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(2003.1.11 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
試合→
今日もいつものように11時の予約。ここのところ快晴が続いていますが、武蔵増戸駅に降り立ってみると、まだ先週の雪が消えずに残っていました。うちの方では1日で完全に消えたのに、やっぱりここって寒いんだなぁ。
倶楽部に到着し、ホワイトボードを見ると、私たちの名字がモンブランとアルフォンスのところにあります。どっちに乗ってもいいなぁと思い、相方もどっちでもいいというので考えたのですが、アルフォンスにすると馬装に手間がかかって、スタッフの助けを呼ぶことになっちゃいそう。スタッフが手薄そうに見えたので、手間のかからないモンブランに乗ることにしました。試合前に噛まれたくないしな。

馬装の前にトイレに行くと、トイレそばの馬繋場にもうモンブランが出ていて、バイトスタッフのUくんが馬装をしています。すると今日はUくんが下乗りしてくれるんだな、ラッキー。
前にUくんが乗ったあとのモンブランに乗ったら、素直で乗りやすくなっていたので、馬上のUくんにそのことを言うと「でもK野先生に乗ってもらうのが一番ですよ」と謙虚な返事。
馬装の必要がないので、時間まで他の馬をかまったりして遊んでいました。ふと馬場を見ると、K野さんがモンブランで駈歩をしている。Uくんの上にK野さんまで乗ってくれたら、今日のモンブランはすっごく乗りやすいかも。

K野さんが下馬したので、踏み台を持って馬場に入ります。馬場の中央、すごく砂が固い。馬の足跡が、蹄鉄の形がくっきりと浅く残っています。やわらかい砂なら足が沈み込むので、こんなにはっきりとは残らないはず。このあたりを走るときは気を付けなくちゃ。
K野さんの補助で騎乗。「今日はモンブランなんですか?」「いや、ちょっと噛まれない馬に乗りたくなって」と話しながら乗ると、鐙が長い。K野さんが乗っていた長さのまま乗ったんだから当たり前だ。2穴短くしてもらいましたが、今度は短すぎるように思ったので1穴伸ばしました。
まだレッスン開始まで時間があるし、他の馬が出てきていないので、常歩で蹄跡を周回することに。せっかくだから、先週Y先生に言われた「常歩で上体が動きすぎる」というのを、自分なりに改善してみよう。
腰の力をすっかり抜いて乗ってしまうと、馬の腰の動きを座骨でもろに受けてしまい、馬の腰と一緒に左右に揺れてしまう。腰に少し力を入れると揺れないようだけど、そうすると私の悪い癖で、腰が反ってしまいがちになり、良い姿勢とは言えません。背中にも力が入っちゃうし。
うまい接点を見つけられないまま、他の馬が出てきたので馬場中央に戻ります。

今日の部班は5頭、指導はK野さんです。他の馬の準備が出来るのを馬上で待つ間、K野さんが「八王子出るんでしたっけ?」「そういうことになっちゃってますねぇ」「ララミーのグリーンカップよりも、ちょっとだけ難しいかもしれないですよ。巻き乗りに各個が入るかもしれません」そうね、八王子乗馬倶楽部さんと言えば、オリンピック選手がいるようなクラブだから、低いレベルに登録してはいるものの、クラブ全体のレベルが高ければどうしようもない。
全頭とも準備ができたので、ジュンヨー、モンブラン、アルフォンス、ウィンダム、ロッキーの順で蹄跡に出ます。
左手前で常歩、モンブランはけっこう素直に歩いていて、いつもは嫌いな隅角を四角く回ることも難なくやってくれます。今日は馬場をならしたときに境界のラチを撤去したままなので、ラチがなければ平気なのかな?
前を歩くジュンちゃんはけっこう速いのだけど、モンブランもしゃきしゃき動けているので、そんなには離されずに歩けています。できるだけ腰であおらないよう気を付けながら、脚を使います。
常歩のまま巻き乗り、できるだけジュンヨーの外めを回ろうと思いますが、あまり上手くいきません。「回ることよりも、前に出して」とK野さんに言われ、両方のかかとで強めに刺激していきます。

