←76鞍目 77鞍目・いつ、あのレベルまで
(2002.7.27 山梨・ララミー牧場)
78鞍目→
タニノクラテ速歩
手前の芦毛は相方とシルバーラド(純アラブ)
その前が私とタニノクラテ、その前はスタッフ先導馬
今日は山梨県馬術競技場で行われる、八ヶ岳ホースショーへ。日の出乗馬倶楽部から、インストラクターのK野さんと、会員の4名が出場するため、応援とお手伝いに行くことにしました。いずれ自分が競技会に出るときのために、勉強も兼ねて。
もともとララミーとご縁のあるI野先生と、日の出の仕事の傍らララミーで研修しているK野さんのつてで、選手のみなさんは前日からララミー牧場で練習し、宿泊。前日は金曜日だったので、私と相方は仕事を終えてから現地へ。結局ララミー牧場へ着いたのは深夜12時をわずかにまわったところ。翌日が早いのに、かえってご迷惑をおかけしてしまいました。

翌朝は8時からすずらんカップ(H50障害)。K野さんと、選手2名が出場します。
K野さんは4位入賞しましたが、選手2名はそれぞれ落馬、3反抗で失権となりました。馬が貸与馬で、自馬を連れてきている人と対等に戦うという不利があったけど、自分から見たらものすごくレベルが上の先輩でも、競技会となるとふだんあり得ないようなミスをしてしまうんですね。自分があのレベルに到達する日が来るなんて信じられなくなりそう。
みんなで応援したあと、お昼のお弁当が出るまでほかの馬場や障害の競技を見学。このホースショーはブリティッシュとウェスタンの競技を同時進行でやっているので、ウェスタンの馬場が見えるところに移動してお弁当を食べましたが、ウェスタンのルールが分からないので、競技を見てもおもしろさが分からなかった。結局ブリティッシュにしか興味がないのかも。

残りの競技は全乗振3級の検定試験。これは競技会の全種目が終了してからになるので、始まるまでかなり時間があります。ララミー牧場の宿泊部屋に戻って休憩することにしました。
ゆうべ暑くてあまり眠れなかったので仮眠をとって、結局また暑くて目が覚めてだらだらしていると、選手のみなさんが「高階さんたちは、ここでのんびりしてるくらいなら馬に乗せてもらえばいいじゃないの」と言い出しました。「K野くんはここの半従業員みたいなもんだから、K野くんに聞いてOKが出れば乗れるんじゃないの」と言われて、けっこうその気になってK野さんに聞いてみると、「いいんじゃないですか、今日お客さん少なそうだし、受付で言えば乗れますよ」「メットないんだけど」「大丈夫大丈夫。靴だって普通の靴でいいですよ」馬のいるところなので、なんとなく格好としてキュロットとショートブーツを履いていたし、チャップスも持ってる。「なぁんだ、乗る気まんまんだったんじゃないの」とみんなに冷やかされつつ、乗馬受付へ。

クラブハウスの中でオーナー夫人に「乗馬の申し込みってこちらですか?」と聞くと、「はいはい、レッスンですか?30分でいいですか?」とすぐにスタッフに指示してくれ、すぐに乗れることになりました。「馬は乗ったことがありますか?」と聞かれたので、「はい、えーと50鞍くらい」とサバを読んでみました。だって、うっかり75鞍とか言っちゃって「75鞍でこの程度?」とか思われると恥ずかしいじゃないですか。
「鞍はどうします?」「え、鞍って?」自前の鞍なんかは持ってませんが。「ブリティッシュとウェスタン、どっちがいいですか?」あ、そういう意味ね。「ブリティッシュがいいです」
「じゃあ、すぐ乗れますから。先にお支払いをお願いします」
いったんクラブハウスに戻って、グローブをM野さんに借り、チャップスや帽子とお財布を持って馬場に出ると、先に相方が私の分もまとめて払ってくれていました。30分のビジターレッスンで3500円、安いですね。
「馬を出すから、覆い馬場に行ってて下さいって」覆い馬場は、以前のララミー牧場競技会の部班競技で使ったところです。全天候型の馬場、雨のときはもちろん、今日みたいな暑い日はずっと日陰だから楽そう。

