン! って来ますよ」ひょえ。その「すーっと上がる」時点で未然に防げるように、片手を腰角の下に置いて、筋肉が動いたらすぐ逃げられるようにしておきます。
とりあえず脱いだ上らんを馬繋場の柱にかけておいたら、そこからぽたぽた滴がたれています。どうせ自分で違法改造(笑)した上らんだし、サマーウールだからいいやと思って絞ってみると、見事にいっぱい絞れました。あぁ。
このままでは自分も風邪を引くので、いったん宿泊施設に戻って着替えてから覆い馬場に戻ると、もう3級検定が始まるところでした。

検定を終え、クラブハウス前でちょびっと反省会。「いやー、最初に駈歩が出なかったときには、どうしようかと思いました」とI野先生に言うと、「でも右手前はちゃんと出たじゃないか」と先生。ちゃんと見ていてくださったんだ。すると先生は続けて、「いや実はな、あの天気だったし、左手前だけで駈歩やめようかと思ってたんだよ。でもこの子はちゃんと駈歩が出せるってことをH先生に見せたくて、右手前もやらせてみたんだ。ちゃんと出て良かったな」じーん。先生ってばもう! この先生のお言葉に感動もしましたが、あそこで一発で駈歩が出せて本当に良かった。出せなかったら大目玉だ(笑)。
ちなみに、駈歩前の号令で停止-速歩発進を繰り返したのも、雨で気が散った馬を集中させるための配慮だったそうです。さすが先生。
このあと、クラブハウス内でコーヒーをいただきながら、H先生の講評。馬を首だけ曲げるのでなく、ちゃんと体で内方姿勢をとらせること、それから「手綱を短く持つこと」。昨日から言われているけど、今日の駈歩で前の馬につまづいちゃったのは、まさにそれだったかもしれない。「手綱が長いとどうなるかというと、拳が自分の体に近づいちゃうんです。そうすると、拳の自由度がなくなります。拳が前に出ていれば、これだけの余裕があるわけですから、コントロールしやすくなるんですよ」

帰りは、雨に濡れた体をあたためるという名目で、またみんなで温泉へ寄って、露天風呂の中で馬談義。だいぶのんびりしてから、東京へ帰ってきました。
今回の最大の収穫は、「駈歩が楽しかったこと」だな。もちろん馬(と、その馬を作った人たち)のおかげだけど、駈歩に安定感があるので、余計な恐怖感とか不安がなく駈歩ができたっていうのが、私にとっては大収穫でした。
あ、ところでキョウトくんがどうして「通称」かというと、彼には「キョウト」とは全然違う長い名前があるらしいのですが、聞きそびれたので。どうせみんなキョウトって呼んでたし、馬具にもそう書いてあったしね。

キョウトくん速歩
まだ最初の速歩。この5分後に起こる事態を知る由もない


そして5分後↓
どしゃぶり…。
デジカメに映るほどの雨粒って…。
キョウトくん、後肢がちゃんと入っていい駈歩するねぇ。
これで頭が下がればカンペキ。

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