「手綱をきちんと持って下さい」もうすぐ速歩になるということなので、脚を使って馬が元気良く歩くようにします。「モンブラン、前に馬がいるとちょっとスピード出ちゃいますから、抑え気味にしてくださいね」そう言われれば、この子では先頭にいることが多いから、2頭目のときって良く知らないな。
「はやあーし」で、速歩を出すのは簡単。走り出してみると、意外にも歩度が伸びない。特に鏡の前では、右手前でも左手前でも必ず止まろうとします。このへん日陰だから、馬場が凍っていて固いのがイヤなんだろうな。どんどんジュンヨーから離されて、私が先頭でしたっけ?って感じになってしまいました。列を整えるために、K野さんが「ジュンヨーだけ常歩」と言うと、その声に反応して歩度を伸ばすモンブラン。バカなんだから。

常歩に落として歩きます。「部班っていうのは集団の演技ですから、全体に合わせて下さいね。常歩で追いつけないときは、速歩を出してもいいんで前の馬との距離を詰めてください。ただし、速歩から常歩に落とせと言われたときに、常歩に落とさないで追いつくのはダメですよ。速歩からいったん常歩に落として、それから速歩を出して追いつくのはOK。号令を無視するのは絶対ダメですから、一度言われたとおりにしてから」
なるほど。今は常歩に落としているけど、前のジュンヨーから5馬身くらい離されているので、軽く速歩を出して前に追いつきます。すると後続の馬たちも、速歩を出して追いついて来ている様子。
隊列が整ったところで、また速歩。今度は前の馬から近いせいか、体があったまったのか、けっこうスピードが出るモンブラン。特にクラブハウスの前は、日当たりがいいので馬場がやわらかいのと、人の声がするので急ぎたいらしく、かなりスピードを出します。あぁ、トリコロールもこんな風だったな。「馬にもってかれないで、コントロールしてください」手綱を一歩ごとに握るようにして抑え、そこを過ぎたらどんどん脚を入れていくようにしてメリハリをつけます。
「ジュンヨーだけ巻き乗りして、一番後ろ」ジュンちゃんが後ろにつくと、自動的に私とモンブランが先頭になります。
速歩で巻き乗り、今日はわりと頭数の多い部班なので、先頭の人間は頭数を考えて巻き乗りの大きさを調節する必要があります。「試合で先頭になる可能性もあるんですから、部班を作ってくださいね。最後尾を見て、巻き乗りのペースを作るんですよ。止まっちゃうのが一番ダメ、前に出して」

左手前の軽速歩で、先頭で走っていると、隣の馬場でスタッフのK村さんとUくんが凍結防止剤を撒き始めました。凍結防止剤というのは塩化カルシウムだそうですが、バケツに入れた白い粉を手ですくっては馬場に撒いていて、遠目には雪みたいです。隣の馬場だから大丈夫だとは思っていたのですが、クラブハウスを通り過ぎ、鏡へ向かって走っていると、なんだかモンブランが右を見ているような気がするな、ちょっと気を付けないと…と思った瞬間、モンブランが左に向かってふっとびました。白い粉がぱぁっと散ったのに驚いたらしく、首を降りながら駈けようとするので、とにかく止めないと。腰を落として手綱を引くと、駈けるのはやめたのですが跳ねたので、私の腰が鞍から完全に浮いてしまったうえに、右の鐙が外れました。やばい、これじゃ落ちるなぁ、と妙に冷静に考え、鐙に頼れないので右膝で馬体にしがみつき、手でサドルホルダーを探しますが毛布をつかんでしまい、まぁそれでも良かったんだけどサドルホルダーを探り当てることができたので、それをつかんでどうにか自分の体重を鞍の上に乗せ直すことができ、馬場中央くらいまできてようやく馬を止められました。
無事に鐙を踏み直して体勢を整えると、「大丈夫ですか、どこかぶつけてませんか?」とK野さん、「ごめん、(馬が)こっち見てた?」とK村さん。「見てたよ、むっちゃ見てた〜」当然ながら後ろのアルフォンスも跳ねたそうですが、暴走はしなかったらしい。

