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(2003.1.4 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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前日、午前中に雪が降りました。午後には雨に変わったものの、きっと馬場が凍ってるんだろうな。でも明日は試合の打ち合わせがあるから必ず来なさいと言われているし、乗らなくてもとりあえず行かないとなぁ。
朝、目を覚ましてカーテンを開けると、うそのような快晴。路上の雪も溶けているけど、日の出はどうだろうか。今日は13時の予約なので、いつもの11時よりは少しマシかも、と思いながら電車に乗っていると、武蔵増戸に近づくにつれて、線路ぎわに残る雪が増えていきます。これは私が想像していたより、あきる野は大雪だったんじゃないか?
武蔵増戸に降り立ってみると一面真っ白、道路は溶けかけのかき氷状態。日当たりのいい道路がこれでは、ほとんど日陰になっている日の出の馬場はゼッタイ凍結してる。こないだ凍結した馬場がけっこう怖かったので、とりあえず日の出に着いたら今日の騎乗はキャンセルしようと心に決め、日の出に到着してみると、馬に乗ってる人がいるぅ〜!?
敷地内に入ると、うわ、4人も乗ってるよ、マジ?しかし先日馬場が凍結していたときと違い、馬場の中央を使って斜め手前変換や巻き乗りもやってるので、凍ってはいないのかな?でも馬場がなんか白いし。
会う人ごとに新年の挨拶をしつつ(でもほとんどの人が先週会ったばかり)、ホワイトボードを確認すると、私たちの名字はジュンヨーとアルフォンスのところ。これは先週と同じく、ジュンちゃんが相方でアルが私ですな。新年早々から噛まれるのか…。
スタッフのK村さんに聞いたところでは、「昨日の雪の中2鞍使ってるから、ちょっとお疲れ気味だよ」ということなのですが、やっぱりアルは跳ねるのが好きな馬だし、噛まれないためにもプロテクターを着よっと。

騎乗時間の30分前、ちょっと早いですがアルフォンスの馬房に向かいます。
うわー、今日も馬着着てる、下乗りなしか。昨日動いているということだから大丈夫だとは思うけど、アルの場合油断はならない。跳ねないようにびしっと乗らなきゃ。
声をかけると、扉の中でこちらに顔を寄せてきたので、扉を開けます。首を下げてきたので、あら今週は素直じゃん、と思いながら無口をかけようとしたら、無口の端っこをしっかり噛んでいました。やっぱり噛み噛みか…おでこをたたいて叱ったのですが、一瞬離してもまた噛みます。そこへ相方が来てくれて、アルの顔を押さえていてくれたら、簡単に無口がかけられました。アルが男の人の前では従順だという噂は本当だったのか。女性だと力のなさを甘く見て、噛んだりして遊ぶということです。遊びの割にはアザができますけどね(泣)。
無口にはあらかじめ引き手をつないでおいたので、そのまま馬房から連れ出します。途中でフロスティの馬房(フーは不在)の水桶に鼻を突っ込もうとしたりしますが、どうにかこうにか馬繋場まで連れて行き、繋ぎます。

馬着を脱がせようとするそばから、噛みつきたいアルフォンス。胸前の金具を外そうとしていると噛みつきに来たので、ばしっと叩いて叱ります。無口の頬のところを左手でつかんでおいて、顔を向こうに向けさせてから右手で金具を外していると、今度はその無口をつかんでいる手のひじを噛みに来ました。あんまり悪さするので、「アルっ!」と怒鳴りつけざま、腹の下にすねでキックしました。先週、「蹴ってもいいよ」とK村さんに言われていたし、普段からモンブランが言うこと聞かないときはこれをやっているので、我ながらいいキックだ。さすがにアルも一瞬だけおとなしくなり、裏掘りの間はおとなしくしていました。前肢を掘って、後肢のほうに行くと、なんだか右後肢が腫れているように見える。この子、もともとこんな脚の形だったっけ?触ってみると熱はもってないし、本人も嫌がらないので大丈夫なのでしょうが、なんかぷにぷにしている感じ。一応スタッフにも確認してOKとのことでした。
裏掘りを終えて、首にブラシをかけようとするとすかさずアルが噛みに来ました。ブラシを振り上げると、たたかれることを学習したのか、動きが止まるアル。お腹にブラシをかけていると、そ〜っと私を振り返って、そろそろ噛もうかなー、と隙を狙っているので、「アル!」と怒鳴ると、何ごともなかったかのようにそっぽを向くアル。
アルと格闘しながらようやく手入れを終え、N子さんから借りた自鞍を置きます。しかし腹帯を締めてみると、全然届かない…。N子さんから「ウィンダムだったら届かない」と聞いていたので、こんなこともあるかもとは思っていたけど、やっぱダメだったか。
「やっぱ腹帯締まんないー」と言うと、スタッフのA木さんが「腹帯?誰かの使う?」と探してくれたのですが、合いそうな腹帯がない。時間もないし、「もともとのアルの鞍使うよ」と、アル専用のレンタル鞍を使うことにしました。

