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(2001.11.17 千葉・サンシャインステーブルス)
35鞍目→
ランボー
この日の騎乗馬、ランボー。アメリカ生まれ、10歳くらい
ネット友達のIronさんに誘われ、相方ともども外乗オフ会に参加することになりました。
この日の訪問地は千葉・九十九里浜に面するクラブ、サンシャインステーブルス。外乗はなんと、海辺を馬で走る「暴れん坊将軍」外乗です。
日の出乗馬倶楽部のI野先生が以前こんなお話をして下さったことがあります。
「俺は九十九里浜で波打ち際外乗をしたことがあるけどね、そのとき気持ち悪くなっちゃって。『先生、波を見てたでしょう』って言われてさ、『そりゃ見るさ、海に来たんだもの』って言ったら、『波見たら酔いますよ』って言うんだよなぁ。そんなこと言っても見るよなぁ」
車酔いしやすい私、気をつけないと。馬の背で吐くのはいやだー。
正しい騎乗姿勢で、視線を遠くにしていれば大丈夫だというのですが…

11時、野呂PAに車で集合。ちょっと早く着いてしまったので、野良猫(にしてはきれいだったが)をかまって遊ぼうとして、猫のそばにかがみこんだら、猫が自分から私の膝に乗ってきました。いいのか、お持ち帰りするぞ。
そんなことをしてるうちに今日のメンバー6人が揃い、一路サンシャインステーブルスへ。

漁港のそば、いわし料理屋さんが立ち並ぶ通りを抜けてステーブルスに到着。車で入っていくと、そこはすでに囲いのない馬場。…馬場に囲いがないっ!?
囲いのある小さい馬場もありましたが、そちらは初心者用みたいです。
このクラブはウェスタン乗馬。囲いのない広い馬場で、後肢を軸にしてすごい旋回をしていたり、レイニング(後肢に重心をかけて、スライディングストップする)の練習をしている人がいます。

車を駐車場に入れて、クラブハウスに入ると、ちょっと遅刻してしまったので「着替えができたら、すぐ厩舎の前に来てください」ということ。
オフ会メンバー6人のうち、相方と私を除いた4人はすでに200鞍を越える上級者なので、駈歩ありの90分外乗。相方と私は駈歩をやったことがないので、馬場レッスン30分 + 外乗30分のコースを選択。
さきに他の4人が騎乗し、馬場を1周してから外乗に出ていきます。

4人を見送った後、芦毛馬が2頭引き出されてきました。
「女性の方こっちの馬に乗って下さい。この子はランボーと言います」割と体高の低いほうの馬、クォーターだそうです。相方の馬はもう少し大きめのサラブレッドで、キースという名前でした。
踏み台もなさそうだし、鐙はあとから合わせてくれるようだったので、鐙は長くしたままで左足をかけて騎乗します。
鞍に座って足をたらすと、鐙の高さは自分のかかとくらい。いくらウェスタンの鐙が長めとは言っても長すぎるので、騎乗したまま長さを直してもらいました。それでもいつもよりちょっと長めかな。
スタッフさんが短鞭(というか、生木の枝の皮をむいたようなもの)を持たせてくれて、「この子はかなり重いんで、どんどんムチ入れちゃっていいですから。とりあえず常歩で馬場を歩いてみてください」
軽く脚を入れると、ランボーはすぐ歩き出しました。あれ、意外に重くないな。

囲いらしい囲いがない馬場なので、もちろん蹄跡もないけど、とりあえず境界線らしいものに近く歩きます。相方が1番騎、私が2番騎ということなので、キースのあとについて歩こうとしたら、キースがよれてくっついてきます。避けようとして反対側に馬を回すと、キースも同じ方向にくっついてくる。
「何がしたいの〜!?」「分からん。馬に聞いてくれ。」
どうにかこうにかキース、ランボーの順になり、半周くらい歩いたところで前に先導馬が入りました。
「駈歩(かけあし)はやったことありますか?」
「ないです、速歩・軽速歩までしか」
「そうですか、じゃあこのまま外乗に出るのでついてきて下さい」
あら、レッスンないのか。その方がいいけど。
あとにもう一頭、女性の乗った馬がついてきました。正会員の人でしょう。