馬を左手前で蹄跡に戻し、速歩を出します。モンブランは素直に速歩を出したのですが、1周しないうちにぴたりと止まりました。クラブハウスを通り過ぎた隅角のところ、なんでこんなところで止まるかな? ボロかな、と思いしっぽを見ましたがそうではなく、さらに後ずさりします。何やってるんだろう、と前を見ると、バケツを持ったふたりが立たされ坊主のようにそこにいます。「あぁ、そういうことね」ふたりはもう凍結防止剤を撒かずにじっと立っているのですが、モンブランとしてはさっき怖い思いをしたので、「あのバケツからまた何か出てくるっ」と怖がっているのです。後ろにいるアルフォンスにぶつかりそうなくらいまで下がってしまったので、とにかく前に出さなくては。鞭を使ったら跳ねるかなと思い、強く蹴って前に出すと、少しでも近づきたくないらしく、右側のふたりを避けるように左側によれていきます。ここでモンブランの行きたいように行かせては、彼のためにならない。何がなんでも右側に向かって歩かせるぞ、と右の手綱を強く引き、左の手綱は張って前に出します。どうにかちゃんと蹄跡に戻すと、ちゃんと走り始めました。次の周ではもう怖がらず、ちゃんと走ってくれたのですが、あとからK野さんに「ああいうときは、ちゃんと叱らなきゃダメですよ」と言われました。確かに反抗されたのだから、跳ねられてもあそこで鞭を使うべきだった。

速歩の正反動をとっていると、K野さんから「太ももで乗らないで下さい、座骨で乗るんですよ」という注意を受けます。ふとももで乗ってる?太ももに力が入っているという意味かな。太ももの力をできるだけ抜き、座骨で鞍に乗っているつもりになります。ですが、すぐ太ももで鞍を挟んで体を支えようとしている自分に気がつきました。
さらに正反動を続けていると、「背中に力入ってますよ、もっとぐにゃぐにゃにして」と、K野さんが手のひらを立ててぐにゃぐにゃと動かすゼスチャーをします。

「全員とまーれ」前にI野先生に習ったように、脚で締めながらゆっくり手綱を引くと、モンブランは3拍で止まりました。よし、今のはいい停止だぞ。
「じゃあ手綱を伸ばして、沈静してください」ありゃ?もうそんな時間だったか。
手綱を伸ばして歩かせていると、K野さんが「沈静化のときは、順番守らなくてもいいですよ」と言うので、それぞれの馬の歩き方に合わせて抜いたり抜かれたり。そのうち、凍結防止剤をこちらの馬場でも撒き始めました。さっきのようなことがないよう、できるだけ地面に近い低さで撒いてくれているのですが、それでもそこに近づいていくと、じーっとそれを見ているモンブラン。やだなぁ、これじゃ手綱をきちんと保持していないとすぐ跳ねそう。いったんはそれを避けて輪乗りをしましたが、馬が嫌がっているから近づかないというのでは、こいつのためにならない。ほとんど巻き終わったときに、わざとそこを踏みに行きました。モンブランは相当嫌がっていましたが、ゆっくり見せながら歩かせると、どうにか通ってくれました。

馬場中央に馬を並べ、挨拶して下馬。
モンブランは午後もお仕事があるので、蹄の裏掘りだけして馬房に戻します。ちょうど昼飼いの時間で、いつもなら馬房の前に飼い桶が置いてあるのですが、今日は馬房からちょっと離れたところにおいてありました。そのままモンちゃんを馬房に入れると、モンは「ゴハンの時間なのにゴハンが置いてないっ!ゴハンは?オレのゴハンはどこだー!」と、壁を向いては前掻き、後ろを向いては前掻き、ついに前掻きしながら馬房の中を1回転してしまいました。あんまりバカっぽくて面白かったので、そのまま見ていようかと思ったのですが、午後の仕事に差し支えるので、飼い桶を運んできてやると、ものすごい勢いで鼻を突っ込んでいました。

あさっての試合に向けて、最終の打ち合わせ。I野先生によると、「どうも八王子さんではみんな拍車を使うらしいんだ。馬が拍車がないと動かないかもしれないな」つねに拍車の強い刺激で動かされている馬だと、脚だけでは反応してくれないかもしれません。「でも私、拍車使ったことないんですけど」「丸拍車なら、そんなに効かないから。とりあえずママさんに借りたのをCちゃんが持ってるから、それを付けよう。いらない馬なら外せばいいし」試合当日にいきなり、今までやったことのないことをやるっていうのは、あんまり気が進まないな…。
オーナーやママさん、倶楽部の仲間達に激励されつつ、この日は帰路につきました。

↓日の出乗馬倶楽部の馬場
日の出乗馬倶楽部の馬場

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