←97鞍目 運動会・信じられない結末
(2002.11.10 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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当日の障害馬場
日の出乗馬倶楽部の馬場
倶楽部そばの国民宿舎で6時起床、身支度をして朝食。ローカルとは言え一応競技会なので、白シャツに白ネクタイ(アスコットよりネクタイのほうが好き)、ベージュのキュロットに上らんという格好で、歩いて倶楽部に向かいます。

受付開始は8時ですが、30分前に到着。すでに倶楽部では受付が設営済みで、受付係のみなさんが準備をしています。やばいやばい、私が進行係なんだから、受付係に仕事を指示しないといけない。配馬の抽選がらみで、やっていただくことがたくさんあります。
受付、大会本部の設営、配馬抽選などでバタバタしていると、あっという間に開会式の時間。馬場に出て、オーナー挨拶から始まります。実行委員長のI野先生、招待審査員の都馬連理事Y先生とつづき、競技開始。
第1競技は部班。15分ずつ、レベルごとに8組に分かれての競技になります。自分の出番は5組目なので、そこまでは進行係の仕事。出場する人たちの騎乗補助、馬の乗り変わりの指示など、競技時間の切れ目は想像以上に忙しい。
競技中は、次の馬はどれが出るんだっけ…などと考えるヒマがあるのですが、無性に自分のネクタイの曲がりが気になってきました。結びなおしてみたけど、どうも上手くいかない。「男の人にやってもらえば?」という周りの女性の意見で、Aさんのところまで行って「ネクタイ結んで」と頼むと、根っからおしゃれのAさんは「私の結び方はちょっと他の人と違うけどねぇ」と、きれいに結んでくれました。

そうこうするうちに、あと2組で自分の騎乗の順。馬の入れ替えの都合で、1組分早めに待機馬場に引かれてきたモンブラン。ラッキー、待機馬場で少し練習できるじゃん。K野さんから「たかしなさん、これ」とモンブランの手綱を渡され、他の人の騎乗補助を受けて騎乗。ほかにも数名、同じように早めに騎乗している人がいて、待機馬場を左手前で流しています。隅角を外に出ることが嫌いなモンブラン、今のうちに少し調教しておくか。自然淘汰的に先頭になってしまい、先頭であれば割と外に持ち出せる馬なので、隅角ごとに内方脚で押し出して外めを歩かせ、できれば首をたたいてほめてやるということを繰り返します。
少し運動をさせようと思って、速歩を出すことにします。脚で軽打すると、元気良く首を使い始めるのですが、速歩にならない。舌鼓をしつこく鳴らすと、速歩が出ました。それを見ていた高校生スタッフのあーちゃんが「舌鼓だけで速歩出したー」と大笑い。だって出ちゃったものはしょうがないじゃん。
しばらく抑えめの速歩で周回。隣の馬場では競技をやっているので、できるだけラチから遠くを走らせるようにします。速歩になると、あまり隅角を外に回れなくなる不器用なモンブラン(いや、私の扶助が甘くなるのか)。内方脚で外に押し出しますが、それが効かないときは鞭で、叩かず押し込むようにして外に出すようにします。
「常歩に落とせー」と、待機馬場に控えているスタッフ達から指示。止まってみると、「待機馬場で運動ダメです」ということ。さっきは何も言われなかったので、今先生達から指示が出たのでしょう。隣の競技馬場に影響を与えるからかな。それなら、常歩でできることをやっていよう。
モンブランを歩かせていると、「たかしなさん」とM田さんが呼ぶので、「何?」と寄ってみると、小さい声で「隅角きっちり」とアドバイスでした。「うん、ありがと」彼とは一緒にグリーンカップに出ましたが、あのときは隅角をきっちり外めに回ったほうが点数が良かったんだよね。

