←113鞍目 114鞍目・もう卒業かなぁ
(2003.3.22 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
115鞍目→
3連休の中日、いつものように日の出へ。昨日はとても晴れてあたたかい日だったのに、今日は冷え込みがきつく、今にも雨が落ちてきそう…。
倶楽部に到着してホワイトボードを確認すると、それでも予約はけっこう入っていました。相方はアルフォンス、私はロゼッタ。着替えをして、ロゼッタの馬房へ迎えに行きます。
今のロゼッタの馬房は馬詮棒が2本渡してある形ですが、ロゼッタがそこから首を伸ばして顔を出してきたので、そのまま無口をかけます。無口につないだ引き手を片手に持ったまま、馬詮棒を外していると、ロゼッタはその引き手をくわえて遊び始めました。とりあえずやらせといて、馬詮棒を外します。
ロゼッタを連れ出すと、馬繋場に入る前にぴたりと止まりました。あら、ウィンダムの真似? ウィンダムは今の馬房(左図参照)に移ってからやらなくなったけど、こちら側の馬房にいたときには、やっぱり馬房から出て馬繋場に行くまでに、一度立ち止まって周りを見渡すクセがありました。ロゼッタは逆に、向こうの馬房ではそういうことはしなかったのに、ここの景色が馬をそうさせるのかも。

ロゼッタを馬繋場につないでいると、スタッフのK村さんが「おはよう」とやってきました。「ロゼッタ乗るの久しぶりなんだよね」と言うと、「そうだね、もう駈歩の練習してもらわないといけないし」あ、やっぱりそういうイミの配馬ですか。この間K野さんにも、そういうこと言われたしな。「こいつもう競技会とか出さないからさ、練習馬としては一番いいでしょ」「出さないんだ? もうトシだもんねぇ」しばらく競技馬として使われていたロゼッタ、上手い人ばかりが乗っていたせいか、この間の試合の直前にちょっと乗せてもらっただけで、ものすごくいい馬だって思ったもんなぁ。駈歩の歩様もおっとりしてるので、ほんとに駈歩の練習にはぴったり。ちょっとしたたかなヤツだけど、大事に使いたい馬です。

今日はまだ誰も乗っていないらしいロゼッタ、まず馬着を脱がせると、中までオガが入っていました。たてがみも汚れてるし、馬房の中で盛大に砂浴びしたんだろうなぁ。
蹄の裏掘りをして、ブラシで馬体をきれいにしてやります。馬装をしているとK野さんがやってきて、「あれ、拍車買ったんですか? 」と言います。今日はロゼッタなので、当然のように拍車使用。「えー、買ったのけっこう前なんですけど。先週も使ってたよ」「そうでしたっけ? 借りたのかと思ってました」「買ったの。でさ、棒拍だと怖いからとか言って、丸拍探して買ったのね、高かったー」「どっちでも大して変わらないですよ」と苦笑するK野さん。
準備が整ったので、ロゼッタを連れて馬場へでます。

今日の部班は、リトル・フロスティ、ジュンヨー、アルフォンス、ロゼッタの4頭。馬場に出てみると、スタッフがK野さん1人しかいないので、踏み台を持ってきてもらうのにも順番待ちだな。うーん、たまには挑戦してみようかな、踏み台なしの騎乗。幸いにもロゼッタは背が低いし、おっとりしてるし。
鞍が回ったりしないように腹帯を締め直し、左側の鐙を長く伸ばして、そこに自分の左足をかけていると、後ろから「おぉっ!? 」という声があがります。ほとんどの人が踏み台を使うし、私もそうなので、(ほんとにやるの? )というような意味合いの驚きの声なのらしい。その中に、「前のクラブではやってたからね」という相方の声、そう、別に初めてじゃないのよ。もう1年以上やってないから自信ないけど。
ちょっと鐙の位置が高すぎて、もう1穴伸ばしていると、「そのままでもいけたのに」と、他の人の騎乗補助をしながら私を見ていたK野さん。だって鐙が滑るんだもん。1穴伸ばしてから、あらためて左足を鐙にかけ、右足でとん、とん、とんと弾みをつけてジャンプ。どうにか自分の腰が鞍の前橋に乗ったところで、後ろから「がんばれー」と、これはフロスティに乗るIさんの声。Iさんなんか、学生時代は毎日飛び乗りやってたんでしょうに。
よじのぼるようにして右足をまたがせて、なんとか鞍にまたがったときには周りから「おぉー」という感嘆の声。こんなことで大騒ぎしているうちの倶楽部、平和ですねぇ。