先導馬について馬場を出て、草の生える丘を抜けるとそこはもう砂浜。
先導のスタッフさんとお話をしながら、砂浜を常歩で歩きます。
「どちらかで外乗されたことはあります?」
「この夏、北海道の日高ケンタッキーファームで乗ったんですよ」
「あ、僕むかしそこにいたんですよ。」
「そうなんですか!?」
奇遇ですねぇ。ケンタッキーFで乗った雪翔とロングハヤブサのことも、ちゃんとご存じでした。

波打ち際にたどり着くまで、うち寄せられた貝殻やゴミ(多い!)を踏みしだきながら歩くので、馬がびっくりしやしないかとびくびくしていましたが、ランボーは慣れていたようです。
波打ち際に着き、海岸線にそって歩き始めます。
足下に波が来たりするのは大丈夫なのかな。足をとられたり、波にびっくりしたりはしないのかな。

「じゃあ速歩出して行きましょう。」
スタッフさんがそう言った瞬間、もうランボーは自分で歩度を詰めて、首を使って速歩の準備をしています。そこで蹴ると、簡単に速歩が出ました。
ウェスタンだし、クォーターだから速歩でいいかな(日の出乗馬倶楽部のクォーター、ウィンダムは速歩の反動が少なくて楽)、と思って、軽速歩をとらずに速歩のまま正反動をとります。この子も割と正反動がとりやすいみたい。

そうやって走っていると、ランボーは前にどんどん遅れていきます。
ちゃんと走っているのに、引き離されていく。ふだん騎乗しているときには、速歩より軽速歩のほうがスピードが出るという経験則があるので、速歩をやめて軽速歩をとってみます。(ウェスタンの鞍って堅めで、ちょっとお尻が痛くなり始めていたし)
しかしランボー、軽速歩でもちっとも速度があがらない。そういえばウィンダムもなかなか速度が上がらないな。
するとランボーが、後肢を派手につまづかせました。がくん、となったけど、とりあえず持ち直す。こんな波打ち際で落馬はいやだよぅ。

つまづきながらもランボーはちゃんと走り、他の3頭に追いつきました。
しかし一度つまづかれるとちょっと心配になり、こっちがびくびく。
ここは普通の海岸なので、海釣りをする人がいたり、ウィンドサーフィンの人がいたり。馬は大きいものが急に動いたりするのを怖がるので、あの長い竿なんか振られちゃった日にゃぁ、馬がびっくりして暴れ出しちゃうんじゃないか。近くを通るときには手綱を控えめにして歩きます。

速歩と常歩を織り交ぜつつ波打ち際を進んでいると、スタッフの方が振り返って
「駈歩やってみます?」と言いました。
えっ、だってまだ駈歩やったことないし、馬場でやったことないものをこんな広いところでやるのはちょっと怖いかもっ、と引きつっていたら、
「僕がこうやって手を挙げたら、走り出す合図になってますから、ついて走ってみて下さいねー」と、 もう駈歩をやることになってしまった。きゃー!

「じゃあ速歩で行って、あの川(というか、幅1メートルもない水たまり)を越えたら駈歩にしましょう」
速歩で川を越えると、スタッフさんがさっと片手をあげ、「駈歩!」
怖いので、鞍の前橋の突起をしっかり持ってから馬の腹を蹴ります。前の馬が走るのにつられてか、スタッフさんの合図でなのか、馬の体が一瞬跳ねたようになったかと思うと駈歩が出ました。
速歩とはまるで歩様が違うので、鞍上で体が前後に振られます。もうこれは馬の動きに任せるしかないと思い、とにかく鐙が抜けないようにしっかり踏んで、お尻を鞍に密着させることに集中。
しばらくすると慣れてきて、馬の上での動きを楽しめるようになってきました。これはけっこう面白いかもしれないぞ。

駈歩でもランボーはやっぱりみんなに遅れてしまう(これは私がまだちゃんと扶助を出せていないせいもあるだろうけど)ので、さきに行った3頭が常歩に落としてから、やっと追いつきました。
スタッフさんが、「ちゃんと乗れてたじゃないですか」と言ってくれました。
「いや、ここ(鞍の前橋)持ちっぱなしですけどね。面白かったです」

