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(2004.4.17 山梨・ララミー牧場)
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明日の日曜はララミー牧場主催の運動会に出場するので、練習のため前日から山梨入り。一緒にいくAさんが電話で確認してくれたところ、前日にララミーで1鞍乗せてもらえることになりました。しかも実質ララミーを取り仕切っているH先生に教えてもらえるらしい。ラッキー。
土曜の朝に出発し、11時ごろにララミー牧場へ到着。予約は13時半からなので、着替えをしたり馬房を見学したりして時間をつぶしました。

13時ごろから覆い馬場の前で待機していて、13時半に馬場へ入ります。配馬の前に、「みんなレベル同じくらい?」というH先生の問いに、「同じです」とAさんが答え、「うそつきぃ!」と他3人でブーイング。残り3人は同じくらいだけど、Aさん200鞍くらい多いじゃん。
以前教えてもらったことのあるW先生が黒鹿毛の馬を引いていて、「じゃあ女性のかた、これに乗りましょう」と言います。相方が「あれ、カイザーじゃん」えっ、カイザーなの? 嬉しい。メジロカイザーは以前3・4級検定のときに使わせてもらった馬で、私は騎乗していませんが、乗った人がみんな口を揃えて「いい馬! 欲しい!」と言ったくらい。H先生も「あの馬に乗って、乗りにくいって言う人はいないね」とおっしゃってたし。
(調べてみたらモガミ産駒だったさ…立教大学の競技馬で、障害跳んでたらしい。さすがモガミ。)

まだ騎乗馬の準備ができていないAさんが踏み台を持ってきてくれたので、鐙を合わせて騎乗。明日の運動会を意識して、少し長めの鐙にします。スタッフさんが、「歩きながら腹帯しめてくださいね」と言うのですが、そんなのやったことない(日の出では必ず停止してから締めさせる)ので、下からAさんに締めてもらいました。あららカイザー、ちょっと横蹴り。帯径が苦手っぽいな。
常歩で蹄跡に出してみると、あらー軽いわね。というか、普段乗っている馬がいかに重い馬ばかりなのか思い知らされる。拍車も鞭もまったく使う必要はなさそうだが、外さなければいけないほどピーキーでもないみたい。

4頭が出揃ったので、H先生の指示で隊列を整えます。Sさんのベルティンゴが先頭、2番騎はAさんとアンユウ、次に私とメジロカイザー、最後尾が相方とキョウト(余談ですが、相方は靭帯を傷めてから、これが約1ヶ月ぶりの騎乗でした)。
「では始めましょう。気をつけ、速歩すすめ。軽速歩」お、ふくらはぎの圧迫だけで速歩が出る。軽い軽い。軽すぎて、前のアンユウのお尻をつついてしまいそうなくらい。「その白い馬(=アンユウ)、あんまり近づくと蹴るから気をつけてね」とH先生に言われ、慌てて控えますが、ちょっと控えてもすぐ追いついてしまいます。できるだけ隅角通過を深くしてみるけど、通過しおわったそばからすぐ追いついてしまう。そんなにアンユウが動いていないわけではないんだけどな。別にカイザーを急がせているつもりもなく、安定して走れていると思うんだけど。
4級検定の練習に来たとき「もっと手綱を短く持って」と言われたことを思い出し、少し手綱を絞ります。たぶんララミーの馬って、手綱は短めにしっかり持ってあげたほうがいい子が多いような気がする。

「いいですか、各個に巻き乗りしますが、今僕がいるところくらいを目標に来てください。では各個に、巻き乗ーり」で、速歩に落として進入。あれ、座りやすい。すっごく反動ラクだな、この子。円の前半は内に入れるようにして、後半はふくらむだろうから、外方を維持してまとめて…あららっ、この子ったら巻き乗りの後半で急ぐみたい。巻き乗りの後半はペースが落ちる子が多いのに、こんな動きをする子は初めてだ。
思ったよりも小回りが利いて、H先生のいるところよりもすこし小さく回ってしまいました。「僕のいるところがだいたい10mですよ、この馬場は20×40ですから、半分ね。巻き乗りは10mを意識しましょう」そうだったそうだった。そういえば6月に受験する予定の3級経路はこの馬場で踏むのだから、ついでに距離感を覚えてしまおう。
何度か順次、各個と巻き乗りをしますが、そのたび「いきなり入ろうとするんじゃなくて、馬の顔を内側に向けてからだよー」とH先生に言われる。内方姿勢をちゃんと取らせてから、ということなんだろうな。内方脚を少し使って、外方脚で壁を作って、ありゃこれだけじゃダメか。かえって肩から逃げられる感じ。手綱を使うしかないんだろうけど、開き手綱なんてカッコワルイ真似をしたくないな、控え手綱にするか。内方の拳を外方の肩に向かってこころもち握りしめるようにすると、お、内方姿勢とれるじゃん。