そんなこんなですっかり時間が押してしまい、あわててアルフォンスの前肢にプロテクターを付けている間にA木さんがハミをかけてくれて、準備完了。急いで馬場に出します。
馬場へ出る坂道の間も、あっちを物見したり私の腕に噛みつこうとしたりと、ちっとも真面目に歩こうとしません。馬場に出たところで、手綱を引いていた右手の手首に噛みつかれてしまいました。頭きた、手綱短く持ってやる。ふつう曳き馬のとき、手綱はハミから20センチくらいのところを持つものですが、短めに持つというのは馬を叱っていることになります。
そのまま馬場に出ようとすると、アルがまた挙動不審。私の後ろにちゃんとついてこようとせず、なんだか左側へよれていきます。「何がしたいのあんた?」と真っ直ぐ歩かせようとすると、K野さんが「水たまりがイヤなんでしょうね」「え、そうなの?」振り返ってアルを見ると、確かに右側にある大きめの水たまりをイヤそうに見ながら、体が反対へよけようとして変な格好になっています。水たまりと言っても深いものではなく、馬場砂に水が浮いた程度のものですが、別に踏み込もうとしたわけじゃないのにそこまでイヤがらなくても。レッスン中にそこ踏むぞ、イヤでも。

なんとか馬場中央にたどり着き、K野さんが踏み台をもってきてくれるそばから、アルフォンスは踏み台を噛もうとします。その隙に手綱を首にかけ、鐙を伸ばして騎乗準備。K野さんの補助を受けて騎乗し、腹帯を締めてもらいます。K野さんが近くにいるとおとなしいんだな、こいつ。
もう一度鐙を合わせ、馬装OK。今日の部班は3頭、指導はK野さんです。モンブラン、相方のジュンヨー、私のアルフォンスの順で蹄跡に出ます。
モンブラン、ジュンヨーはちゃっちゃか歩けているみたいだけど、アルフォンスはもともと歩くのが遅い。しかも水たまりがイヤで、隅角など水のたまりやすい場所に行くと派手に避けます。「馬なりに歩かないで下さい、ちゃんと歩かせて」うわーん。ちゃんと歩かせたいけど、隅角をきっちり回っていると前の馬から遅れるばかりなので、前の馬から離されないようにずるっこすることにしました。最初からあんまり馬をイライラさせても悪いような気がする。

「手綱を短く持って、速歩いきますよー」どうせこいつは前の馬より最初の速歩が出にくいだろうから、K野さんの指示が出るより少し早く、脚で蹴ります。予想通り、それでちょうどいいタイミングで速歩が出せました。ところが1周もしないうち、ぴたりと停止するアルフォンス。ボロか、としっぽを振り返りましたがそうではありませんでした。出たぁ、得意技・突然停止。脚で強く蹴っても、素知らぬ顔のアル。「そういうときはムチ使って叱る。びしっと入れて」と、隣の馬場で指導していたY先生の声が飛んできます。手綱を強めに持って、長鞭でアルの肩をぴしっ。「まだ弱い」と言われましたが、アルが動き出したので、もう一度軽く入れたら速歩が出ました。

隅角をかなりズルして、蹄跡をショートカットして速歩をしますが、それでも前の2頭は速くてなかなか追いつけません。本当はアルフォンスなら、ゆっくり詰めた速歩をして反動を弱くしたいのだけど、それをやっていたら果てしなく置いていかれてしまいそうなので、脚を使いながら速歩。
「ただ乗っかってるだけじゃダメですよ、もうそんなレベルじゃないんですから。なんでそんな背中固くして乗ってるんですか。体中使って反動とってください」うーん、ただ乗っかってるつもりはないんだが、馬が動かせていないし反動が撮れていないってことだろう。反動の強い子だから、お尻がぽんぽん跳ねているのは確かだけど。
「ムチは足の上ですよ」内方に持っていた長鞭、見るとアルの肩のあたりでぶらぶらさせてしまっていました。そりゃ動くには違いないけど、こいつの場合はこんなことしたら跳ねかねない。あわてて長鞭が太ももに乗るような感じで持ちますが、うっかりするとまたぶらぶらさせてしまい、また注意されます。「拳の親指を前に向ければ自然とそうなるはずですよ」内方の拳に鞭を持ち、握った拳の親指で前を指すような感じ。やっぱり私、鞭の取りまわし下手だなぁ。

