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(2004.4.18 山梨・ララミー牧場)
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キョウトくん
部班、キョウトくんと。
鐙が長いのが災いして、かかとが上がっちゃってますね。
脚の引きかたにも問題があるようだが。

ちなみに背景に見える松林の向こうが、
エンデュランスで走った野外コースです
ララミーでの運動会に備えて、近隣のペンション大泉高原牧場フリースペースに宿泊していましたが、ここは何しろ乗馬施設である上、ペンションのオーナーとララミーのH先生は義兄弟のような間柄。当然フリースペースからも運動会に参加しています。しかも馬連れで。
そんなこんなで、オーナーと少年団の子供達は早朝から馬運車に馬を積んで、ララミーに行ってしまっています。おかあさんが朝食を準備してくれているので、私たちは7時に朝食をとり、Aさんの車でララミーへ。

日の出の選手団(って大げさな!)は8時にララミー集合。今日はI野先生とO先生が引率&監督です。
私は今日は、駈歩部班と駈歩ジムカーナに出場予定。しばらくして、第1競技の部班競技の馬匹抽選が始まったので、本部席に行ってくじを引きます。私が引いたのは「キョウト」。やったー、4級検定で乗った馬じゃん! ちょっとだけ駈歩が出にくかったけど、あのときは全然座れていなかったから、あれよりはちょっとマシになっているはず(と思いたい)。
駈歩が出にくかったという記憶があるので、一応棒拍車と長鞭で出ることにしました。部班競技は、覆い馬場で速歩班、屋外馬場で駈歩班で同時進行します。私(というか、日の出の駈歩組全員)は3班目。自分の前の班を見ていると、競技の前にけっこう長く練習時間をとってくれているようで、10分くらい3歩様ともやっていいらしい。安心した。

前の班の競技が終わったので、馬場の中へ。私がキョウトくんだと思って目星をつけていた先頭の馬はどうも違うらしく(だって毛色も体格も似てたんだもん…)、先頭から4番目あたりにいた馬に乗っていた男性が「これキョウトです」と言っている。あら、あっちだったか。
昨日H先生に「もう1穴鐙が伸ばせる」と言われたことを思い出し、自分の思うより1穴長めに鐙を調節。15分だけ我慢できればいいわけだから。そうしているうちに踏み台を持ってきてもらえたので、騎乗。うーん、かなり長めだけど、鐙に足がかからないわけじゃない。ちょっとかかとが踏み下げられないが、えぇい、馬場は見栄のスポーツだ。
「準備ができた人から、右手前で蹄跡に出て練習してください。速歩も駈歩もしていいですよ」という指示で、とりあえず蹄跡に出ます。

少し歩いて、前にいた馬が速歩になったので、私も速歩を出して軽速歩にします。昨日のカイザーほど軽くはないけど、まぁ問題なく動かせるだろう。検定のときの乗りごごちとか、全部忘れちゃってるな。
軽速歩で馬を動かしていると、「鐙とか合わせたい人は、今のうちに中に入ってきて調整してくださいね」とスタッフさんの声。それに応じて前を走っていた日の出のKさんが、私を振り返って「入るね」と言って隊列を外れました。
「そろそろ駈歩もやってみてください」とスタッフさんの声がし、先頭の馬から駈歩になっていきます。自分の前にいるHさんが駈歩になったのを確認し、私も駈歩発進。おお、軽い軽い。…うわ、軽いどころじゃなくて、引っかかっちゃった。馬がびゃっと駈歩に飛び出し、前のHさんの馬を抜こうとします。しかも内方の鐙外れちゃったよ。Hさんがすこし慌てた声で「大丈夫!?」「うん、拍車刺しちゃったみたい」と返事しながら、とりあえず腰を張ってから拍車を当てないようにし、速歩に落とします。