H先生の指示で速歩に落とすと、まぁ反動が天国のよう。私ってこんなに座れる人でしたっけ、という感じ。騎座が鞍にちゃんとついているので、上体のバランスも取りやすくてしっかり起こせる。H先生からは「もう少し、ふとももから脚引いてみて」と言われました。
せっかく反動についていけているので、斜め手前変換のときに、線上で上体を起こして座骨で推すようにしてみたら、すっと歩度が伸びて前のアンユウを追い越しそうなくらい。まるで上手くなったような錯覚を起こしそう(笑)。いやー、いいな。3級もこの馬で受験できんかな。

速歩のまま、蹄跡を使って輪乗り。前にレッスンしてもらったときのパターンから行くと、輪乗りから駈歩に行くだろうな、と思っていたら「いいですか、これから駈歩行きますよー。バランス整えて」と号令。ここで馬のバランスを整えるなんて高等技術は持ち合わせていないので、自分がしっかり座って次の扶助の準備をします。
あ、いけるわ。これは馬が、輪乗りの次は駈歩だってことを知っていて、自分で準備している。あとは外方脚を引くだけでいけるな。このまま駈歩を出すと、たぶん前のアンユウに近づき過ぎちゃうと思ったので、カイザーをできるだけアンユウの外側外側に回すようにします。
「かけあーし」の指示で、外方を引くと、案の定あっさり駈歩が出ました。出たのはいいけど、なんかイレギュラーが入る。軽く横蹴りしているような。「ほら、拍車刺しちゃうから馬が荒れちゃうんだよー。軽い馬に乗ってるんだから、必要以上に使わない」とH先生の声、そうか! つま先が外を向いているから、拍車が当たり過ぎちゃってるんだ。日の出の重い馬ならそれでもいいけど、軽い馬の場合は嫌がられてしまうということか。
でも前では、Aさんの乗っているアンユウがもっと暴れています。横蹴りどころか、尻っぱね。やばいやばい、あんまり近づきすぎると蹴られちゃうよ。

馬体につけるのはふくらはぎだけで、つま先を内側に向け、かかとは意識してすこし馬体から浮かせ気味にしながら駈歩すると、駈歩が安定してきました。おぉ、いい感じじゃん。さすがに反動がやわらかいので無理なく座れるし。
輪乗りから、駈歩のまま蹄跡へ。おお、気持ちいいぞ。まだいくらでも歩度が伸ばせそうな感じがあるけど、前の馬が暴れながら走っているから(Aさんの扶助が強すぎるんだろうな)、あんまり近づきしすぎないようにしないと。
「斜めに手前を換え」えっ、駈歩のまま? 反対駈歩やるのかしら、高度だなぁ、と思っていたら、「線上まで駈歩で、蹄跡に入る前に一瞬速歩にしてから、蹄跡から右駈歩ね」あ、なるほど、シンプルチェンジもどきね。ですが、私の推進が足りなかったのか、線上に入ったところで速歩に落ちてしまいました。線上はそのまま速歩で行き、蹄跡に戻る手前で駈歩発進すると、きちんと右手前が出ました。カイザー、右手前でも左手前でも、どっちが苦手ということもないみたいで、すいすい走ってくれます。