「じゃあちょっとあっちで休憩しましょうか」
波打ち際を離れ、堤防のそばの草が生えているところで馬をとめ、手綱をゆるくします。馬に青草を食べさせながら、こっちは馬上でスタッフさんとおしゃべり。
「どうですか、駈歩問題なかったでしょう?」
「そうですねぇ。速歩の時はランボーが2〜3度つまづいたんで、どうなることかと思いましたけど」
「ああ、よくつまづく馬なんで気にしないで大丈夫ですよ。あと、駈歩の時に自分で勝手に手前変えたりしますけどね。でも一番安全な馬なんで。」
せっかく来た外乗なので、ポケットに入れておいたコンパクトカメラ(デジカメは大きすぎて持っていけなかった)で、記念写真を撮ったりしてると、スタッフさんが「自分撮りましょうか」と言って二人鞍上にいる写真を撮ってくれました。

「ではそろそろ帰りましょうか。帰りは馬も早く帰りたいですから、勝手に走っちゃうかもしれないですけど、まぁ大丈夫ですから」
帰りは波打ち際ではなく、小さな起伏がたくさんある草地を抜けていきます。
「下り坂は上体を起こして、上り坂は体を前傾させてやって下さい」それはケンタッキーファームでも言われたので、なんとなく身に付いていました。
ケンタッキーファームのときと同じで、上り坂のときは勢いをつけるためなのか、馬が勝手に速歩になります。

舗装された土手を抜けて砂浜に出たとき、目の前にパラグライダーが降りてこようとしていました。パラグライダーなんてあんな大きくてぶわぶわしたものが降りてきたら、馬がびっくりしないわけがない!やめてー来ないでー!(と言っても、パラグライダーだって急に方向転換ができるわけじゃないんだけど)
スタッフさんも「あれ避けましょうね」と言い、常歩に落とし、手綱を控えめにしてパラグライダーを避けつつ注意して進んだのですが、こっちがびくびくするほどランボーは気にしていなかったみたいでした。慣れてるのかも。

クラブがだいぶ近づいてくると、馬が軽い扶助で速歩を出すようになってきました。少し走りたがっているみたい。
他の馬はどんどん走っちゃうので、もうずいぶん離されてしまいました。
30メートルくらい離された頃でしょうか、スタッフさんが振り返って「ランボーさん!」と片手をさっとあげましたが、駈歩は出ませんでした。あれが合図になって駈歩が出るように調教してあるのだと思いますが、やっぱり鞍上がちゃんと扶助を出してやらないとダメなんだな。
起伏が少なくなって走りやすそうになってきたし、このままでは離されるばかりなので、ここらで頑張って駈歩をやってしまえ!と思い、鞍の前橋をつかんだ上で腹を強く蹴ると、1度目では出ませんでしたが2度目で駈歩になりました。

前の3頭に追いつくと、もうそこはステーブルスのすぐそばでした。
草地の中のけもの道を抜けるとすぐ着くのですが、ランボーが道草を食おうとする。味をしめたな 。一生懸命手綱を引っ張って首をあげさせようとします。
「がんばって。あんまり道の端っこ歩かせないほうがいいですよ、絶対やるんで」
なんとか食べるのをあきらめさせて、馬場に戻りました。小さい囲い馬場のほうで下馬、お疲れさまでした。

まもなく先に出た他のメンバーも帰ってきました。
駈歩を初体験しちゃった話をすると、「じゃあ一緒のコースで出れば良かったですね」
「いや、馬が勝手に走っちゃっただけなんで」
「それはこっちも一緒(笑)」(うそだ、それはうそだ。と心の中で突っ込み)

そのあと近くの温泉(というふれ込みの銭湯)で汗を流しに行きました。
温泉の駐車場で、またもや野良猫になつかれる私。ちょっと近くにしゃがみこんだら、勝手に膝に上ってきます。千葉県の猫ってみんなこうなのかー?
温泉から上がって、ロビーでのんびりしていると、またその猫上がってこようとするし…ほんとに、うちがマンションじゃなかったら絶対持って帰ってる。

最初に集合した野呂PAでオフ会はお開き。
心配していた波酔い(?)も、波を見ている余裕がなかったので、問題ありませんでした。
サンシャインステーブルズ、なかなか良いところでした。また行きたいぞ。



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