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(2002.8.24 あきる野・日の出乗馬倶楽部)
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めっきり涼しくなりました。今日は16時の予約、14時半ごろに倶楽部に到着。
ホワイトボードで騎乗馬を確認すると、私は美星、相方は隼鷹(ジュンヨー)。重くて重くて駈歩の出にくい美星ちゃんと、軽すぎてびゅんびゅん駈歩しちゃうというジュンちゃんでは、今日は駈歩はしないかもな。
現在クラブハウス横のテラスが工事中で、女子更衣室への道が閉ざされているので、男子更衣室に鍵を掛けて着替え。15時20分頃、かなり早いですが美星の馬房に向かいます。あ、美星ちゃんだから長鞭を持っていかないと。

美星は馬房のなかで向こうを向いていました。「美星ちゃーん」と呼びながら扉を開けても、目だけでちらっとこっちを見るだけで、体の向きを変えようとはしません。基本的に寂しがりの美星ちゃん、大抵は呼ぶだけで扉のほうに向くのに、珍しい。
何度呼んでも体の向きを変えてくれないので、馬房に踏み込むことにしました。美星は右半身を馬房の右の壁にくっつけ、右開きの扉の蝶番にお尻をくっつけるようにしていたので、後ろ蹴りを食らったとしても壁を蹴るだけだろう。
扉の左側はひろく空いていたので、美星を呼びながらゆっくり入ってみます。美星は目をこっちに向けたのですが、耳を倒しました。え、美星ちゃん、怒ってる?なんで怒ってるの?
耳を絞ってるときに無理に近づくのは危険と判断して、いったん馬房を退出。馬房を出ると耳が普通の位置に戻るので、近づかれるのがイヤなのかなぁ。普段はそんな子じゃないのに。
少し待って、再び低い声をかけながら馬房に入ってみます。やっぱり耳を倒す。でも暴れる気配はないので、少しずつ近づいてみます。なんとか首には触らせてくれたのですが、ものすごくイヤそう。首に当てた手をすこしずつ顔のほうにずらしていくと、耳が余計倒れる。無口をかけなければ出せないので、鼻に触ろうとすると、歯をむきました。やばい、これはかなり機嫌が悪い。怖いので、また馬房を出ます。

ちょうど相方がこちらにやってきたので、「美星ちゃんが機嫌が悪いよー」と訴えると、代わりに馬房に入ってくれることになりました。相方は無口を持って馬房に入っていきましたが、しばらくすると自分だけ出てきました。「これはあかん。相当機嫌が悪いね」やはり歯をむかれたそうです。馬房から出しさえすればどうにかなるような気がするのですが、無口をかけさせてくれなければどうしようもない。どうしよう。ニンジンか何かあればご機嫌直してくれるかなぁ。
お手伝いスタッフのA木さんが「どうしたのー?」と言うので、「美星ちゃんが機嫌が悪いの」「でも美星はちょっとくらい機嫌悪そうでも悪いことしないから、大丈夫だよ」と、馬房のほうまで見に来てくれると、いきなり体の向きを変えてこちらに顔を向ける美星ちゃん。青木さんに無口をやってもらい、馬繋場に出すことができました。何なのよ、この態度の違いは。

裏掘りをしようと思って鉄爪を持ち、顔の近くに触るとやはり耳を倒す美星。でも噛みつこうとするわけではないので、首をたたいているうちに少し落ち着いてきたらしい。裏掘り、ブラシ掛けとやっているうちに、耳を倒さなくなってきました。
1つ前のレッスンで美星に乗っていたN子さんがやってきて、美星が機嫌が悪いと言うと「もうお仕事終わりだと思ってたのかなー」今日は私で3鞍目。3鞍くらいで甘えたこと言ってくれるなよ…
汗取りタオルと毛布を背中に置いて、ジェルパッドを置くとA木さんが「あ、美星はこっち使って」と大きいジェルパッドを持ってきました。「この子、この辺に鞍傷できやすいから」そういうので、鞍を着けられるのがイヤだったのかなぁ。腹帯を締めると、振り返って噛みつく仕草を見せました。本気じゃなさそうだけど。
美星は少し鶴首で、「何もしなくても屈撓してるみたいな首だね」とA木さんに言うと、「その子、首折ってるからね」「はっ?」「第2頸骨折ったことあるみたいよ」「えっそんな気軽に折れるもんなの?」「屈撓しない馬に無理に屈撓教えようとして、ハミ引っ張り過ぎたとかで折れることもあるよ」ひえー、そうなんだ。もともと競走馬だったはずだから、乗馬調教でやったのかも。良くおとなしく乗馬になれたもんだ。