駈歩から速歩に落とし、常歩へ。「では一度手綱を伸ばして、ゆっくり歩かせましょう」と言われて、手綱を伸ばします。ここまで5分くらいぶっつづけで駈歩していたのに、馬はしっかり落ち着いていて、手綱を伸ばすとすっと首が下がります。
時計を見ると、ちょうど2時。ここのビジターレッスンって30分だったと思うんだけど、でも前回の経験から言って、これで終わらないような気がする。
しばらく歩かせていると、「では気を付け、速歩しますよ」あ、やっぱり。アンユウがイライラしていたから、リセットする意味もあったのかな。
速歩で輪乗り。今度は馬場の中央、「X点を中心にして、E点とB点ではちゃんと蹄跡に1歩入るんですよ」あ、そう言われればこの覆い馬場には、壁に馬場のポイントが表示してある。かなり馬場的な要求されてるなぁ。E点とB点に対して自分の肩を触れさせるくらいのつもりで、蹄跡にきちんと四肢を入れるように意識しながら乗ります。
「輪乗りの手前を換え。手前を換えるときは、きちんとX点を通過するんですよ」かわいそうに、先頭のSさんは馬場を踏んだ経験がないので、このへんの指示の意味が分からなかった、とあとで言っていました。

ふたたび輪乗りから駈歩。駈歩でも、きちんとE点とB点を意識しながら輪乗りができる。カイザー、素直で扱いやすいなぁ。
蹄跡に出て、しばらく走ってから斜め手前変換。3級の経路にもシンプルチェンジもどきがあるから、1回は成功しよう。蹄跡から線上に入るときにペースが落ちるだろうから、ここではしっかり推して、線上でも歩度が伸びるくらいに。X点通過からペースを落とし、寸前で速歩、よし出来た。蹄跡から駈歩発進、これも素直に出してくれる。勢いがあるのに、勢いに負けて振り回される気がしない。いい馬だね、カイザー。

結局、45分くらいレッスンして、軽く沈静します。中央に馬を並べ、挨拶して下馬。カイザーは次のレッスンでもそのまま使うようで、「乗ります」と人が来ました。そのままその方の騎乗補助をしてから馬の側を離れると、AさんがH先生に教えを乞うている。これは便乗しなければ、と一緒に先生の話を聞きます。
「何をするのにでも、まず馬に準備をさせるようにしましょう。巻き乗りに入るときも、隅角通過のときも、まずちょっと馬の顔を内側に向けてあげないと、馬はいきなり曲がったりできませんからね。それもあんまり大げさにやらないで、内方の拳をほんのちょっと上に上げてあげるだけで、馬は内側を向きますから」そか、控え手綱でやろうとしたのはそんなに間違っていなかったらしい。

さらにH先生の話。「それから、上体はしっかり起こしましょう。自分で思っているよりももっと後ろでいいです。人間って、自分がまっすぐと思った姿勢は前傾してますから」そうですよね、自分がまっすぐと思ったところで写真を撮ってもらうと、愕然とするくらい前傾していたりする。
「でもあなたは、割とちゃんとできていたよね」とH先生が言うのは、私に向かって。「あれっ? 私ですか?」「そう、上半身は割と良かったですよ」それは間違いなく、カイザーくんのやわらかい反動のおかげだわ。自分でもまるで、座れる人のような錯覚を起こしそうになったくらいだから。
「あとはさっきも言ったように、脚をふとももから引けるようになることと、もっと足を長く」ここで周囲から笑いが起きたので、「いやあの、本当の長さのことじゃなくて、長く使うってことをおっしゃったんですよね」「そう。あなたは鐙をあと1穴伸ばせるね」「えっ、あれでも長めのつもりだったんですが」「いや、もう1穴はいけるはずだよ」そ、そうですか。馬場を踏むからには、長鐙にも慣れておかなきゃいけないところだし、明日の部班では長めで頑張ってみようかしら。

しばらくララミーの中を見学させてもらってから、今日の宿泊地・大泉高原牧場フリースペースへ。ここへ来るのは3回目なのですが、1回1回の滞在内容が濃い(笑)ためか、もうすっかり馴染み客になってしまいました。
到着すると、ちょうどオーナーが馬場で部班レッスンを指導しているところでしたが、なんと拡声器を使っています。さすが動じない馬ばっかり揃えているだけはある。オーナーが馬場の中から私たちの姿を認めると、うちの相方に向かって「怪我したんやろ、大丈夫か!? 骨折したんか?」って、そんな拡声器のまま言わんといてください(笑)。骨折と違うし。

その後は、フリースペースでの私のお気に入り馬マーベル(これがグッドルッキングホースなのだ! 性格ぼーっとしてるけど)をかまったりしてからペンションの中へ。お風呂と食事を楽しんでから、のんびり休ませていただきました。

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