前の部班が終了し、自分たちの番です。前の部班で使っていた馬に乗る人もいるので、待機馬場で彼らが騎乗する間は待機。
放送係(も、会員のN子さん)から馬の名前と騎乗者の名前を呼ばれ、その順番で入場。モンブランは1番手です。待機馬場から競技馬場へ出て、そのまま馬場中央に入ろうとしたら、I野先生から「蹄跡1周して、そこから中央に入ってこい」という指示。左手前の常歩で1周してから、馬場中央に並びます。うぅ、こういうときの先頭ってけっこう責任重大。いくらグリーンカップで経験しているとはいうものの。
馬場中央で開始の挨拶、審査員のY先生、K野さんに向かって敬礼。一応、競技会での正式の敬礼(右手を軽くヘルメットのつばにかざし、そこから右斜め下にぴっと振り下ろすというもの)をします。
号令はI野先生。「1番から蹄跡へ」いつものように、左手前の常歩で蹄跡に出ます。先頭モンブランは私、ロゼッタ、美星、ハイセイコーJR、ホクト、ダンスと全頭が蹄跡に出ると、「番号確認」の声に、私から「1」「2」「3」「4」「5」「6」。
「順次、巻き乗ーり」先頭だから、「順次」か「各個」か、というのを緊張して聞き、6頭部班だから大きめに巻き乗り。巻き乗りでは内に入りたがるモンブランなので、できるだけ手綱は操作せず、内方脚で蹴るだけにします。
「蹄跡より、速歩すすーめ」速歩は簡単に出ましたが、なんだかちょっとやる気なさそうだな。昨日K野さんに教えてもらったように、脚を入れながら手綱を控えて歩度を詰め、座る努力をします。ちょっと詰めすぎたのか、止まりそうになる。「先頭もっと元気良く」あぁやっぱり言われてしまった。

軽速歩をとって走らせますが、どうにもモンブランが素直じゃない。さっき待機馬場ではできていた、隅角を外めに回るのも上手くできないし、斜め手前変換で線上から蹄跡に出るのも、自分で勝手に早めに曲がり始めたりします。早めに曲がるということは、あまり早くから曲がる指示を出しちゃいけないんだな、と思い、次の斜め手前変換では線上から蹄跡にぶつかるぎりぎりまで指示を出さないことにします。真っ直ぐ行くように手綱は固めていたつもりでしたが、やはりモンブランは早めから勝手に曲がろうとしました。しかも、逆方向に。何やってんのよー、とあわてて正しい方向に誘導しましたが、モンブランは反抗的。あーあ、今ので点数はかなり落ちたな。なんだか鞍上を試しているようなモンブランの態度、ちょっと腹が立ってきた。

「常歩に落とせ」という先生の声に反応して、勝手に歩度を伸ばそうとするモンブラン、このバカっ。蹄跡で停止し、先生の説明を受けます。
「いいですか、1頭ずつ発進、まず軽速歩で出て、A点で巻き乗り、またB点で巻き乗りして、列の最後尾まで着いたら停止。そしたら2番目の馬が出ます」いつのまにか、蹄跡のそばにA点とB点の看板が置かれていました。先生の説明を聞いている間も、じっとしていられなくて前に出ようとするモンブラン。抑えようとすると、バックしてしまうし、ちょっと落ち着いてちょうだいよ。
先頭の私から、まず1頭で発進。速歩発進はうまくでき、軽速歩でA点間で。A点から速歩に落とし、巻き乗り。速歩の巻き乗りでは常歩に落ちたがるモンブランを内方脚で蹴りまくって、なんとか速歩のままで巻けました。蹄跡から軽速歩、すぐB点。B点の巻き乗りもまぁまぁの出来で、残りの軽速歩はちょっと歩度を伸ばし、最後尾のダンスの後ろで停止。
1頭ずつ、順送りで同じ運動をしますが、他の5頭を待つ間、モンブランがじっとしていられなくなってきました。1頭が出たら次の馬がスタート点に出て、後ろの馬は少しずつ前に詰めていくわけですが、モンブランはどんどん出たがります。それじゃ前のダンスくんにぶつかってしまうので、「じっとしてなさい」と手綱を控えるのですが、停止したと思って手綱をゆるめてあげると、また前に出ようとする。結果的に手綱をずっと固めていることになり、モンブランもイライラしてきたみたい。何度目か、「モンブラン、どうして言うこと聞けないのっ」と叱ったとき、彼は前脚をダン!と馬場に打ち付けました。かなりイライラしてるんだろうけど、私も怒ってるのよ。ふざけんじゃないわよ。
停止がいやで、動きたくてうずうずしているモンブランと怒っている私を見かねてか、先生が「そういうときは巻き乗りしなさい」と小さな声で指示してくれました。なるほど、ちょっと動かして気をそらせてやれば落ち着くかしら。小さな巻き乗りをしようと列をそれると、後ろのロゼッタに乗っていた人は、私が何をしようとしているか分からなかったらしく、私の抜けたところを詰めようとしている。「そこまた入るんで、空けといて下さいっ」と声をかけて(いや、怒ってたから、向こうは怖かったかも…)止まってもらい、小さな巻き乗りをして列に戻ります。一瞬だけ落ち着いたように見えたモンブラン、またちょっとすると前に動きたくて出たり、控えられるとバックしたり。仕方ないので、また巻き乗りをします。
全頭の順番が終わり、最後に少し停止から速歩発進をして、競技は終了。モンブランの出番はしばらくないので、馬繋場に連れて帰ります。
「お疲れさまでしたー」と出迎えてくれたEさんに「もー、私今日はモンブラン嫌いになったかも」と言うと、私より前の組でモンブランに乗っていたEさんは「やっぱり今日わがままでしたよね?」あー良かった、私だけじゃなくて。あとで同じ部班にいた人に聞くと、「背中から怒りのオーラが出てた」って…