さて、どうしよう。油断するとつま先が開いて拍車を刺しちゃう私が悪いんだけど、今のキョウトくんの反応はけっこうピーキーに思えた。競技中もこれをやられたらかなわないな。
いったん馬場の中央に馬を止め、拍車を外すべきか、鞭を捨てるべきか、2分くらい悩みました。結局、鞭を捨てて拍車だけで動かすより、拍車を外して鞭で動かすほうが自由度が高そうに思え、O先生を呼んで「すみません、拍車外します」と申告。「あぁ、レスポンス鋭かったですか?」「ちょっと走られました」と話しながら、外した拍車を預かってもらいました。

さて、隊列を整えて馬場中央に馬を並べ、競技開始。常歩で蹄跡に出て、1周ほどで速歩に移行。軽速歩をとって走らせますが、あれ、拍車を外したらやっぱり重くなっちゃったなぁ。まぁ重いとは言っても、ふだんはもっと動かない馬に乗っているわけなので、動かせないわけではないんだけど。
隅角を深めに回すようにして、軽速歩を続けます。「各個に巻き乗り」の指示で、巻き乗り。馬に内方姿勢をとらせようと、控え手綱を使うことを意識していたら軽速歩のまま回ってしまい、速歩に落とすのを忘れた。うわー、アホだ私。次の巻き乗りでは、ちゃんと速歩に落としたけど、今さら遅いよなぁ。

輪乗りの指示が出たので、次は駈歩だな。思ったとおり、駈歩の号令。練習のときよりも少し手綱を短めにして、駈歩発進。うん、出た出た。出たけど、重いなぁこれ。駈歩しているのに、前の馬からどんどん遅れていきます。さっきのぶっとびがウソだったみたいに、重い駈歩。
仕方がないので1歩ごとに鞭を入れていきますが、大して効かない(私の入れ方も甘いんだけど)。あぁしまった、拍車を外したのは大失敗だった。さっき走られたのは、拍車の入れ方のせいもあるけど、たぶん手綱が緩いせいだったんだ。今の手綱の長さだったら、ぜんぜん走らないじゃん。だったら拍車着けたまま、手綱だけこの長さにすればOKだったんだ。だいたい昨日せっかくメジロカイザーに、拍車を使わない乗り方を教えてもらったんだから、今日も拍車を外さないで応用すれば良かったんじゃないの。バカだ私。

速歩に落としてから、手前を換えて駈歩。あれ、出ないや。駈歩を出し損ねたときの速歩っていうのはけっこう勢いがつくので、反動が高くてぜんぜん座れない。ここから外方脚を引いても、座れていないからうまく馬に伝わらないみたい。と考えたのはほんの1歩か2歩でしたが、とにかく駈歩に移行しようと思って、ほぼ無意識に内方の手綱を緩めてみたら、ぽんと出ました。へ、なんで? 今ので自然に内方姿勢がとれたのかな。まぁ出たんなら何でもいいけど。
見栄を張った長鐙のせいで、外方の鐙が外れる外れる。まぁ外れたってこのくらいの勢いの駈歩だったら乗っていられるんだけど、何かあったときがイヤだしな。駈歩をしながら、つま先だけ動かして鐙を探すと、鐙がすっとつま先の下に入ってきました。あら、こんなに簡単にはき直せたの久しぶりだわ。

もうとにかく馬を動かせないまま、競技終了。いやぁ、大失敗だった。下馬してからI野先生に、「馬場踏もうっていう人が、何で拍車外すんだろうな。だいたいあの馬、乗ったことあるだろう」と怒られてしまいました。
張り出されたジャッジシートでは、7人中最下位。そりゃー、あれだけ馬を動かせなかったんだもんな、当然の結果だ。
さらに私のところには、「反動がぬけていない」と注意書きが。それを見たO先生、「そういうふうには見えなかったんですけどねぇ…」とつぶやいて、私に「いつも言っていますが、反動は抜くものじゃなくて、受けて吸収するものですからね、誤解のないように。抜こうとするとカッコワルイですよ」。