前を走る2頭がけっこう速いので、隅角や斜めに手前を換えるときにショートカットして追いつくことにします。それにしても先頭モンブランに乗っているMくん、うまいなぁ。モンブランが、自分の乗っているときとは別馬のようにちゃきちゃき動いている。あ、しかも走りながらボロしてるよ。私のときは絶対止まるのに〜。
と、思っていたらアルフォンスが突然ストップ、やっぱりボロでした。くそぅ。
速歩のまま巻き乗りをしますが、巻き乗りで勢いがなくなるのはいつものとおり。進入の前から脚を強めに使い、勢いをつけているつもりですが、先頭の馬が巻き終わったところで必ず止まろうとする。やっぱり他馬が後ろに近づくと止まりたくなるんだなぁ。
「回すことよりも、前に出すことを考えてください」と言われ、内方脚でどんどん蹴りますが、なかなか前には出ない。特に、経路の途中に水たまりがあったりしたら、絶対に止まりたくなるらしい。いきなり水たまりの中央に突っ込んだらイヤがるのだろうから、ちょっと浅そうなところを踏ませます。「慣れようよ、アル」少しずつ踏むようになりましたが、馬場にできている小さな川(水はけのためにちょっとくぼませたところで、幅は10センチもない)を渡らせようとしたら、一瞬反動が変だった気が…。あんた、今かるく飛越しなかった?さすがクラブ1の障害馬。
何度やっても、巻き乗りの途中で止まりそうなアル。K野さんに「内方脚、内方脚」と言われ、内方脚で蹴ろうとしたとき、反動で鐙が外れてしまいました。一瞬つま先で鐙を探しましたが、そんなことをしている間にアルが止まってしまう。えぇい鐙なんか踏まなくても乗れるわい、と鐙を脱いだまま、内方のかかとでアルの腹をカンカン。なんとか止まらずにいけました。
何度も巻き乗りの練習をしますが、「もっと鞍の左(内方)後ろに座るつもりで」あ、そういえば以前に、内方の肩を引くっていうのも言われたことがあったっけ。輪の中央に視線をやるようなつもりですこし内方の肩をひき、体のバランスをちょっと内方の座骨にかけます。こんな感じでいいのかなぁ。

巻き乗りの練習をたくさんして、そのまま馬場中央での輪乗りに移行。
だいぶ止まらずに走れるようにはなってきたけど、前の馬が水たまりに踏み込んだとき、後ろ足で水を跳ね上げるのがイヤなのらしく、いちいちびっくりして止まろうとする。それでも跳ねないからいいけど、なんだか挙動不審です。「だーいじょうぶ、なんもないでしょ」と低い声をかけながら踏み込ませたら、水たまりもどうにかクリア。水濠障害だと思って慣れてちょうだい、アル。
輪乗りの手前を換え、輪乗りの図形から巴型のように内を通って手前を換えるので、曲がるというよりは鞍の上で左右へ体重移動して馬を動かします。「ちゃんと座骨で馬の動きを感じながら乗るんですよ」なんか今日のK野さんの指導、キビシイなぁ。厳しいというより、要求するレベルが高いみたい。やっぱり来週試合に出るからかな。
先頭モンブランの輪乗りの図形はけっこう正確だったのですが、2頭目ジュンヨーがずいぶん外側にそれている。前の馬より外側を回るのがセオリーだとは言うものの、ずいぶんそれちゃってるなぁ、相方。それってもう蹄跡出てるじゃん、輪乗りじゃなくなってるよー。そんなに外に出られても、アルじゃ追いつけないよぅ。
そう思ってから気がつきました。ジュンちゃん、足の運びが速すぎる。あれだったら、アルののんびり駈歩の方が遅いくらいです。ジュンちゃんがちょっとかかり気味で、抑えきれなくなってるらしい。それで仕方なく大外までふくらんで、蹄跡まで出ていってるんだったのか。相方に対して、K野さんが「馬に教えて、教えて」と言っています。あとで相方に聞くと、抑えようとしてハミを引っ張りっぱなしにしないで、緩めるのと抑えるのを上手に使って、馬に教えなさいということを言っていたらしいです。