部班競技は時間がかかるので、すべての組の競技が終了するともうお昼です。あらかじめ申し込んで置いたお弁当をかっこみ、次の競技の準備。次は玉入れ競技、まず馬場の設置。
この競技、自分は出ませんが馬の取り替えが激しいので、ずっと待機馬場と馬繋場を走り回り、出場者の騎乗補助や馬の出し入れの指示をしていました。
速歩班の玉入れはのどかな競技でしたが、駈歩班になると激しい競り合いになります。そんな中、私が馬付きをしたウィンダムは全然やる気がなく、駈歩すら出しませんでした。けっこう競争好きな性格だと思ってたんだけどな。

次の競技は巻き乗りリレー。5人1組になって、バンダナをバトンにして2頭の馬を取り替えながら、巻き乗りのコースを踏みます。全てのレベルの人を1組にしてあるので、5人のうち最初の1人は曳き馬、途中の3人は速歩、最後の一人(リーダー)は駈歩、というルール。私は4人目になっています。
私たちの班に当たった馬は、美星とウィンダム。リーダーだけ駈歩の権利が与えられているので、リーダーM野さんに「駈歩出しやすい馬選んでくれれば」と言うと、「どっちでも大丈夫」という答え、さすが倶楽部で1・2を争う上級者。M野さんが美星を選んだので、私はウィンダム。最初の1人の曳き馬を誰が曳くかという人選も必要なのですが、最初M野さんが「私が最後だから、私が曳くよ」と行ってくれたんですが、「駈歩の人は最期の追い込みのために体力温存しといてよ」ということで、私が曳くことにしました。

第1走者を乗せた美星ちゃんに引き手を繋ぎ、競技開始。舌鼓を鳴らしながら美星ちゃんを曳くと、けっこう簡単に速歩が出ました。
今日の運動会のために砂を追加した馬場は、馬の脚には優しいけど、人間が走るのには向きません。コースにはパイロンが置いてあって、往路で2回、復路で1回の巻き乗りをするのですが、復路の巻き乗りを美星ちゃんは通り過ぎようとしたので、「こっちーっ」と引っ張って巻き乗り。ようやくゴール地点に帰ってきて、2番手のウィンダムにバトンタッチ。もう息が切れてしまいましたが、まだ自分の騎乗が残ってる。
3番手は美星、4番手の私はウィンダムに乗ります。つまり、2番手の人が帰ってきたら、3番手の人を送り出すと同時に、4番手の私はウィンダムに騎乗し、準備しなければなりません。
2番目にウィンダムに乗っていたNさんは私よりだいぶ体が大きいので、当然鐙の長さが合いません。とにかく騎乗して、鐙を合わせていると、もう3番手の美星が帰ってきそうな気配。
鐙の長さだけはなんとか合わせられましたが、金具が足に当たらないように小あおりの下に隠すところまでは余裕がなく、そのまま発進。走り出してみると、ウィンダムったら実にやる気がない。がんがんに蹴っているのですが、のーんびりした速歩しか出ない。ようやく往路1つ目のパイロンにたどり着き、「ほらウィンダム、巻き乗りだよ、得意でしょっ」と内方脚で気合いをつけると、それはもう得意げに小さな小さな巻き乗りをしてみせるウィンダム。よくパイロン倒さないな、ってくらい、ほとんど旋回に近い巻き乗りです。往路2つ目のパイロンも、似たような調子。隣の組の走者はうちの相方らしく、後ろから馬に気合いをつけている声が聞こえます。くそー、相方だけには抜かれたくないぞ。折り返して、最後のパイロンまではちょっと距離があるので、そこまでは歩度を伸ばそうと思ったのですが、なかなか伸びない。ついに相方に抜かれてしまった。どうにか復路のパイロンを巻き、ゴールと同時にバトンタッチしてM野さんへ。しかしいくら彼女でも、タイムの遅れはカバーできませんでした。