部班の間にジムカーナの馬匹抽選があったらしく、日の出のMちゃんが代理で抽選していてくれました。渡された紙には、「ランボー」と書いてあります。それを見たHさんが、「あ、私それ乗ったことあるけど、すっごくいい馬だよー」。へぇ、そうなのか。しかも順序を見ると、ランボーくんには私の前に3人ほど乗ることになっていて、しかもそのうち2人はオープン参加ということになっているから、相当上手い人が乗ってくれるんだろう。上手い人がいい馬に乗ってくれたあとだったら、私はほんとに乗っかってるだけで経路を回ってこられそうだな。
速歩ジムカーナの次に、駈歩ジムカーナ。控え馬場で順番を待ちながらランボーの出番を見守っていると、ランボーってすっごくスピードの出る馬みたい。今乗っているおばさまなんて、もしかして優勝候補っていうくらいのガンガン駈歩です。どうしよう、あんなによく動く馬で嬉しいけど、めっちゃ怖がりの私はあのスピードについていけるのか? だんだん不安になってきた。うわぁん、馬場の経路踏むより緊張するよう。

控え馬場に人馬が戻ってきたので、「その子、次私乗ります」と声をかけると、騎乗していたおばさまが下馬して踏み台を持ってきてくれました。こういうとき私はとても焦ってしまうので、ことさら慎重に鐙を合わせます。ここは長鐙で行くべきじゃないな。「ちょっと短めがいいかなー」と口に出すと、「そうね、2ポイントでガンガン追っても大丈夫よ。狙えるかもよ」とおばさま。私はスピード怖いから入賞は狙わなくてもいいんだけど、せめて馬の能力を邪魔しないように乗らないとな。
そのとき、そのおばさまの走破タイムが発表されました。なんと41秒台(41.2秒くらいだったかな)。馬の側についていてくれた相方が「だったら君の場合は、60秒切ったら充分じゃない」。そうね、その程度なら、馬任せでなんとかなるかも。

そのまま控え馬場で、常歩で前の馬の後ろにつこうとしたら、止めようとしても止まらない。うわぁ、前進気勢強いなぁ、どうしよう。頭を高く上げたまますたすた歩こうとするので、仕方なく手綱を5センチくらい絞ったら、すっと頭を下げて止まりました。あ、そうなの。君はハミがきっちり抑えられてるほうがいいタイプなのね。
いよいよ私の順番が回ってきました。馬場への入場口が開けられ、常歩で入ります。そこからだと審判に向かって正対できないので、一度小さく巻き乗りして審判席に正対、馬をとめて敬礼。あれ、主審ってどの人だっけ。敬礼したまま目で探すと、ベルが鳴りました。あ、ベルの側で答礼してるあの人が主審か。
さて、ベルがなってから45秒間は、無理にスタートを切らなくてもOKなはず。コースは右手前で始まるので、スタートラインに背を向けて右手前で常歩の輪乗り。円の半分を越えて、スタートラインに向いたときに駈歩発進をすると、馬が自分で「うん、あそこに入るんだよね! 大丈夫、ボク自分で入るから!」と、きちんとスタートラインと第1クランクを見て走り出したのが分かりました。すっごい、ランボーくん。分かった、君に任せるよ。

けっこう速めの駈歩で第1クランクを通過しながら、さぁ第2クランクへはどうするか、と考えました。勝負をかけるなら斜めに進入していけばいいけど、ある程度は真っ直ぐ向けてあげないと拒止されちゃうかもしれないし。
でも第1クランクを抜けたとき、馬が第2に向かって自分で位置取りするのが分かりました。ランボーくんは私の前に2回コースに出ていますが、それですっかりコースを覚えてしまったみたい。私は本当に、彼が走りにくくないように、馬の顔をちょっと向けてあげるだけでいいらしい。
第2クランク通過、次はパイロンでスラローム。パイロン同士の間が詰まっていないのを幸い、できるだけパイロンすれすれにコース取りして、あまり左右に振らないようにします。右手前で駈歩しているので、パイロンの右から左に抜けるところは反対駈歩になっているはずだけど、苦もなく駈け抜けるランボーくん。しかも安定感のある駈歩を保っている。すごいすごい。