チャップスを履いて準備して、M野さんがカメラを預かってくれ、覆い馬場に向かいます。ちょうど馬装をされて馬場に引いて行かれる馬がいて、あれに乗るんだろうなきっと。
馬場に入ってみると、芦毛の小さめの馬と、鹿毛の大きめの馬が並んでいました。「おふたりとも経験は同じくらいですか?」「はい」「じゃあ、男性のかた白い馬で。女性のかたはむこうの馬」あら、私のほうが大きい馬なんだ。
鹿毛の馬に近づいてみると、けっこう大きめ。「踏み台要りますか?」「はい」ララミーの踏み台はビールケースではなくて、ちゃんとした階段型のプラスチックのもの。そういえば競技会のとき、この踏み台を中心に巻き乗りの練習したっけ。
鐙の長さを合わせて、踏み台を使って騎乗。またがってみると、やっぱりでかいわ。またがった感じがどっしりしているというのか、幅がある感じ。
騎乗すると、もう1頭男性の乗った馬が前にいて、「この馬について蹄跡に出てください。女性のかた先で、男性のかた後で」どうやらこのレッスンは、スタッフの方に先導してもらいながらやるようです。こういうレッスンは初めてだな。今日の指導員は、私より少しだけ年上かな、という感じのてきぱきした女性です。

ビジター用の馬は重いことが多いので、この馬はどうかなー、と思いながら発進の合図を送ってみると、軽い扶助で歩き出しました。徐々に脚を使いながら歩かせてみると、どんどん歩く。1完歩が大きめということもありますが、この馬なら先週言われた「常歩は1分110メートル」ができるかも。ちょっと前の馬から離れたなー、と思ったら脚を使えば、すぐ元気に歩いて追いついてくれます。
でも相方の馬は重かったらしく、距離が開き始めました。私は前の馬に追いついてしまいそうなこともあって、隅角を大きめに回って距離をかせぐことにします。隅角にきたら内方脚を使い、外方の手綱を開いて外に出しますが、この子はちょっと外に出るのが苦手みたい。でも素直らしく、ちゃんと蹄跡から10センチくらいは外に出ようとしてくれるんだけど、出ても蹄跡に戻っていくのが早い。
巻き乗り、手前を換えなどは素直についてきます。うわー、乗りやすいわ、この馬。ロッキーがガタイが良ければこんな感じかな。

さて速歩。速歩発進も、脚と少しの舌鼓で簡単に出ました。あまり追わなくても速歩が持続するので、軽速歩の姿勢に集中して乗ります。・・・なんか、我ながら日の出で乗ってるときよりも姿勢が良くないか、私?前回の競技会でも先生からそう言われてしまいましたが、いつもと違う場所、違う指導員、違う馬だと、わずかな緊張がかえって効果あるのかも。
「じゃあ速歩に落としてみましょう」
軽速歩から速歩に落としてもスピードが持続する子で、楽だなぁ。「2番のかた(私の馬が2番目を走っているので、私のこと)、もっと肩後ろです。自分で思っているより、もっと倒してください」言われて、肩を後ろに引いて体を倒します。「まだです、もっと後ろ。もっと。頭も後ろに引いてください」 自分の感覚としては、もうひっくり返ってしまいそうなくらいなんですが、「そう、そこまでやってやっと真っ直ぐですよ」ここか!もう私、今ぜったいアゴの下にしわ寄ってるよ。これだけ肩と頭を引いて馬に乗るには、ものすごく腹筋と背筋が必要なんではないか。今までの自分の姿勢は何だったの、って感じ。
この状態だと脚が前に出てしまいやすいし、ついていくのはものすごくしんどかった。