時間がきたので、ハミをかけます。無口を外すと、顔がかゆかったらしくて柱で掻こうとしましたが、鼻面を押さえてハミをかけると、素直にハミを噛んでくれる美星ちゃん。さっきまでは何だったのよ。
レッスン開始にはちょっと早かったのですが、馬繋場が混んでいるので早めに馬場に出ます。馬繋場から出そうとすると、美星ちゃんはびくともしない。長鞭でお尻をたたいてみますが、全然気にしない。A木さんにお尻をたたいてもらって、ようやく動きましたが、また馬場への出口で止まる。「美星、ハミを片方だけ引っ張ると動くよ」とA木さんが教えてくれたので、手綱を片方だけ引いてみたら動きました。
馬場に出ると、先に出ていたMさんがロゼッタを引き馬していたので、あとについて引き馬。でも考えてみたら、美星ちゃんが動かないのは分かってるんだから、レッスン前に少しでも動かしておこうと思って騎乗準備。Uくんがすかさず踏み台を持ってきてくれたので(この辺の気の効き方、高校生とは思えないぞ!)、Uくんの補助で騎乗します。
腹帯もUくんに締め直してもらい、周りを見るとまだ全頭出てきていないので、とりあえず蹄跡に出ていることにします。歩かせようと思って脚で軽打するも、びくともしない。あーあー、やっぱり美星ちゃんだ。少しずつ蹴りを強くし、ムチも強くしていきますが、どこ吹く風。さっきA木さんに言われたことを思い出して、巻き乗りの要領で片側だけ手綱を引いてみたら、ようやく歩き出しました。

とりあえず蹄跡に出てみましたが、蹴り続けていないと歩きゃしない。まだレッスンが始まっていないことも忘れて、どんどんけっ飛ばして歩かせます。2周ほど歩いたところで、全頭出そろってI野先生も出て見えたので、美星を中に入れます。他の馬が並んでいるところから追い越すくらいの位置にいたので、巻き乗りして中に入れようとすると、意外と美星ちゃん小回りがきかず(ジムカーナのときには、動きはしないものの小回りは利いたと思っていたんですが)、ロッキーの立っているところに突っ込んでいってお尻にくっついてしまいました。あんた、ロッキーだからいいけど、ウィンダムだったら速攻蹴られてるよ。
どうにかこうにか歩かせて、美星も並ばせます。「コスモ最初だな」続いてロッキー、ロゼッタ、美星、ジュンヨーの順に指差して順序を指示されます。コスモ、ロッキーがハナを切るのはいつものことだけど、飛ばし屋ジュンちゃんが美星の後ろって…ジュンちゃん近づきすぎて、美星が蹴ったらどうしよう。美星、機嫌悪そうだし。

常歩なのに、前の3頭からどんどん離されてしまいます。ぼすっ、どすっという鈍い音がするくらい蹴っているのですが、全然ダメ。I野先生に「肩にムチ入れろ、まだ弱いぞ」と言われ、ムチもぴしぴし入れているのですが、ちょっとしか効かない。さすがK野さんに「重いんじゃなくて、極端にニブいんです」と言われた子だ。
「順次、巻き乗ーり」うわ、5頭の巻き乗りで美星だと迷惑かけそう…案の定、巻き乗りの途中で止まる美星にムチを入れ続け、前の馬よりもかなり小さい巻き乗りをして、どうにか追いつく。
「速歩いくぞ、歩度を詰めー」蹴るのとムチを強くしますが、ぜんぜん歩度がつまらない…美星ちゃん、そんな普通に歩いてるんじゃないわよ。「はやあーし」さんざんムチを入れているのに、出ない。前の馬はとっくに速歩になっているのに、美星が全然出ないものだから、私を追いつかせるために「常歩に落とせー」になってしまいました。うぅ。
先生が短鞭を持ってきて下さって、「長鞭よりこっちのほうがいいぞ」と取り替えてくれました。そうだ、ロゼと同じで美星も、この短鞭の先の平べったい革で派手な音を鳴らしたほうが動くんだった。久しぶりなので忘れていました。
短鞭の音で、ようやく美星が速歩になります。

速歩のまま脚を入れますが、私は速歩で脚を入れるのが下手なので、ムチを併用して走らせます。先週K野さんに言われたように、自分で思っているよりも体を後ろに倒してみます。あれ、ロゼッタよりも辛くないな。反動がそんなに高くないので、ロゼのときよりも座っていられる。しかしなかなか脚が後ろに引けないな。先頭を見ると、コスモに騎乗したベテランのI崎さんが、鞍にお尻がすいつくようなやわらかい正反動をしています。あれを見ならうつもりで正反動の練習しようっと。
しかし速歩ではなかなか歩度が伸びないので、前の馬にどんどん置いていかれてしまいます。仕方がないので、隅角で大きくショートカット。「そうそう、それくらいショートカットしていいから」と先生。