さて次は8の字。駈歩のままだと周りきれなさそうだし、勢いでふくらんだら余計タイムがかかりそうなので、1メートルくらい手前で速歩に落とします。あら、前進気勢が強いわりには素直に速歩に落ちてくれるな。
しかも、ちょっと内方を開き手綱するだけで小回りも利いて、8の字も難なくクリア。次のクランクはS字だけど、クランク自体に1mほどの高さがつけてあって、馬から見たら壁に突っ込む感じで、かなり怖いだろうと思う。実際、それを嫌がって入らない馬もいたし。
ところがランボーくんは、むしろ自分から突っ込む勢いでした。控えていたのでさすがに駈歩はしませんでしたが、この子はもう、どこで曲がったらいいのかとか、ちゃんと見て判断してる。

S字を抜け、次は柱を中心に巻き乗り。どうせ巻き乗りで速歩に落とすのだから、柱のあるところまで駈歩にするまでもない(勝負をかける人は、ここも駈歩で行っていたようですが)。速歩のまま柱に向かい、できるだけ小さめに巻き乗り。よーしランボーくん、この巻き乗りが半分終わったら思う存分走らせてあげるからね。
巻き乗りの後半、ちょうど隅角のあたりから左手前で駈歩発進。「よしきた!」という勢いで駈歩を出すランボーくん、うわぁ、こんなスピードののった駈歩初めてかもしれない(出されちゃった襲歩のぞく)。でも駈歩に飛び出す感じはなく、安定して乗っていられる。
第2から第1に戻るカーブも、位置取りはランボーくんにお任せ。さぁ最後の直線だよランボーくん、思い切り走っていいよ、と第1クランクに入る前に少しだけ追うと、もうひと伸び。控え馬場から見ていた相方は、スピード恐怖症の私が「怖がらずに、よくあんなスピード出せたな」と思っていたそうです。いやなぜか、怖くはなかったのよ。いくらスピードを出しても、馬がひっかかる気はちっともしなかった。

そのままゴールラインを駆け抜けてゴール。さぁて、この勢いから停止するまでにはどれくらいかかるかなぁ、馬場1周くらいして来ないとダメかしらん、と思いながら輪乗りをしようとすると、なんとランボーくんが自分でスピードを緩め、すぐ速歩に。すごいわこの子、すごいよ。あまりにも乗りやすくて、涙出そうだ。
思いっきり首をたたいて褒めてやり、控え馬場へ。あんなにがんがん駈歩した後なのに、別に息を乱すふうでもないランボーくん。すごいな、うちのアルフォンスあたりだったら、こんなに駈歩したら今頃へはへは言ってるよ(いや、あいつの場合は体力なさすぎ)。
寄ってきた相方に、「次この子って誰が乗るんだっけ?」と聞いてみると、「俺なんだけど」あ、そうですか。それは失礼しました。下馬して、相方が乗り変わります。そのとき、私のタイムが放送で発表されました。55秒台。思ったより速かったな。これを聞いた瞬間、相方は「同じ馬乗ってて、俺が50秒台ってわけにいかないな」と思ったそうで(笑)、本当に41秒台を叩き出して帰ってきました。結局相方は2位入賞。私は20数名中8位くらいだったかな?

この日は全然、順位には絡めなかったけど、ランボーくんのがんがん駈歩が実に面白かった。自分があれだけのスピードを出せたということにびっくりした。キョウトくんで失敗したことも、あとから考えればいい経験にはなったし。
帰りには、ララミー牧場のすぐ近くにある温泉「スパティオ」で汗を流し、談合坂SAで山梨名物ほうとうを食べて帰ってきました。

キョウトくん
同じく部班。駈歩のはずだが、勢いがないのがバレバレ。
だいたいどうしてそんなに外方の肩が上がってるんだ。

あ、右端に見える白い馬が、フリースペースのバンフです。

ジムカーナの経路
↑ジムカーナの経路。
残念ながらランボーくんの写真はないです

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