常歩に落として、指導員さんが「どこまでやったことあります?速歩とか、駈歩とか」と聞いてきたので「駈歩・・・は、2〜3回、ちょっとだけ」と答えると、後ろから相方が「え、5〜6回やってない?」あほ、なんで正直に答えるんじゃ。私はサバ読んだんだよ。
「じゃあちょっと駈歩やってみましょうか。ダメだったらすぐやめますからね」う。知らない馬での駈歩、ホントに大丈夫なのかなー。しかも今日、ヘルメットかぶってない。
「あの、サドルホルダー持ってもいいですか?」「どうぞどうぞ。あ、それならホルダーじゃなくて、毛布のところを持ってくれたほうがいいかな」鞍の下に敷かれた毛布の端っこが、サドルホルダーよりも前にあります。たぶんサドルホルダーだと手綱が長くなってしまうので、毛布の位置のほうが短く持てるということでしょう。外方だけ、その毛布の端っこを握って、内方の手綱を控えます。
「じゃあ外方の脚、今右足ですね、ちょっと引いて。駈歩しますよ」
体勢を整えて、かかとで馬の腹をこすりあげてみると、あっさり駈歩が出ました。えー、こんなに軽くていいの?かえって怖いような気も。
駈歩になってみると、この子、駈歩の動きが大きい。ぐおん、ぐおんとうねるような駈歩で、お尻が跳ねまくり、ちっとも彼の動きについていけない。K野さんに前回言われた、腰とふとももで馬の動きについていくというのを試してみようと思ったけど、ほとんどついていけてない。
鐙も今にも外れそうだし、ということは全然踏めてないし。

しかし先導馬がいるからか、この子は駈歩がとっても持続します。こんな、5周も6周も続けて駈歩したのなんか初めてです。少しこの子の動きに慣れてきたので、試しに毛布を握っていた手を離してみます。やっぱり反動に体をもっていかれそうで、バランスを崩したら即落馬しそう。半周で諦め、また毛布をつかみます。
でもこの子の駈歩は、いきなりどっか行っちゃったり、ぶっとんじゃいそうな不安感はないな。安心して乗っていられる駈歩ではあります。
気がつくと、馬場の入り口にK野さんがいて、観覧席にも日の出のみんながいます。K野さんがここの指導員さんと何かしゃべってる。K野さん、ふだんの行状ばらさないでねー。

一度速歩に落とし、手前を換えて、反対手前の駈歩。この子はどっちの手前が苦手ということもないらしく、左手前でも安定して駈けてくれます。しかし動きが大きいのは変わらず、やはり毛布の端っこを握ったまま(あかんぼか、私・・・)の駈歩。今にして思うと、競馬でいう「ストライドの大きな駈歩」っていうのは、ああいうのをいうんじゃないのかな。
先導馬のスタッフさんは絶えず後ろを気にしながらスピードを調節してくれているようですが、馬もときどき後ろを見るんですよ。日の出のウィンダムだったら、「あんまりオレに近づくな」とにらみつけるので振り返ることはあるけど、先導馬のこの子は本当に後ろを心配してるみたい。根っからの先導馬だね、きみ。
左手前でも5〜6周駈けて、常歩に落とし、沈静化。いつもより20分も少ないレッスンでしたが、いっぱい駈歩できて、内容は濃かったです。違う馬場、違う指導員、違う馬だと、ふだんと違うことに気がついたりして勉強になりますね。

ビジターなので馬装解除や手入れはありませんが、スタッフさんが私の乗った子を馬繋場に連れて行ったのを追いかけます。これだけは聞いておかないと、「この子、なんていう名前ですか?」「この子ですか?タニノクラテです」「タニノ?競走馬の経験があるんだ」タニノというのは、最近ダービー馬も出たオーナーの冠号なので、競走馬と分かります。ってことは当然、この子はサラなわけだ。調べてみたら、ちゃんと中央競馬で走っていて、重賞(シンザン記念)4着というのがありました。

選手のみなさんはそろそろ競技場に向かう準備をしています。
私たちもチャップスだけ脱いで、後につづきました。日の出のオーナーも応援にかけつけました。競技場に到着してみると、前の競技の時間が押していて、検定試験は少し遅れて始まりました。
3級の実技試験は、速歩での巻き乗り、横木またぎから、駈歩での巻き乗り、手前変換などが組み込まれた経路どおりに馬を動かすものです。日の出からの選手は全員ミスもなくこなし、筆記試験へ。筆記試験の結果待ちとなりました。
I野先生は、私も来年はもちろん受けるようなことをおっしゃるのですが、来年にはあのレベルに到達しているのかなぁ、自分。頑張ろうとは思っているけど、道は遠い。

タニノクラテ駈歩
ものすごいスピード感のある駈歩写真ですが、
実際にはそんなにスピード出てません。
覆い馬場が暗めなのでシャッタースピードが遅いらしい

今回の撮影はM野さん、検定試験直前だったのにありがとー。
←76鞍目 78鞍目→

乗馬日記トップへ / トップページへtop