次の競技はジムカーナ。経路の設置に男性陣がかり出される中、ちょっと休ませてもらいます。どうも自分の仕切り屋な性格が災いして、必要以上に走り回っているうちに体力を使い果たしてしまった…疲れ果てて、気がつくと笑顔が出ていない。いかんいかん、と首を振った私の目に飛び込んできたのは、角砂糖。誰かが馬へのごほうびとして用意したのであろうそれを、1個だけ失敬しました。
いやー、疲れた時ってホントに糖分効くんですね。これでけっこう元気になりました(いや、甘いもの好きなだけか…)。

ジムカーナは自分はエントリーしていないので、ゴール地点での旗振り係を買って出ました。あとから考えると、これは進行係の中で一番楽な役回りだったのですが。
馬の鼻先がゴールラインに入ったと思った瞬間、振り上げた手を下ろす、というものですが、その分競技をじっくり見る時間がありました。あんまりジムカーナに慣れていないうちの馬たち、経路をまったく踏もうとしなかったり、反抗したり。当初の予定では初心者から競技をする予定でしたが、I野先生の判断で速歩の上級者から競技開始。上級者が馬を慣らして初級者に下ろしていく、という形になりました。
それでも拒止する馬が続出し、特にドラム缶が両脇に置かれた通路などは、どの騎手もかなり手こずっています。ついに手の空いた人による曳き馬可、ということになりました。同じ進行係であるIさんやうちの相方、お手伝いを買って出てくれたT夫人など、馬を曳いて走り回ることになり、あれはほんとに体力使っただろうなぁ。

さすがに駈歩班のジムカーナでは曳き馬はありませんが、速歩班で出さなかった馬を出したりもしているので、馬が慣れていないことには代わりありません。昨年の優勝者Aさんがダンスくんで手こずったり(そりゃ、5歳のダンスくんにとってはジムカーナの経路なんて、パニックに相当したに違いない)、上級障害にも出る予定のKさんがハイセイコーJRでクランク(横木を並べて作った、直角のある通路)に進入したところ、JRがコースの仕切りであるはずの横木を飛越してしまったり。
さまざまな見せ場を作ったジムカーナも終了が近づき、最終競技の障害がもうすぐです。

すぐに馬に乗れるように、プロテクターを装着した上から上らんを着ていましたが、陽が傾くにつれて寒くなってきました。寒いわ、障害競技が近づくにつれて緊張が高まるわ、もう泣きたい。だいたい、今日で障害飛ぶの5回目なのに、競技に出るなんて大間違いだったんだ。着々と障害の設置が進む馬場で、「なんであたしここにいるのー、棄権したいよぅ」と大騒ぎしていると、Kさんが「たかしなさん、始まるまでこれ着てっ」とジャンパー持ってきてくれました。M野さんが「トイレとか行ってくれば?」と言えば、あーちゃんが「あー、M野さんがたかしなさんをトイレの裏に呼び出しているっ」と突っ込んだり、私の周りはかしましい。みんな、私の緊張をほぐそうとしていろいろな冗談を言ったりしてくれるのですが、やっぱり顔が引きつっていくのは隠せない私。