さて、4頭の騎乗準備ができて、レッスン開始。「1番フロスティで、…」その先がなかなか出てこないK野さん。「1番フロスティで? 」「ちょっと待ってくださいね、えーと、じゃあアルフォンスでいきましょう。次ロゼッタ、ジュンヨーで」すでに好き勝手に歩かせ始めていた私たち、常歩で隊列を整えながら蹄跡に出ます。相方はK野さんに、「アルがわがまましたら叱ってくださいね、跳ねるとかだけじゃなく、言うこと聞かないときにも」と言われています。アルフォンスは当然跳ねる、っていう前提の指示だなぁ、あれは。
今日は拍車をつけているので、1歩ごとにかかとをロゼッタの腹につけるようにしながら歩きます。この間の試合で、選手のI崎さんが3.5センチのリン拍をロゼッタにガンガン入れていたのを見ているので、私の2センチ丸拍程度では大げさな反応はしないはず。
それでも何もつけていない時の常歩と違って、ロゼッタにしてはよく歩けているよう。これなら余計な力を使わずに常歩ができるな。前にY先生に言われた、「常歩で動きすぎ、もんでいる」というのは、脚に余計な力が入りすぎでそうなるのかも、と思っていたところだし。
さすがに今日の部班のメンバーは私よりうまい人ばかりなので、みんな動きがよく、ときどきロゼッタに強めの脚を入れたり、ショートカットして追いつかせます。微妙に鐙が短い気がするけど、どうしようかな。今までだったらちょうどいい長さだと思うけど、最近長めで乗ってるので、本当に微妙なところだな。まぁいいや。

「じゃあ速歩いきますよ、手綱ちゃんと持って」脚を強めに入れるとすぐ速歩が出ました。「軽速歩で」ところが、先頭フロスティがなかなか速歩が出ません。そこでK野さんの指示で、先頭と最後尾を入れ替え、ジュンヨー、アルフォンス、ロゼッタ、フロスティの順であらためて速歩開始。ジュンヨーは速く走りたい子なのですが、2番騎のアルフォンスはそんなにスピードの出ない子なので、ロゼッタはアルには離されずにすんでいますが、ジュンヨーだけ前に出ています。ジュンヨーが速いので、ジュンヨーを抑える指示とともに、後続はショートカットの指示。前のアルフォンスがショートカットするのと同じように、蹄跡の隅角を丸めていきます。
ついでだから、隅角ごとに内方姿勢をとらせるように努力してみよう。軽速歩のときは内方を踏み込むようにし、速歩のときは内方の座骨に加重するようにして、内方を意識しながら走らせます。

巻き乗りも止まらずに回れ、けっこう調子よく走れているつもりだったのに、ぱたっと止まるロゼッタ。「どうして止まるか、分かってますよね」とK野さん。うん、分かってる。今、ロゼッタの「止まりたいなー、サボりたいなー」サインを見逃して、許してしまったから。ロゼッタが首をだんだん下げていくと、それはサボりたいサインなのです。「ハミにアゴ乗っけてくるでしょ。手綱に力がかかるのはそれだから、ゆずっちゃダメ。手綱に一定の力かかってるようにして」手綱からハミへのテンションは、こっちが作ってやらないといけないんだな。
そのまま軽速歩で走っていると、「ロゼッタ、手綱1センチだけ短くして。立ったときに拳上げないように」と注意されました。立つ、座るで拳が揺れないようにするには、肘の開閉だと言うけど、けっこう上手くいかないもんだな。