軽速歩で走ると、美星も少し調子が出てきて大幅には置いていかれなくなってきました。
「1番2番、中央線を右へ」あ、カドリールもどきだ。I野先生、最近頭数が多いとこれをさせるようになりました。運動会へ向けての準備かな?
前のロゼッタとロッキーが中央線を右に曲がると、「3番4番、同じく右へ」4番騎の私は、3番騎のロゼッタと同時に右へ曲がらなければいけません。美星を右に曲がらせたとたん、常歩に落ちる。うーん、推進が足りないのか。ロゼッタと併走しなければならないのに、大きく立ち後れてしまい、ムチで速歩を出させてなんとか追いつきます。ロゼッタだから追いつけるようなものの。
大きく斜めに手前を換え、併走で斜めに手前を換えなどやったものの、方向を変えようとするとすぐ常歩に落ちたがる美星ちゃんのせいで、ぜんぜんきれいなカドリールになりませんでした。先生ごめんなさい。

「今日はそこで工事やってるからな、駈歩しないから」と先生、クラブハウス横のテラスで電動ねじまわしや板をはめ込む音がしているから、馬がびっくりしないようにとの配慮でしょう。美星もニブい割にはびっくりしやすくて、跳ねたり駈けたり(経験済み…)する子なので、クラブハウスの前は蹄跡よりかなり内側を走らせてショートカット。一石二鳥だわ。
と、クラブハウスのそばでコスモが横っ飛びに跳ねました。つられて後ろのロッキーも軽く跳ねる。後ろから見えていたので、美星がそれに巻き込まれないようにと思って手綱を控え、停止させます。
幸い美星ちゃんは跳ねずに済みましたが、逆手前になったとき、またコスモがクラブハウスの横で跳ねました。床にはめ込む板を持ち上げたのが目に入ってびっくりしたみたい。

先生が、隣の馬場との間のラチの両端を外しています。そうすると隣の馬場への道が開け、馬場全体を使った大きい蹄跡ができることになります(左図であれば、2つの円をつないで大きな楕円ができる感じですね)。「そのまま長蹄跡へ」ふだんの蹄跡から、隣の馬場へ突き抜ける感じで出ていきますが、美星ちゃんはいつものルートではないので「えっ?」と思ったのか、常歩になろうとします。それをどうにか蹴っ飛ばして隣の馬場へ出たときには、前のロゼッタから5馬身以上離れてしまいました。仕方ないので、大幅にショートカットして追いつきます。
長蹄跡って60メートルあるんですが、これを歩度の伸びる馬で走ったら気持ちいいんだろうなぁ。

長蹄跡での軽速歩、斜めに手前を換えなどを続けますが、ときどき美星ちゃんが激しく首を振ったり、首を下にぎゅいっと下げたりするので、危なくてしょうがない(鞍数の少ないころ、サーブにこれをやられたときには「落ちる!」と思ったものですが)ので、そのたびムチや脚で叱るのですが、やみません。
さっきA木さんに言っていた、美星が頸骨を折ったことがあるというのを思い出して、もしかしてハミが固いのがイヤなのか?と思い、2センチほど手綱を前に譲ってみました。
するとだんだん首を振るのはやめてくれましたが、今度は手綱が緩くてイヤだなぁ。何かあったときに止めにくいし、ハミがちゃんとかかってないとちゃんと走れないとか、ないかな?
馬によってちょうどいい手綱の長さってそれぞれ違うのでしょうけど、まだそれが良く分からない。

通常の蹄跡に戻り、手綱を伸ばして沈静化。美星ちゃんの反動が高くないので、速歩のときあまりお尻が跳ねずに練習ができたけど、今日はすごく脚が前に出ていたような気がする。「立ち乗りすると、脚が後ろに引ける」と先生がおっしゃっていたのを思い出して、常歩のままちょっと立ち乗り。
時間が来たので、馬場中央で挨拶し愛撫して下馬。お疲れさまでした。

美星を連れて馬繋場に上がると、スタッフのK村さんが「足だけ洗ってやってくれる?」と言うので、蹄の裏と足を水で洗います。洗い終わると、K村さんが「あとで拭くのはやってもらうから、休憩しててよ」と言って、美星ちゃんを丸洗いして肌を消毒。美星もちょっと肌が弱いから、薬を塗ってあげたりしています。彼の努力で、今年の夏は馬の肌がきれいです。
洗い終わった美星をタオルでごしごし拭いて、早く乾くように扇風機に当たらせていると、なんだか美星ちゃんったら眠そう。「ほんとに疲れてたんだね、こいつ」とK村さん。「3鞍目だから怠けてるだけかと思ったら、ほんとに疲れてるんだ。馬繋場で眠そうにするの珍しいよ。おかしいなぁ、最近鍛えてるのに」私が乗って全然動かなかったの、見てたんだ。「K村さんが鍛えてる疲れが今日溜まってるとか、そういうことじゃないの?」とからかってみると、「そうかなぁ?ショックだなぁ。まぁ会員さんが5鞍乗るより、俺が1鞍乗った方がこいつにとってはしんどいはずだけど」さすが元競走馬育成係。こんなに重い美星でも、またがった瞬間に駈歩出させちゃう人だもんねぇ。

帰りはN子さんご夫妻の車で送っていただいたのですが、N子さんと一致した目先の目標は「いつかは美星で駈歩」。

↓日の出乗馬倶楽部の馬場
日の出乗馬倶楽部の馬場

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