障害設置が終わり、障害を飛ばすのが難しいコスモだけ、K村さんによる下乗りが行われました。それが終わると、ついに自分の乗る馬を引き出し、騎乗。初級障害は、馬を変えて2回走行し、合計タイムと総減点で競うことになっています。私の乗る馬は、1回目の走行はハイセイコーJR、2回目はアルフォンス。日の出乗馬倶楽部の1番の障害馬と、2番目の馬です。
初級障害に出場する5名のうち、私とCちゃんだけが女性なので、飛びやすい馬に当ててもらったようです。男性陣は、なかなか飛ばないコスモ(本当は馬術馬だから)、飛ぶけど動きが大きいホクト(しかもトロッター)、最近飛び始めたばかりのジュンヨーと、障害向きとは言いにくい馬ばかり。
まずJRに騎乗して、待機馬場で輪乗り。うーん、なかなか速歩が出ない。前回のレッスンでは長鞭を持たされたけど、障害競技では短鞭が本式なので、今日は短鞭。あのときは、JRを全く動かせずに完敗だったので、今度は前に出して行こう。
ようやく速歩で走り始めたとき、練習走行の許可が出たらしい。1番手、アルフォンスに騎乗したCちゃんから練習走行。アルが第2障害を飛んでから、「次、2番手行きなさい」の指示。2番手はJRと私です。JRを障害に向けると、常歩に落ちてしまいました。とにかく障害に向けて、脚と声で気合いを付けながら入ろうとしたのですが、常歩のまま飛越。そのまま大きく回って第2障害へ…と思いきや、大きく回りすぎたのか、JRは思いっきり左へ進んでいき、第7障害のほうまで行こうとします。おーいどこ行くの、と右の手綱を思いっきり控え、内方脚を使いますが、JRも力いっぱい反抗する。こうなると体の大きいJRを力でねじ伏せるのは難しいのですが、どうにかこうにか右へ向けて曲がらせ、遠回りだったけど第2障害へ。ここもほとんど常歩で飛越しましたが、飛越の後に少し速歩が出たので、その勢いで第3障害へ。障害の前でいちいち止まりそうでしたが、なんとか障害へ入れ、第6障害。ここは練習のときは横木だったんだけど、今日は高さがついている。高さと行っても30センチ程度のもの、ここは馬を信じて馬なりに飛んでもらおう、ととにかく障害へ真っ直ぐ入れることだけ考えて飛越。ちょっと高さが出てしまい、バランスを崩しましたが、JRの首に抱きつく形で持ちこたえると、すぐ最終障害。最後はうまく行った、と思ったら、「飛んじゃだめだよー」と後ろでスタッフが言っています。は?「今の練習だから、2つ目までしか飛んじゃいけなかったんだよ」えっ?緊張のあまりか、そういう事前注意は耳に入っていませんでした。ありゃりゃ。

いよいよ本番。Cちゃんとアルフォンスの飛越が危なげなく終わり、私の番。スタート地点の前で少し大きめに回って、少しでも前から速歩を出そうと思い、大きめに回っているうちに開始のベルが鳴ってしまいました。あわててJRを蹴るのですが、速歩が出ない。焦って速歩を出そうとしていると、「スタートしてください」と放送でうながされ、えぇいままよ、このまま出てしまえ。常歩のまま第1障害へ向け、脚で蹴りますが、JRはおっとりと第1障害を常歩でまたぎました。障害を越えたところから舌鼓と脚で追うと、飛越の勢いもあってようやく速歩に。第2障害は速歩で飛越できました。
第3障害に向かう前、方向転換しようとすると常歩に落ちそうになるJR、ここで常歩に落とさせてたまるもんか、と腹にムチ。常歩に落ちかけていたJRが、また速歩が出ました。「よしっ、そうだ」とI野先生の声、今のはムチのタイミングを褒められたんだろうなぁ。第3障害は飛越ではなく、障害の中央を開いた真ん中を通過する形での横木またぎ。狭いところに入るのがイヤなJR、ちょっと左右に迷う素振りを見せましたが、手綱を固めて脚で軽打、なんとか障害に入りました。第4、第5障害も同じような形なので、どうしても迷うJRをなんとか障害に入れます。
第6障害、ここまで来たらあとはJRを信じて飛ぶだけ。ちょっと障害の端にそれて行こうとしたので、手綱でJRの顔を障害に向けてやると、あとは自分でふわっと飛んでくれました。あと1つ、行くよJR。 ここはJRが自分から障害に向かってくれて、きれに飛越。最後までなんとか通過できました。