速歩の指示で、ロゼッタの背中で正反動をとりますが、やっぱりちょっと反動高めかな。でもモンブランほどではないので、ついていくことはできます。「みなさんもっと抑えていいですからね、自分が座れる速さにしてください」ロゼを抑えると止まりそうになるので、拍車を軽く入れながら手綱は抑え気味に。「もうちょっと体後ろに」と言われ、上体を倒して正反動を取ります。
もっと馬の頭起こして、馬の力を矯めるようにできないもんかなぁ。馬はできるはずなんだけど、屈撓する姿を見たことあるし。のんびり抑えて走ろうとすると、ロゼッタは首を下げていき、止まろうとします。これは扶助が違うんだな。じゃあ手綱を引いて頭を起こしてやればいいのかというと、引きすぎても本格的に停止しようとするので、これも違う。うーん、難しい。

「常歩に落として、輪乗り。ジュンヨーだけそのまま蹄跡に残ってください」という指示で、ジュンヨーを残して馬場の中央で小さめに輪乗り。これは1騎ずつ駈歩ってことだろうな。
予想通り、ジュンヨーが駈歩に入ります。その間、馬場の中央で常歩で輪乗りをしていましたが、「ロゼッタ、もっと元気良くあるかせて」と言われるくらい、ロゼッタはすっかり沈静化のような歩様で歩いています。それなりに脚を入れているつもりなんだけど、馬場の中央だから別にいいと思っているらしい。こんな伸びきった歩様では、駈歩に持っていくのが難しそうだなぁ。
ジュンヨー、アルフォンスとも両手前で駈歩を終わり、次は私の番。「次ロゼッタ、蹄跡に出て」蹄跡に向かって歩かせますが、ものすごく仕方なさそうな歩様。「蹄跡からまず、軽速歩で」そうね、まず馬を縮め(つめ)ないと駈歩どころではない。拍車を入れて、速歩を出させます。軽速歩をとって追っていくと、どうにかやる気が出てきたよう。
「じゃあ内方かかとちゃんとつけて、駈歩」馬をいったん止め、内方の手綱をわずかに控えて、内方の拍車を腹につけ、外方脚を引くと、馬は反応したのですが駈歩にはなりません。もう一度馬を止めて、内方の拍車で腹をこすると、駈歩が出ました。まともに駈歩をやるのが久しぶりなので、駈歩の反動についていけない。1完歩、2完歩と反動を受け止められず、お尻が鞍の上で大きく跳ねるようになっていき、ロゼッタが速歩に落ちました。ごめん、そりゃこんなに跳ねられたら止まりたくもなるよな。
また馬を止めてやり直し、ロゼッタはちゃんと拍車に反応してすっと駈歩が出ます。だけど、ロゼッタの駈歩ってこんなだったっけな。もっとのろい駈歩だったと思うんだけど。前というよりは上に出るような駈歩なのは以前のままですが、それにしてもずいぶん足の運びが速いような気がする、拍車のせいかな。「速いですよ、抑えて」と、やっぱりK野さんにも言われてしまいました。しかしここで拍車を離したら駈歩をやめる馬だから、手綱で抑えるしかないのか。
しかしまた鞍の上でお尻が跳ねてしまったのと、手綱で抑えすぎたので、ロゼッタが駈歩をやめてしまいました。うーん、難しいな。
半巻きして手前を換え、再び駈歩を出す前に、「怖いですか? 」とK野さんに聞かれました。K野さんは私がかなりの恐がりで、外乗で襲歩を出されたトラウマがあることを理解して指導してくれているので、そんなに無理はさせないようにと思っているのでしょう。「いや、そんなことはないけど」。事実、ロゼッタだからそんなに怖くはないし、その証拠に今日はサドルホルダー持ってないもんね。
駈歩の扶助をしようとすると、ロゼッタが1歩、2歩とずるずる後退します。ハミをちょっと引っ張りすぎたかな。でも3歩後退から駈歩発進というのは正しい扶助だし、このままやってしまえ。3歩下がったところで手綱を許し、拍車で腹をこすると駈歩が出ました。出るとやっぱり速くて、手綱を引いてしまいます。そしてやっぱり半周もしないうちに、私のお尻の跳ね具合に私もロゼも耐えられず、止まってしまいました。
何度か駈歩発進をしましたが、残念ながら駈歩を1周持続することはできませんでした。