常歩に落として、しばらく歩かせます。常歩に落とすと急にのんびりするアルフォンスですが、別に休憩ではないので、脚をちゃんと使って追うようにします。
それでもモンブランとジュンヨーに離されがちなアル。左手前で、鏡の前を歩いているとき、隣の馬場で指導しているY先生の声が聞こえました。「前見てみてください、あれは常歩の悪い例ですよ」
以前にお会いしたとき、Y先生に「常歩であおってませんか?」と言われたことがあるので、あれは私のことを言っているのに違いない。悔しいので、悪い例にされないように上体を動かさないようにしようと思ったのですが、そうするとかえって背中に力が入ってしまい、変な姿勢になります。脚で追おうとすると、上体に力が入っちゃうのかなぁ。

その後、もうすこし速歩で走って、時間が来たので手綱を伸ばして沈静化。
自由常歩でも他の2頭とアルフォンスの動きは違うらしく、しばらくすると先頭のモンブランに追いつかれてしまいました。巻き乗りして一番後ろにつこうとは思ったけど、鏡の前の蹄跡(左図で、蹄跡の下側部分)から進入を始めると、この子は絶対お仕事終わりだと思っちゃうな。もうすこし先まで行ってから、巻き乗りして2頭に抜いてもらいます。
それでもまた追いつかれそうになり、「アルフォンスから中に入ってきてください」とK野さんに言われましたが、こいつが先頭じゃないんだけどな(笑)。鏡の前から直角に曲がり、馬場中央に向かって馬を進めましたが、水たまりのまえでぴったり止まってしまうアル、でもそこはまだ馬場中央じゃない。「もーぉちょっと前に行ってちょうだい、アル」と蹴ると1歩だけ出て、もう4〜5回蹴るともう1歩だけ前に出て、ようやく定位置。
他の2頭も並んで、挨拶して下馬。鐙をまとめて、手綱を持ったそばからまた噛みに来ようとするアルを叱りつつ、馬繋場に向かいます。
ところが、次のレッスンに出る馬で馬繋場はいっぱい。ジュンヨーが入ったら一杯になり、私は入れなくなってしまいました。フロスティの馬装をしていたIさんが「私もうすぐ出せるよー」と言ってくれたので、そこまで待っていればいいのかな。スタッフから「しばらく曳き馬しててー」と言われましたが、「えっ、こいつで!?やだー」このいたずらっ子を引いて蹄跡1周なんて、何度噛まれるか分かりはしない。するとK野さんが笑って、「じゃあ僕引いてますよ」と手綱をとってくれました。ごめんよぅ。

K野さんがアルフォンスを引いて馬場を歩いている間に、鉄爪を取りに行きました。フロスティが出てきて馬繋場が空いたようなので、馬場にアルフォンスを迎えに行きます。レッスン前にA木さんに言われたように「ツメの裏、氷が固まってるから馬場で一度裏掘りして下さいって言われたの」「いいですよ、僕持ってます」馬場の中で、K野さんに手綱持ってもらったまま裏掘り。蹄の裏は、雪と砂が固まったものがつまり、さらに固まって、蹄鉄から2センチくらいの高さまでゲタを履いたようになっていました。そう言えばつまずきやすかったような気がするけど、水たまりに足を取られてるのかと思っていた。こんな状態で、よく走ってくれたなー。
ツメの裏から氷の固まりを取り除き、馬繋場に上がると、空いていると思った馬繋場には別の馬が入っていました。これからのレッスンに出る馬がまだいたらしい。
仕方ないのでアルの手綱をとったまま、馬繋場の入り口に立っていると、すぐ近くにいたY先生が、「すみません、今日は悪い乗り方の見本に使ってしまいました」と一礼。「あぁはい、聞こえてました。常歩で上体が動いてるってやつですよね。それが聞こえたんで、動かないようにしようと思ったら、逆に背中が固くなってしまって」というと苦笑されてしまいました。「絶対クセになってますよ、そういうのは試合でも出ますよ。なおしたほうがいいです」と言われても、それをどうやって直していいのか分からない。 自分としては、座骨で馬の常歩の動きについていっているつもりだったので、それが馬をあおっていることになるということにびっくりしたくらいなんです。
自分って常歩が下手だったんだなぁ。今までまるっきり意識したことがなかったので、けっこうショックでした。

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