他の選手の競技の間、待機馬場で輪乗りして待ちます。うちの相方はコスモに乗っていて、K村さんが「今日は飛ぶよ」と太鼓判を押してくれたんですが、第1障害で拒止。再度やり直しましたが、やはり障害の前で拒止します。3たびチャレンジ、「軽速歩で行け」とのI野先生のアドバイスもむなしく、やはり拒止。これで3反抗、失権になってしまいました。
5人の選手が1巡し、馬をとりかえて2回目の走行へ。私はアルフォンスに乗り変わり、今度は1番手です。今までの障害レッスンのほとんどを一緒にやってきたアルフォンスだから、少し気持ちが軽い。アルフォンスの鞍は以前乗ったときと違っていて、鐙のゴムが馬体に向かって傾く形。これだと足の裏が自然と内側に傾き、ふくらはぎがしっかり馬体に添う感じ。すっごく安定感がある。
開始のベルが鳴り、舌鼓とともに蹴ると速歩が出たので、そのまま第1障害へ。きれいに速歩で飛越、そのまま第2障害へ向かうとき、ちょっと回り方が小さすぎたかなと思いましたが、それも難なく飛越。第3障害はJRほど迷わず進入してくれ、第4、第5と通過。第6障害、この馬、自分から向かってる。最終障害、ここで落馬でもしたら格好悪いので、気を引き締めて、「頼むよアル!」ああ、全部飛べた!ゴールを通過し、思わず馬上からアルの首を抱きしめるようにして叩き、愛撫。さすがお前は、日の出で一番の障害馬だよ。

そのあと、他の選手を待つ間輪乗り。自分はもう終了しているので、手綱も長めにして馬を歩かせます。自分の次の順、ハイセイコーJRに乗っているCちゃん、輪乗りの向こうで第3障害に向かったな…と思っていると、あれ、また同じところに戻ってきた。ってことは、第3障害切られたか。JR、あそこに入るのいやそうだったもんな。
さらに、Sさんがコスモにやはり第1障害で拒止され、3反抗失権となりました。この時点で、Sさんと相方は1走行失権してるわけだから、4位と5位に決定。ということは、自分は3位にはなれるな。

すべての競技が終わり、クラブハウスへ。まだ閉会式が残っているので着替えるわけにもいかず、「お疲れさまでしたー」「はい、ホントに疲れましたー」なんて会話を交わしながらクラブハウスの外で待機していると、クラブハウスの扉が開いて、後ろから肩を叩かれました。振り返ると、記録係をしていたQさん。「いいこと教えてあげようか、きみ初級障害1位だよ」「…はぁ?」「ほら、タイムは最低なんだけどさ、減点なしで1位なの」採点表を見ると、私の合計タイムは171秒。駈歩で飛んだM田さんなんかは100秒を切っていることを考えると、とんでもなく遅い。でも確かに、コスモに乗った2人をのぞく3人のうち、M田さんは落下があったし、CちゃんはJRにひとつ障害切られて1反抗とられてるし…私って減点なかったんだ?
「マジで?さいしょ常歩で飛んだのに?」「でもそうなんだよ」なんだか嬉しいというよりも、こんなこともあるのか、とおかしくなって大笑いしてしまいました。「アルとJRに何を貢いだらいい?リンゴかな」「そうだね、それがいいかもね」どう考えても、減点がなかったのは倶楽部で1番と2番の障害馬であるアルフォンスとハイセイコーJRのおかげ。

この後の表彰式。初級障害の表彰まで、ちょっと半信半疑でしたが、「優勝、たかしなさん」と言われた瞬間、大笑いしてしまいました。だってやっぱりおかしかったんだもん、こんな大どんでん返し。どう考えても馬のおかげとビギナーズラックで障害は勝たせてもらいましたが、部班競技がさんざんだったので、やっぱり馬場馬術をきちんとやっておきたいな、とまた新たな目標ができた運動会でした。

なんとこんなにりっぱな盾が。
優勝盾

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