1頭ずつ、全員が駈歩を終え、ふたたび蹄跡に出て隊列を組みます。ふたたび軽速歩、今度はけっこう調子よく走れるな。駈歩の前のだらだら歩様がウソのよう。やっぱり一度駈歩をすると、ロゼッタでもやる気が出るのかしらね。
でももうレッスン終了時間なので、常歩に落として手綱を伸ばし、沈静化。ロゼッタはこういうとき、本当に歩くのがのたのたになるので、他の馬の邪魔をしないように、あらかじめ蹄跡より内側を回ることにします。
3〜4周して、馬場中央に入り、馬を並べて挨拶。下馬して、ロゼッタを馬繋場に連れて行きます。

ロゼッタは午後もお仕事があるので、蹄の裏掘りだけをして馬房に帰します。
ちょうど昼飼いの時間なので、途中で他の馬の飼い桶が気になってしまうロゼッタ。「それあんたのじゃないから、あんたのはあっちにあるからさぁ」と馬房に引っ張っていき、まずロゼを馬房に入れます。
馬詮棒をかけていると、「メシまだ? 」という顔で馬詮棒ごしに鼻をぶつけてくるので、「はいはい、今やるよ」と飼い桶を運んできます。それを馬房の中に入れないうちに、ロゼッタが馬房の中からぐーっと首を伸ばして、桶に鼻を突っ込んできました。私は桶をかかえたままで、重いんですけどちょっと。「ロゼー、これヘンだよー。中に入れてやるからちょっとだけ待てない? 」と、桶を地面に置いて、馬房の中に押し込みます。
その一部始終を、ボロを取りに来てくれた農家の方(だったと思うけど不明)が見ていたらしく、「かわいくてしょうがないんだよねぇ」と笑っていました。
いや、なんかロゼッタが相手だと、馬っていうより人と話してるような気になっちゃうんですよね。

昼食を摂り、いつものように倶楽部でぶらぶら。馬繋場でMさんがモンブランの手入れをしているところに行きあったので、つながれているモンブランに背中を向けてやると、モンブランは一生懸命鼻をこすりつけてきます。はいはい、かゆかったのね、好きにしてちょうだい。今度は向かい合って、モンブランの好きなやり方で耳の付け根をさすってやると、鼻を私のおなかにくっつけてきたので、そのまま私も顔をモンブランのおでこにくっつけて、そのままお互いにじっとしていました。モンちゃんの鼻息がおなかにあたって、あったかいなー。
ほとんどモンブランに乗ったことのないMさんが、モンブランの馬着のつくりが分からないようだったので、「これは、こうでしょう」と教えてあげると、「さすが」と言われたので、「そりゃ、モンブランの専門厩務員とまで呼ばれた女ですよ、私は」。するとそれを聞いていたK野さんがすかさず、「でも、もう卒業ですね」「あぁ、やっぱりそうなんだよねぇ。そういう配馬だと思ってた」「もうあったかくなったから、みんな駈歩もっとやらないとね」駈歩の出にくい、出てもヘンな歩様のモンブランでは練習にならないということでしょう。長いこと私の愛馬であるモンブランですが、これから乗ることは少なくなっていくんだろうなぁ。私はもう彼を、初心者さんに譲るべきときが来ているのかもしれない。嬉しくもあり、寂しくもあり、って感じです。

日の出乗馬倶楽部の馬場
↑日の出乗馬倶楽部の見取り図
(緑字:貸与馬、青字:自馬)

←113鞍目 115鞍目→

乗馬日記トップへ / トップページへtop